生春巻きの皮とライスペーパーの違い!実は同じものだった?

「生春巻きの皮」と「ライスペーパー」、どちらもベトナム料理などで見かける透明な皮ですが、この二つの違い、ご存知ですか?

スーパーの棚で隣に並んでいると、一体何が違うのか迷ってしまいますよね。

結論から言うと、この二つは実質的に「同じもの」です。「ライスペーパー」が食材そのものの正式な名称であり、「生春巻きの皮」は、そのライスペーパーの最も代表的な使い方(用途)を示した日本での通称・商品名なのです。

この記事を読めば、なぜ二つの呼び名があるのか、その原材料による食感の違い、そして生春巻き以外にも広がるライスペーパーの多彩な使い方まで、スッキリと理解できます。

それではまず、二つの違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。

結論|生春巻きの皮とライスペーパーの違いが一目でわかる比較表

【要点】

「ライスペーパー」と「生春巻きの皮」は、基本的に同じものを指します。「ライスペーパー」は米粉などを原料とする食材の「名称」です。一方、「生春巻きの皮」は、そのライスペーパーが「生春巻き」という料理に使われることから付いた、用途を示す「通称(商品名)」です。

呼び方が違うだけで、指している「モノ」は同じ場合がほとんどです。

項目ライスペーパー生春巻きの皮
分類・定義食材名(ベトナム語でBánh tráng)用途名・通称(日本での呼び名)
実体米粉やタピオカ粉で作られた乾燥シートライスペーパーと同じもの
主な原材料米粉、タピオカでんぷん、食塩米粉、タピオカでんぷん、食塩
状態乾燥時は硬く、水で戻すと柔らかくなる乾燥時は硬く、水で戻すと柔らかくなる
主な用途生春巻き、揚げ春巻き、料理、スイーツなど主に生春巻き

生春巻きの皮とライスペーパーとは?「用途」と「名称」の違い

【要点】

「ライスペーパー(Rice Paper)」は、米粉を主原料とする薄いシート状の食材の英語名です。ベトナム語では「バインチャン(Bánh tráng)」と呼ばれます。「生春巻きの皮」は、このライスペーパーが日本で「生春巻き(ゴイクン)」の材料として認知されたため、用途がそのまま名前として定着したものです。

なぜ二つの呼び名が定着したのか、その背景を見ていきましょう。

ライスペーパー(Bánh tráng):食材そのものの「名称」

「ライスペーパー」は、その名の通り「米(Rice)」を主原料にした紙(Paper)のように薄い食材、という英語名です。

発祥地であるベトナムでは「バインチャン(Bánh tráng)」と呼ばれます。「バイン」は米粉を使った食べ物、「チャン」は薄く伸ばす、という意味があります。

ベトナム現地では、生春巻き(ゴイクン)だけでなく、揚げ春巻き(チャーゾー)にしたり、焼いておせんべいのように食べたり(バインチャンヌン)、様々な料理に使われる非常にポピュラーな食材です。

生春巻きの皮:ライスペーパーの「用途」を示す通称

一方、「生春巻きの皮」という呼び方は、日本特有のものです。

この食材が日本で広く知られるようになったきっかけは、ベトナム料理の「生春巻き(ゴイクン)」でした。エビや野菜を巻いた美しい見た目とヘルシーさで人気が出ました。

その結果、「生春巻きに使う、あの透明な皮」という用途がそのまま名前として定着し、多くの食品メーカーが「生春巻きの皮」という商品名でライスペーパーを販売するようになったのです。

「餃子の皮」や「シュウマイの皮」が、小麦粉で作った皮を用途名で呼んでいるのと同じですね。

原材料と製造方法|タピオカ粉が食感の鍵

【要点】

主原料は「米粉」ですが、食感を決める重要な副原料が「タピオカでんぷん粉」です。米粉だけだと破れやすいですが、タピオカ粉を配合することで、水で戻した時の透明感と「もちもち」とした弾力、そして破れにくさが生まれます。

ライスペーパー(生春巻きの皮)の独特な食感は、その原材料に秘密があります。

主な原材料は以下の3つです。

  1. 米粉(ライスフラワー):主原料。風味のベースとなります。
  2. タピオカでんぷん(キャッサバ芋のデンプン):これが食感の鍵です。
  3. 食塩:味の調整と保存性を高めます。

製造方法は、米粉とタピオカ粉、塩を水で溶いた生地を、熱した布などの上にクレープのように薄く広げて蒸し、その後、竹製の「すのこ」のようなものの上で天日干しして乾燥させます。

タピオカでんぷんの配合比率が、製品の個性を決めます。比率が高いほど、水で戻した時の透明感が増し、食感もより「もちもち」と強く、破れにくくなります。米粉100%のものは、より素朴な風味ですが、破れやすい傾向があります。

