「はるみ」と「きよみ」の違いとは?デコポンとの関係も解説

春先の果物売り場を彩る、人気の柑橘「はるみ」と「きよみ」。

どちらも「みかん」と「オレンジ」の良いとこどりをしたような品種ですが、名前も似ていて、一体何が違うのか迷ってしまいますよね。

結論から言うと、「きよみ」は「はるみ」の「親」にあたる品種です。「きよみ」が親となり、「ポンカン」と交配されて生まれたのが「はるみ」なんです。

この「親子関係」こそが、二つの柑橘の味、香り、食感、旬の時期のすべての違いを生み出しています。

この記事を読めば、「きよみ」と「はるみ」の明確な違いから、美味しい見分け方、そして「デコポン(不知火)」との意外な関係まで、スッキリと理解できますよ。

それでは、まず両者の違いを比較表で見ていきましょう。

結論|「はるみ」と「きよみ」の違いが一目でわかる比較表

【要点】

「きよみ」と「はるみ」の最大の違いは「親子関係」にあります。「きよみ」は「宮川早生(みかん)×トロビタオレンジ」の交配種、「はるみ」は「きよみ×ポンカン」の交配種で、「きよみ」の子供にあたります。味は、「きよみ」がジューシーでオレンジの香り豊かな「甘酸っぱさ」を持つのに対し、「はるみ」はポンカン由来の濃厚な甘みとプチプチした食感が特徴です。

まずは、「はるみ」と「きよみ」の核心的な違いを一覧表にまとめました。

項目はるみきよみ(清見)
分類ミカン科(タンゴール類)ミカン科(タンゴール類)
親の組み合わせきよみ × ポンカン宮川早生(みかん) × トロビタオレンジ
関係性「きよみ」の子供「はるみ」の
見た目みかんに似て扁平。皮はやや厚いが剥きやすい。オレンジに似て丸い。皮はやや厚いが剥きやすい。
味・香り糖度が非常に高い(濃厚な甘み)、ポンカンの香り甘みと酸味のバランスが良いオレンジの香り
食感プチプチした食感(大粒の砂じょう)非常にジューシーで柔らかい
種の有無種は少ない種はやや多いことがある
旬の時期1月下旬~3月上旬2月下旬~4月下旬

このように、親子でありながら、味や食感、旬の時期まで明確な違いがあるんですね。次に、この関係性について詳しく解説します。

「はるみ」と「きよみ」の定義と分類(品種)の違い

【要点】

どちらも「タンゴール類」(みかん類とオレンジ類の交雑種)です。「きよみ」は、日本の温州みかんとアメリカのオレンジを交配して生まれた「タンゴールの元祖」とも言える品種です。一方、「はるみ」は、その「きよみ」に「ポンカン」を交配して生まれた子供世代の品種です。

「きよみ(清見)」とは?(タンゴールの元祖)

「きよみ(清見)」は、日本の柑橘界において非常に重要な品種です。農林水産省の果樹試験場(現在の農研機構)で、「宮川早生(温州みかん)」に「トロビタオレンジ」の花粉を交配して誕生しました。

「みかん」の皮の剥きやすさと、「オレンジ」の芳醇な香りを併せ持つことから、「タンゴール(Tangerine × Orange)」の代表品種とされています。育成地(静岡市清水区)の清見潟(きよみがた)にちなんで「きよみ」と名付けられました。

「はるみ」とは?(きよみの子孫)

「はるみ」は、「きよみ」をさらに進化させるために開発された品種です。「きよみ」を種子親(母親)に、「ポンカン」を花粉親(父親)として交配し、1996年(平成8年)に品種登録されました。

「きよみ」のジューシーさを受け継ぎつつ、「ポンカン」の持つ濃厚な甘みと、あの独特のプチプチとした食感をプラスすることに成功しました。名前は、旬の時期が春を予見させることから「はるみ」と名付けられました。

「はるみ」は「きよみ」の子供、「デコポン」とは兄弟

この二つの関係性を家系図で表すと、非常にシンプルです。

  • 親:きよみ(清見)
  • 子:はるみ

さらに面白いことに、「はるみ」と全く同じ親の組み合わせ(きよみ×ポンカン)から生まれた、もう一つの有名な柑橘があります。

それが、「デコポン(品種名:不知火(しらぬい))」です。

つまり、「はるみ」と「デコポン」は、同じ親から生まれた「兄弟(姉妹)」品種なんですね。濃厚な甘みやプチプチした食感が似ているのも、この血縁関係から来ています。

味・香り・食感・見た目の違い

【要点】

見た目は、「きよみ」がオレンジ似の丸型「はるみ」がみかん似の扁平型です。味は、「きよみ」がオレンジ香る爽やかな甘酸っぱさなのに対し、「はるみ」はポンカン由来の濃厚な甘みが特徴です。食感は、「きよみ」がジューシー、「はるみ」がプチプチしています。

