金時草とつるむらさきの違いとは?「ぬめり」は同じでも香り・栄養が全く違う!

夏の野菜売り場で見かける、少し紫がかった葉野菜「金時草(きんじそう)」と「つるむらさき」。

どちらも加熱すると「ぬめり」が出るため、同じような野菜だと思っていませんか?

実は、この二つは植物学的に全くの別物であり、味、香り、栄養素、そして調理法まで大きく異なります。

金時草とつるむらさきの最大の違いは、金時草が「キク科」で葉の裏が鮮やかな紫色、独特の香りを持つのに対し、つるむらさきは「ツルムラサキ科」でモロヘイヤに似た強いぬめりと独特の土臭さを持つ点です。

この記事を読めば、二つの野菜の明確な違いがわかり、それぞれの個性を活かした美味しい食べ方がマスターできますよ。

まずは、両者の違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。

結論|金時草とつるむらさきの違いが一目でわかる比較表

【要点】

最大の違いは「科」と「色・香り」です。金時草はキク科で、葉の裏が紫色、茹でるとぬめりが出ます。一方、つるむらさきはツルムラサキ科で、緑茎種と紫茎種があり、茹でると強いぬめりと独特の土臭さが出ます。栄養面では、金時草は紫の色素「アントシアニン」、つるむらさきは「β-カロテン」や「ビタミンC」が豊富です。

見た目や特徴が似ている金時草とつるむらさきですが、その違いは明確です。

項目金時草(きんじそう)つるむらさき
植物分類キク科 ギヌラ属ツルムラサキ科 ツルムラサキ属
別名水前寺菜(すいぜんじな)、式部草(しきぶそう)地紅(じこう)、インディアンほうれん草
見た目葉の表は緑色、裏が鮮やかな紫色全体が緑色(緑茎種)または茎が紫色(紫茎種)
食感(加熱後)程よいぬめり、シャキシャキ感も残る非常に強いぬめり(モロヘイヤ以上)
味・香り独特の香り(春菊やパセリに似る)、クセは少ない独特の土臭さや青臭さがある
主な栄養素アントシアニン、GABA、ビタミンAβ-カロテン、ビタミンC、カルシウム
旬の時期夏(6月~9月頃)夏(7月~9月頃)
主な産地石川県(加賀野菜)、熊本県山形県、群馬県、静岡県など全国
調理の特徴茹で汁が紫色になる。酢で赤くなる。アク抜きのため、さっと茹でるのが基本。

金時草とつるむらさきの定義と植物学的な違い

【要点】

金時草とつるむらさきは、植物学的に全く異なる科に属しています。金時草は「キク科」で春菊の仲間。つるむらさきは「ツルムラサキ科」で、つる性の植物です。

金時草(きんじそう)とは?(キク科の野菜)

「金時草(きんじそう)」は、キク科ギヌラ属の多年草です。熱帯アジアが原産とされ、日本へは江戸時代に伝わりました。

石川県では「加賀野菜」の一つとして伝統的に栽培されており、「金時草」という名前もこの地域(金沢)での呼び名です。熊本県では「水前寺菜(すいぜんじな)」、沖縄県では「ハンダマ」とも呼ばれ、古くから各地で親しまれてきました。

最大の特徴は、葉の表が濃い緑色なのに対し、葉の裏が鮮やかな紫色をしている点です。

つるむらさきとは?(ツルムラサキ科の野菜)

「つるむらさき」は、ツルムラサキ科ツルムラサキ属のつる性の野菜です。熱帯アジアが原産で、日本でも古くから栽培されています。

その名の通り、つる(茎)が紫色の「紫茎種」と、つるが緑色の「緑茎種」の2種類があります。現在、日本で主に流通しているのは、クセが少なく食べやすい緑茎種の方です。「紫茎種」は観賞用にもされますが、食用としては緑茎種より香りが強い傾向があります。

【重要】キク科とツルムラサキ科という全くの別物

このように、金時草は「キク」の仲間、つるむらさきは「ツルムラサキ」という独立した科の植物です。

どちらも夏に旬を迎え、加熱すると「ぬめり」が出るという共通点があるため混同されやすいのですが、植物学的には全くの「他人」ということになります。この違いが、香りや栄養素の違いに直結しています。

