お菓子作りやパン作りをするとき、レシピに「カレンズ」と書いてあって、「レーズンじゃダメなの?」と疑問に思ったことはありませんか。
どちらも「干しぶどう」であることに変わりはないのですが、実は「品種と粒の大きさ」に決定的な違いがあり、使い分けることで仕上がりのプロっぽさが格段に変わるのです。
この記事を読めば、それぞれの特徴を活かした使い分けや、代用する際のポイントが分かり、自信を持って製菓・製パンに取り組めるようになります。
それでは、まずは両者の違いを比較表でスッキリ整理しましょう。
結論|カレンズとレーズンの違いを一言でまとめる
最大の違いは「ブドウの品種とサイズ」です。カレンズは「コリント種」という極小粒のブドウを乾燥させたもので酸味が強く、レーズンは一般的な大きさのブドウ(主にトンプソン種など)を乾燥させたもので甘みが強いのが特徴です。
最も重要な違いは、粒の大きさとそれに伴う「味の濃厚さ」ですね。
以下の表に、それぞれの特徴をまとめました。
| 項目 | カレンズ(カランツ) | レーズン |
|---|---|---|
| 最大の違い | 極小粒で酸味が強い | 大粒で甘みが強い |
| 原料となるブドウ | ブラック・コリント種 | トンプソン・シードレス種など |
| 大きさ | 直径約5mm前後 | 直径約10mm〜15mm |
| 味の特徴 | 酸味が強く、風味が凝縮 | 果肉感があり、甘みが濃厚 |
| 主な用途 | シュトーレン、スコーン、クッキー | パン、サラダ、そのまま食べる |
僕も最初は「ただの小さいレーズンでしょ?」と思っていました。
しかし、実際に食べてみると、カレンズのキュッと引き締まった酸味は、甘いレーズンとは全く別物だと気づかされますよ。
定義・分類・原材料の違い
カレンズはギリシャ原産の「ブラック・コリント」という種なし小粒ブドウが原料です。一方、レーズンは干しぶどうの総称ですが、一般的には「トンプソン・シードレス」などの白ブドウを乾燥させたものを指します。
まず定義から整理しておきましょう。
「レーズン(Raisin)」は、乾燥させたブドウ全般を指す言葉です。
一般的にスーパーで見かけるレーズンは、アメリカのカリフォルニアなどで栽培される「トンプソン・シードレス」という明るい緑色の種なしブドウを天日干しにしたものが主流です。
一方、「カレンズ(Currants)」は、特定の品種である「ブラック・コリント(Black Corinth)」という極小の赤黒いブドウを乾燥させたものを指します。
別名「ザンテ・カランツ(Zante Currants)」とも呼ばれます。
「カランツ」と聞くと、ベリー類のアカスグリ(Red Currant)やカシス(Black Currant)を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、製菓材料としてのカレンズはあくまで「ブドウ」であり、ベリー類とは植物学的に全く別のものです。
名前が似ているのでややこしいですが、「干しぶどうの極小版」と覚えておけば間違いありません。
味・香り・食感・見た目の違い
カレンズは直径5mm程度と非常に小さく、凝縮された酸味と渋みにも似た濃厚な風味があります。レーズンはふっくらと肉厚で、果肉のジューシーな甘みが口いっぱいに広がる点が異なります。
見た目と味のインパクトは、両者で大きく異なります。
レーズンは、ふっくらとしていて果肉に厚みがあります。
噛むと「グニュッ」とした食感があり、中から濃厚な甘みがジュワッと溢れ出てきます。
砂糖を使わなくても十分に甘いため、そのままおやつとして食べるのにも向いています。
対してカレンズは、粒が小さく水分が少ないため、食感はやや硬めで歯ごたえがあります。
味は甘みよりも酸味が際立ち、香りが非常に芳醇です。
小さい分、皮の割合が多くなるため、少し渋みにも似た深いコクを感じることができます。
