「Prawn(プラウン)」と「Shrimp(シュリンプ)」、どちらも日本語に訳すと「エビ」ですよね。
海外のレストランでメニューを見たり、レシピを調べたりするとき、「この2つ、何が違うの?」と戸惑ったことはありませんか?
結論から言うと、PrawnとShrimpの最大の違いは「使われる地域(言語)」です。
一般的に、イギリス英語圏(イギリス、オーストラリアなど)では「Prawn」が、アメリカ英語圏では「Shrimp」が、大小問わず「エビ」全般を指す言葉として使われる傾向があります。
生物学的な分類の違いも存在しますが、日常会話や料理の世界ではこの「地域差」が最も大きな違いと言えるでしょう。
この記事を読めば、言語的な違いから生物学的な分類、そして日本語の「エビ」がどちらにあたるのかまで、PrawnとShrimpの違いが明確にわかりますよ。
PrawnとShrimpの違いとは?結論(比較一覧表)
PrawnとShrimpは、どちらも日本語の「エビ」を指しますが、最も大きな違いは「言語的な使い分け」です。一般的にイギリス英語圏では「Prawn」、アメリカ英語圏では「Shrimp」が使われます。生物学的な分類(鰓の構造や腹節の重なり方)も存在しますが、これは厳密なものではなく、料理の世界ではしばしば混同されます。
PrawnとShrimpの複雑な違いを、まずは一覧表で整理してみましょう。
| 項目 | Prawn(プラウン) | Shrimp(シュリンプ) |
|---|---|---|
| 主な使用地域 | イギリス、オーストラリアなど(英連邦) | アメリカ、カナダなど |
| 日本語訳 | エビ(主に大型を指す傾向) | エビ(主に小型を指す傾向) |
| 生物学的分類(一説) | 根鰓亜目(こんさいあもく) (Dendrobranchiata) | 抱卵亜目(ほうらんあもく) (Pleocyemata) |
| 鰓(えら)の構造 | 枝分かれしている | 葉のような形(層状) |
| 腹部の構造 | 第2腹節が第1・第3腹節に重なる | 第2腹節が第1腹節に重なる |
| 繁殖方法 | 卵を水中に放出する(卵を抱かない) | 受精卵を腹部に抱えて保護する |
| 該当する主なエビ | クルマエビ、ブラックタイガー、バナメイエビ | サクラエビ、シバエビ、アマエビ(ホッコクアカエビ) |
このように、言語的な使い分けが主流である一方、生物学的な分類も存在することがわかりますね。
PrawnとShrimpの定義と語源
PrawnとShrimpは、どちらも中世英語に語源を持つ言葉です。Prawnは古英語から、Shrimpは「小さい人」や「縮んだ」という意味合いから派生したと考えられていますが、どちらも歴史的にエビ類を指す言葉として使われてきました。
Prawn(プラウン)とは?
「Prawn」という言葉は、中世英語の「prayne」や「prane」に由来するとされています。その正確な起源ははっきりしていませんが、古くからイギリスでエビ類を指す言葉として使われてきました。
現代のイギリス英語圏では、これが「エビ」を指す最も一般的な単語となっています。
Shrimp(シュリンプ)とは?
「Shrimp」は、中英語の「shrimpe」に由来し、これは古ノルド語の「skreppa(細い、縮んだ)」や古英語の「scrimman(縮む)」に関連があると考えられています。
元々は「小さい、痩せた人」を指す言葉としても使われており(シェイクスピアの作品にも登場します)、そこから転じて「小さな甲殻類」、すなわち「小エビ」を指すようになったとされています。
この「小さい」という語源のイメージが、アメリカ英語で「エビ=Shrimp」として定着する一因になったのかもしれませんね。
【最大の違い】イギリス英語 vs アメリカ英語
PrawnとShrimpの使い分けで最も顕著なのは地域差です。イギリスやオーストラリアなど英連邦では、大小問わず「Prawn」が主流です。一方、アメリカやカナダでは「Shrimp」が主流で、Prawnは大型のエビを指す場合に使われることもありますが、基本的にはShrimpで通じます。
生物学的な分類はさておき、ネイティブスピーカーが日常でどう使い分けているかが一番重要ですよね。これが、国によって全く異なるのです。
イギリス英語(英連邦):「Prawn」が一般的
イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど、イギリス英語(または英連邦)の影響が強い国々では、「エビ」と言えば「Prawn」を使うのが一般的です。
スーパーの鮮魚コーナーでも、レストランのメニューでも、「Prawns」と表記されていることがほとんどです。「Shrimp」という単語も知られていますが、日常的にはあまり使われず、非常に小さな特定の種類のエビ(例えば「Brown Shrimp」)を指す場合などに限定されることが多いようです。
アメリカ英語:「Shrimp」が一般的
一方、アメリカやカナダでは、「エビ」と言えば「Shrimp」を使うのが圧倒的に主流です。
アメリカ人も「Prawn」という単語を知らないわけではありません。一般的には「Shrimpよりも大きなエビ」や「淡水に生息するエビ(Freshwater Prawns)」を指す言葉として認識されていることが多いようです。
しかし、料理の世界ではこの区別は曖昧で、レストランで「Jumbo Shrimp(ジャンボシュリンプ)」というメニューもあれば、「King Prawns(キングプラウン)」というメニューも存在し、結局は「大きなエビ」という意味合いで混同されて使われているのが実情です。