味・香り・食感・見た目の違い

【要点】

どちらも茹でると「ぬめり」が出ますが、その質と香りが異なります。金時草は独特の芳香(春菊似)と程よいぬめり、紫色の葉裏が特徴です。つるむらさきはモロヘイヤを超えるほどの強いぬめりと、独特の土臭さ(青臭さ)が特徴です。

金時草(独特の香りと鮮やかな紫色)

金時草は、葉の表が緑で裏が紫というユニークな見た目をしています。

加熱すると、この紫色の色素(アントシアニン)が茹で汁に溶け出し、お湯が鮮やかな紫色に染まります。

香りには特徴があり、春菊やパセリ、セリ科の植物にも似た独特の芳香があります。この香りが苦手な人もいますが、好きな人にはたまらない風味です。食感は、加熱すると程よいぬめりが出ますが、つるむらさきほど強くはありません。

つるむらさき(強いぬめりと独特の土臭さ)

つるむらさきは、非常に強いぬめりが最大の特徴です。同じくぬめり野菜の代表であるモロヘイヤと比較しても、粘りが強いと感じるほどです。

しかし、好き嫌いが分かれるポイントが、その独特の「土臭さ」あるいは「青臭さ」です。この香りは品種(特に紫茎種)や栽培状況によっても強さが変わりますが、苦手な場合は油で炒めるなど調理法を工夫する必要があります。

見た目は、葉も茎も緑色の「緑茎種」が一般的ですが、「紫茎種」は茎が鮮やかな紫色をしています。

栄養・成分の違い

【要点】

栄養面での最大の違いは、金時草が紫の色素「アントシアニン」(ポリフェノールの一種)を豊富に含む点です。一方、つるむらさきは緑黄色野菜として非常に優秀で、β-カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウムなどを豊富に含みます。

金時草(紫の色素アントシアニン)

金時草の栄養価で特筆すべきは、葉の裏の鮮やかな紫色のもとである「アントシアニン」です。

アントシアニンはポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用を持つことで知られています。また、ビタミンA(カロテン)、鉄分、カルシウムなども含んでいます。

つるむらさき(β-カロテンとビタミンC)

つるむらさきは、非常に栄養価の高い緑黄色野菜として知られています。

特に豊富なのが、体内でビタミンAに変わる「β-カロテン」です。その含有量は、ほうれん草や小松菜を上回るほどです。

さらに、ビタミンCカルシウムカリウムといったミネラルも豊富に含んでおり、夏場の栄養補給に最適な野菜と言えます。

料理での使い分けと下処理の違い

【要点】

どちらも「おひたし」が定番ですが、特性を活かした使い分けがおすすめです。金時草は、茹で汁が赤く変色する特性を活かし、酢の物(三杯酢)にすると色鮮やかに仕上がります。つるむらさきは、独特の土臭さを抑えるため、油炒め(ごま油など)にするのがおすすめです。

金時草が活きる料理(酢の物・おひたし)

金時草は、下処理として葉を摘み、茎の硬い部分は取り除きます。さっと茹でて使いますが、この時、調理法によって驚くべき色の変化が楽しめます。

  • 酢の物:金時草を茹でた後、酢(三杯酢など)と和えると、茹で汁の紫色が鮮やかな赤紫色(ピンク色)に変化します。これはアントシアニンが酸に反応するためです。見た目も美しく、金時草の代表的な食べ方です。
  • おひたし:さっと茹でて、かつお節と醤油で。独特の香りとぬめりを楽しめます。
  • 天ぷら:生のまま天ぷらにすると、香りが引き立ち、ぬめりも気にならなくなります。

つるむらさきが活きる料理(油炒め・おひたし)

つるむらさきは、独特の土臭さを和らげるため、下茹でしてから調理するのが一般的です。熱湯に塩をひとつまみ入れ、さっと茹でて冷水に取ると、アクが抜けて色鮮やかになります。

  • 油炒め:香りの強いごま油などで炒めると、土臭さが抑えられ、強いぬめりが具材と絡んで美味しく食べられます。豚肉や卵との相性が抜群です。
  • おひたし:下茹でしたものを、おひたしや和え物に。モロヘイヤのように、刻んで粘りを出して食べるのも良いでしょう。
  • 天ぷら・スープ:天ぷらにするとクセが和らぎます。スープの具材としても、そのぬめりが活きます。