「親」と「子」で、その個性は大きく異なります。

見た目(皮の質感・形)

きよみ:
オレンジの血を引いているため、形はみかんより丸く、オレンジに近いです。皮はみかんよりやや厚めですが、手で剥くことができます。表面は比較的ツルっとしています。

はるみ:
みかんやポンカンに似て、少し扁平(平たい)形をしています。皮はみかんと同じくらい剥きやすく、表面はややゴツゴツしていることがあります。

味と香り(はるみの甘み vs きよみの香り)

ここが最大の魅力の違いです。

きよみ:
最大の特徴は、オレンジ譲りの華やかな香りです。糖度は11〜12度ほどで、酸味もしっかりあるため、甘みと酸味のバランスが取れた「爽やかな甘酸っぱさ」が楽しめます。

はるみ:
最大の特徴は、ポンカン譲りの濃厚な甘みです。糖度は15度近くになることもあり、酸味は「きよみ」よりもかなり穏やかです。香りはオレンジよりもポンカンに近い、甘い香りがします。

食感と食べやすさ(プチプチ感・種の有無)

きよみ:
果肉が非常に柔らかく、果汁が滴るほどジューシーです。じょうのう(果肉を包む薄皮)も薄く、そのまま食べられます。ただし、オレンジ由来のため種がやや多い傾向があります。

はるみ:
大粒の砂じょう(果肉の粒)がプチプチと弾けるような独特の食感が特徴です。じょうのうも薄く食べやすいです。また、ポンカンとの交配により、種は非常に少なくなっています

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

どちらもビタミンCや疲労回復を助けるクエン酸を豊富に含みます。栄養価に大きな差はありませんが、「きよみ」はオレンジ由来の「シネフリン」を、「はるみ」はポンカンやみかん由来の「β-クリプトキサンチン」を含む傾向があります。

「はるみ」も「きよみ」も、柑橘類として優れた栄養素を持っています。

  • ビタミンC:どちらも豊富に含み、風邪予防や肌の健康維持に役立ちます。「きよみ」(42mg/100g)、「はるみ」(40mg/100g)と、どちらも高水準です。
  • クエン酸:酸味の主成分で、疲労回復効果が期待できます。
  • 食物繊維:じょうのう(薄皮)にはペクチンなどの食物繊維が多く、腸内環境を整えるのを助けます。

栄養価に大きな差はありませんが、「きよみ」はオレンジ由来の香り成分「シネフリン」(脂肪燃焼を助けるとも言われる)を、「はるみ」は親のポンカンやみかん由来の色素成分「β-クリプトキサンチン」(強い抗酸化作用)を、それぞれ受け継いでいます。(参考:文部科学省 日本食品標準成分表

使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

どちらも生食が一番です。「きよみ」はその豊富な果汁とオレンジの香りを活かし、フレッシュジュースやゼリーにするのもおすすめです。「はるみ」は、その濃厚な甘みとプチプチした食感をダイレクトに味わうため、皮をむいてそのまま食べるのが最適です。

きよみ:
香りが良く果汁が非常に多いため、生食が基本です。皮をむいて食べるのはもちろん、スマイルカット(くし形切り)にしてオレンジのように食べるのもおすすめです。果汁を絞ってフレッシュジュースにすると、その香りを最大限に楽しめます。ゼリーやマーマレードにも向いています。

はるみ:
糖度が高く、プチプチした食感が命です。加熱せずに生で食べるのが一番です。皮はみかんのように手で簡単に剥けるので、手軽にその濃厚な甘さを味わうのがおすすめです。

旬・産地・保存・価格の違い

【要点】

産地はどちらも温暖な柑橘地帯(愛媛、和歌山、静岡、広島など)です。旬の時期はリレーするように、「はるみ」が1月下旬〜3月上旬、「きよみ」が2月下旬〜4月下旬と続きます。「はるみ」は人気新品種のため、「きよみ」よりも高価な傾向があります。

主な産地

どちらも温暖な気候を好むため、日本の主な柑橘産地で栽培されています。

きよみ:
愛媛県、和歌山県、広島県、佐賀県などが主な産地です。

はるみ:
広島県、愛媛県、静岡県、佐賀県などが主な産地です。兄弟であるデコポン(不知火)と産地が重なることも多いですね。(参考:農林水産省 統計情報

旬の時期(はるみ→きよみのリレー)

旬の時期は「はるみ」の方が早く始まり、「きよみ」へとバトンタッチするイメージです。

  • はるみ:旬は早く、1月下旬から始まり、2月がピーク、3月上旬には終わります。
  • きよみ:はるみが終わる頃の2月下旬から出回り始め、3月〜4月がピークです。

正しい保存方法と価格帯

保存方法:
どちらも乾燥を嫌います。風通しの良い、涼しい場所(5〜10℃程度)で保存するのが基本です。暖房の効いた部屋には置かず、長めに保存したい場合は、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。