「イギリス人はPrawn、アメリカ人はShrimp」と覚えておけば、大きな混乱は避けられるでしょう。
【生物学的】PrawnとShrimpの分類学上の違い
生物分類学上の一説では、Prawnは「根鰓亜目(こんさいあもく)」、Shrimpは「抱卵亜目(ほうらんあもく)」に分けられます。Prawnは卵を海水中に放出し、Shrimpは受精卵をお腹に抱えて守るという、繁殖方法に決定的な違いがあります。
日常会話では地域差が全て、となりがちですが、生物学の世界ではPrawnとShrimpを明確に区別する分類方法が存在します。
分類(根鰓亜目 vs 抱卵亜目)
エビ類(エビ亜目)は、その生態や体の構造によって、大きく2つのグループ(亜目)に分けられます。
- Prawn(プラウン):主に「根鰓亜目(こんさいあもく)」に属するエビ。
- Shrimp(シュリンプ):主に「抱卵亜目(ほうらんあもく)」に属するエビ。
この分類は、日常的な感覚とは少し異なりますよね。日本でよく食べられるエビをこの分類に当てはめてみると、以下のようになります。
- Prawn (根鰓亜目) の仲間:クルマエビ、ウシエビ(ブラックタイガー)、バナメイエビ、シバエビ、サクラエビ
- Shrimp (抱卵亜目) の仲間:アマエビ(ホッコクアカエビ)、スジエビ、テナガエビ、伊勢海老、ロブスター
驚くべきことに、サクラエビやシバエビは生物学的にはPrawnの仲間であり、逆に伊勢海老やロブスターはShrimpの仲間に分類されるのです。これは一般的な「Prawn=大きい」「Shrimp=小さい」というイメージとは全く異なりますね。
構造の違い(鰓・腹部)
この2つの亜目は、体の基本的な構造が異なります。
- 鰓(えら)の構造:Prawn(根鰓亜目)は鰓が木の枝のように枝分かれしています。Shrimp(抱卵亜目)は鰓が葉のような層状になっています。
- 腹部の構造:Prawnは、お腹の第2節の甲羅が、第1節と第3節の甲羅に重なる形(前から順番に重なる)になっています。一方、Shrimpは、第2節の甲羅が、第1節の甲羅に重なる形になっています。
繁殖方法の違い(卵を放つ vs 抱える)
分類名にもなっている通り、繁殖方法に決定的な違いがあります。
- Prawn(根鰓亜目):メスは受精卵を海水中に直接放出します。卵を抱えて守ることはしません。
- Shrimp(抱卵亜目):メスは受精卵をお腹の脚(遊泳脚)に付着させ、孵化するまで抱えて守ります。
これが生物学的な最も明確な違いと言えるでしょう。
見た目・大きさ・味に違いはある?
「Prawn=大きい」「Shrimp=小さい」というイメージはありますが、生物学的な分類とは一致しません(例:サクラエビはPrawnの仲間)。味や食感、色などの違いは、PrawnかShrimpかという分類によるものではなく、あくまで「エビの種類」そのもの(例:クルマエビ、アマエビ)によります。
では、この違いが味や見た目に反映されるのでしょうか?
大きさはアテになる?
前述の通り、アメリカ英語では「大きいエビ=Prawn」というイメージがありますが、生物学的にはアテになりません。
日本で「小エビ」の代表格であるサクラエビは、卵を抱えない「根鰓亜目」なのでPrawnの仲間です。逆に、非常に大型になる伊勢海老やロブスターは、卵を抱える「抱卵亜目」なのでShrimpの仲間です。
したがって、「大きさ」でPrawnとShrimpを区別することはできません。
味の違い
味や食感、身の色(赤み)なども、PrawnかShrimpかという分類では決まりません。
例えば、Prawnの仲間であるブラックタイガーは加熱すると鮮やかな赤色になりプリプリした食感ですが、同じPrawnの仲間であるサクラエビは小さく柔らかいですよね。
Shrimpの仲間であるアマエビは生で食べるとトロリとして甘みが強いですが、同じShrimpの仲間であるスジエビは淡白です。
結局のところ、味や食感は、あくまでその「エビの種類」や「鮮度」「調理法」によって決まるということです。
料理メニューでの使い分け(Prawn Cocktail vs Shrimp Scampi)
料理名を見れば、そのレストランがイギリス英語圏かアメリカ英語圏かが分かります。代表例は、イギリスの定番「Prawn Cocktail(プローン・カクテル)」と、アメリカの定番「Shrimp Scampi(シュリンプ・スキャンピ)」です。どちらも「エビ料理」であることに変わりはありません。
海外のレストランで、この違いが最も顕著に表れるのがメニュー表記です。
- Prawn Cocktail(プローン・カクテル):茹でたエビをカクテルソースで和えた冷製オードブル。イギリスのパブやレストランでは定番中の定番メニューです。「Prawn」が使われていることから、イギリス英語圏の影響が強いことがわかります。
- Shrimp Scampi(シュリンプ・スキャンピ):エビをガーリックバターやオリーブオイルでソテーした料理。アメリカのイタリアンレストランなどで非常に人気の高いメニューです。「Shrimp」が使われていることからも、アメリカ英語圏の料理であることがわかります。(ちなみに「Scampi」は元々イタリア語でアカザエビを指しますが、アメリカではエビ料理のスタイルを指す言葉になっています)
料理名に使われている単語で、その国の英語圏が判断できるのも面白いですよね。
日本語の「エビ」はどっちにあたるのか?
