マカロニとパスタ、どちらも食卓でおなじみの食材ですが、この二つの違いを正確に説明できるでしょうか?
「ミートソースはスパゲッティで、グラタンはマカロニ?」と、料理によって名前を使い分けているかもしれませんが、二つの関係性を深く考えたことは少ないかもしれませんね。
実は、パスタは「麺類の総称」であり、マカロニは「パスタの一種」に過ぎません。
例えるなら、「魚」という大きなカテゴリ(パスタ)の中に、「マグロ」(マカロニ)や「サケ」(スパゲッティ)といった種類があるような関係です。
この記事を読めば、二つの言葉の厳密な定義から、法律や規格の違い、代表的なパスタの種類まで、その違いが明確に理解できますよ。まずは、結論の比較表から見ていきましょう。
結論|マカロニとパスタの違いが一目でわかる比較表
マカロニとパスタの決定的な違いは、パスタが「小麦粉を練って作った食品の総称」であるのに対し、マカロニは「パスタの一種」で、特定の形状(短い筒状など)を持つショートパスタを指す点です。つまり、すべてのマカロニはパスタですが、すべてのパスタがマカロニではありません。
二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
| 項目 | パスタ (Pasta) | マカロニ (Macaroni) |
|---|---|---|
| 定義 | 小麦粉を練って作った食品の総称 | パスタの一種(ショートパスタの代表格) |
| 語源 | Pasta(ラテン語で「練ったもの」) | 諸説あり(Maccaroneなど) |
| 形状の範囲 | ロング、ショート、板状など数百種類 | 短い筒状(穴あき)、C字型など |
| 日本の規格 (JAS) | 「マカロニ類」という分類の総称 | 太さ2.5mm以上の管状、またはその他の形状 |
| 具体例 | マカロニ、スパゲッティ、ペンネ、ラザニアなど | マカロニ(単品種) |
「パスタ」と「マカロニ」定義と分類の違い
パスタはイタリア語で「生地」を意味し、スパゲッティやマカロニ、ラザニアなど全種類を含む「総称」です。マカロニはそのパスタという大きなカテゴリの中の一つであり、短い筒状の形状を持つ「ショートパスタ」の一種を指します。
パスタ (Pasta) とは?
「パスタ(Pasta)」とは、イタリア語で「小麦粉と水を練り合わせた生地」や「練ったもの」を意味する言葉です。
イタリア料理において、この生地から作られる食品の「総称」として使われており、その種類は数百種類にものぼると言われています。
この「パスタ」という大きなカテゴリの中に、以下のような様々な形状のものが含まれます。
- ロングパスタ(長い麺):スパゲッティ、リングイネ、カッペリーニなど
- ショートパスタ(短い麺):マカロニ、ペンネ、ファルファッレなど
- 板状のパスタ:ラザニアなど
- 団子状のパスタ:ニョッキなど
つまり、「パスタ」は特定の麺を指すのではなく、これらすべてをまとめた呼び名なのです。
マカロニ (Macaroni) とは?
「マカロニ(Macaroni)」は、そのパスタという大きな分類の中の「一種」です。
パスタの中でも、短く成形された「ショートパスタ」の代表格であり、特に中心に穴が開いた筒状(チューブ状)のものを指します。日本ではC字型に曲がった形状がおなじみですね。
ですから、「マカロニとパスタの違いは?」という質問は、「マグロと魚の違いは?」と聞いているのに近いわけです。マカロニは、パスタという大きな家族の一員なんですね。
主な材料と形状の違い
パスタの基本的な原材料は、本場イタリアの法律で「デュラムセモリナ粉(硬質小麦)と水」と定められています。マカロニもスパゲッティも同じパスタなので、原材料は同じです。違いは形状だけであり、マカロニは「ショートパスタ」に分類されます。
原材料の違い(デュラムセモリナ粉)
マカロニもスパゲッティも、同じ「パスタ」の仲間であるため、基本的な原材料は同じです。
特に本場イタリアでは、「乾燥パスタ(pasta secca)」に関して法律があり、「デュラム小麦のセモリナ粉」と水で作ることが厳格に義務付けられています。
デュラム小麦はタンパク質が豊富で弾力性が強く、煮崩れしにくくコシのあるパスタを作るのに最適な小麦です。日本でもJAS規格(後述)により、デュラム小麦の使用が規定されています。
(※家庭で作る生パスタなどの場合は、軟質小麦粉や卵を使うこともあります。)
形状による分類(ロングとショート)
パスタは、その形状によって大きく2種類に大別されます。
- ロングパスタ:スパゲッティに代表される、長さ約25cm前後の細長い麺状のパスタ。ソースと「絡めて」食べるのが特徴です。
- ショートパスタ:マカロニに代表される、短く成形されたパスタ。ソースと「和える」またはソースを「詰める」のに適しており、サラダやグラタン、スープの具材としても使われます。
マカロニは、この「ショートパスタ」のカテゴリを代表する存在です。
マカロニの形状と特徴的な使い方
マカロニの最大の特徴は、短い筒状で中心に「穴」が開いていることです。この穴や、C字型のカーブの内側にソースが入り込むため、グラタンやサラダのようにソースと一体化させて味わう料理に最適です。
マカロニ(短い・筒状・穴あき)
マカロニの最も重要な特徴は、中心に穴が開いたチューブ(筒)状であることです。
この形状のおかげで、火の通りが均一になりやすく、モチモチとした食感が生まれます。また、その穴の中や、日本で一般的なC字型に曲がった形状のくぼみにソースが入り込み、パスタとソースの一体感を高めてくれます。
そのため、ミートソースやクリームソースをたっぷり使うグラタンや、ドレッシングと和えるマカロニサラダに最適なのです。
マカロニ以外の主なショートパスタ
ちなみに、マカロニ以外にも有名なショートパスタはたくさんあります。これらもすべて「パスタ」の仲間です。
- ペンネ (Penne):「ペン先」のように両端が斜めにカットされた筒状のパスタ。アラビアータなど辛いソースとよく合います。
- ファルファッレ (Farfalle):「蝶ネクタイ」の形をした可愛らしいパスタ。サラダや冷製パスタに使われます。
- フジッリ (Fusilli):螺旋状のくるくるとした形状で、ソースがよく絡みます。
日本独自の規格(JAS)における「マカロニ類」とは?
