じゃがいもとさつまいもの違いとは?分類・栄養・毒素の有無まで徹底解説

どちらも「芋」と呼ばれ、食卓に欠かせない存在の「じゃがいも」と「さつまいも」。

ですが、この二つが植物学的に全くの別物だということをご存知でしたか?

じゃがいもとさつまいもの最も決定的な違いは、じゃがいもがナス科の「茎」であるのに対し、さつまいもはヒルガオ科の「根」であるという点です。

この違いが、味、栄養、さらには「毒素の有無」という安全性にまで大きく関わっています。

この記事を読めば、二つの「芋」の根本的な違いから、栄養価、正しい保存方法、そして品種ごとの使い分けまで、すべてをスッキリと理解できますよ。

それでは、まず両者の違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。

結論|じゃがいもとさつまいもの違いが一目でわかる比較表

【要点】

じゃがいもとさつまいもは、植物分類から食べる部位、味、栄養素まで全く異なる野菜です。じゃがいもはナス科の「茎(塊茎)」で、主成分はデンプン。芽や緑色の皮にはソラニンという毒素を含みます。さつまいもはヒルガオ科の「根(塊根)」で、加熱すると甘みが強くなり、食物繊維やヤラピンが豊富です。

私たちの食卓に欠かせない二つの「芋」ですが、その違いは非常に明確です。

項目じゃがいもさつまいも
植物分類ナス科 ナス属ヒルガオ科 サツマイモ属
食べる部位茎(塊茎)根(塊根)
主な味デンプン質(甘みはほぼ無い)甘みが強い(加熱で麦芽糖が生成)
主な食感ホクホク(男爵)~しっとり(メークイン)ホクホク(金時)~ねっとり(紅はるか)
主な栄養素ビタミンC(熱に強い)、カリウム食物繊維、ビタミンC、ビタミンE
毒素の有無あり(芽や緑色の皮にソラニン)なし(皮ごと食べられる)
主な用途主菜、おかず(カレー、肉じゃが、ポテトサラダ)スイーツ、軽食(焼き芋、大学芋、スイートポテト)
保存方法冷暗所(冷蔵NG冷暗所(冷蔵NG

じゃがいもとさつまいもの定義と植物学的な違い

【要点】

じゃがいもとさつまいもは、植物学的に全くの別物です。じゃがいもはナス科の植物で、トマトやナス、ピーマンの仲間です。私たちが食べているのは地下の「茎」が肥大した「塊茎(かいけい)」です。一方、さつまいもはヒルガオ科の植物で、アサガオの仲間。食べているのは「根」が肥大した「塊根(かいこん)」です。

じゃがいもとは?(ナス科の「地下茎」)

「じゃがいも(馬鈴薯)」は、ナス科ナス属の植物です。

驚くかもしれませんが、じゃがいもはトマト、ナス、ピーマンといった夏野菜と非常に近い親戚関係にあります。花もナスの花によく似ていますよね。

私たちが食べている丸い「芋」の部分は、地下にある「茎」がデンプンを蓄えて肥大したもので、植物学的には「塊茎(かいけい)」と呼ばれます。じゃがいもにある「芽(め)」は、植物の茎にある「節(ふし)」にあたる部分で、そこから新しい茎や葉が伸びていきます。

さつまいもとは?(ヒルガオ科の「塊根」)

「さつまいも(薩摩芋)」は、ヒルガオ科サツマイモ属の植物です。

こちらはアサガオの仲間で、つるを伸ばして育ち、アサガオに似たラッパ状の花を咲かせます(日本では気温の関係で咲きにくいですが)。

私たちが食べている「芋」の部分は、茎ではなく「根」の一部が養分を蓄えて太くなったもので、「塊根(かいこん)」と呼ばれます。じゃがいものような「芽」はなく、表面から生えているヒゲのようなものが根(側根)の跡です。

【重要】ナス科とヒルガオ科という全くの別人

このように、じゃがいもとさつまいもは、名前に「いも」と付くだけで、植物としての分類(科・属)も、私たちが食べている部位(茎なのか根なのか)も、全く異なるのです。

「じゃがいもはトマトの親戚、さつまいもはアサガオの親戚」と覚えると、その違いがよくわかりますね。

味・食感・甘さの違い

【要点】

味の最大の違いは「甘み」です。じゃがいもは主成分がデンプンで甘みはほぼありません。さつまいもは加熱するとデンプンが麦芽糖(マルトース)に変わり、非常に強い甘みが出ます。食感はどちらも品種によってホクホク系としっとり(ねっとり)系に分かれます。

じゃがいも(ホクホク系・しっとり系)

じゃがいもの主な成分はデンプンであり、そのまま食べても甘みはほとんど感じられません。その淡白な味わいこそが、肉や野菜、バターやマヨネーズなど、どんな食材や調味料とも合う万能さの理由です。