旬・産地・呼び名の違い

【要点】

旬はどちらも夏(6月~9月頃)で重なります。金時草は石川県の加賀野菜として有名で「水前寺菜」とも呼ばれます。つるむらさきは山形県などで生産が盛んです。

旬の時期
どちらも暑い時期が旬の夏野菜です。金時草は6月~9月頃、つるむらさきは7月~9月頃が最も多く出回ります。

主な産地・呼び名
金時草:最大の産地は石川県で、伝統野菜「加賀野菜」の一つとしてブランド化されています。熊本県(水前寺菜)や沖縄県(ハンダマ)でも伝統的に栽培されています。
つるむらさき:全国で栽培されていますが、特に山形県が産地として有名です。「インディアンほうれん草」と呼ばれることもあります。

体験談|茹で汁の色と香りで実感した二つの違い

僕が金時草とつるむらさきを明確に「違う野菜だ」と認識したのは、両方を同時におひたしにしてみた時です。

夏の直売所で、葉裏が紫の「金時草」と、いかにもぬめりがありそうな「つるむらさき」を買い、食べ比べてみようと思いました。

まず、金時草を熱湯に入れた瞬間、お湯がみるみるうちに鮮やかな紫色に染まっていきました。そして茹で上がった金時草からは、春菊やセリのような、少し薬草っぽい独特の清涼感のある香りが立ち上りました。

次に、同じお湯(紫色のまま!)でつるむらさきを茹でてみました。こちらは色こそ緑のままですが、茹でている最中から独特の土のような、少し青臭い香りがしました。そして冷水に取ると、ボウルの中の水がまるでローションのようにトロトロになるほどの、強烈なぬめりが出たのです。

おひたしにして食べ比べると、その差は歴然でした。
金時草は「香りと、ほんのりとしたぬめり」。
つるむらさきは「香りを抑え、強烈なぬめりを楽しむ」。

特に金時草を酢の物にしたとき、紫色が鮮やかなピンク色に変わったのを見たときは、料理の面白さを感じましたね。見た目も香りも食感も、これほど違うのかと驚いた体験です。

金時草とつるむらさきの違いに関するよくある質問

金時草とつるむらさきの違いについて、特によくある質問をまとめました。

質問1:どちらも生で食べられますか?

回答:金時草は、柔らかい若葉であれば生でサラダにすることも可能です。独特の香りが良いアクセントになります。つるむらさきは、アク(シュウ酸など)や土臭さがあるため、基本的に生食はおすすめできません。さっと茹でてアク抜きしてから食べるのが一般的です。

質問2:茎が紫色の「つるむらさき」と「金時草」の見分け方は?

回答:見分けるポイントは「葉の色」です。「紫茎種」のつるむらさきは茎が紫色ですが、葉は全体的に緑色です。一方、金時草は茎も赤紫色ですが、何より葉の裏側がはっきりと鮮やかな紫色をしています。葉の裏を見れば一目瞭然です。

質問3:ぬめりの強さはどちらが上ですか?

回答「つるむらさき」の方が圧倒的にぬめりが強いです。モロヘイヤやオクラと比べても遜色ない、あるいはそれ以上の粘り気があります。金時草のぬめりは、それらに比べると比較的おとなしく、程よいとろみと感じる程度です。

まとめ|金時草とつるむらさきを賢く使い分けよう

「金時草」と「つるむらさき」の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

どちらも「ぬめり」を持つ夏野菜ですが、その正体は全く異なる植物です。

  • 金時草キク科の野菜。葉の裏が紫色で、アントシアニンが豊富。独特の芳香があり、酢の物にして色の変化を楽しむのがおすすめ。
  • つるむらさきツルムラサキ科の野菜。非常に強いぬめりと、β-カロテンなどの豊富な栄養が特徴。独特の土臭さがあるため、油炒めや下茹でしたおひたしに向いています。

「香り」と「色」を楽しみたい時は金時草、「強いぬめり」と「栄養価」を求める時はつるむらさき。それぞれの個性を理解して、夏の食卓に取り入れてみてくださいね。

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