「追いがつおつゆ」と「めんつゆ」の違い!だしの香りが劇的に変わる理由

スーパーの調味料売り場でよく目にする「追いがつおつゆ」。

普通の「めんつゆ」と並んで売られていますが、実は「商品名か総称か」と「だしの抽出方法」が決定的に違います。

「名前が違うだけで中身は同じでしょ?」と思って適当に選んでしまうと、そうめんを食べた時の鼻に抜ける香りの良さや、煮物を作った時のだしの余韻に大きな差が出てしまうことをご存知でしょうか?

この記事を読めば、それぞれの特徴を正しく理解して、料理の仕上がりをワンランクアップさせるための賢い使い分けができるようになります。

それでは、まずその決定的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論|追いがつおつゆとめんつゆの違いを一言でまとめる

【要点】

「追いがつおつゆ」はミツカンが販売する商品名で、かつおだしを二段階で抽出する独自製法により「香り」が極めて強いのが特徴です。一方、「めんつゆ」はだしと醤油などを合わせた調味料の「総称」であり、メーカーによって味や特徴は様々です。

まず結論から言うと、この二つは「特定のブランド品(ポルシェ)」と「自動車(総称)」のような関係にあります。

「めんつゆ」という大きなカテゴリの中に、ミツカンの主力商品である「追いがつおつゆ」が存在しています。

ただし、単なる商品名の違いだけでなく、その名の通り「追いがつお」という特殊な製法を用いている点が最大の特徴です。

最も重要な違いを一覧表にまとめましたので、まずはここを押さえておきましょう。

項目追いがつおつゆ(ミツカン)一般的なめんつゆ
定義ミツカンの特定商品ブランドだし入り醤油調味料の総称
製法の特徴「追いがつお」製法(二段階抽出)だしと調味料を混合(一本だし等)
香りの強さかつおの香りが非常に強い商品による(バランス型が多い)
主な濃縮倍率2倍濃縮がメイン(ストレートもあり)2倍、3倍、4倍など様々
得意な料理そうめん、冷や奴、おひたし煮物、天つゆ、丼もの

僕も以前は「どっちもかつおだしでしょ」と思っていましたが、冷やしうどんに「追いがつおつゆ」をかけた時、まるで削りたてのかつお節を乗せたかのような香りの立ち方に驚きました。

これは一般的なめんつゆにはない、明確な個性です。

つまり、「だしの香りを主役にしたいなら追いがつおつゆ、コスパや汎用性を求めるなら一般的なめんつゆ」という使い分けが基本になります。

定義と製法の違い|「ミツカンの独自技術」か「調味料の総称」か

【要点】

「追いがつおつゆ」はミツカンの登録商標であり、旨味を引き出すだしと、香りを引き出すだしを2回に分けて抽出する「追いがつお」製法を採用しています。「めんつゆ」はメーカーを問わず、出汁、醤油、みりん、砂糖などを配合した万能調味料全般を指します。

言葉の定義と、その裏にある技術の違いを掘り下げてみましょう。

「めんつゆ」は、麺料理(うどん、そば、そうめん)を食べるためのつゆとして、あるいは料理の味付けに使う万能調味料として、各メーカーから数多くの商品が販売されています。

ヤマキ、キッコーマン、にんべん、そしてミツカンなどが代表的ですね。

一方、「追いがつおつゆ」は、ミツカンがこだわり抜いて開発した商品ブランドです。

最大の特徴は、その名の由来でもある「追いがつお」製法です。

プロの料理人が行う技法を工場で再現したもので、かつおだしを一度取るだけでなく、仕上げの段階でもう一度かつお節を加えます(追い鰹)。

1回目で濃厚な「旨み」を抽出し、2回目で繊細な「香り」を付加する。

この手間ひまかけた工程こそが、他のめんつゆとは一線を画す香りの秘密なんですね。

味・香り・だしの違い|「旨み」と「香り」の二重奏

【要点】

追いがつおつゆは、かつお節の削りたてのような華やかな香りと、すっきりとした後味が特徴です。一般的なめんつゆは、昆布や煮干しなどをブレンドして複雑な旨味を出したり、甘みを強めたりと、各社ごとの個性が色濃く出ます。