食感は品種によって大きく二つに分かれます。

  • ホクホク系(粉質):男爵薯、キタアカリなど。デンプン価が高く、加熱すると崩れやすい。コロッケやポテトサラダ、粉ふきいもに向いています。
  • しっとり系(粘質):メークイン、とうやなど。煮崩れしにくいため、カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮込み料理に向いています。

さつまいも(ねっとり系・ホクホク系)

さつまいもも主成分はデンプンですが、加熱する過程で「β-アミラーゼ」という酵素が働き、デンプンが麦芽糖(マルトース)に分解されるため、非常に強い甘みが出ます。

特に60~75℃の温度帯でじっくり加熱する「焼き芋」は、この酵素の働きが最大化されるため、まるでスイーツのような甘さになります。

食感は、こちらも品種によって異なります。

  • ねっとり系:紅はるか、安納芋、シルクスイートなど。水分が多く、加熱すると蜜が出るほど甘く、クリーミーな食感になります。現在の焼き芋の主流です。
  • ホクホク系:紅あずま、鳴門金時など。昔ながらの品種で、水分が少なく、栗のようなホクホクとした食感が楽しめます。天ぷらや大学芋に向いています。

栄養・成分と毒素(ソラニン)の違い

【要点】

栄養面での最大の違いは「毒素」の有無です。じゃがいもは芽や緑色の皮に「ソラニン」や「チャコニン」という天然毒素を含み、食中毒の原因となるため、調理前に必ず除去しなければなりません。さつまいもには毒素はなく、皮ごと食べられます。

じゃがいもの栄養と注意点(ソラニン)

じゃがいもは「主食」として扱われることもあるほどデンプンが豊富ですが、野菜としての栄養価も優秀です。

  • ビタミンC:豊富に含まれており、じゃがいものデンプンに守られているため、加熱しても壊れにくいのが大きな特徴です。
  • カリウム:体内の余分なナトリウムを排出するのを助けます。

しかし、じゃがいもを扱う上で最も注意すべき点が、「ソラニン」や「チャコニン」という天然毒素です。

これらは、じゃがいもの「芽」や、日光に当たって緑色になった「皮」に多く含まれます。摂取すると吐き気や腹痛などの中毒症状を引き起こすため、調理の際は以下の点を徹底する必要があります。

  • 芽は、その根元も含めて完全に取り除く。
  • 皮が緑色になっている場合は、緑色の部分がなくなるまで厚く皮をむく。
  • 家庭菜園などで未熟な小さいじゃがいもを食べるのも避ける。

さつまいもの栄養(食物繊維とヤラピン)

さつまいもは、その甘さからお菓子のように思われがちですが、非常に栄養価の高い食材です。

  • 食物繊維:不溶性・水溶性の両方を豊富に含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。
  • ヤラピン(ジャラピン):さつまいもを切った時に出る白い液体(樹脂)の成分。皮のすぐ下に多く含まれ、食物繊維との相乗効果で腸の動きを助けると言われています。
  • ビタミンC・ビタミンE:どちらも抗酸化作用が期待できるビタミンです。

さつまいもにはじゃがいものような毒素は含まれておらず、栄養豊富な皮ごと食べるのがおすすめです。

料理での使い分けと最適な調理法

【要点】

甘みのないじゃがいもは、「主菜・おかず」が中心です。品種の食感(ホクホク系・しっとり系)に合わせて、煮る、焼く、揚げる、蒸すなど万能に使えます。一方、甘みの強いさつまいもは「スイーツ・軽食」が中心ですが、その甘さを活かして天ぷらや煮物などのおかずにもなります。

じゃがいもが活きる料理(主菜・おかず)

じゃがいもはその淡白な味で、世界中の料理で「主食」または「主菜」の一部として活躍します。

  • 煮物:(メークインなど)肉じゃが、カレー、シチュー、おでん
  • 揚げ物:フライドポテト、コロッケ、ハッシュドポテト
  • 蒸す・茹でる:(男爵など)ポテトサラダ、じゃがバター、粉ふきいも
  • 炒め物:ジャーマンポテト、青椒肉絲(ピーマンの代わりなど)

さつまいもが活きる料理(スイーツ・おかず)

さつまいもは、その強い甘みを活かした料理が中心となります。

  • 焼き物・蒸し物:焼き芋、ふかし芋
  • スイーツ:スイートポテト、大学芋、きんとん、モンブラン
  • 揚げ物:(金時など)天ぷら
  • ご飯もの:さつまいもご飯
  • 汁物:豚汁、味噌汁