では、私たちが日本語で呼ぶ「エビ」は、PrawnとShrimpのどちらなのでしょうか?
答えは「両方含む」です。
先ほどの生物学的な分類で見た通り、日本人が日常的に食べるエビには、根鰓亜目(Prawnの仲間)と抱卵亜目(Shrimpの仲間)の両方が含まれています。
- Prawn(根鰓亜目)の仲間:クルマエビ、ブラックタイガー、バナメイエビ、サクラエビ
- Shrimp(抱卵亜目)の仲間:アマエビ(ホッコクアカエビ)、スジエビ、ボタンエビ、伊勢海老
日本語の「エビ」という言葉は、これらの生物学的な違いを区別せず、あの特徴的な形をした甲殻類を総称する、非常に便利な言葉なんですね。
海外旅行での体験談「King Prawn」の衝撃
僕は以前、オーストラリアを旅行した時に、このPrawnとShrimpの違いを意識する出来事がありました。
シドニーのフィッシュマーケットに行った時のことです。新鮮なシーフードが並ぶ中、ひときわ目を引く巨大なエビがありました。日本のスーパーで見るブラックタイガーよりもさらに大きく、まるで小さな伊勢海老のようです。
その値札には「King Prawns(キング・プラウン)」と書かれていました。オーストラリアはイギリス英語圏なので「Prawn」が使われているのは納得でしたが、その圧倒的なサイズ感に「これがPrawnか!」と驚きました。
一方で、アメリカのサンフランシスコで食べた「Shrimp Cocktail」は、Prawn Cocktailと名前こそ違えど、使われていたのは同じくらいの大きさのエビでした。
この経験から、「生物学的な分類はともかく、一般人にとっては地域による呼び名の違いでしかなく、どちらも美味しいエビに変わりはない」と実感しましたね。結局、メニューで見たら「美味しそうなエビ料理」と判断すれば間違いないということです。
PrawnとShrimpの違いに関するよくある質問
質問1:ブラックタイガーやバナメイエビはPrawnとShrimpのどっちですか?
回答:生物学的な分類(根鰓亜目)では、どちらも「Prawn」の仲間になります。
これらは卵をお腹に抱えず、水中に放出するタイプのエビです。ただし、アメリカのスーパーでは「Shrimp」として売られていることがほとんどですね。
質問2:伊勢海老やロブスターは英語で何と言いますか?
回答:伊勢海老は「Spiny Lobster(トゲのあるロブスター)」、ロブスターはそのまま「Lobster」と呼ばれます。
生物学的な分類では、彼らも卵を抱える「抱卵亜目」なので、Shrimpの仲間に含まれますが、一般的にShrimpやPrawnと呼ばれることはありません。
質問3:結局、どっちが美味しい(高級な)エビなんですか?
回答:どちらのグループにも美味しいエビもいれば、安価なエビもいます。
Prawn(根鰓亜目)には高級な「クルマエビ」もいれば、安価な「バナメイエビ」もいます。Shrimp(抱卵亜目)にも高級な「ボタンエビ」や「伊勢海老」もいれば、安価な「スジエビ」もいます。美味しさや価格は、Prawn/Shrimpという分類ではなく、純粋に「エビの種類」によります。
まとめ:PrawnもShrimpも美味しい「エビ」
PrawnとShrimpの違い、スッキリ整理できたでしょうか。
非常に複雑なトピックですが、これだけ覚えておけば大丈夫です。
- 最大の違いは地域差:イギリス英語圏では「Prawn」、アメリカ英語圏では「Shrimp」が主流。
- 生物学的な違いもある:Prawn(根鰓亜目)は卵を放ち、Shrimp(抱卵亜目)は卵を抱える。
- 大きさや味はアテにならない:美味しさや大きさは、この分類ではなく「エビの種類」で決まる。
- 日本語の「エビ」は両方を含む。
どちらの単語で書かれていても、基本的には「エビ」のことです。海外でメニューを選ぶ際は、地域差を思い出しつつ、あとは写真や調理法で美味しそうなものを選べば間違いありませんよ。
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