ハーブソルトとクレイジーソルトの違い!岩塩の旨味とハーブの魔法

ハーブソルトとクレイジーソルトの最大の違いは、「カテゴリーの総称か、特定の商品名か」という点にあります。

なぜなら、「ハーブソルト」は塩に香草を混ぜた調味料全般を指す言葉であるのに対し、「クレイジーソルト」はアメリカ生まれの岩塩と6種類のハーブ・スパイスをブレンドした特定のブランド商品だからです。

この記事を読めば、レシピ本に「ハーブソルト」と書いてある時にクレイジーソルトを使っていいのか迷うことがなくなり、それぞれの特徴を活かして料理の味をワンランクアップさせることができるようになりますよ。

それでは、まず両者の決定的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論|ハーブソルトとクレイジーソルトの違いを一言でまとめる

【要点】

ハーブソルトは「塩とハーブを混ぜた調味料の総称」で、製品によって中身は様々です。クレイジーソルトは「岩塩をベースに6種類のハーブ・スパイスをブレンドした商品名」で、ガーリックやオニオンの旨味が特徴的な万能調味料です。

まず、結論からお伝えしましょう。

この二つの関係性と違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、スーパーの棚の前で混乱することはなくなりますよ。

項目ハーブソルト(総称)クレイジーソルト(商品名)
定義塩とハーブを混合した調味料全般ジェーン社が製造する特定の商品
ベースの塩海塩、岩塩など様々岩塩
主なハーブ製品による(バジル、パセリ等)オニオン、ガーリック、セロリ、タイム、オレガノ、ペッパー
味の傾向ハーブの香りが主役のものが多い岩塩の旨味と香味野菜のパンチ
代表的な競合マジックソルト、アルペンザルツ等(ハーブソルトの一種として分類)

一番大切なポイントは、「クレイジーソルトはハーブソルトの一種である」ということですね。

つまり、レシピに「ハーブソルト」とあればクレイジーソルトを使っても問題ありませんが、クレイジーソルト特有のガーリックやオニオンの風味がつくことを計算に入れる必要があります。

定義と分類の違い(総称vs商品名)

【要点】

「ハーブソルト」は醤油や味噌と同じカテゴリー名です。対して「クレイジーソルト」は、「キッコーマン」や「味の素」のようなブランド商品名であり、アメリカのジェーンおばさんが開発したオリジナルレシピに基づいています。

名前が似ているので混同しやすいですが、包含関係にあります。

ここを整理すると、他の類似商品との違いも見えてきます。

ハーブソルト:無限のバリエーション

ハーブソルト(香草塩)とは、食塩に乾燥させたハーブやスパイスを混ぜ合わせたものの総称です。

市販品だけでも数え切れないほどの種類があり、S&Bの「マジックソルト」や、ドイツの「アルペンザルツ(ハーブ入り)」などが有名ですね。

家庭で好みのハーブと塩を混ぜて作る「自家製ハーブソルト」も、もちろんこのカテゴリーに含まれます。

クレイジーソルト:ジェーンおばさんの傑作

クレイジーソルト(Krazy Mixed-Up Salt)は、1960年代にアメリカ・フィラデルフィア在住のジェーン氏が開発したシーズニングソルトの商品名です。

日本では日本緑茶センター株式会社が正規代理店として輸入販売しており、赤と緑のデザインのパッケージでおなじみですよね。

「キッチンにこれ1本あれば味が決まる」と言われるほどの完成されたブレンドが特徴で、世界中で愛されているロングセラー商品です。

原材料とブレンド内容の違い

【要点】

クレイジーソルトの原材料は「岩塩、ペッパー、オニオン、ガーリック、タイム、セロリ、オレガノ」の7種類のみで、添加物は不使用です。他のハーブソルトには、砂糖、トマトパウダー、調味料(アミノ酸等)が含まれるものも多くあります。