価格帯:
「はるみ」は、その濃厚な甘みと食感から近年非常に人気が高まっている新品種です。また、「デコポン」の兄弟品種としても注目されています。そのため、「きよみ」に比べて高価で流通していることが多いです。「きよみ」は歴史が長く、多くの品種の親として活躍している一方、価格は比較的安定しています。

起源・歴史・文化的背景

【要点】

「きよみ」の誕生は、日本の柑橘史における一大イベントでした。「みかん」の食べやすさと「オレンジ」の香りを日本で初めて両立させたタンゴールの元祖として、「デコポン」「はるみ」「せとか」など、現在の人気柑橘の多くを生み出す「親」となっています。

「きよみ」が誕生するまで、日本の柑橘は「温州みかん」が主流でした。しかし、消費者の嗜好が多様化する中で、オレンジのような華やかな香りを持つ品種が求められていました。

1949年(昭和24年)、農林水産省果樹試験場(現在の農研機構)で、温州みかんの「宮川早生」に「トロビタオレンジ」を交配して「きよみ」が誕生しました。これは、日本における本格的なタンゴール育種の先駆けであり、その後の日本の柑橘品種改良に計り知れない影響を与えました。

「きよみ」は、その優れた食味と香りを子孫に受け継がせる「親」として非常に優秀でした。その結果、

  • きよみ × ポンカン → 「はるみ」「デコポン(不知火)」
  • きよみ × (アンコール×マーコット) → 「せとか」
  • きよみ × (清見×興津早生) → 「はれひめ」

など、数々のスター品種が「きよみ」を親として誕生しています。「はるみ」は、まさにこの「きよみチルドレン」の優等生の一人なんですね。

【体験談】濃厚な甘みの「はるみ」とジューシーな「きよみ」

僕が「はるみ」と「きよみ」の違いをはっきりと意識したのは、旬が重なる2月下旬に食べ比べをした時のことです。

まず「きよみ」を食べました。皮をむくと、フワッとオレンジの爽やかな香りが広がります。果肉は柔らかく、噛むと「ジュワ〜」っと果汁が溢れ出し、甘みと酸味のバランスが完璧。まさに「飲む柑橘」といったジューシーさでした。

次に「はるみ」を食べました。皮をむいた時の香りは、きよみより甘く、ポンカンに近い香り。そして一口食べて、食感の違いに驚きました。

「プチッ、プチッ」と、果肉の粒(砂じょう)が舌の上で弾けるんです。デコポンを食べた時にも感じる、あの大粒の食感です。「これが兄弟の証か!」と納得しました。そして何より、酸味をほとんど感じない、濃厚な甘みが口いっぱいに広がりました。

ジューシーで爽やかな「きよみ」も、甘くて食感が楽しい「はるみ」も、どちらも最高に美味しいですが、個性は全く別物。

「きよみ」が多くの子供たち(新品種)の「偉大な母」と呼ばれる理由が、そのバランスの良い美味しさと香りを食べてみてよく分かりましたね。

はるみときよみの違いに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 「はるみ」と「きよみ」は、結局どっちが甘いですか?

A. 「はるみ」の方が甘みが強い傾向にあります。はるみはポンカン由来の濃厚な甘みが特徴で、糖度が15度近くになることも。きよみは酸味とのバランスが取れた爽やかな甘さです。

Q2. 「はるみ」と「デコポン(不知火)」はどっちが美味しいですか?

A. どちらも非常に甘く、甲乙つけがたいです。なにしろ「きよみ×ポンカン」という同じ親を持つ兄弟品種ですから、味やプチプチした食感はそっくりです。デコポンはブランド基準が厳しく糖度が高いものが安定して流通しますが、「はるみ」も負けず劣らず濃厚な甘みを持っていますよ。

Q3. 「きよみ」は種がありますか?

A. はい、種はやや多い傾向があります。オレンジの血を引いているためです。一方、「はるみ」はポンカンとの交配により、種は非常に少なくなっています。

まとめ|はるみときよみ、目的別おすすめの選び方

「はるみ」と「きよみ」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最大の違いは「親子関係」にあり、それが味と食感の個性を生み出していました。

  • きよみ(親):
    旬は2月下旬〜4月オレンジの香り溢れる果汁(ジューシーさ)が特徴。爽やかな甘酸っぱさを楽しみたい方、フレッシュジュースにしたい方におすすめです。
  • はるみ(子):
    旬は1月下旬〜3月濃厚な甘みプチプチした食感が特徴。デコポンが好きな方、とにかく甘い柑橘が食べたい方におすすめです。

旬の時期が少しずれてリレーしていく二つの品種。ぜひ食べ比べて、柑橘界の「偉大な親(きよみ)」と「優秀な子(はるみ)」の味の違いを楽しんでみてくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも「デコポンとポンカンの違い」など、様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。