インドカレーとネパールカレーの違いとは?スパイス・とろみ・付け合わせを比較

街でよく見かける「インド・ネパール料理店」。カレーが美味しいのはもちろんですが、「インドカレー」と「ネパールカレー」の具体的な違いを意識して注文していますか?

どちらもスパイシーな煮込み料理ですが、実はその特徴は大きく異なります。

この2つのカレーの最大の違いは、インドカレーが「多種多様なスパイスと油脂を使い、濃厚で複雑な味」であるのに対し、ネパールカレーは「スパイスが比較的穏やかで油も少なく、豆や野菜中心のあっさりした味(ダルバート)」である点です。

この記事を読めば、両者の定義から、味の傾向、とろみの違い、そして「ナンで食べるのがインド式?」「ライスで食べるのがネパール式?」といった付け合わせの文化まで、すべてがスッキリと理解できます。

まずは、最も重要な違いを比較表で見ていきましょう。

項目インドカレーネパールカレー
主な発祥地インド亜大陸(地域により多様)ネパール(家庭料理)
味のベース濃厚・複雑・スパイシー(多種のスパイス、油、乳製品)あっさり・優しい・塩ベース(スパイスは穏やか)
とろみ(粘度)ドロっとした濃厚なものが多い(特に北インド)サラサラ・シャバシャバ(スープ状)
主な具材鶏肉(バターチキン)、羊肉、豆、野菜、チーズなど豆(ダール)、野菜(青菜、芋)、鶏肉
代表的な料理バターチキン、キーマ、マトンカレー、ダールマカニダルバート(豆スープとご飯、おかずの定食)
主な付け合わせナン(北インド)、ライス(南インド、バスマティ米)ライス(日本米やインディカ米)

このように、同じ「カレー」という名前で呼ばれがちですが、その実態はかなり異なる料理であることがわかりますね。

特にネパールカレーは、私たちがイメージする「カレーライス」とは異なり、「ダルバート」という定食スタイルが基本です。それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。

インドカレーとネパールカレーの定義・起源・発祥の違い

【要点】

インドカレーは、インド亜大陸発祥のスパイスを使った煮込み料理の総称で、地域によって全く異なる特徴を持ちます。ネパールカレーは、ネパールの家庭料理「ダルバート」を指すことが多く、インドカレーに比べて油やスパイスが控えめなのが特徴です。

インドカレーとは

「インドカレー」という言葉は、実は非常に広範囲を指します。インドは広大で、北インドと南インドでは食文化が大きく異なります。

  • 北インド: 濃厚でクリーミーなカレーが主流。バターや生クリーム、ギー(精製バター)などの乳製品をよく使い、タンドリーチキンや「ナン」と共に食べられることが多いです。私たちが日本で「インドカレー」としてイメージするのは、この北インドスタイルが多いですね。
  • 南インド: 気候が温暖なため、ココナッツミルクやタマリンド(酸味)を使った、比較的サラサラとしたスープ状のカレー(サンバルやラッサム)が特徴です。主食は「ライス」(バスマティライスなどの長粒米)が基本です。

インドカレーは、これら多様な地域のスパイス煮込み料理全体の総称と言えます。

ネパールカレーとは

一方、「ネパールカレー」として日本で提供されているものの多くは、ネパールの国民食である「ダルバート(Dal Bhat)」を指します。

ダルバートはワンプレートの定食スタイルが基本です。

  • ダル(Dal): 豆のスープカレー。レンズ豆やひよこ豆などを使った、あっさりとした塩味ベースのサラサラなスープです。
  • バート(Bhat): ご飯(ライス)のこと。
  • タルカリ(Tarkari): 野菜のおかず(スパイス炒めや和え物)。
  • アチャール(Achar): 漬物。

ネパールカレーは、インドカレー(特に北インド)に比べて油や乳製品の使用が少なく、スパイスも穏やかで、素材の味を活かした素朴な味わいが特徴です。ネパールの人々が毎日食べる家庭料理ですね。

主な材料とスパイス(調理法)の違い

【要点】

インドカレーは多種多様なスパイス(ガラムマサラ、カルダモン等)を油でじっくり炒めて香りを引き出し、濃厚なベースを作ります。ネパールカレーは、スパイスの種類が比較的シンプル(クミン、ターメリック等)で、油も少なく、食材を煮込む時間が短いため、あっさり仕上がります。

インドカレーの材料と調理法(濃厚・多スパイス)

インドカレーの命は「スパイス」「玉ねぎベース」です。

まず、ギー(バターオイル)や植物油で大量の玉ねぎをあめ色になるまでじっくりと炒め、そこにニンニク、ショウガ、トマトを加えてペースト状の濃厚なベース(グレービー)を作ります。この工程に非常に時間がかかります。

使うスパイスも多彩です。クミン、コリアンダー、ターメリックといった基本スパイスに加え、カルダモン、クローブ、シナモン、カイエンペッパーなどを複雑に組み合わせ、仕上げに「ガラムマサラ」という混合スパイスで香りを立たせます。

