「ほんだし」と「かつおだし」の違い!代用する時の注意点は塩分量?

レシピを見ていると「かつおだし」と書いてあったり、「ほんだし」と書いてあったり。

「これって同じもの?違うもの?」と迷ったことはありませんか。

結論から言うと、「ほんだし」は味の素株式会社の登録商標(商品名)であり、塩や砂糖で味が調えられた風味調味料です。

一方、「かつおだし」は鰹節から煮出したスープそのもの(一般名称)を指し、基本的に味付けはされていません。

この記事を読めば、それぞれの成分や味の違い、そして料理によってどう使い分ければ美味しく仕上がるのかが明確になり、もうスーパーの棚の前で迷うことはなくなります。

それでは、まずはその核心的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論|ほんだしは「商品名」、かつおだしは「だしの種類」

【要点】

「ほんだし」は味の素の商品名で、塩分や糖分を含む「風味調味料」です。これ一つで味が決まるように作られています。対して「かつおだし」は一般名称で、鰹節から取った出汁そのものを指し、味付けが必要な素材です。

最初にズバリと言ってしまいますね。

「ほんだし」は商品名、「かつおだし」は一般名称という関係にあります。

これは「バンドエイド」と「絆創膏」、「サランラップ」と「食品用ラップ」の関係に似ていますね。

ただし、決定的な違いが一つあります。

それは、「塩分が入っているかどうか」です。

「ほんだし」などの顆粒だし製品は、お湯に溶かすだけで美味しいスープになるよう、塩や砂糖、うま味調味料があらかじめブレンドされています。

一方、本来の「かつおだし」は、鰹節と水だけで取った純粋なスープなので、塩気はありません。

この違いを理解していないと、料理がしょっぱくなりすぎたり、逆に味がぼやけたりする原因になってしまうのです。

以下の表に、それぞれの特徴を整理しました。

項目ほんだしかつおだし(天然)
分類風味調味料(商品名)出汁(一般名称)
形状顆粒液体
主な原材料かつお節粉末、エキス、塩、砂糖等鰹節、水
味付けあり(塩・砂糖・うま味)なし(素材の味のみ)
塩分含まれるほぼ含まれない
主な用途味噌汁、炒め物、煮物(時短)お吸い物、茶碗蒸し(香り重視)

定義と原材料の違い|調味済み顆粒 vs 素材の抽出液

【要点】

ほんだしは3種のかつお節粉末に塩や砂糖をブレンドした「複合うま味」の調味料です。一方、かつおだしは鰹節からイノシン酸などのうま味成分を抽出しただけの液体であり、保存料や調味料は含まれません。

スーパーでパッケージの裏面を見たことはありますか?

