ピオーネと巨峰の違いとは?味・種なし・皮の食べやすさを徹底比較

ピオーネと巨峰、どちらも日本を代表する大粒の黒ぶどう(紫黒色ぶどう)ですが、その個性は見た目以上に異なります。

結論|ピオーネと巨峰の違いが一目でわかる比較表

最大の違いは、ピオーネが「種なしで皮がむきやすく、マスカット系の爽やかな香り」を持つのに対し、巨峰は「濃厚な甘みとコク、独特の芳醇な香り(巨峰香)」を持つ点です。

まずは、この二つの特徴の違いを一覧表で比較してみましょう。

項目ピオーネ巨峰(きょほう)
主な特徴種なしで食べやすい。爽やかなマスカット香。濃厚な甘みとコク。「ぶどうの王様」。
親の交配「巨峰」×「カノンホール・マスカット」「石原早生」×「センテニアル」
見た目(粒・色)非常に大粒。紫黒色。丸い形。大粒。紫黒色。やや楕円形。
皮の厚さ・むきやすさ厚めだが、果肉と離れやすく、むきやすい。厚め。皮と果肉がやや離れにくい。
種の有無「種なし」が主流(ニューピオーネ)「種あり」が基本(種なし巨峰もある)
食感果肉が締まり、プリッとした歯ごたえ。果肉はやや柔らかめ。非常にジューシー。
味・香り強い甘みと適度な酸味。マスカット系の爽やかな香り。非常に強い甘みとコク。酸味は穏やか。独特の芳醇な香り(巨峰香)。
旬の時期8月下旬~10月頃8月下旬~10月頃
価格帯やや高価(種なし処理の手間)標準~高価

このように、ピオーネは巨峰を親に持ちながらも、マスカット系の特徴を受け継ぎ、「食べやすさ」と「爽やかな香り」が際立つ品種なんですね。

それでは、さらに詳しくそれぞれの違いを掘り下げていきましょう。

ピオーネと巨峰とは?「ぶどうの王様」とその進化

【要点】

ピオーネと巨峰は、どちらも「ぶどうの王様」と呼ばれる巨峰の系統です。巨峰は日本で生まれた黒ぶどうの代表品種であり、ピオーネは巨峰をさらに改良(交配)して生み出された、巨峰の子どもにあたる品種です。

この二つのぶどうは、実は「親子」のような関係性にあります。

巨峰(きょほう)

「ぶどうの王様」とも呼ばれ、日本で最も広く知られている大粒の黒ぶどう(紫黒色)ですよね。

1942年(昭和17年)に静岡県の育種家・大井上康(おおいがみ やすし)氏によって作られました。「石原早生」と「センテニアル」という品種を交配させたものです。

「巨峰」という名前は、開発された試験地から見える富士山の雄大な姿にちなんで名付けられました。

ピオーネ

ピオーネは、巨峰をさらに改良するために、1957年(昭和32年)に同じく大井上康氏によって作られました。

「巨峰」を母親、「カノンホール・マスカット」を父親として交配させた品種です。つまり、巨峰の「子」にあたります。

「ピオーネ(Pione)」という名前は、イタリア語で「開拓者」を意味し、ぶどうの新しい時代を切り開く品種になるようにとの願いが込められています。

見た目・皮・種の違い

【要点】

見た目はどちらも大粒の紫黒色で似ていますが、ピオーネの方がやや粒が大きく、丸い傾向があります。最大の違いは「種」で、現在流通しているピオーネのほとんどは「種なし」ですが、巨峰は「種あり」が基本です(種なし巨峰もあります)。

スーパーの店頭では非常によく似ている二つですが、細かく見ると違いがあります。

見た目・粒の大きさ

どちらも非常に大粒のぶどうです。一般的に、ピオーネの方が巨峰よりも一回り大きく育つ傾向にあります。また、ピオーネはきれいな丸い粒形をしていますが、巨峰は少し楕円形(短楕円)になることが多いです。

皮の厚さとむきやすさ

どちらも皮は厚めです。しかし、ピオーネは巨峰に比べて皮と果肉が離れやすく(剥皮性(はくひせい)が良い)、手でつるんとむきやすいのが大きな特徴です。

巨峰は皮が果肉にやや密着しているため、ピオーネに比べると少しむきにくい場合があります。

種の有無

ここが消費者にとって最も大きな違いかもしれません。

ピオーネは、栽培段階でジベレリン(植物ホルモン)処理を施すことで、「種なし」にするのが現在では主流です。市場に出回るピオーネの多くは「ニューピオーネ」という名称で売られており、これが種なしピオーネのことを指します。

