生麹と乾燥麹の違い!甘酒や味噌作りに使うならどっち?

生麹と乾燥麹、どちらも日本の発酵食品に欠かせませんが、いざ使おうと思うと違いが分かりにくいですよね。

手作り味噌や甘酒に挑戦したいけれど、どちらを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。

この二つの最大の違いは、シンプルに「水分量」です。そして、その水分量が「酵素の強さ(力価)」と「保存期間」に直結しています。

この記事を読めば、生麹と乾燥麹のそれぞれの特徴、メリット・デメリット、そして甘酒や塩麹など目的別の使い分けまでスッキリと理解できます。

それでは、まず両者の決定的な違いから見ていきましょう。

生麹と乾燥麹の違いを比較表で早分かり

【要点】

生麹は水分を含んだままの「生の麹」で、酵素力が強い反面、要冷蔵で賞味期限が短いのが特徴です。一方、乾燥麹は生麹を乾燥させたもので、保存性は抜群ですが、使用前にぬるま湯で戻す必要があり、酵素力は生麹に比べるとやや穏やかになります。

まずは、生麹と乾燥麹の主な違いを一覧表で比較してみましょう。

項目生麹(なまこうじ)乾燥麹(かんそうこうじ)
状態出来立ての「生」の状態生麹を低温乾燥させたもの
水分量多い(約25%~30%)少ない(約10%以下)
酵素力(力価)非常に強い(菌が活発)穏やか(生麹の7~8割程度)
保存性要冷蔵短期(約1~2週間)常温長期(約半年~1年)
使い方そのまま使えるぬるま湯で戻す作業が必要
主な用途本格的な味噌、甘酒、日本酒造り家庭での甘酒、塩麹、味噌作り(手軽)
価格やや高め・要冷蔵配送比較的安価・常温流通

生麹と乾燥麹の定義・製造方法の違い

【要点】

生麹は、米や麦などの穀物に麹菌を繁殖させ、完成したそのまま(生の)状態です。乾燥麹は、その生麹から水分を低温で飛ばして乾燥させたものです。製造工程の最終段階が異なります。

生麹(なまこうじ)とは?

「生麹(なまこうじ)」は、蒸したお米や麦などに麹菌(コウジカビ)を振りかけ、温度と湿度を管理しながら繁殖させた「麹」そのものです。

麹菌が最も活発な状態で、豊かな酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど)を含んでいます。水分を含んでしっとりしており、発酵食品の仕込みに使われる、非常にパワフルな状態です。

乾燥麹(かんそうこうじ)とは?

「乾燥麹(かんそうこうじ)」は、出来上がった生麹を、酵素が壊れないよう低温の風でゆっくりと乾燥させ、水分を飛ばしたものです。

水分を抜くことで、麹菌の活動は休眠状態になりますが、死滅しているわけではありません。このひと手間により、常温での長期保存が可能になり、家庭でも使いやすくなっているのが特徴ですね。

酵素力(力価)・風味・食感の違い

【要点】

最も大きな違いは酵素の強さ(力価)です。生麹は麹菌が最も活発な状態で酵素を豊富に保持しており、発酵力が非常に強いです。乾燥麹は乾燥工程で酵素が一部失活(活動を失う)するため、生麹に比べると発酵力は穏やかになります。

最大の違いは「酵素力(力価)」

酵素力(りきか)とは、麹が持つデンプンやタンパク質を分解する力の強さのことです。

生麹は、麹菌が生きている「フレッシュ」な状態のため、酵素力が非常に高く、力強い発酵力を期待できます。甘酒を作ればより甘く、味噌を作ればより深い旨味を引き出すポテンシャルがあります。

乾燥麹は、製造時の乾燥工程で、熱に弱い酵素が一部失われてしまう(失活する)ため、一般的に生麹に比べると酵素力は7~8割程度、あるいはそれ以下に落ちると言われています。もちろん、家庭で使う分には十分な力を持っていますよ。

風味と食感の違い

生麹は、麹菌由来のフレッシュで華やかな香り(栗のような香りと表現されることも)が特徴です。触感もしっとりとしており、米粒同士がくっついていることもあります。

乾燥麹は、香りは生麹に比べて穏やかです。米粒同士がパラパラとほぐれやすく、計量したり混ぜたりする際に扱いやすいのが特徴ですね。

使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

生麹はそのまま使えますが、レシピの水分量調整が必要な場合があります。乾燥麹は、使う前に必ず40~60℃のぬるま湯で15~30分ほど戻し、麹菌を目覚めさせる「戻し作業」が必須です。

この「使い方の違い」は、仕上がりを左右する非常に重要なポイントです。

生麹の使い方:すぐに使えるが水分調整が必要

生麹は、麹菌が活発な状態なので、そのまま材料と混ぜて使うことができます。

塩と混ぜて塩麹、醤油と混ぜて醤油麹、茹でた大豆や塩と混ぜて味噌の仕込みなどに使えます。

ただし、生麹自体が約25%~30%程度の水分を含んでいるため、甘酒や塩麹などを作る際に、レシピによっては加える水分量を少し減らすなどの調整が必要になる場合があります。