見た目・食感・味の違い|乾燥時と水で戻した後

【要点】

乾燥した状態では、カチカチに硬く、半透明で網目模様が見えます。これを水で戻すと、劇的に変化します。半透明から透明に近くなり、非常に柔らかく、「もちもち」とした弾力のある食感に変わります。味自体はほとんど無味無臭です。

ライスペーパーは、水で戻す「前」と「後」で、その姿を大きく変える食材です。

乾燥時の状態(硬い・半透明)

スーパーで売られている状態のライスペーパーは、プラスチックの板のようにカチカチに硬く、簡単には割れません。色は半透明で、乾燥させた「すのこ」の網目模様(格子状)が表面についているのが特徴です。

水で戻した後の状態(もちもち・透明)

この硬い皮を水やぬるま湯にくぐらせると、数秒から数十秒で水分を吸い、劇的に柔らかくなります。

見た目は透明感が一気に増し、中の具材が透けて見えるようになります。食感は、タピオカでんぷん由来の「もちもち」とした強い弾力が生まれます。これが生春巻きの独特な食感の正体です。

味については、米由来のほのかな甘みを感じる人もいますが、基本的には「無味無臭」です。だからこそ、巻いた具材の味や、スイートチリソースなどのタレの味を一切邪魔せず、食感だけをプラスすることができるのです。

栄養・成分の違い|グルテンフリーの炭水化物

【要点】

ライスペーパー(生春巻きの皮)の主成分は「炭水化物(糖質)」です。タンパク質や脂質はほとんど含まれていません。米粉とタピオカ粉が原料のため、「グルテンフリー」である点が大きな特徴です。

栄養面では非常にシンプルです。

主な成分は「炭水化物(糖質)」です。米粉とタピオカでんぷんが主原料なので、当然ですね。タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルはほとんど含まれていません。

餃子の皮や春巻きの皮(小麦粉が原料)との大きな違いは、「グルテンフリー」である点です。小麦アレルギーを持つ人や、グルテンフリーの食生活を実践している人でも安心して食べられる炭水化物源と言えます。

生春巻きがヘルシーと言われるのは、皮自体のカロリーが低いからではなく、中に野菜やエビ、鶏むね肉などの低カロリー・高タンパクな具材をたくさん巻くからですね。

使い方と戻し方のコツ|生春巻き以外の活用法

【要点】

最も重要なのは「戻しすぎない」ことです。水に「浸す」のではなく、両面を「サッとくぐらせる」程度にし、まだ少し硬さが残るくらいで引き上げるのがコツです。また、生で巻くだけでなく、揚げ春巻きや、焼いてピザ風にするなど、加熱調理にも幅広く使えます。

ライスペーパー(生春巻きの皮)を使いこなす鍵は、「戻し方」にあります。

基本の戻し方(霧吹きまたはサッとくぐらせる)

初心者が最も失敗しやすいのが「戻しすぎ」です。
(NG例)ボウルに入れた水に、ライスペーパーを長時間(1分以上)浸してしまう。
→皮が水分を吸いすぎてデロデロになり、皿にくっついたり、巻く途中で破れたりします。

(OK例)
バットやフライパンに張った水(またはぬるま湯)に、皮全体をサッと両面くぐらせるだけ。時間にしたらわずか数秒です。「まだ硬いかな?」と思うくらいで引き上げ、濡らしたまな板や皿の上に置きます。

具材を準備している間にも皮は水分を吸って柔らかくなっていきます。この「余熱」ならぬ「余水(?)」で柔らかくなるのを見越して、硬い状態で引き上げるのが最大のコツです。

または、霧吹きで両面に水を吹きかけるだけでも十分に戻ります。

「巻く」以外のライスペーパー活用法(揚げる・焼く・茹でる)

「生春巻きの皮」という名前から生で食べるイメージが強いですが、ライスペーパーは加熱しても非常に美味しい食材です。

  • 揚げる(揚げ春巻き):ベトナムでは「チャーゾー」と呼ばれ、定番の食べ方です。水で戻した皮で具材を巻き、そのまま油で揚げます。小麦粉の皮とは違う、カリッ、モチッとした独特の食感が楽しめます。
  • 焼く(バインチャンヌン):ベトナム風ピザとも呼ばれます。戻さない乾燥したままの皮に、卵、ネギ、ひき肉、チーズなどを乗せて直火やフライパンで焼きます。パリパリのおせんべいのようになります。
  • 茹でる:細く切ってサッと茹でれば、グルテンフリーの麺(フォー)の代用にもなります。また、水餃子のように具材を包んでスープに入れても美味しいです。

