卵黄と卵白のタンパク質の違いは「量」と「脂質」にあり!栄養価と料理での使い分け

「卵は完全栄養食品」と呼ばれますが、その中身である「卵黄」と「卵白」、特にタンパク質について、どちらがどう優れているかご存知ですか?

筋トレをする人が卵白だけを食べる一方、卵黄は料理にコクを与えますよね。

実は、卵黄と卵白のタンパク質には、「量」だけでなく「脂質の有無」や「含まれる他の栄養素」に決定的な違いがあるんです。

この記事を読めば、文部科学省のデータに基づいた正確な栄養価の違い、それぞれのタンパク質の質、そして料理での賢い使い分けまで、スッキリと理解できます。

もう「どっちが体にいいの?」と迷うことはありません。それでは、まず最も重要な結論から見ていきましょう。

結論|卵黄と卵白のタンパク質の違いを一言で

【要点】

卵黄と卵白はどちらも良質なタンパク質を含みますが、卵白は低脂質・低カロリーなタンパク質の塊であるのに対し、卵黄は脂質やビタミン・ミネラルも豊富に含む栄養価の高いタンパク質源である点に違いがあります。

タンパク質の「量」だけで見ると、卵1個あたりでは卵白の方がわずかに多く含まれています。

しかし、「質」や「他の栄養素とのバランス」を見ると、それぞれ全く異なる特徴を持っているんですね。筋トレなどで純粋なタンパク質だけを求めるなら卵白、脂質やビタミンも含めて総合的な栄養を求めるなら卵黄(あるいは全卵)が適しています。

【比較表】卵黄 vs 卵白 栄養とタンパク質の違い

【要点】

100gあたりで比較すると、卵黄の方がタンパク質・脂質・カロリーすべてにおいて卵白を圧倒しています。ただし、卵1個(Mサイズ約60g、卵黄約17g、卵白約33g)あたりで見ると、タンパク質量は卵白の方が多くなります。

まずは、卵黄と卵白の栄養成分の違いを一覧表で比較してみましょう。数値はすべて「生」の状態のものです。

項目卵黄(100gあたり)卵白(100gあたり)
エネルギー(カロリー)336 kcal44 kcal
タンパク質16.5 g10.1 g
脂質28.3 g0.0 g
炭水化物3.4 g0.4 g
ビタミンA(レチノール)560 μg0 μg
ビタミンD5.7 μg0 μg
ビタミンE3.3 mg0 mg
4.4 mg0 mg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)

この表を見ると、卵黄は栄養素の塊であり、卵白はほぼタンパク質と水分で構成されていることが一目瞭然ですね。

卵黄と卵白の基本的な定義と役割

【要点】

卵黄はヒナが成長するための「栄養(お弁当)」であり、卵白はヒナを外部の衝撃や細菌から守る「クッション兼バリア」の役割を持っています。

栄養成分の違いは、それぞれの本来の役割を知るとさらに納得できます。

卵黄とは?(ヒナの栄養源)

卵黄は、卵細胞そのものであり、ヒナ(胚)が成長するために必要な栄養素が詰まった部分です。

タンパク質や脂質はもちろん、ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミン、鉄や亜鉛などのミネラルが豊富に含まれています。まさに「命の源」となる栄養のカプセルなんですね。

卵白とは?(ヒナの保護と水分補給)

卵白(一般に「白身」)は、卵黄(胚)を物理的な衝撃から守るクッションの役割と、細菌などの侵入を防ぐバリアの役割を担っています。

主成分は約90%が水分で、残りの約10%がタンパク質(アルブミンなど)です [214]。ヒナの成長に必要な水分を供給しつつ、リゾチームなどの抗菌作用を持つタンパク質で外部の脅威から守っているのです。

タンパク質の「量」と「脂質」の決定的な違い

【要点】

卵黄はタンパク質と脂質がほぼ1:2の割合で含まれる高栄養・高カロリーな部位です [214]。対照的に、卵白は脂質を全く含まず、ほぼタンパク質と水分だけで構成される低カロリー・高タンパクな部位です。

比較表の通り、100gあたりで比べると卵黄の方がタンパク質は多いですが、卵1個あたりではどうでしょうか。Mサイズ卵1個(約60g)の内訳は、卵黄約17g、卵白約33gとされています。

これを基に計算すると、卵1個あたりのタンパク質量は以下のようになります。

  • 卵黄:16.5g (100gあたり) × 0.17 (17g) = 約2.8g
  • 卵白:10.1g (100gあたり) × 0.33 (33g) = 約3.3g

卵1個あたりでは、卵白の方がタンパク質を多く含んでいるんですね。

卵黄の栄養成分(タンパク質+脂質+ビタミン)

卵黄の最大の特徴は、タンパク質(約16.5g)だけでなく、脂質(約28.3g)も非常に豊富であることです。

カロリーが卵白の7倍以上あるのも、この脂質によるものです。さらに、ビタミンA、D、E、B群、鉄、亜鉛など、卵白にはほとんど含まれない脂溶性ビタミンやミネラルが集中しています。

卵白の栄養成分(タンパク質+水分)

卵白は、脂質がゼロ(0.0g)というのが決定的です。

カロリーも卵黄に比べて極めて低く、その成分のほとんど(約90%)は水分です。残りの約10%がタンパク質で構成されています [214]。

ボディビルダーや筋トレ愛好家が、脂質を抑えながら純粋なタンパク質だけを摂取したい場合に卵白を好んで選ぶのは、この栄養組成が理由なんですね。

タンパク質の「質」の違い(アミノ酸スコア)