実は、原材料の欄にそれぞれの「正体」がはっきりと書かれているんです。

ほんだし:味の素が作る「風味調味料」

「ほんだし」は、味の素株式会社が販売している和風だしの素です。

その最大の特徴は、「香り、コク・味わい」に優れた3種類のかつお節をブレンドしている点です。

原材料名を見ると、「食塩」「砂糖類」「風味原料(かつおぶし粉末、かつおエキス)」「酵母エキス」「調味料(アミノ酸等)」などが並んでいます。

つまり、かつお節の粉末だけでなく、料理を美味しくするための調味料が黄金比で配合されている「完成された調味料」なんですね。

かつおだし:鰹節から取る「純粋なスープ」

一方、本来の意味での「かつおだし」は、鰹節(削り節)をお湯で煮出して抽出した液体です。

原材料は「鰹節」と「水」だけ。

うま味成分である「イノシン酸」が豊富に含まれていますが、塩分や糖分は素材由来の微量なものしか含まれていません。

そのため、これだけを飲んでも「美味しいスープ」とは感じにくく、醤油や塩で味を整えて初めて料理として完成します。

なお、他メーカー(シマヤ、ヤマキなど)から出ている「かつおだし顆粒」も、基本的には「ほんだし」と同じく調味された「風味調味料」に分類されます。

味・香り・塩分の違い|味が決まる vs 自分で味付け

【要点】

ほんだしは塩味と甘みがあり、溶かすだけで味が整います。かつおだしは、上品な香りと純粋なうま味が特徴ですが、塩気がないため自分で味付けをする必要があります。

実際に味わってみると、その違いは一目瞭然です。

料理の仕上がりをイメージするために、味の方向性を知っておきましょう。

ほんだしの味:塩分と甘みの黄金バランス

「ほんだし」を少し舐めてみると、しっかりとした塩気と、ほのかな甘み、そして濃厚なかつおの風味が口いっぱいに広がります。

これは、ごはんのおかずになるような、しっかりとした味付けに適している証拠です。

誰が作っても失敗なく「美味しい」と感じる味に仕上がるように設計されているんですね。

「これ一つで味が決まる」という安心感が、ほんだしの最大の強みと言えるでしょう。

かつおだしの味:豊かな香りと純粋なうま味

一方、自分で取った「かつおだし」を飲んでみると、まずは鼻に抜ける芳醇な燻製の香りに驚くはずです。

味は非常に淡白で、うま味は強いものの、「味がない(塩気がない)」と感じるかもしれません。

しかし、この「余白」があるからこそ、好みの塩加減や醤油の量で、繊細な味付けが可能になります。

「香りを食べる」と言われるような、上品な日本料理には欠かせない要素ですね。

料理での使い分け・レシピでの扱い方

【要点】

毎日の味噌汁や炒め物、煮物など、ご飯に合うおかずには手軽で味が決まる「ほんだし」が最適です。一方、お吸い物や茶碗蒸しなど、だしの香りと淡い色合いを大切にする料理には「かつおだし」が向いています。

では、具体的にどのような料理に使い分ければよいのでしょうか。

基本的には「手軽さと味の濃さ」で選ぶと良いでしょう。

ほんだしが活躍する「ごはんが進むおかず」

「ほんだし」の得意分野は、「毎日の家庭料理」です。

味噌汁はもちろん、肉じゃがなどの煮物、野菜炒め、炊き込みご飯、お好み焼きの生地など、あらゆる和食のベースとして使えます。

特に、食材にしっかり味を染み込ませたい料理や、手早く味を決めたい朝食作りには最強の味方です。

また、塩分が含まれているので、野菜の浅漬けや和え物にそのまま振りかけて使うこともできますよ。

かつおだしが輝く「香りを楽しむ料理」

「かつおだし」が本領を発揮するのは、「だしを飲む料理」や「薄味の料理」です。

代表的なのは、お吸い物(すまし汁)や茶碗蒸し、だし巻き卵、料亭風の煮物(炊き合わせ)などです。

これらの料理は、調味料の味よりも「だしの香り」を楽しむもの。

ほんだしを使うと、どうしても味が濃くなりすぎたり、色が濁ったりすることがありますが、澄んだかつおだしを使えば、お店のような上品な仕上がりになります。

互いに代用する際の「塩分調整」テクニック

「レシピには『かつおだし』と書いてあるけど、『ほんだし』しかない!」

そんな時は、「塩や醤油の量を減らす」ことで代用可能です。

ほんだし小さじ1杯(約3g)には、約1.2g程度の塩分相当量が含まれていると考えてください(製品により異なりますが、およそ食塩相当量は0.4g前後/1gあたり)。

逆に、「ほんだし」の代わりに「かつおだし」を使う場合は、味が薄くなるので、塩や醤油、みりんを少し多めに足して味を整えましょう。

栄養・成分・添加物の違い

【要点】

ほんだしは食塩や砂糖、アミノ酸等を含むため、塩分摂取量に注意が必要です。かつおだしは基本的にゼロ塩分で高タンパク、イノシン酸やアンセリンなどの機能性成分を含み、健康志向や減塩食に適しています。

健康を気にする方にとって、成分の違いは重要ですよね。

「ほんだし」は非常に便利ですが、原材料に「食塩」や「砂糖」が含まれています。

みそ汁1杯分(1g使用)で食塩相当量は約0.4gです。

味噌にも塩分が含まれているので、入れすぎには注意が必要です。

一方、自分で取る「かつおだし」は、塩分がほぼゼロです。

さらに、かつおだしに含まれるペプチドやアンセリンには、疲労回復や血流改善効果も期待されています。

減塩を心がけている方や、赤ちゃんの離乳食には、天然のかつおだし(または食塩無添加のだしパック)を使うのが安心ですね。

最近では、味の素からも「お塩控えめの・ほんだし」などが発売されており、選択肢は広がっています。

歴史・背景|1970年の革命と和食文化

【要点】

「ほんだし」は1970年に発売され、高度経済成長期の主婦の手間を劇的に減らした画期的な商品です。職人の技を工場で再現する技術により、家庭で手軽に本格的なかつおだしの風味を楽しめるようになりました。