一方、巨峰は伝統的に「種あり」が基本です。しかし、近年ではピオーネ同様にジベレリン処理を施した「種なし巨峰」も多く生産・販売されており、人気を集めています。

味・香り・食感(糖度・酸味)の違い

【要点】

味は、巨峰が「強い甘みと濃厚なコク、独特の芳香(巨峰香)」を持つのに対し、ピオーネは「マスカット系の爽やかな香り、すっきりした強い甘み、適度な酸味」が特徴です。

巨峰の「子」であるピオーネですが、もう片方の親であるマスカットの特性を強く受け継いでおり、味わいは明確に異なります。

糖度と酸味

糖度はどちらも16度以上になることが多く、非常に甘い品種です。

巨峰は、酸味が穏やかなため、その分「濃厚な甘みとコク」を強く感じます。これが「ぶどうの王様」たる所以(ゆえん)ですね。

ピオーネは、巨峰よりも酸味がややしっかりしています(0.4~0.6%程度)。そのため、糖度が高くても甘ったるくならず、「すっきりとした爽やかな甘さ」を感じられます。

香り

巨峰には、「巨峰香(きょほうこう)」と呼ばれる、フォクシー香とも言われる独特の芳醇な香りがあります。これはアメリカ系のぶどうに由来する香りで、日本のぶどうジュースの香りとして多くの人が思い浮かべる香りです。

ピオーネは、親であるカノンホール・マスカットから「マスカット香」を受け継いでいます。巨峰香はほとんどなく、爽やかでフルーティーなマスカット系の香りがするのが最大の特徴です。

食感

巨峰は、果肉が比較的柔らかく、果汁が非常に多いのが特徴です。

ピオーネは、巨峰よりも果肉がキュッと締まっており、「プリッ」とした歯ごたえのある食感を楽しめます。それでいて果汁も豊富なのが人気の理由です。

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

ピオーネも巨峰も、栄養価に大きな違いはありません。どちらもブドウ糖や果糖といった糖質を主成分とし、ビタミンやミネラルを含みます。特に皮には、抗酸化作用で知られるポリフェノールの一種「アントシアニン」が豊富に含まれています。

どちらの品種も、ぶどうとして優れた栄養素を含んでいます。

  • ブドウ糖・果糖:主なエネルギー源となり、速やかに体内に吸収されるため、疲労回復に役立つとされています。
  • アントシアニン(ポリフェノール):紫黒色の皮に豊富に含まれる色素成分です。強い抗酸化作用を持つことで知られ、目の健康維持などに良いとされています。
  • レスベラトロール:同じく皮や種に含まれるポリフェノールの一種で、健康維持への効果が期待されています。

これらの栄養素、特にポリフェノールは果肉よりも皮や種に多く含まれています。栄養を効率よく摂ることを考えるなら、皮ごと食べるのが理想的です。(出典:農林水産省「食育の推進」

使い方・食べ方の違い(皮は食べられる?)

【要点】

ピオーネも巨峰も、基本的には皮をむいて生で食べるのが最もおすすめです。ピオーネは皮がむきやすく、種もないため、非常に食べやすいです。巨峰(種あり)は、種の周りの酸味がまた違った味わい深さがあります。どちらも皮は食べられますが、厚みがあり渋みを感じることがあります。

どちらも生食で非常に美味しいぶどうですが、食べやすさや加工適性に少し違いがあります。

皮は食べられるか?

ピオーネも巨峰も、皮ごと食べることは可能です。皮には前述のアントシアニンなどの栄養が豊富に含まれています。

しかし、どちらの品種も皮は比較的厚く、特に巨峰は皮に渋みを感じやすいため、一般的には皮をむいて食べるのが主流です。ピオーネの方が皮の渋みは少ない傾向にありますが、やはりむいた方が果肉の美味しさを純粋に楽しめます。

もし皮ごと食べたい場合は、ナガノパープルやシャインマスカットなど、皮ごと食べられるように改良された専用の品種を選ぶのが良いでしょう。

おすすめの食べ方

ピオーネは、種なしで皮もむきやすいため、そのまま生で食べるのが一番です。その美しい大粒は、タルトやパフェ、フルーツ大福といったスイーツの主役としても非常に映えます。

巨峰も、もちろん生食が基本です。「種あり」の巨峰は、種の周りにある酸味が果肉の濃厚な甘さを引き立てる、奥深い味わいがあります。「種なし巨峰」は、お子様でも食べやすくて人気ですね。果汁が豊富なため、ジュースやスムージーにするのもおすすめです。

旬の時期・産地・価格の違い

【要点】

旬の時期はどちらも夏の終わりから秋(8月下旬~10月頃)で、ほぼ重なります。主な産地は巨峰が山梨県や長野県、ピオーネが岡山県や山梨県、長野県です。価格は、ピオーネの方が栽培に手間がかかる(種なし処理など)ため、巨峰よりもやや高価な傾向にあります。