生クリームやカシューナッツペースト、ヨーグルトなどでコクを出すことも多く、「油でスパイスを炒めて香りを引き出し、濃厚なベースで煮込む」のがインドカレーの神髄です。

ネパールカレーの材料と調理法(あっさり・シンプル)

ネパールカレー(ダルバート)の調理法は、インドカレーに比べて非常にシンプルです。

主役の「ダル(豆スープ)」は、まず豆を柔らかく茹でます。別の鍋で少量の油(ギーやサラダ油)にクミンシードやターメリック、コリアンダーといった基本的なスパイスを熱して香りを出し、そこに茹でた豆を加えて軽く煮込むだけ、という場合が多いです。

インドカレーのように玉ねぎやトマトを長時間炒めてペーストにすることは少なく、スパイスの種類も限定的。そのため、油が少なく、豆本来の優しい甘みとスパイスの香りがストレートに感じられる、あっさりとした仕上がりになります。

味付け・辛さ・とろみ(食感)の違い

【要点】

インドカレーは油分・乳製品・スパイスにより「濃厚でドロっとした」ものが多く、味も「複雑でスパイシー」です。ネパールカレーは「サラサラ・シャバシャバ」したスープ状で、豆の風味が活きた「あっさり・塩ベース」の優しい味わいが特徴です。

味付けと辛さ

インドカレーは、多層的なスパイスとじっくり炒めた野菜・トマト、乳製品が融合した、「複雑で濃厚な旨味とスパイシーな香り」が特徴です。辛さ(カイエンペッパーなど)も強いものから、バターチキンのような甘くマイルドなものまで非常に幅広いです。

ネパールカレー(ダルバート)は、基本が「塩味ベース」です。豆の風味を活かし、スパイスは香り付け程度。インドカレーのような強烈な辛さや濃厚なコクはなく、毎日食べても飽きない「あっさりとした優しい味わい」です。辛さは後からアチャール(漬物)などで調整することが多いですね。

とろみ(食感)と見た目

この違いは見た目と食感に最もよく現れます。

インドカレー(特に北インド式)は、ベースをしっかり煮込むため、「ドロっと」「もったり」とした濃厚なとろみがあります。具材がカレーソースと一体化しているのが特徴です。

ネパールカレー(ダルバート)は、豆のスープ(ダル)が基本なので、「サラサラ」「シャバシャバ」しています。日本の味噌汁やお吸い物に近いテクスチャーです。ご飯(バート)にかけて、混ぜながら食べます。

付け合わせ(ナンとライス)の文化的な違い

【要点】

インドカレーは地域差が大きく、小麦が主食の北インドでは「ナン」が、米が主食の南インドでは「ライス(長粒米)」が好まれます。ネパールカレー(ダルバート)は、「バート(ご飯)」が必須であり、文化的に「ライス」と食べるのが大前提です。

日本の「インド・ネパール料理店」では、どちらのカレーにも「ナン」が付いてくることが多いですが、これは実は日本独自のスタイルが影響しています。

インドカレーの付け合わせ

インドでは、食文化が南北で異なります。

  • 北インド: 小麦の生産が盛んなため、タンドール窯で焼く「ナン」や、全粒粉を薄く焼いた「チャパティ」が主食として好まれます。ドロっとした濃厚なカレーをナンですくって食べるスタイルです。
  • 南インド: 米の生産が盛んなため、「ライス」(バスマティライスなどのパラパラした長粒米)が主食です。サラサラしたスープ状のカレー(サンバルなど)をご飯にかけて、手で混ぜて食べます。

ネパールカレーの付け合わせ

ネパールは米食文化圏です。ネパールカレーの基本形である「ダルバート」は、その名(バート=ご飯)の通り、「ライス」と食べるのが絶対的な基本です。

ネパールの家庭では、ナンを焼くためのタンドール窯は一般的ではありません。彼らの日常食は、あくまでもご飯(バート)と豆のスープ(ダル)、そしておかず(タルカリ)なのです。

では、なぜ日本の「インド・ネパール料理店」ではナンが出てくるのでしょうか?

これは、日本で先に人気が出た「インド料理店(北インド式)」のスタイル(=カレーとナン)が定着したため、後から増えたネパール人経営のお店も、日本人客のニーズに合わせてインド式のナンを提供しているケースがほとんどだからです。実際、多くの店ではインド人シェフとネパール人シェフが両方在籍していたり、ネパール人シェフがインド料理の技術も習得していたりします。

インドカレーとネパールカレーの栄養・健康面の違い

【要点】

インドカレー(特に北インド式)は、ギー、バター、生クリームなどの脂質を多く使うため、高カロリー・高脂質になりがちです。一方、ネパールカレー(ダルバート)は、油の使用が少なく、豆(タンパク質・食物繊維)と野菜(ビタミン・ミネラル)が中心の定食スタイルなため、非常に栄養バランスが良くヘルシーです。