乾燥麹の使い方:戻す作業が必要

乾燥麹を使う上で最も重要なポイントは、使用前に「戻す」作業が必要なことです。

休眠している麹菌を目覚めさせるため、40℃~60℃のぬるま湯(熱湯は酵素が死ぬのでNG)に15分~30分ほど浸し、芯がなくなるまで水分を吸わせます。

この戻し作業を怠ると、発酵がうまく進まず、甘酒が甘くならなかったり、味噌の熟成に失敗したりする原因になります。必ず麹菌を起こしてあげましょう。

保存方法・賞味期限・価格の違い

【要点】

保存性は圧倒的に乾燥麹が優れています。生麹は要冷蔵で1~2週間程度しか持ちませんが、乾燥麹は常温(冷暗所)で約半年~1年と長期保存が可能です。

保存方法と賞味期限

生麹:麹菌が生きているため、非常にデリケートです。常温に置くと発酵が進みすぎて品質が劣化します。必ず冷蔵庫で保存し、1~2週間以内に使い切る必要があります。すぐに使えない場合は、小分けにして冷凍保存(約2~3ヶ月可能)もできます。

乾燥麹:水分が少ないため、麹菌の活動が停止しています。常温保存(湿気の少ない冷暗所)が可能で、賞味期限も約半年から1年と非常に長いです。使いたい時に使える手軽さが魅力ですね。

価格と入手性

一般的に、生麹は製造の手間や流通(冷蔵配送)コストがかかるため、乾燥麹よりも価格がやや高めに設定されていることが多いです。

また、生麹は味噌専門店や特定のスーパー、通販などでないと手に入りにくい場合がありますが、乾燥麹は多くのスーパーの乾物コーナーなどで比較的簡単に入手できます。

体験談:初めての甘酒作りで学んだ「戻し」の重要性

僕が初めて甘酒作りに挑戦した時、この「戻し作業」の重要性を痛感しました。

スーパーで手軽に買えた「乾燥麹」を使い、炊飯器で保温すれば良いと聞き、そのまま保温中のご飯と混ぜてしまったんです。数時間後、ワクワクしながら味見をすると…。全く甘くない、ただのお米の香りがするお粥が出来上がっていました。

麹菌が休眠したままでは、お米のデンプンを糖(甘み)に変えるアミラーゼが働かなかったんですね。

翌日、今度はちゃんと60℃のぬるま湯で30分かけて乾燥麹を戻してから再チャレンジしました。すると、驚くほど濃厚で自然な甘みの甘酒が完成し、本当に感動しました。この失敗以来、乾燥麹を使う際は、麹菌に「起きてくださいね」と声をかけるような気持ちで、丁寧に戻す作業を怠らないようにしています。

生麹と乾燥麹に関するよくある質問

生麹と乾燥麹、甘酒作りにはどちらがおすすめですか?

どちらでも美味しく作れますよ。生麹を使うと、酵素力が強いため、より濃厚で風味豊かな甘酒になりやすいです。乾燥麹は、手軽に入手でき、ぬるま湯で戻すひと手間を加えれば、安定して美味しい甘酒が作れます。初めての方は、扱いやすい乾燥麹から試してみるのも良いでしょう。

生麹と乾燥麹の換算(置き換え)はどうすれば良いですか?

レシピで生麹が指定されているのに乾燥麹を使いたい場合、またはその逆の場合ですね。「乾燥麹 = 生麹の約80%~90%の重量」で置き換えるのが一般的です。例えば、レシピに「生麹 100g」とあれば「乾燥麹 80g~90g」で代用します。ただし、乾燥麹を使う際は、その分の「戻し湯」の水分量も考慮して、全体の水分量を調整する必要があります。

「米麹」と「麦麹」の違いは何ですか?

これは原料の違いですね。「米麹」は蒸したお米に麹菌を繁殖させたもので、日本酒や味噌、甘酒、みりんなどに使われます。「麦麹」は蒸した大麦やはだか麦に麹菌を繁殖させたもので、主に麦味噌や麦焼酎の原料として使われます。

まとめ:生麹と乾燥麹の違いを知って使い分けよう

生麹と乾燥麹の違い、それぞれの個性と使い分けがお分かりいただけたでしょうか。

どちらも日本の素晴らしい発酵文化の土台となるものです。特徴をまとめると以下のようになります。

  • 生麹酵素力が強い(本格派)。要冷蔵・短期保存。風味豊かに仕上げたい時に。
  • 乾燥麹保存性が良い(手軽)。常温・長期保存。使う前に「ぬるま湯で戻す」のが必須。

「すぐに使う予定があり、力強い発酵をさせたい」なら生麹を、「ストックしておき、好きな時に発酵食品作りを楽しみたい」なら乾燥麹を選ぶと良いでしょう。

麹(こうじ)は、日本の「国菌」にも認定されている重要な菌です。麹菌や発酵食品に関する詳しい情報は、農林水産省の食育関連ページなどでも紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。