梅酒といえば、食前酒や食後酒として親しまれている、甘酸っぱくて飲みやすいお酒の定番ですよね。
多くの梅酒が美しい琥珀色をしている中、ひときわ目を引く「黒梅酒」という商品を見かけたことはありませんか?
「黒」と付くだけで、なんだか濃厚で体に良さそうなイメージがありますが、具体的に通常の梅酒と何が違うのでしょうか。
実は、この二つの決定的な違いは、製造時に使われる「砂糖の種類」にあります。
一般的な梅酒が「氷砂糖(白)」を使うのに対し、「黒梅酒」は「黒糖(黒)」を主原料として使っているのです。
この記事を読めば、その原料の違いが生み出す味わい、香り、色の違いから、おすすめの飲み方までスッキリと理解できます。あなたの好みに合う梅酒がどちらか、もう迷うことはありませんよ。
それでは、両者の違いを詳しく見ていきましょう。
結論|黒梅酒と梅酒の決定的な違いとは?
黒梅酒と梅酒の最も決定的な違いは「使用する糖類」です。一般的な梅酒は、「氷砂糖(白砂糖)」を使って梅のエキスを抽出し、スッキリとした甘酸っぱさに仕上げるのが主流です。一方、黒梅酒は、その名の通り「黒糖(黒砂糖)」をふんだんに使用して漬け込みます。これにより、黒糖特有のミネラル感と深いコク、香ばしい香りが加わった、濃厚な味わいの梅酒となります。
どちらも「梅酒」という大きなカテゴリーに含まれますが、「黒梅酒」は、使用する砂糖によって味わいの個性を際立たせたスタイルの一つ、と考えると分かりやすいですね。
黒梅酒と梅酒の定義と分類(同じ混成酒)
梅酒も黒梅酒も、酒税法上は「リキュール(混成酒)」に分類されます。どちらも「梅の実」と「糖類」、「ベースとなるお酒(スピリッツなど)」を原料に、梅のエキスを浸漬(しんし)させて造るという基本は同じです。
梅酒(Umeshu)とは?
梅酒は、青梅または完熟梅を、主に「ホワイトリカー」(甲類焼酎)やブランデーなどのアルコール度数が高い蒸留酒に、氷砂糖などの糖類と共に漬け込んで造られる日本古来の「混成酒(リキュール)」です。
梅の実からクエン酸などの有機酸やアミノ酸が溶け出し、糖類によって甘みが加わることで、甘酸っぱい独特の風味が生まれます。
黒梅酒(Kuro-Umeshu)とは?
黒梅酒は、梅酒の一種ですが、法的な定義ではありません。
一般的には、製造工程で氷砂糖の代わりに「黒糖」を使用、または併用した梅酒を指します。
使用する黒糖は、沖縄県産などが多く、その風味を活かすためにベースのお酒にラム酒や本格焼酎(黒糖焼酎など)が使われることもあります。
「黒糖梅酒(こくとううめしゅ)」と呼ばれる商品がこれにあたります。
最大の違い:使用する「砂糖」(黒糖 vs 氷砂糖)
梅酒の「氷砂糖」は、雑味がなくクリアな甘さを加え、梅の香りを引き立てます。黒梅酒の「黒糖」は、それ自体が強い風味を持ち、ミネラル由来のコク、カラメルのような香ばしさ、そして濃厚な甘みを梅酒に与えます。
味わいの方向性を決める、最も重要な違いです。
梅酒の主な原材料(氷砂糖)
家庭で梅酒を造る際にもお馴染みの「氷砂糖(こおりざとう)」。
なぜ氷砂糖が使われるかというと、純度が高く雑味が少ないため、梅本来の爽やかな香りを邪魔しないからです。
また、ゆっくりと溶ける性質があるため、梅のエキス(うま味や酸味)をじっくりと引き出す(浸透圧の作用)のに適していると言われています。
仕上がりは、クリアな琥珀色で、スッキリとした甘みと梅の酸味が際立ちます。
黒梅酒の主な原材料(黒糖)
黒梅酒に使われる「黒糖(こくとう)」は、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めて固めたものです。
精製された白砂糖とは異なり、ミネラル分やカラメル成分を豊富に含んでいます。
これを梅酒に使うと、梅のエキスと共に黒糖の成分も溶け出します。
仕上がりは、黒蜜のように色濃く、梅の酸味に黒糖の深いコクと香ばしさが加わった、非常に濃厚な味わいになります。
製造工程とベースの酒
基本的な製造工程である「浸漬(漬け込む)」は同じです。ベースとなるお酒は、梅酒・黒梅酒ともに無味無臭の「ホワイトリカー(甲類焼酎)」が一般的ですが、黒梅酒はその濃厚な風味に負けないよう、あえて「ブランデー」や「ラム酒」をベースに使うこともあります。
