ほんだしとだしの素の違いは?味や成分で使い分け

「ほんだし」は味の素の商品名で香り高いかつお風味が特徴、「だしの素」は風味調味料の総称または他社製品で旨味とコクが強い傾向にある、というのが一番の違いですね。

なぜなら、ほんだしは「香り、コク・味わい」それぞれに優れた3種のかつお節を使用しているのに対し、だしの素(特にマルトモなどの競合品)はかつお節粉末を多く含み、しっかりとした味付けがされていることが多いからです。

この記事を読めば、料理に合わせた最適な使い分けや、塩分量の違い、代用する際のコツまで、毎日の料理をワンランクアップさせる具体的な方法が分かりますよ。

それでは、まず両者の決定的な違いを比較表で詳しく見ていきましょう。

結論|「ほんだし」と「だしの素」の違いを一言でまとめる

【要点】

「ほんだし」は味の素株式会社の登録商標で、香り豊かなかつお風味が特徴です。一方、「だしの素」は風味調味料の総称として使われるほか、マルトモやシマヤなどの商品名でもあり、一般的に濃厚な旨味とコクが特徴と言えます。

毎日の料理に欠かせない「だし」ですが、スーパーの棚には似たようなパッケージが並んでいて迷ってしまいますよね。

実は、この2つは明確に異なる特徴を持っているのです。

まずは、それぞれの違いを分かりやすく一覧表にまとめました。

項目ほんだしだしの素(一般的傾向)
メーカー味の素株式会社マルトモ、シマヤ、各社PBなど
主な特徴かつお節の芳醇な香りと風味かつお本来の強い旨味とコク
原材料の傾向3種のかつお節粉末をブレンドかつお節粉末、そうだがつお等
味の印象上品、香り高い、まろやか濃厚、しっかり、パンチがある
おすすめ料理味噌汁、お吸い物、茶碗蒸し煮物、うどん、そば、鍋物
価格帯やや高め比較的安価なものが多い

表を見ていただくと分かる通り、メーカーと味の方向性が異なります。

「ほんだし」は、もはや代名詞的な存在ですが、あくまで味の素の商品名なんですよ。

一方で「だしの素」は、風味調味料全体を指す言葉としても使われますが、商品名として販売されているものも多くあります。

あなたの作りたい料理が「香りを生かしたい」のか「味を染み込ませたい」のかで、選ぶべき商品が変わってくるでしょう。

原材料と製造メーカーの違い

【要点】

「ほんだし」は味の素が独自の製法で3種のかつお節をブレンドしています。対して「だしの素」は多くのメーカーが製造しており、マルトモなどは良質なかつお節粉末をたっぷり使用している点が特徴です。

パッケージの裏面を見たことはありますか。

実は、原材料の並びや表記を見るだけで、その商品の「こだわり」が見えてくるんです。

「ほんだし」の場合、最大の特徴は「香り」「コク・味わい」に優れた3種のかつお節を使用している点でしょう。

味の素株式会社は、熟練の職人が燻し分けたかつお節を、最適なバランスでブレンドする技術を持っています。

これにより、封を開けた瞬間に広がる、あの独特の香ばしい香りが生まれているのですね。

一方、「だしの素」として有名なマルトモの商品は、かつお節メーカーとしての強みを生かしています。

良質なかつお節粉末やエキスをふんだんに使用し、素材そのものの力を引き出すことに注力していると言えるでしょう。

また、シマヤの「だしの素」は、かつおだけでなく昆布の旨味を効かせたものなど、バリエーションも豊富です。

「だしの素」という名前の商品は、プライベートブランド(PB)を含め数多く存在します。

そのため、原材料も商品によって千差万別ですが、基本的には「食塩、糖類、風味原料(かつお節粉末など)、調味料(アミノ酸等)」という構成は共通しています。

味・香り・風味の傾向の違い

【要点】

「ほんだし」は上品で華やかな香りが立ち、素材の味を邪魔しないバランスの良さが魅力です。「だしの素」はかつおのパンチが効いた濃厚な味わいで、料理に力強い土台を作ります。