旬の時期や主な産地、価格帯についても比較してみましょう。

旬の時期

旬の時期は、どちらも夏の終わりから秋にかけての、ほぼ同じ時期です。

  • 巨峰の旬:8月下旬から10月頃まで。
  • ピオーネの旬:巨峰とほぼ同じ8月下旬から10月頃まで。

ハウス栽培のものはこれより早い時期から出回ることもあります。

主な産地

巨峰は、山梨県と長野県が二大産地として有名です。その他、福岡県や愛知県などでも栽培されています。

ピオーネは、岡山県(「ニューピオーネ」の生産量日本一)が最大の産地です。次いで山梨県、長野県、福岡県など、西日本から東日本まで広く栽培されています。

価格

どちらも高級ぶどうとして贈答用にも使われますが、一般的に、ピオーネの方が巨峰よりも1〜2割程度高値で取引されることが多いです。

これは、ピオーネの「種なし」処理に栽培の手間(コスト)がかかることが大きな理由です。ただし、近年は「種なし巨峰」も増えており、栽培方法や品質(等級)、粒の大きさによって価格は変動するため、価格差は小さくなる傾向にあります。

体験談|ピオーネと巨峰を食べ比べてみた

見た目がそっくりなピオーネと巨峰。僕も昔は「どっちも同じ大粒の黒ぶどうでしょ?」と正直、あまり違いを意識せずに食べていました。

ある秋に、親戚から立派な巨峰とピオーネが両方送られてくるという幸運な出来事がありました。これはチャンスと、贅沢にも一粒ずつ食べ比べてみたんです。

まず巨峰を一口。「あ、これこれ!」と思わず声が出る、懐かしくて濃厚な甘みと香り。ぶどうジュースの原点のような、ガツンとくる甘さとコク。種はありましたが、その周りの酸味がまた味を引き締めてくれます。

次にピオーネ。「種なし」なのでパクッと口に入れられます。噛んだ瞬間、巨峰の柔らかな食感とは違う、「プリッ!」とした強い弾力に驚きました。そして、広がるのはマスカットのような爽やかな香り!

甘みも強いのですが、酸味も適度にあるため、巨峰の「濃厚な甘さ」とは違う、「すっきりした甘さ」なんです。皮もつるんとむけて、ストレスがありません。

巨峰は「王者の風格が漂う、濃厚な味」、ピオーネは「王の血を引く、洗練されたエリート」という印象。濃厚なコクを求めるなら巨峰、爽やかな香りと食べやすさを求めるならピオーネ。どちらも甲乙つけがたい美味しさだと実感した体験です。

ピオーネと巨峰に関するよくある質問

ここでは、ピオーネと巨峰の違いに関してよく寄せられる質問にお答えしますね。

Q. ピオーネと「ニューピオーネ」の違いは何ですか?

A. 基本的には同じものです。「ニューピオーネ」は、ピオーネを種なし栽培(ジベレリン処理)したものを指す名称、あるいはブランド名です。現在流通しているピオーネのほとんどがこの「ニューピオーネ」ですね。

Q. 巨峰とナガノパープルの違いは何ですか?

A. ナガノパープルも巨峰系のぶどうですが、最大の違いは「皮ごと食べられる」点です。巨峰やピオーネは皮が厚いためむいて食べますが、ナガノパープルは皮が薄く、渋みもないため、皮ごとパリッと食べられます。ナガノパープルも種なしで栽培されます。

Q. 結局、どっちが甘いですか?

A. 糖度自体はどちらも16度以上と非常に高いレベルで大きな差はありません。ただし、ピオーネの方が酸味も程よくあるため「甘酸っぱく」、巨峰は酸味が穏やかなため「より濃厚に甘く」感じられる傾向があります。甘さの「質」が違うと考えると良いでしょう。

まとめ|どちらを選ぶべきか?

ピオーネと巨峰の違い、明確になりましたでしょうか。

どちらも「ぶどうの王様」の血を引く、日本を代表する高級ぶどうです。

  • ピオーネ「種なし」で「皮がむきやすい」食べやすさを重視する方、マスカット系の爽やかな香りとすっきりした甘み、プリッとした食感が好きな方におすすめです。
  • 巨峰「ぶどうの王様」ならではの、濃厚な甘みとコク、独特の芳醇な香りを楽しみたい方におすすめです。「種あり」ならではの奥深い味わいも魅力です。

どちらも旬の時期はほぼ同じです。お子様や手軽に楽しみたい方にはピオーネ、ぶどう本来の濃厚な味わいを求める方には巨峰(特に種あり)が好まれるかもしれませんね。

ぜひ、旬の時期に両方を食べ比べて、お好みの味を見つけてみてください。こうした野菜・果物の違いを知ると、選ぶ楽しみがさらに増えますね。