味の傾向を比較すると、そのキャラクターの違いがよく分かります。

ミツカンの「追いがつおつゆ」は、とにかく「かつおの香り」が鮮烈です。

口に入れた瞬間、だしの風味が鼻に抜け、醤油の味は比較的まろやかでカドがありません。

「旨み」と「香り」の二重奏(ダブルだし)が効いており、後味はすっきりとしています。

一方、一般的なめんつゆは、メーカーによって千差万別です。

  • キッコーマン(本つゆ):醤油のキレとコクが強く、濃厚な味わい。
  • ヤマキ(めんつゆ):かつお節屋らしく、だしの旨味と燻製の香りがしっかりしている。
  • にんべん(つゆの素):バランスが良く、少し甘めで濃いめの味付け。

追いがつおつゆは、これらの中で最も「香りの立ち方」に特化したチューニングがされていると言えるでしょう。

料理での使い分け|香りを生かす冷たい料理vs万能な煮炊き

【要点】

追いがつおつゆは、そうめん、冷や麦、冷奴など、加熱せずにそのまま「香り」を楽しむ料理に最適です。一般的なめんつゆ(特に3倍・4倍濃縮)は、煮物や丼ものなど、加熱しても味がボケず、しっかり味を染み込ませたい料理に向いています。

では、具体的にどのような料理で使い分ければ良いのでしょうか。

追いがつおつゆが合う料理:香りを食べる料理

せっかくの「追いがつお」の香りを生かすなら、加熱しない料理や、仕上げに使う料理がベストです。

  • そうめん、冷やしうどんのつけつゆ
  • 冷や奴、おひたし(そのままかける)
  • 納豆のタレの代わり
  • 炊き込みご飯(炊飯器を開けた時の香りが最高)
  • 和風パスタ(仕上げに回しかける)

一般的なめんつゆが合う料理:味を決める料理

特に高濃縮タイプ(3倍、4倍)のめんつゆは、しっかり味をつけたい加熱料理に向いています。

  • 肉じゃが、筑前煮(煮込んでも味がしっかり残る)
  • 親子丼、カツ丼(割下として)
  • 天つゆ(大根おろしに負けない強さ)
  • 野菜炒めの味付け

もちろん、追いがつおつゆで煮物を作っても美味しいですが、長時間煮込むと自慢の香りが少し飛んでしまうことがあるので、仕上げに「追い追いがつおつゆ」をするのが裏技的テクニックです。

濃縮倍率と種類の違い|2倍濃縮が主流の理由

【要点】

追いがつおつゆは「2倍濃縮」が主力製品です。これはだしの風味と醤油のバランスが最も良く、ストレートに近い感覚で使えるためです。一般的なめんつゆには3倍、4倍濃縮もあり、これらはコスパや収納性に優れています。

スーパーで買う時、濃縮倍率を気にしたことはありますか?

実は、ミツカンの「追いがつおつゆ」は「2倍濃縮」がメインです。

これは、麺のつけつゆとして使う時に「つゆ1:水1」で割るタイプです。

なぜ3倍や4倍にしないのかというと、濃縮しすぎると、どうしてもだしの繊細な香りが飛びやすくなったり、醤油の塩辛さが際立ったりしてしまうからです。

「だしの香り」を最優先するミツカンのこだわりが、この2倍という数字に表れているんですね。

一方、キッコーマンの「本つゆ(4倍濃縮)」や一般的な「3倍濃縮」のめんつゆは、少量で味が決まるためコスパが良いのがメリットです。

「質(香り)の追いがつお(2倍)」、「量(コスパ)の高濃縮めんつゆ」という選び方も一つの基準になります。

歴史・開発背景|かつお節の香りを閉じ込める挑戦

【要点】

ミツカンは1980年代からつゆ製品の開発に力を入れ、「家庭でもプロの味を」というコンセプトのもと、かつお節の香りを最大限に引き出す技術を追求してきました。「追いがつお」という言葉自体を商品名に冠することで、その製法への自信を表現しています。