基本的な製造工程(浸漬)は同じ
どちらの梅酒も、造り方は「浸漬(しんし)」です。
- 梅の実を洗い、ヘタを取る。
- 容器に梅の実と糖類(氷砂糖 or 黒糖)を交互に入れる。
- ベースとなるお酒(ホワイトリカーなど)を注ぎ入れる。
- 冷暗所で数ヶ月〜数年間、じっくりと熟成させる。
この「漬け込む」というプロセスは全く同じです。
ベースの酒(ホワイトリカー、ブランデーなど)
ベースとなるお酒(アルコール度数35%程度の蒸留酒)は、味わいに大きな影響を与えます。
- ホワイトリカー(甲類焼酎):最も一般的。無味無臭でクセがないため、梅と糖類の風味をストレートに引き出します。黒梅酒でも梅酒でも使われます。
- ブランデー:ブドウ原料の華やかな香りが加わり、梅酒に芳醇さを与えます。黒糖のコクとも相性が良いです。
- ウイスキー:樽の香ばしさやスモーキーさが加わり、個性的な梅酒になります。
- 本格焼酎(乙類焼酎):米焼酎や麦焼酎、黒糖焼酎など、ベースの焼酎の風味が梅酒に深みを与えます。
黒梅酒は、その濃厚な味わいに負けないよう、あえてブランデーやラム酒、黒糖焼酎など、個性のはっきりしたお酒をベースに選ぶ商品も多いのが特徴ですね。
味・香り・色の違いを徹底比較
梅酒は「クリアな琥珀色」で、梅由来の「爽やかな酸味と香り」が特徴です。黒梅酒は「黒蜜のような濃い褐色」で、黒糖由来の「香ばしい香りと深いコク」が梅の酸味と調和しています。
比較表|黒梅酒と梅酒の違い一覧
| 項目 | 黒梅酒(黒糖梅酒) | 梅酒(一般的なもの) |
|---|---|---|
| 分類 | 混成酒(リキュール) | 混成酒(リキュール) |
| 主原料 | 梅、黒糖、ベース酒 | 梅、氷砂糖、ベース酒 |
| 色 | 濃い褐色、黒に近い | 透明感のある琥珀色 |
| 香り | 黒蜜やカラメルのような香ばしい香り | 梅由来のフルーティーで爽やかな香り |
| 味わい | 濃厚、深いコク、まろやかな甘み | スッキリ、爽やかな酸味、クリアな甘み |
| おすすめの飲み方 | ロック、お湯割り、バニラアイスがけ | ソーダ割り、水割り、ロック |
味わいの違い(コクと深み vs スッキリ)
飲み比べると、味わいのキャラクターは全く異なります。
黒梅酒は、黒糖に含まれる豊富なミネラル分が「深いコク」と「複雑な旨味」を生み出します。
梅の酸味は黒糖の濃厚な甘みによって包み込まれ、非常にまろやかな口当たりになります。
梅酒(氷砂糖)は、梅の持つ「爽やかな酸味」が主役です。
氷砂糖のクリアな甘みが、その酸味をバランス良く支え、後味もスッキリとしています。
香りと色の違い(黒蜜の香り vs 梅の香り)
見た目も対照的です。
梅酒は、熟成と共に美しい琥珀色(黄金色)に色づきます。
黒梅酒は、黒糖の色素がそのまま溶け出すため、黒蜜やエスプレッソのように濃い褐色(黒色)になります。
香りも、梅酒が梅本来のフルーティーな香りをストレートに感じるのに対し、黒梅酒は梅の香りに加えて、黒糖がカラメル化したような、香ばしくスモーキーな香りが強く感じられます。
飲み方とシーンの使い分け
黒梅酒の濃厚なコクと香りは、「ロック」や「お湯割り」でじっくり味わう食後酒や、デザート感覚で楽しむのに最適です。梅酒のスッキリした甘酸っぱさは、「ソーダ割り」で爽快に楽しむ食中酒や、食前酒に向いています。
黒梅酒のおすすめな飲み方(ロック・お湯割り)
黒梅酒の持つ濃厚な甘みとコクは、薄めすぎると魅力が半減してしまいます。
- ロック:氷がゆっくりと溶けることで、濃厚な味わいが少しずつまろやかになる変化を楽しめます。
- お湯割り:黒糖の香ばしい香りが湯気と共に立ち上り、体が温まります。
- バニラアイスがけ:梅酒自体がデザートソースのような役割を果たし、最高の組み合わせです。
食後に、デザートワインのような感覚でじっくりと味わうのがおすすめです。
梅酒のおすすめな飲み方(ソーダ割り・水割り)
梅酒の爽やかな酸味とクリアな甘みは、様々な割り材と相性抜群です。