実は、「ほんだし」の登場は日本の食卓における革命でした。

1970年(昭和45年)に発売されるまで、家庭でだしを取るには、鰹節を削り器で削るところから始めるのが一般的でした。

あるいは、煮干しを一晩水に漬けておくなど、とにかく手間と時間がかかっていたんです。

そこに登場したのが、サッと溶かすだけの「ほんだし」。

「ほんだし」の開発にあたっては、かつお節職人が燻し分けた3種のかつお節(深燻し、中燻し、浅燻しなど)を使い、工場でその香りと味を再現するという、とてつもない技術が詰め込まれています。

この発明のおかげで、私たちは忙しい毎日でも、瞬時に「和食の味」を作れるようになったわけですね。

まさに「伝統の味をテクノロジーで家庭に届けた」商品と言えるでしょう。

体験談・味噌汁で飲み比べてみた印象

僕も以前、気になって実際に飲み比べをしてみたことがあるんです。

具材はシンプルに豆腐とわかめ。

まず、「ほんだし」で作った味噌汁。

一口飲むと、「ああ、これこれ!実家の味だ」という安心感があります。

だしの味と塩気がしっかりしていて、白ごはんをかきこみたくなるような、力強い美味しさでした。

次に、鰹節から取った「一番だし」で作った味噌汁。

お椀の蓋を開けた瞬間の香りが段違いです。

部屋中に広がるような豊かな香りで、飲むとスッと体に染み渡るような優しい味わい。

ただ、普段の濃い味に慣れていると、少し物足りなく感じる瞬間もありました。

この体験で、「日常のご飯にはほんだし、特別な日やリラックスしたい時には手作りだし」という使い分けが、一番幸せになれる方法だなと痛感しましたね。

どちらが良い悪いではなく、シーンに合わせて選ぶのが正解だと感じました。

FAQ(よくある質問)

Q. 「ほんだし」は加熱せずにそのまま使えますか?

A. はい、使えます。顆粒タイプなので、和え物や浅漬け、おにぎりに混ぜ込むなど、加熱しない料理にもそのまま使えて便利です。加熱済みの鰹節粉末を使用しているため衛生面でも問題ありません。

Q. レシピの「だし汁 1カップ」は、「ほんだし」だとどれくらい?

A. 商品パッケージの目安量に従うのが一番ですが、一般的には水またはお湯300ml(1.5カップ)に対して、ほんだし小さじ2/3(約2g)が目安です。1カップ(200ml)なら小さじ半分弱くらいですね。

Q. 「ほんだし」の代わりに「コンソメ」や「鶏ガラスープ」は使えますか?

A. 代用はできますが、味の方向性が「和風」から「洋風」や「中華風」に変わります。味噌汁にコンソメを入れると洋風スープっぽくなります。あえてアレンジとして楽しむならアリですが、純粋な和食を作りたいなら「ほんだし」や「かつおだし」を使うのが無難です。

まとめ|目的別おすすめの使い方

「ほんだし」と「かつおだし」の違いについて、詳しく見てきました。

最後に、選び方と使い方のポイントをまとめておきますね。

  • 毎日の食事・時短なら:味付け済みで手軽な「ほんだし」が最強です。味噌汁、煮物、炒め物に。
  • 香りを楽しみたい・減塩なら:手間はかかりますが「かつおだし(素材)」を選びましょう。お吸い物や茶碗蒸しが格上げされます。
  • レシピの代用時は:ほんだしを使うなら塩分を控えめに、かつおだしを使うなら調味料を足して味を整えるのがコツです。

「ほんだし」は、職人の技を家庭で再現できるようにした魔法の粉です。

一方、自分で引く「かつおだし」には、心を満たす豊かな香りがあります。

ぜひ、その日の気分や料理に合わせて使い分けて、毎日の食卓をより美味しく楽しんでくださいね。

他にも、調味料の使い分けや詳しい情報は、以下の記事でも解説していますので、合わせて参考にしてみてください。

調味料の選び方・違いまとめ