甘ったるいのが苦手な方や、キリッとしたアクセントが欲しい場合にはカレンズが好まれる傾向にあります。
栄養・成分・健康面の違い
どちらもミネラルや食物繊維が豊富ですが、カレンズは粒が小さく皮が多いため、抗酸化作用のあるアントシアニンなどのポリフェノールをより効率的に摂取できる傾向があります。
ドライフルーツである両者は、生のブドウに比べてカリウム、鉄分、食物繊維などの栄養素が凝縮されています。
基本的には似たような栄養構成ですが、注目すべきは「皮」の存在です。
ブドウの皮には、眼精疲労の軽減や抗酸化作用が期待されるポリフェノール(アントシアニンなど)が豊富に含まれています。
カレンズは粒が小さいため、同じ重量を食べた場合、レーズンよりも多くの「皮」を摂取することになります。
そのため、ポリフェノールを効率よく摂りたい場合は、カレンズの方がやや有利と言えるかもしれません。
ただし、どちらも糖質は高めなので、食べ過ぎには注意が必要です。
使い方・料理での扱い方の違い
カレンズは粒が小さいため生地に均一に混ざりやすく、シュトーレンやスコーンなど粉の風味を活かしたい焼き菓子に向いています。レーズンは存在感が強いため、パンの具材やサラダのアクセント、そのまま食べるのに適しています。
ここが最も実用的なポイントですね。
それぞれの特性を活かした使い分けを見ていきましょう。
カレンズが向いている料理・お菓子
カレンズの最大の武器は「小ささ」と「酸味」です。
粒が小さいので、パウンドケーキやスコーン、クッキーなどの生地に混ぜ込んだとき、全体にまんべんなく散らばります。
どこを食べても均一にフルーツの風味を感じられるのがメリットです。
特にドイツの伝統菓子「シュトーレン」には、甘すぎず酸味のあるカレンズが欠かせません。
また、ソーダブレッドやミンスパイなど、粉の風味を主役にしたい場合、果肉感の強すぎるレーズンよりも、控えめながら存在感のあるカレンズが好まれます。
レーズンが向いている料理・お菓子
レーズンは「果肉感」と「甘み」が持ち味です。
レーズンパン(ぶどうパン)のように、噛んだ瞬間のジューシーさを楽しみたい場合は、断然レーズンがおすすめです。
カレンズだと粒が小さすぎて、パン生地の中で存在感が薄れてしまうことがあるからです。
また、キャロットラペやポテトサラダに入れたり、カレーの隠し味に使うなど、料理の甘み付けやアクセントとしても優秀です。
ラム酒漬けにする場合も、肉厚なレーズンの方がお酒をよく吸い、ふっくらと美味しく仕上がります。
入手性・価格・保存の違い
レーズンはコンビニやスーパーで手軽に安価で購入できますが、カレンズは製菓材料店や輸入食品店でないと入手しにくい傾向があります。価格は希少なカレンズの方がやや高めです。
いざ買おうと思ったとき、入手のしやすさには大きな差があります。
レーズンは、コンビニのおつまみコーナーやスーパーの製菓売り場で必ずと言っていいほど見かけます。
価格も手頃で、大容量パックなども充実しています。
一方、カレンズは一般的なスーパーでは取り扱いがないことが多いです。
富澤商店やカルディなどの輸入食品店、あるいは製菓材料の専門店へ行かないと手に入りにくいでしょう。
価格も、流通量が少ない分、レーズンに比べて割高になる傾向があります。
保存方法に関しては、どちらも直射日光と高温多湿を避ければ常温で長期保存が可能ですが、カレンズの方が粒が小さく乾燥しやすいため、開封後は密閉容器に入れて早めに使い切るか、冷蔵保存をおすすめします。
起源・歴史・文化的背景
カレンズの名称はギリシャの港町「コリントス(Corinth)」に由来し、古くからヨーロッパの製菓に欠かせない食材でした。なお、ベリーの一種である「フサスグリ(Currant)」とは別物なので注意が必要です。
カレンズ(Currants)という名前の由来は、ギリシャの港町「コリントス(Corinth)」にあると言われています。