料理の味を決めるのは、やはり「だし」の個性ですよね。

私が実際に使い比べてみて感じるのは、「ほんだし」の香りの良さです。

お湯に溶かした瞬間、ふわっと立ち上るかつおの香りは、食欲をそそります。

味の主張は強すぎず、まろやかで上品なため、野菜や豆腐など淡白な素材の味を引き立てるのが得意でしょう。

対照的に、「だしの素」系の調味料は、ガツンとした旨味を感じることが多いです。

特にマルトモなどの製品は、かつお節の風味が濃厚で、少し塩味や甘みもしっかりと感じられる傾向にあります。

これは、煮込み料理などで具材に負けない「だしの存在感」を発揮するために調整されているからかもしれません。

「なんだか味が決まらないな」という時に、だしの素を少し足すと味がビシッと決まる、という経験はありませんか。

それは、この濃厚な旨味と塩味のバランスのおかげなんですよ。

料理での使い分け・相性の良い食材

【要点】

香りを生かす「ほんだし」は味噌汁やお吸い物、和え物などの仕上げに最適です。味を染み込ませる「だしの素」は煮物、鍋物、麺つゆなど、しっかり加熱する料理に向いています。

では、具体的にどのような料理に使い分ければよいのでしょうか。

プロのような使い分けを意識するだけで、いつもの家庭料理が劇的に変わりますよ。

まず、「ほんだし」が輝くのは、「香りを楽しむ料理」です。

  • 味噌汁(特に仕上げに入れる)
  • お吸い物
  • 茶碗蒸し
  • おひたし・和え物
  • 炊き込みご飯

これらの料理では、ほんだしの上品な香りが料理全体を包み込み、高級感を演出してくれます。

一方、「だしの素」が本領を発揮するのは、「味を含ませる料理」です。

  • 肉じゃが・筑前煮などの煮物
  • うどん・そばのつゆ
  • 鍋料理のベース
  • おでん
  • 丼もののたれ

しっかり煮込んでも風味が飛びにくく、具材の芯まで旨味が染み渡るので、ご飯が進むおかず作りにぴったりでしょう。

もちろん、これらは厳密なルールではありません。

「ほんだし」で煮物を作っても美味しく仕上がりますし、「だしの素」で味噌汁を作れば濃厚で満足感のある一杯になります。

しかし、それぞれの特性を知って使い分けることで、料理の腕が上がったように感じられるはずです。

健康面・塩分・添加物の違い

【要点】

どちらも基本的には食塩や調味料が含まれており、塩分量に大きな差はありませんが、製品ごとに「減塩タイプ」や「化学調味料無添加」などが展開されています。健康を気にする方はパッケージの成分表示を確認しましょう。

毎日使うものだからこそ、健康面は気になりますよね。

基本的な顆粒だしには、保存性を高めたり味を整えたりするために、食塩が含まれています。

「ほんだし」も「だしの素」も、大さじ1杯あたりの塩分相当量は製品によって異なりますが、料理の味付けの一部を担っていることは意識すべきでしょう。

最近では、健康志向の高まりに合わせて、各メーカーから様々なラインナップが登場しています。

  • 減塩タイプ:塩分をカットし、カリウム塩などで味を補ったもの。
  • 素材だし・無添加タイプ:食塩や化学調味料を使用せず、素材の粉末のみで作られたもの。

味の素の「お塩控えめの・ほんだし」や、マルトモの「塩分カットだしの素」など、選択肢は豊富です。

特に離乳食や減塩食を作るときは、通常の顆粒だしではなく、これら専用の商品を選ぶか、天然の素材からだしを取ることをおすすめします。

「だしの素は塩辛い」と感じる場合は、味噌や醤油の量を減らすなど、トータルの塩分量で調整する工夫が必要ですね。

歴史・発売時期・シェアの違い

【要点】

「ほんだし」は1970年に発売され、かつお節の香りを家庭に広めたパイオニア的存在です。「だしの素」などの風味調味料も高度経済成長期に普及し、日本の食卓を支えてきた歴史があります。