- ソーダ割り:最もポピュラーな飲み方。甘酸っぱさと炭酸の爽快感が食事の味を引き立てます。
- 水割り:梅の香りを楽しみつつ、スッキリと飲めます。
- ロック:梅本来の風味をダイレクトに楽しめます。
食前酒や、食事中のリフレッシュドリンクとして最適ですね。
体験談|黒糖のコクに驚いた「黒梅酒」
僕にとって「梅酒」とは、長らく「梅酒ソーダ」のことでした。
居酒屋で頼む、あのスッキリとした甘酸っぱさ。氷がカランと鳴る音。それこそが梅酒のすべてだと思っていたんです。
ある日、沖縄料理の専門店に行った際、メニューに「沖縄産黒糖で仕込んだ 黒梅酒(ロック)」というのを見つけました。
「黒糖? 珍しいな」くらいの軽い気持ちで注文したのですが、出てきたグラスを見てまず驚きました。
色が、本当に「黒い」んです。
いつもの琥珀色ではなく、まるで紹興酒か、濃いアイスコーヒーのような色でした。
恐る恐る一口飲んでみると、二度目の衝撃が走りました。
「甘い! でも、香ばしくて、ものすごくコクがある!」
梅の酸味は確かにいるのですが、それ以上に、黒蜜やカラメルのような濃厚な甘みと香ばしさが口いっぱいに広がりました。
これは僕が知っている「梅酒ソーダ」の爽快感とは対極にある、じっくりと舌の上で転がして味わう「デザート」のようなお酒でした。
同じ「梅酒」という名前でも、使う砂糖が「氷砂糖」から「黒糖」に変わるだけで、ここまでキャラクターが変わるのかと、素材の奥深さを痛感しました。
スッキリしたい時は普通の梅酒、まったりと甘さに浸りたい時は黒梅酒。僕の中で明確な使い分けが生まれた瞬間でしたね。
黒梅酒と梅酒に関するよくある質問
黒梅酒と梅酒について、よくある疑問をまとめました。
結局どっちが甘いですか?
どちらも甘いお酒ですが、甘さの「質」が異なります。
一般的な梅酒は、氷砂糖の「クリアでスッキリした甘さ」と梅の「酸味」のバランスが取れています。
黒梅酒は、黒糖由来の「濃厚でコクのある甘さ」が前面に出ており、酸味は比較的まろやかに感じられます。甘みの強さ(糖度)自体は製品によりますが、体感としては黒梅酒の方が「より甘く、重く」感じるでしょう。
カロリーや糖質が高いのはどっち?
どちらも糖類を多く使うため、カロリーも糖質も高いお酒です。
黒糖は白砂糖(氷砂糖の原料)に比べてミネラル分は豊富ですが、カロリーや糖質が低いわけではありません。
むしろ、コクを出すために黒糖をふんだんに使っている製品も多いため、黒梅酒の方がカロリー・糖質共に高くなる傾向があります。
梅酒を熟成させると黒梅酒になりますか?
いいえ、なりません。
「黒梅酒」は、あくまで黒糖を使った梅酒を指すのが一般的です。
通常の梅酒(氷砂糖使用)も、長期間熟成させると「熟成梅酒(古酒)」となり、色は濃い褐色に変化し、味わいもまろやかで複雑になります。しかし、これは熟成による「メイラード反応」や樽からの成分抽出によるものであり、黒糖由来の風味とは異なります。
まとめ|黒梅酒と梅酒、気分や好みで選ぼう
黒梅酒と梅酒の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
・梅酒 = 氷砂糖(白)がベース。スッキリした甘酸っぱさ。
・黒梅酒 = 黒糖(黒)がベース。濃厚でコクのある甘みと香ばしさ。
どちらも同じ「混成酒(リキュール)」の仲間でありながら、使う砂糖一つで全く異なる個性を持つお酒でした。
あなたの好みや飲むシーンに合わせて、以下のように選ぶのがおすすめです。
- 食中酒として、またはスッキリ爽快に飲みたい時:
「梅酒」のソーダ割りが最適です。 - 食後酒として、デザート感覚で、または濃厚なコクをじっくり楽しみたい時:
「黒梅酒」をロックやお湯割りでどうぞ。
お酒は適量を守ることが大切です。お酒に関する詳しい情報は厚生労働省のサイトなども参考に、健康的に楽しみましょう。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々なアルコール類の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。