価格と正しい保存方法の違い

【要点】

ライスペーパー(生春巻きの皮)は、スーパーや輸入食品店で安価に入手できます。保存で最大の敵は「湿気」と「乾燥(割れ)」です。冷蔵庫はNG。開封後は、袋の口をしっかり閉じ、さらに密閉袋などに入れて「常温」の冷暗所で保存するのが正解です。

価格:
非常に安価でコストパフォーマンスが高い食材です。スーパーのアジア食材コーナーや、カルディ、業務スーパーなどで、20〜30枚入りが数百円程度で手に入ります。

保存方法:
ライスペーパーは乾燥食材ですが、保存には少しコツが要ります。

  • 湿気:湿気を吸うと、皮同士がくっついてしまい、剥がせなくなります。
  • 乾燥(割れ):逆に乾燥しすぎると、柔軟性がなくなり、少しの衝撃でパリパリに割れてしまいます。

(NG例)冷蔵庫での保存。冷蔵庫内は非常に乾燥しているため、皮が割れやすくなる原因になります。

(OK例)
開封後は、元の袋の口を輪ゴムやクリップでしっかり閉じ、さらにジッパー付きの保存袋や密閉容器に入れます。これを「常温」の、直射日光が当たらない棚や戸棚(冷暗所)で保存するのが正解です。

【体験談】ライスペーパーを戻しすぎて大失敗した日

僕もライスペーパーを初めて使った日、盛大に失敗しました。

生春巻きパーティーをしようと、エビや野菜、鶏むね肉を準備。さあ巻くぞ、とライスペーパーをボウルの水に浸しました。「まだ硬いな…もうちょっと」と、しんなりするまで水に浸し続けました。

そして、まな板の上に置いた瞬間、その違いに気づきました。皮はすでにデロデロで、まな板にベッタリと張り付いてしまったのです。

無理やり剥がそうとすると、タピオカでんぷんの強力な粘着力で、皮は無惨にも破れ、指にもくっついて大混乱。具材を乗せても、巻く段階で皮同士がくっつきすぎて、ただの「もちもちした塊」になってしまいました。

あの時の絶望感は忘れられません。2枚目からは学びました。「水にくぐらせるのは一瞬だけ。硬くても信じて引き上げる」と。

まな板の上で具材を乗せている間に、皮がちょうど良い「巻きやすい柔らかさ」になるんですよね。あの「待ち」の時間が重要だったとは。ライスペーパーは、せっかちな人ほど失敗しやすい食材だと痛感しました。

生春巻きの皮とライスペーパーに関するよくある質問

Q1. 「生春巻きの皮」と「ライスペーパー」は、結局同じものですか?

A1. はい、実質的には同じものを指します。「ライスペーパー」がベトナム由来の米粉の皮の「食材名」で、「生春巻きの皮」はその食材の最もポピュラーな「用途名(通称)」です。

Q2. ライスペーパーを水で戻す時、お湯と水、どっちがいいですか?

A2. どちらでも大丈夫ですが、初心者には「水」がおすすめです。ぬるま湯やお湯を使うと、水よりも格段に早く柔らかくなりますが、その分「戻しすぎ」てデロデロになりやすいからです。水でゆっくり戻した方が、失敗が少なくなりますよ。

Q3. 餃子の皮や春巻きの皮(小麦粉)の代わりになりますか?

A3. 用途によります。「揚げ春巻き」や「水餃子」の代用にはなります。ただし、食感は小麦粉の皮の「パリパリ」や「ツルツル」とは異なり、「カリッ・モチッ」または「トゥルン・モチッ」とした独特のものになります。「焼き餃子」の代用は、フライパンにくっつきやすいため、あまりおすすめできません。

まとめ|生春巻きの皮とライスペーパーは実質同じもの

「生春巻きの皮」と「ライスペーパー」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

呼び名が二つあるだけで、私たちは同じ食材を指していました。

  • ライスペーパー:食材そのものの「名称」。ベトナム発祥。
  • 生春巻きの皮:代表的な料理から来た「用途名(通称)」。日本での呼び名。

この食材の魅力は、生で巻くだけでなく、「揚げる」「焼く」「茹でる」といった多様な調理法に対応できる点にあります。主原料が米粉とタピオカ粉なので、グルテンフリーなのもうれしいポイントです。

使いこなす最大のコツは、「水で戻しすぎないこと」。これさえ守れば、生春巻きはもちろん、様々な料理に応用できます。

アジアの食材・素材には、まだまだ面白い発見がたくさんあります。ぜひライスペーパーを使いこなして、食卓のレパートリーを広げてみてくださいね。