少し視点を変えて、歴史的な背景を見てみましょう。

味の素の「ほんだし」が発売されたのは、1970年(昭和45年)のことです。

当時はまだ、家庭で削り節からだしを取るのが一般的でしたが、手間がかかる作業でした。

そこへ「サッと溶かすだけで本格的なかつおだし」が登場したことは、当時の主婦にとって革命的な出来事だったでしょう。

以来、改良を重ねながら日本の食卓の定番としての地位を確立しています。

一方、「だしの素」という名称の商品は、昭和の高度経済成長期から平成にかけて、多くのメーカーから発売されました。

地域によってシェアも異なり、西日本では「シマヤだしの素」、東日本では「ほんだし」が強いといった傾向も見られます。

これは、西日本の食文化が「いりこ(煮干し)」や「昆布」を重視するのに対し、東日本は「かつお」文化が根強いこととも関係しているかもしれません。

それぞれの地域で愛され、進化してきた歴史があるのですね。

体験談・実際に使い比べてみた印象

実は以前、私は「どちらも同じだろう」と思って、特売の「だしの素」ばかりを使っていた時期がありました。

ある日、実家に帰った時に母が作った味噌汁を飲んで、衝撃を受けたのです。

「いつもの味噌汁と香りが全然違う!」

具材は豆腐とわかめというシンプルなものでしたが、お椀の蓋を開けた瞬間の華やかな香りに癒やされました。

母に聞くと、「やっぱり『ほんだし』じゃないと、この香りは出ないのよ」と笑っていました。

自宅に戻り、早速「ほんだし」を購入して味噌汁を作ってみました。

確かに、最後に入れた瞬間の香りの立ち方が違います。

一方で、週末に「肉じゃが」を作った時は、あえて残っていた「だしの素」を使ってみました。

すると、こちらは野菜やお肉に味がしっかり染みて、ご飯が進む濃厚な仕上がりに。

この経験から、私は「香りのほんだし」「コクのだしの素」と自分の中で定義して使い分けるようになりました。

些細なことかもしれませんが、この使い分けが料理の楽しさを倍増させてくれたように思います。

あなたもぜひ、両方をキッチンに常備して、その日のメニューや気分に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。

FAQ(よくある質問)

Q. 「ほんだし」と「だしの素」は代用できますか?

A. はい、基本的には代用可能です。ただし、「だしの素」の方が塩味が強い場合があるので、代用する際は味噌や醤油の量を少し減らして味見をすることをおすすめします。

Q. いりこだしや昆布だしとの違いは何ですか?

A. 「ほんだし」や一般的な「だしの素」はかつお風味がベースです。いりこだしは煮干しのコク、昆布だしは上品な旨味が特徴で、魚介料理や精進料理など、素材に合わせて使い分けるとより美味しくなりますよ。

Q. 開封後の保存方法はどうすればいいですか?

A. 湿気を吸うと風味が落ちたり固まったりするため、開封後は密閉容器に入れて冷蔵庫で保存するのがベストです。特に梅雨時期や夏場は常温だと劣化しやすいので注意してくださいね。

まとめ|目的別おすすめの使い方

ここまで「ほんだし」と「だしの素」の違いについて詳しく見てきました。

名前は似ていますが、それぞれに得意分野があることがお分かりいただけたでしょうか。

最後に、選び方のポイントを整理しておきます。

  • 香りを重視したいなら「ほんだし」:味噌汁、お吸い物、茶碗蒸しなど。
  • コクと旨味を出したいなら「だしの素」:煮物、鍋物、麺類のつゆなど。
  • コストパフォーマンス重視なら:特売になりやすい「だしの素」やPB商品。

どちらか一つに絞る必要はありません。

料理に合わせて調味料を使い分けることは、美味しい食卓を作るための第一歩です。

ぜひ、あなたの家庭の味に合った「だし」を見つけてみてくださいね。

調味料についての詳しい情報は、調味料の違いまとめの記事でも解説しています。

また、食品に関する正確な情報は農林水産省の食育ページなども参考になりますので、気になる方はチェックしてみてください。