古くからこの地域で極小のブドウが輸出されており、「コリントスのブドウ」が訛って「カレンズ」と呼ばれるようになったそうです。
イギリスやドイツなどヨーロッパの伝統的な焼き菓子では、古くからこのカレンズが愛用されてきました。
特にイギリスのアフタヌーンティー文化におけるスコーンには、レーズンではなくカレンズを使うのが正統派とされることもあります。
ちなみに、日本語で「スグリ」と呼ばれるベリー類(Red Currantなど)も英語では同じ「Currant」ですが、これは植物としては別種です。
製菓材料のレシピで「カランツ」とあった場合、基本的には「干しぶどうのカレンズ」を指すことが多いですが、生のフルーツを扱う文脈ではベリーを指すこともあるため、文脈での判断が必要です。
体験談・シュトーレン作りで感じた「粒の大きさ」の重要性
僕がお菓子作りでカレンズの重要性を痛感したのは、初めて本格的なシュトーレンを作ったときのことでした。
レシピには「カレンズ」とありましたが、手元になかったので「同じ干しぶどうだし、レーズンを刻めばいいだろう」と安易に代用してしまったのです。
包丁でレーズンを刻むのはベタついて大変でしたが、なんとか生地に混ぜ込み、焼き上げました。
しかし、出来上がったシュトーレンをスライスしてみると、断面がボロボロと崩れてしまったのです。
刻んだレーズンの断面から糖分が染み出し、生地との結着が悪くなったのが原因のようでした。
翌年、ちゃんとカレンズを取り寄せて作ってみると、その違いに驚きました。
小粒のカレンズは切らずにそのまま使えるため、生地の中に綺麗に散らばり、スライスしても断面が美しく、味のバランスも絶妙でした。
「たかが粒の大きさ、されど粒の大きさ」
それ以来、焼き菓子を作るときは、面倒がらずにカレンズを用意するようにしています。
あなたも、もしレシピで指定されていたら、ぜひ本物のカレンズを使ってみてください。仕上がりの完成度がきっと変わりますよ。
よくある質問(FAQ)
Q. カレンズがない場合、レーズンで代用できますか?
A. 味としては代用可能です。ただし、粒が大きいので、包丁で粗く刻んでから使うとカレンズの食感に近づきます。ただ、刻むとベタつくので、オイルコーティングなしのレーズンを使うか、粉をまぶして刻むと扱いやすいですよ。
Q. カレンズは洗ってから使ったほうがいいですか?
A. 基本的にはそのまま使えますが、オイルコーティング(植物油)がされている場合は、熱湯をかけて油抜き(湯通し)をすると風味が良くなります。パンに混ぜる場合は、水分を吸わせるために軽く湯通しするか、お酒に漬け込んでから使うのがおすすめです。
Q. 「山ぶどう」とカレンズは同じですか?
A. 別物です。日本のパン屋さんなどで「山ぶどうパン」として売られているものにカレンズが使われていることが多いため混同されがちですが、本来の「山ぶどう」は日本に自生する別の品種です。製菓材料としてのカレンズは「ギリシャ原産の極小ブドウ」のことです。
まとめ|どちらを選ぶべきか?
カレンズとレーズン、それぞれの個性と使い分けのポイントはお分かりいただけたでしょうか。
最後に、選び方の基準をまとめておきます。
- 焼き菓子やパンに均一に混ぜ込みたい、酸味のあるアクセントが欲しいなら「カレンズ」
- 果肉のジューシーさを楽しみたい、手軽に栄養補給したいなら「レーズン」
カレンズは「名脇役」、レーズンは「主役級の存在感」と言えるかもしれません。
いつものパウンドケーキをカレンズに変えてみるだけで、お店のようなシックな味わいに変わることもあります。
ぜひ、作るお菓子や料理に合わせて、この2つのドライフルーツを賢く使い分けてみてくださいね。
もっと詳しく食材の違いを知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。