保存方法・旬・産地の違い

【要点】

どちらも冷蔵庫での保存は厳禁です。じゃがいもは光を避けて冷暗所、さつまいもは寒さに弱いため新聞紙に包んで13~15℃の常温保存が理想です。旬はどちらも秋ですが、じゃがいもは北海道(春植え・秋収穫)、さつまいもは鹿児島・茨城(秋収穫)が一大産地です。

冷蔵NG?正しい保存方法

この二つの芋は、保存方法に共通の注意点があります。

じゃがいも
冷蔵庫での保存はNGです。低温(約4℃以下)で保存すると、デンプンが糖に変わってしまいます。この状態で揚げ物などにすると、糖とアミノ酸が反応し、有害物質「アクリルアミド」が通常より多く発生する可能性が指摘されています。
保存は、光が当たらないよう新聞紙や紙袋に入れ、風通しの良い冷暗所(常温)で行います(光が当たるとソラニンが増えるため)。

さつまいも
こちらも冷蔵庫での保存はNGです。さつまいもは寒さに非常に弱く、10℃以下の場所に長時間置くと「低温障害」を起こし、味が落ち、腐りやすくなってしまいます。
保存は、1本ずつ新聞紙に包み、13℃~15℃くらいの常温(冷暗所)で保存するのが最適です。

旬の時期と主な産地

じゃがいも
主な産地は北海道で、国内生産量の約8割を占めます。北海道では春に植えて秋(8月~10月)に収穫されます。この「秋じゃが」が貯蔵され、翌年の春まで流通します。
九州などでは秋に植えて冬~春に収穫する「新じゃが」もありますね。

さつまいも
主な産地は鹿児島県茨城県で、この2県で全国の約半分を占めます。
旬は秋(9月~11月)。収穫後、2~3ヶ月貯蔵(キュアリング)することで余分な水分が抜け、甘みが増します。

体験談|品種で使い分ける「芋」の奥深さ

僕が料理に目覚めた頃、「芋はどれも同じだろう」と、特売のじゃがいもでカレーを作ったり、肉じゃがを作ったりしていました。でも、ある日は美味しくできるのに、ある日はカレーがドロドロになりすぎたり、肉じゃがが煮崩れて芋の形がなくなってしまったり…。

不思議に思って調べたとき、「男爵」と「メークイン」の違いを知りました。ホクホク系の男爵は煮崩れしやすく、しっとり系のメークインは煮崩れしにくい。僕の失敗は、煮込み料理に男爵を使っていたことが原因だったんです。

さつまいもでも同じ経験があります。天ぷらをしようと、家にあった「紅はるか」を使ってみたら、揚げている間に水分が出すぎてしまい、衣がベチャッとしてしまいました。ホクホク系の「鳴門金時」を使えばカラッと揚がったはずなんです。

この経験から、じゃがいももさつまいもも、「どの品種を、どの料理に使うか」という使い分けがいかに重要かを痛感しました。

「じゃがいもvsさつまいも」という大きな違いはもちろんですが、「男爵vsメークイン」「紅はるかvs鳴門金時」といった品種ごとの個性を理解することが、料理上手の第一歩なんだと実感しています。

じゃがいもとさつまいもの違いに関するよくある質問

じゃがいもとさつまいもの違いについて、特によくある質問をまとめました。

質問1:じゃがいもの芽や緑の皮は、加熱すれば食べられますか?

回答いいえ、食べられません。じゃがいもに含まれる毒素「ソラニン」や「チャコニン」は熱に強く、通常の加熱調理では分解されません。必ず調理前に芽を根元から取り除き、緑色の皮は厚くむいてください。

質問2:さつまいもの皮は食べても大丈夫ですか?

回答:はい、皮ごと食べることを推奨します。さつまいもの皮には食物繊維が豊富なほか、皮のすぐ下には腸の働きを助けると言われる「ヤラピン(ジャラピン)」という成分が多く含まれているためです。

質問3:じゃがいもとさつまいもは、なぜ冷蔵庫で保存してはいけないのですか?

回答:どちらも低温障害を起こすためです。特にさつまいもは寒さに弱く、冷蔵庫に入れると腐敗しやすくなりますじゃがいもは、冷蔵するとデンプンが糖に変わり、その状態で揚げると有害物質「アクリルアミド」が発生しやすくなると指摘されています。

まとめ|じゃがいもとさつまいもを賢く使い分けよう

じゃがいもとさつまいもの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

この二つは、名前に「いも」と付くだけの、全く異なる野菜です。

  • じゃがいもナス科の茎。甘くなく、おかず向き。芽や緑の皮に毒素(ソラニン)があるため除去が必須。
  • さつまいもヒルガオ科の根。加熱すると非常に甘くスイーツ向き。毒素はなく、皮ごと食べられる。

最大の違いは「植物分類」と「毒素の有無」ですね。それぞれの特徴をしっかり理解し、安全に、美味しく使い分けてください。

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