クリスマスシーズンになると、パン屋さんや輸入食品店で見かける、大きなイタリアの伝統的なお菓子「パンドーロ」と「パネトーネ」。
どちらも黄色くふんわりとしたパンのようですが、この二つの明確な違いをご存知ですか?
結論から言うと、「パネトーネ」はドライフルーツが入ったドーム型の菓子パンで、「パンドーロ」はフルーツが入っていない星型の菓子パンです。
この記事を読めば、二つの発祥地から、製法、味、そして本場イタリアでの楽しみ方まで、その違いがスッキリとわかります。
今年のクリスマスは、どちらを選びますか?それでは、詳しく見ていきましょう。
結論|パンドーロとパネトーネの違いが一目でわかる比較表
最大の違いは「形状」と「中身」です。「パネトーネ」はドライフルーツ(レーズンや柑橘ピール)が入ったドーム型が特徴です。一方、「パンドーロ」は星型で、生地にはフルーツ類が入っていません。どちらもイタリアのクリスマスに欠かせない伝統菓子です。
まずは、パンドーロとパネトーネの最も重要な違いを、比較表で確認しましょう。
| 項目 | パンドーロ(Pandoro) | パネトーネ(Panettone) | 
|---|---|---|
| 発祥地 | ヴェローナ(ヴェネト州) | ミラノ(ロンバルディア州) | 
| 形状 | 星型(八角形の専用型で焼く) | ドーム型(円筒形の紙型で焼く) | 
| 中身(具材) | 入っていない(シンプルな生地) | ドライフルーツ(レーズン、オレンジピール等)入り | 
| 主な原材料 | 小麦粉、卵黄、バター、砂糖、酵母 | 小麦粉、卵黄、バター、砂糖、パネトーネ種、ドライフルーツ | 
| 食感 | きめ細かく、ふんわり、シフォンケーキのよう | しっとり、ふんわり、独特の口どけ | 
| 食べ方 | 粉砂糖を全体にまぶす | そのままカットして食べる | 
| 名前の意味 | 黄金のパン(Pan d’oro) | 大きなパン(Panettone) | 
このように、同じイタリアのクリスマス菓子でありながら、発祥地も見た目も中身も全く異なる個性を持っているんですね。
「パンドーロ」と「パネトーネ」の違いとは?発祥地と形状
二つはイタリアの異なる都市で生まれました。「パネトーネ」はミラノ発祥のドーム型、「パンドーロ」はヴェローナ発祥の星型です。
この二つのお菓子は、イタリアの異なる都市の銘菓として発展してきました。
「パネトーネ」はミラノ発祥のドーム型菓子パン
「パネトーネ(Panettone)」は、イタリア北部ロンバルディア州のミラノ発祥の伝統的な発酵菓子パンです。その名は「大きなパン」を意味します。
背の高い円筒形の紙型に入れて焼き上げるため、上部がドーム状に大きく膨らんだキノコのような形が特徴です。クリスマスには欠かせないお菓子として、イタリア全土、さらには世界中で愛されています。
「パンドーロ」はヴェローナ発祥の星型菓子パン
「パンドーロ(Pandoro)」は、イタリア北部ヴェネト州のヴェローナ発祥の伝統菓子です。「ロミオとジュリエット」の舞台としても有名な街ですね。
その名前は「Pan d’oro(黄金のパン)」を意味し、生地にたっぷりと使われた卵黄による黄金色に由来すると言われています。
パネトーネとは異なり、断面が八角形の星型になる専用の型で焼かれるのが最大の特徴です。
【核心】原材料と製法の違い
決定的な違いは「具材」と「酵母」です。パネトーネはレーズンなどのドライフルーツを混ぜ込み、伝統的な「パネトーネ種」で長時間発酵させます。パンドーロは具材を入れず、卵黄とバターをふんだんに使ったリッチな生地そのものを味わいます。
見た目だけでなく、中身と製法にも決定的な違いがあります。
パネトーネ:パネトーネ種とドライフルーツ
パネトーネの最大の特徴は、レーズン、オレンジピール、シトロンピールなどのドライフルーツが生地にたっぷりと練り込まれていることです。(最近ではチョコレートチップ入りのものもあります)。
また、伝統的な製法では「パネトーネ種(だね)」と呼ばれる自然酵母を使います。これは酵母と乳酸菌が共生する特別な種で、10時間以上かけてゆっくりと長時間発酵させることで、独特の風味としっとりとした口どけ、そして優れた保存性を生み出しています。
パンドーロ:フルーツなし、卵とバターのリッチな生地
パンドーロの最大の魅力は、そのシンプルな生地にあります。
生地にはドライフルーツ類を一切入れません。その代わり、卵黄とバターをパネトーネ以上にふんだんに使用し、バニラの香りを効かせたリッチなブリオッシュ生地に近いものです。
パネトーネのようなフルーツの風味ではなく、卵とバターが織りなす「黄金のパン」の名にふさわしい、リッチな生地そのものの味わいを楽しみます。
味・食感・食べ方の違い