日本では日本農林規格(JAS)において、「パスタ」という言葉は使われず、それら全体を「マカロニ類」と総称しています。そして、その「マカロニ類」の中で、太さ1.2mm以上の棒状のものを「スパゲッティ」と分類しています。
日本では、食品表示の基準としてJAS(日本農林規格)による分類が存在します。ここで少しややこしいのが、JAS規格では「パスタ」という分類名が使われていない点です。
JAS規格では、スパゲッティやマカロニなど、デュラム小麦のセモリナ粉を原料とする食品群を、すべてまとめて「マカロニ類」と総称しています。
そして、その「マカロニ類」を、形状によってさらに細かく分類しています。
- マカロニ:太さ2.5mm以上の管状、またはその他の形状(棒状・帯状以外)のもの。
- スパゲッティ:太さ1.2mm以上の棒状のもの。
- バーミセリ:太さ1.2mm未満の棒状のもの。
- ヌードル:帯状(平打ち麺)のもの。
つまり、JAS規格上では、「マカロニ」は「マカロニ類」という大きな分類名であると同時に、その中の「短い筒状のパスタ」を指す個別名称でもある、という二重の意味を持っているのです。
【体験談】「パスタ」という世界の広さを知った日
僕が子供の頃、家で食べる麺料理は2種類でした。母が作るグラタンやマヨネーズ和えサラダに入っている、あのC字型の短い麺。これが「マカロニ」でした。
そして、父が週末に時々作ってくれたミートソース。これは決まって細長い麺で、「スパゲッティ」と呼んでいました。僕の中では、この二つは全く別の食べ物だったんです。
その認識が変わったのは、大学生になって初めて本格的なイタリアンレストランでアルバイトをした時のことです。メニューには「ペンネ・アラビアータ」「フェットチーネのカルボナーラ」「ラザニア」など、知らない名前が並んでいました。
厨房でシェフが、「はい、次のパスタ、ペンネ入るよ!」とか「ラザニアもパスタの一種だからね」と話しているのを聞き、衝撃を受けました。
「え、全部パスタなの!?」と。
その時初めて、マカロニも、スパゲッティも、ペンネも、すべて「パスタ」という大きなカテゴリの中の、形状が違う仲間たちなのだと理解しました。形状が違うのは、それぞれのソースや調理法に一番合う形を追求した結果なんですね。あの瞬間に、僕の中で「パスタ」という世界の扉が開いた気がしました。
マカロニとパスタに関するよくある質問
結局、「パスタ」と「マカロニ」どっちの呼び方が正しいですか?
どちらも正しいですが、使う場面が違いますね。
「グラタンにはマカロニを使う」のように特定の形状を指す場合は「マカロニ」が正確です。一方で、「今日のランチはパスタにしよう」と言う場合、そのパスタがマカロニグラタンであってもスパゲッティであっても間違いではありません。「パスタ」は料理全体の総称として使えます。
スパゲッティとマカロニの違いは何ですか?
どちらもパスタの一種ですが、形状が全く違います。
スパゲッティは「細長い棒状(ロングパスタ)」です。マカロニは「短く、筒状に穴があいている(ショートパスタ)」のが特徴です。
マカロニとペンネの違いは何ですか?
どちらも穴あきのショートパスタですが、形状が異なります。
マカロニは一般的にC字型に曲がった短いチューブ状です。一方、ペンネは「ペン先」のように両端が斜めにカットされた、まっすぐなチューブ状のパスタを指します。
まとめ|マカロニはパスタの代表的な一種
マカロニとパスタの違い、これでスッキリしましたでしょうか。
最後に、二つの言葉の決定的な違いをまとめておきます。
- パスタは「総称」:小麦粉を練って作るイタリアの食品全体のことで、マカロニ、スパゲッティ、ペンネ、ラザニアなど数百種類を含む。
- マカロニは「一種」:パスタの中の一種類で、中心に穴が開いた短い筒状の「ショートパスタ」の代表格。
- 規格の違い:日本ではJAS規格により、パスタ類全体を「マカロニ類」と呼び、その中でさらに形状によって「マカロニ」や「スパゲッティ」を定義している。
これからは、グラタンを食べながら「このマカロニは、パスタの一種なんだな」と、自信を持って理解できますね。
パスタには本当にたくさんの種類があります。それぞれの形状に合ったソースや料理法を見つけて、奥深いパスタの世界を楽しんでみてください。当サイトでは、他にも様々な料理・メニューの違いについて詳しく解説しています。