成分表示を見ると、それぞれの味が目指す方向性が分かります。

特に「旨味」をどこから得ているかが大きな違いです。

クレイジーソルトの「7つの素材」

クレイジーソルトの原材料は非常にシンプルです。

ベースとなる岩塩に、6種類のハーブとスパイス(ペッパー、オニオン、ガーリック、タイム、セロリ、オレガノ)をブレンドしています。

特筆すべきは、化学調味料などの添加物を使っていない点です。

オニオンとガーリックという香味野菜のパワーで、肉や魚の臭みを消しつつ食欲をそそる旨味を引き出しているのが最大の特徴ですね。

一般的なハーブソルトの傾向

一方、例えば日本で人気の「マジックソルト(S&B)」は、岩塩やハーブに加えて、砂糖、トマトパウダー、フライドオニオン、加工デンプンなどが含まれていることが多いです。

これは、日本人の味覚に合わせてまろやかさや甘み、複雑な旨味をプラスしているためです。

ハーブソルトと一口に言っても、シンプルな塩味のものから、コンソメに近い味わいのものまで幅広く存在します。

味・香り・塩の種類の違い

【要点】

クレイジーソルトは岩塩のガツンとした塩味と、ハーブの爽やかさ、そしてガーリックのパンチが効いた「欧米風」の味です。一般的なハーブソルトは製品によりますが、比較的マイルドで、料理の邪魔をしない優しい香りのものが多い傾向にあります。

実際に舐めてみると、そのキャラクターの違いは歴然としています。

僕も初めてクレイジーソルトを使った時は、その「味の決まり具合」に驚きました。

クレイジーソルト:中毒性のある旨味

クレイジーソルトの「クレイジー(Krazy)」は、英語の「Crazy for you(あなたに夢中)」のように、キッチンで愛される調味料になってほしいという願いが込められているそうです(スペルはKですが)。

その名の通り、一度使うとクセになる味わいがあります。

岩塩特有の角のない塩味に、ガーリックとオニオンの風味がしっかり効いており、ハーブ(タイム、オレガノ)が後味を爽やかにまとめてくれます。

これ一本で「アメリカンな肉料理の味」が完成するような、力強いプロフィールを持っています。

ハーブソルト:素材を引き立てる脇役

他の多くのハーブソルトは、もう少し繊細なバランスを狙っているものが多いです。

例えば、バジルやパセリが中心のものは、トマト料理や魚のカルパッチョなど、素材の色や香りを生かしたい時に適しています。

塩の種類も海塩(シーソルト)を使っているものは、ミネラル分が豊富でよりマイルドな口当たりになります。

クレイジーソルトほど主張が強くないため、他の調味料と合わせやすいのも特徴と言えるでしょう。

料理での使い分け・相性の良い食材

【要点】

クレイジーソルトは肉料理、揚げ物、卵料理など、ガツンとした旨味が欲しい時に最適です。ハーブソルトは種類によりますが、魚料理、サラダ、スープなど、香りを添えたい料理に向いています。

「今日はどっちを使おう?」と迷ったときは、メイン食材との相性で決めると失敗しません。

クレイジーソルト:肉と油と好相性

クレイジーソルトは、鶏肉のソテー、ステーキの下味、フライドポテトの味付けに抜群の相性を発揮します。

油との相性が良く、オリーブオイルと混ぜるだけで絶品ドレッシングになります。

また、ガーリックが含まれているため、ペペロンチーノなどのパスタや、ジャーマンポテトなどの炒め物にも最適です。

意外なところでは、バニラアイスにかけると甘じょっぱい大人のデザートになりますよ。

ハーブソルト:魚と野菜に彩りを

一般的なハーブソルト(特にガーリック控えめのもの)は、白身魚のムニエルやカルパッチョなど、繊細な味わいの料理に向いています。

朝食の目玉焼きや、温野菜サラダにパラッとかけるなら、クセの少ないハーブソルトの方が飽きがこないかもしれません。

また、和風のハーブソルト(抹茶塩や桜塩など)は、天ぷらのつけ塩としても活躍しますね。

歴史・開発背景・ブランドストーリー

【要点】

クレイジーソルトは1960年代、ジェーン氏がクリスマスの贈り物として手作りしたのが始まりです。ニクソン大統領夫人が愛用したことで全米に広まりました。ハーブソルト自体は、古代からハーブと塩を保存や調味に使ってきた人類の知恵そのものです。