パネトーネはドライフルーツの甘酸っぱさとしっとり感が特徴です。パンドーロはきめ細かくふんわりとした食感で、食べる直前に粉砂糖を全体にまぶし、まるで雪化粧をしたクリスマスツリーのようにして食べるのが伝統です。
パネトーネ:しっとり食感とフルーツの風味
パネトーネの食感は、パネトーネ種による長時間発酵のおかげで、非常にしっとりとしており、独特の口どけがあります。
味わいは、生地の甘さに加え、練り込まれたレーズンや柑橘ピールの甘酸っぱさがアクセントとなっています。食べ方は、そのまま縦にカットして、フルーツの断面を楽しみながら食べるのが一般的です。
パンドーロ:ふんわり食感と粉砂糖の雪化粧
パンドーロの食感は、パネトーネよりもさらにふんわりと軽く、きめ細かいシフォンケーキにも例えられます。卵とバターのリッチな風味が主役です。
そして、食べ方にはユニークな「お作法」があります。パンドーロには通常、別添えで粉砂糖の袋がついています。
食べる直前に、この粉砂糖を袋の中(あるいは箱の中)でパンドーロ全体にまぶし、真っ白に雪化粧をさせます。星型の山に雪が積もった姿は、まさにクリスマスツリーのようですね。
カットする際は、横にスライスすると星型が楽しめ、クリームやジャムを挟んでデコレーションする食べ方もあります。
体験談|クリスマスに食べ比べる二つの伝統菓子
僕もクリスマスの時期になると、どちらを買おうか毎年悩んでしまいます。
「パネトーネ」は、あのドーム型の大きな見た目がクリスマスの高揚感を高めてくれますよね。カットした時に現れる、色とりどりのドライフルーツの断面は本当に華やかです。一口食べると、オレンジピールの爽やかな香りが鼻に抜け、レーズンの甘みが生地と一体となって…これはもう、コーヒーや赤ワインが止まらなくなります。
一方の「パンドーロ」は、初めて食べた時、その食べ方に感動しました。
大きな袋にパンドーロ本体と粉砂糖を入れ、袋の口を閉じてシャカシャカと振る! まるで雪を降らせる儀式のようで、子供と一緒にやると大盛り上がりです。
真っ白に雪化粧した星型のパンは、見た目からしてクリスマス気分満点。味はとてもシンプルですが、卵とバターの風味が濃厚で、リッチな気分にさせてくれます。生地がシンプルだからこそ、粉砂糖の優しい甘さが引き立ちますね。
フルーツの複雑な風味としっとり感を楽しむならパネトーネ、リッチな生地と粉砂糖のシンプルな甘さ、そしてイベント感を楽しむならパンドーロ、というのが僕の結論です。
「パンドーロ」「パネトーネ」に関するよくある質問(FAQ)
パンドーロとパネトーネに関して、よくある疑問にお答えします。
パネトーネ種とは何ですか?
イタリア北部で100年以上も前から伝統的に受け継がれてきた自然酵母(パン種)です。空気や気候が適した北イタリアの環境で育まれ、酵母と乳酸菌が共生しているのが特徴です。この種を使うことで、10時間以上という長時間発酵が可能になり、独特の風味と口どけ、優れた保存性を生み出します。
パンドーロの美味しい食べ方は?
まずは、付属の粉砂糖を全体にたっぷりまぶして食べるのが伝統的な方法です。
また、横にスライスすると星型になるので、スライスした間にマスカルポーネクリームやジャム、アイスクリームなどを挟んで重ねていくと、クリスマスツリーのような豪華なデザート(デコパン)としても楽しめますよ。
残ってしまったら、どう保存すればいいですか?
どちらも乾燥が大敵です。しっかりとラップに包むか、購入時の袋に入れて密閉し、常温で保存してください。パネトーネはパネトーネ種の効果で数週間日持ちするものもあります(製品表示をご確認ください)。パンドーロも日持ちは約55日という例もあります。
もし少しパサついてきたら、軽くトーストしたり、フレンチトーストにアレンジしたりするのもおすすめです。
まとめ|フルーツ好きは「パネトーネ」、シンプル派は「パンドーロ」
「パンドーロ」と「パネトーネ」の違い、これでスッキリしましたね。
どちらもイタリアのクリスマスを彩る、歴史ある素晴らしい発酵菓子パンです。
- パネトーネ:ミラノ発祥。ドライフルーツがたっぷり入ったドーム型。しっとり食感と複雑な風味を楽しみたい方に。
 - パンドーロ:ヴェローナ発祥。フルーツなしのシンプルな星型。粉砂糖をまぶして、リッチな生地の風味を楽しみたい方に。
 
「フルーツケーキが好きならパネトーネ、シンプルなスポンジやブリオッシュが好きならパンドーロ」と選ぶと失敗がないでしょう。
今年のクリスマスは、ぜひ両方食べ比べて、イタリアの伝統的なクリスマスの雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。
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