インドカレー、特にバターチキンやマトンコルマのような北インドの濃厚なカレーは、その美味しさと引き換えに脂質とカロリーが高い傾向があります。ナンも小麦粉と乳製品で作られており、食べ応えがあります。

ネパールカレー(ダルバート)は、世界的に見ても非常にバランスの取れた「健康食」として知られています。

  • ダル(豆スープ): 良質な植物性タンパク質と食物繊維が豊富。
  • バート(ご飯): エネルギー源となる炭水化物。
  • タルカリ(野菜のおかず): ビタミン、ミネラル、食物繊維。

油の使用量が少なく、塩分も控えめなため、毎日食べても胃にもたれにくい、まさにネパールの人々の力の源となっています。

体験談|「インド・ネパール料理店」の謎が解けた日

僕がよく行く近所のカレー屋さん。看板には「本格インド・ネパール料理」と書いてあります。

店員さんは全員ネパールの方のようで、とても愛想が良いです。僕はいつも、ランチセットで「バターチキンカレー」と「チーズナン」という、コテコテの組み合わせを頼んでいました。これはもう、濃厚で甘くて、最高にジャンクな美味しさですよね。

ある日、メニューの隅に「ネパールセット(ダルバート)」という文字を見つけました。写真を見ると、ご飯の周りにサラサラしたスープや野菜の炒め物が乗っています。「カレーっぽくないな…」と思いつつ、いつもと違うものを試してみようと注文しました。

出てきたのは、まさにネパールの家庭料理でした。

サラサラの豆スープ(ダル)をご飯にかけて、野菜のおかず(タルカリ)と混ぜながら食べる。インドカレーの「バターチキン」とは対極にあるような、滋味深く、あっさりとした優しい塩味でした。辛いアチャール(漬物)で味を変えながら食べ進めると、これがまた美味しいんです。

その時、店員さんに「いつもはナンだけど、ネパールではこれ(ダルバート)を毎日食べるの?」と聞くと、嬉しそうに「ソウデス!ネパールノゴハン!ヘルシーヨ!」と教えてくれました。

この経験で、「インド・ネパール料理店」とは、「インド料理(主に北インドのナンとカレー)」と「ネパール料理(ダルバート)」の両方を提供できる店なんだと、ようやく理解できました。

それ以来、濃厚なパンチが欲しい時はインドカレーを、体に優しくヘルシーに済ませたい時はネパールカレー(ダルバート)を頼む、という使い分けを楽しんでいます。

インドカレーとネパールカレーに関するよくある質問

インドカレーとネパールカレーの違いについて、よくある質問をまとめました。

質問1:「ダルバート」はカレーじゃないんですか?

回答: 「ダル(豆のスープ)」は、広義のカレー(スパイス煮込み)の一種と言えますが、日本の「カレーライス」とは全く異なります。

ダルバートは「豆スープとご飯とおかずの定食」全体を指す料理名です。ネパールの人々にとっては、これが日本の「ご飯と味噌汁と焼き魚」のような日常的な主食セットにあたります。

質問2:結局、日本の「インド・ネパール料理店」は、どっちの国の料理なんですか?

回答: 両方の国の料理を提供している店がほとんどです。

多くの場合、経営者やシェフはネパール出身ですが、日本人客に人気の「ナン」や「バターチキン」といったインド料理(北インド式)の技術も習得して提供しています。同時に、彼らの故郷の味である「ダルバート」もメニューに載せている、というケースが多いですね。

質問3:ネパールカレーは辛くないんですか?

回答: ベースとなる「ダル(豆スープ)」や「タルカリ(野菜のおかず)」の味付けは、辛さ控えめか、全く辛くないことが多いです。

辛さは、一緒に出てくる「アチャール」と呼ばれる辛い漬物や、唐辛子のペースト(クルサニ)で自分で調整するのがネパールスタイルです。そのため、辛いものが苦手な人でも非常に食べやすいのが特徴です。

まとめ|インドとネパール、今日の気分はどっち?

インドカレーとネパールカレーの違い、もう完璧ですね。

非常に大まかにまとめると、以下のようになります。

  1. インドカレー:濃厚・複雑・スパイシー」。油や乳製品を使い、多種多様なスパイスで煮込む。北部は「ナン」、南部は「ライス」が主流。
  2. ネパールカレー:あっさり・優しい・ヘルシー」。油やスパイスは控えめ。「ダルバート(豆スープとご飯の定食)」が基本で、主食は「ライス」。
  3. 日本の店: ネパール人経営のお店が、日本人向けにインド料理(ナンなど)とネパール料理(ダルバート)の両方を提供していることが多い。

この違いを知れば、その日の気分や体調に合わせて、どちらを注文すべきか明確になります。

「今日は濃厚なバターチキンと熱々のナンでがっつり食べたい!」という日はインドカレーを。

「今日は野菜と豆でヘルシーに、あっさりしたスープで胃を休めたい」という日はネパールカレー(ダルバート)を。

ぜひ、この使い分けを意識して、奥深いスパイス料理の世界を楽しんでみてくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な料理・メニューの違いに関する記事を掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。