ミツカンといえばお酢のイメージが強いですが、実はつゆや鍋の素でもトップシェアを誇るメーカーです。

「追いがつおつゆ」が登場する以前、家庭で使うめんつゆは「便利だけど、お店の味にはかなわない」という存在でした。

そこでミツカンは、「だしの香り」こそが美味しさの鍵だと考え、日本料理の技法である「追いがつお」を工業的に再現することに挑戦しました。

かつお節を粉砕するタイミングや抽出温度、時間などを徹底的に研究し、現在の香り高い商品が完成したのです。

ちなみに、ミツカンは「追いがつお」の商標を持っています。

それだけ、この製法と名前にプライドを持っているということですね。

体験談・そうめんと煮物で香りを比較してみた

実際に、休日のランチで「そうめん」と「肉豆腐」を作って、追いがつおつゆと一般的な3倍濃縮めんつゆ(他社製)を比較してみました。

まず「そうめん」

追いがつおつゆ(2倍希釈)につけて啜ると、口いっぱいに広がるかつおの香りが段違いでした。

薬味のネギやショウガを入れても、だしの存在感が消えません。

「あ、これお店で食べる味に近いな」と素直に感じました。

一方、3倍濃縮めんつゆは、美味しいのですが少し醤油の塩気が舌に残り、香りの余韻は短く感じました。

次に「肉豆腐」

こちらは意外な結果になりました。

追いがつおつゆで作った肉豆腐は、上品で優しい味。

料亭風と言えば聞こえはいいですが、ご飯のおかずとしては少しパンチが足りない気もしました。

逆に、3倍濃縮めんつゆで作った方は、味が具材に染み込んでいて、ご飯がバクバク進む「お袋の味」になりました。

この経験から、「香りで食べるなら追いがつお、ご飯に合わせるなら高濃縮めんつゆ」という自分なりの使い分けルールができました。

FAQ(よくある質問)

Q. 追いがつおつゆはストレートタイプもありますか?

A. はい、あります。「追いがつおつゆストレート」として販売されており、水で割らずにそのままそうめんや蕎麦のつけつゆとして使えます。濃縮タイプよりもさらに香りが良く、手軽ですが、開封後は日持ちしないため早めに使い切る必要があります。

Q. めんつゆの代わりに追いがつおつゆをレシピ通り使ってもいいですか?

A. レシピが「3倍濃縮」を指定している場合、「2倍濃縮」の追いがつおつゆを同量使うと味が薄くなってしまいます。レシピの分量より1.5倍ほど多めに入れるか、水の量を減らして調整してください。

Q. 開封後の賞味期限は?

A. 濃縮タイプでも、開封後は冷蔵庫で保存し、1ヶ月〜2ヶ月程度で使い切るのが目安です。特に追いがつおつゆは香りが命ですので、酸化して風味が落ちる前に使い切ることをおすすめします。

まとめ|香りを楽しむなら追いがつお、万能さならめんつゆ

ここまで追いがつおつゆとめんつゆの違いについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後に、それぞれの使い分けを改めて整理しておきます。

  • だしの華やかな香りを楽しみ、冷たい麺や和え物をリッチにしたいなら「追いがつおつゆ」
  • 煮物や丼ものなど、加熱調理で味をしっかり決めたいなら「一般的な高濃縮めんつゆ」

この法則を知っておけば、スーパーの棚の前で迷うこともなくなります。

ぜひ、今度のそうめんランチには「追いがつおつゆ」を、晩御飯の煮物にはいつものめんつゆを使い分けて、その違いを舌で感じてみてください。

いつもの食卓が、香りの魔法でもっと豊かになるはずですよ。

他の調味料についても知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

調味料の違いまとめ|料理の味を決める基本の使い分け