調味料一つにも、それぞれの物語があります。

クレイジーソルトの誕生秘話

クレイジーソルトは、当時60歳だったジェーンおばさんが、手抜き料理ではなく「時短で美味しく」するために開発したと言われています。

クリスマスに友人に配ったところ大評判になり、商品化されました。

当時のニクソン大統領夫人が「万能調味料」として絶賛したエピソードも、その人気を決定づけた要因の一つです。

パッケージのデザインやロゴも、当時のアメリカの雰囲気を今に伝えています。

ハーブソルトの歴史

一方、ハーブと塩を混ぜるという行為自体は、古代ローマ時代やそれ以前から存在していました。

冷蔵庫のない時代、肉や魚の保存性を高めつつ、臭みを消すためにハーブと塩は欠かせない組み合わせだったのです。

日本でも「ゆかり(赤しそ塩)」などは、一種のハーブソルトと言えるかもしれませんね。

体験談・目玉焼きにかけてわかった実力の差

僕は以前、朝食の目玉焼きで「クレイジーソルト」と、スーパーで買った一般的な「ハーブソルト(バジル入り)」を食べ比べてみたことがあります。

これが、思っていた以上に違いがありました。

まず、クレイジーソルトをかけた目玉焼き。

一口食べると、岩塩のガリッとした食感とともに、ガーリックとオニオンの風味が広がります。

「朝から食欲全開!」という感じで、パンチが効いています。

ベーコンやソーセージと一緒に食べると、まるでアメリカンダイナーの朝食のような満足感がありました。

ただ、繊細な半熟の黄身の味を楽しみたい時には、少し味が強すぎると感じることもありました。

次に、バジル入りのハーブソルト

こちらは香りが爽やかで、塩味も穏やかです。

卵本来の甘みを邪魔せず、ふんわりとハーブが香る上品な味わいになりました。

サラダと一緒に食べても違和感がなく、毎日食べても飽きないのはこちらかもしれません。

この経験から、「主役級の味にしたいならクレイジーソルト、素材を引き立てたいならハーブソルト」という使い分けをするようになりました。

特に鶏肉を焼くときは、絶対にクレイジーソルト派ですね。

あの皮目のパリッとした香ばしさと、スパイシーな香りは、他のハーブソルトではなかなか出せない味だと感じています。

ハーブソルトとクレイジーソルトに関するよくある質問

Q. クレイジーソルトがない時、普通のハーブソルトで代用できますか?

A. 代用可能です。ただし、クレイジーソルト特有のパンチ(ガーリック・オニオン感)が不足するので、もしあればガーリックパウダーやコショウを少し足すと、より近い味になりますよ。

Q. クレイジーソルトは開封後、固まりやすいのですが?

A. 岩塩は湿気を吸いやすいため、湿度の高い日本では固まりやすいです。使用後は蓋をしっかり閉め、冷蔵庫で保存するか、乾燥剤を入れることをお勧めします。固まった場合は、振ったり清潔なスプーンで崩せば使えます。

Q. 他におすすめのクレイジーソルトシリーズはありますか?

A. あります。「クレイジーレモン」はレモンの風味が強く魚料理に最適、「クレイジーガーリック」はニンニク好きにはたまりません。用途に合わせて使い分けると楽しいですよ。

まとめ|目的別おすすめの使い方

ハーブソルトとクレイジーソルト、それぞれの特性を理解すれば、料理の腕が上がったように感じられるはずです。

最後に、迷った時の使い分けの基準をまとめておきますね。

  • クレイジーソルトがおすすめなシーン
    • 鶏肉のソテーやステーキの下味(臭み消しと味付けが一度に完了)
    • フライドポテトや唐揚げの仕上げ
    • オリーブオイルと混ぜて即席ドレッシングに
    • BBQやキャンプなど、一本で味を決めたい時
  • 一般的なハーブソルトがおすすめなシーン
    • 白身魚のカルパッチョやムニエル(素材の色と味を生かす)
    • 朝食の目玉焼きやサラダ(優しい風味)
    • トマトソースやスープの隠し味
    • ニンニクの匂いを気にしたい時の料理

「パンチと旨味のクレイジーソルト、香り彩るハーブソルト」。

このイメージを持って、ぜひキッチンの相棒として使い分けてみてください。

さらに詳しい調味料の違いや使い分けについて知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

調味料全般の知識を深めたい方はこちら:調味料の種類の違いまとめ