【要点】

タンパク質の「質」を示すアミノ酸スコアは、卵黄・卵白ともに「100」です。どちらも人体で合成できない必須アミノ酸をバランス良く含む、非常に良質なタンパク質源であることに違いはありません。

タンパク質は量だけでなく「質」も重要です。体内で合成できない9種類の必須アミノ酸が、どれだけバランス良く含まれているかを示す指標を「アミノ酸スコア」と呼びます。

このスコアが100に近いほど「良質なタンパク質」とされますが、卵は卵黄・卵白ともにアミノ酸スコア100です [210]。

つまり、栄養価(脂質やビタミン)には大きな違いがありますが、タンパク質そのものの「質」については、どちらも最高品質であることに違いはありません。

味・食感と料理での使い分け

【要点】

卵黄は脂質由来の「コク」と「乳化力」が特徴で、ソース類に最適です。卵白は淡白な味ですが、「泡立ち(起泡性)」と「熱で固まる(熱凝固性)」性質が特徴で、お菓子作りや料理のつなぎに使われます。

栄養素の違いは、そのまま調理特性の違いにも直結します。

卵黄:「コク」と「乳化力」を活かす料理

卵黄の味は、豊富な脂質とタンパク質に由来する「濃厚なコク」が特徴です。

また、卵黄に含まれる「レシチン」という成分には、水と油を混ぜ合わせる「乳化力」という強力な特性があります。この特性を活かした代表的な料理がマヨネーズ(酢と油を卵黄で繋ぐ)や、カルボナーラ(チーズの脂と茹で汁の水分を卵黄で繋ぐ)です。

【主な用途】

  • ソース類(マヨネーズ、カルボナーラ、オランデーズソース)
  • カスタードクリーム、プリン
  • 料理のコク出し(すき焼き、卵かけごはん)

卵白:「泡立ち」と「熱凝固性」を活かす料理

卵白自体に強い味はなく、淡白です。最大の特徴は、撹拌すると泡立つ「起泡性」と、約60℃で固まり始める「熱凝固性」です。

(ちなみに卵黄は約65℃〜70℃で固まり始めます)

卵白の泡立つ力は、脂質が1滴でも混入すると失われてしまいます。そのため、メレンゲを作る際は、卵黄や油分がボウルに付着しないよう細心の注意が必要ですね。

【主な用途】

  • メレンゲ(お菓子、シフォンケーキ、マカロン)
  • スープ(かきたま汁、中華スープの浮き身)
  • 料理のつなぎ(はんぺん、しんじょ)
  • 淡白な炒め物

【体験談】メレンゲ作りで痛感した卵白の繊細さ

僕がお菓子作りにはまっていた頃、シフォンケーキを焼くために初めてメレンゲ作りに挑戦しました。

卵を割り、卵黄と卵白を分ける作業。レシピ本には「卵白に少しでも卵黄が入らないように」と書いてありましたが、「まあ、少しくらい大丈夫だろう」と高をくくっていました。

案の定、卵黄の膜が少し破れ、ほんの一筋だけ卵白に混入してしまいました。僕は「これくらいなら平気だ」と、そのままハンドミキサーで泡立て始めたのです。

……しかし、5分経っても、10分経っても、卵白は一向にツノが立つ気配がありません。ただ、シャバシャバとした泡が立つだけで、きめ細かなメレンゲには程遠い状態でした。

この失敗で、卵白の「泡立つ力」が、卵黄に含まれる「脂質」によっていかに簡単に阻害されてしまうかを痛感しましたね。卵黄の乳化力も、卵白の起泡性も、どちらもタンパク質の素晴らしい特性ですが、同時に非常に繊細なバランスの上で成り立っているのだと学びました。

卵黄と卵白に関するよくある質問(FAQ)

結局、タンパク質だけ摂りたいならどっちですか?

「卵白」ですね。卵白は脂質ゼロで低カロリーながら、卵1個あたり約3.3gの良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)が摂れます。脂質を厳密に管理したい場合には最適です。

卵黄は脂質が多いですが、体に悪いのですか?

いいえ、一概に悪いとは言えません。卵黄の脂質には、オレイン酸などの良質な不飽和脂肪酸も含まれています。また、脂溶性ビタミン(A, D, E)や鉄分など、卵白にはない重要な栄養素の宝庫でもあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でもコレステロールの目標量は撤廃されています [210]。過度に恐れず、バランス良く食べることが大切ですね。

卵黄と卵白、一緒に食べた方が(全卵)栄養バランスは良いですか?

はい。卵が「完全栄養食品」と呼ばれるゆえんは、卵黄と卵白を一緒に食べる(全卵)ことで、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを非常にバランス良く摂取できるからです。

卵白のタンパク質と、卵黄のビタミン・ミネラルが相互に働き合います。特別な食事制限がない限りは、全卵で食べるのが最も栄養効率が良いと言えるでしょう。

まとめ|卵黄と卵白、タンパク質摂取の目的に応じた使い分け

卵黄と卵白のタンパク質に関する違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

どちらもアミノ酸スコア100の素晴らしいタンパク質ですが、その栄養構成と特性は全く異なります。

卵黄を選ぶべき時

  • タンパク質と同時に、脂質、ビタミンA、ビタミンD、鉄分なども補給したい時。
  • 料理に濃厚な「コク」や「旨味」を加えたい時。
  • マヨネーズやソース類で「乳化力」が必要な時。

卵白を選ぶべき時

  • 脂質やカロリーを厳格に制限し、純粋なタンパク質だけを摂取したい時。
  • メレンゲなど、お菓子作りで「起泡性」が必要な時。
  • 淡白な味わいや、料理の「つなぎ」として熱凝固性を利用したい時。

目的に応じて使い分けることも、両方を一緒に食べて完全な栄養バランスを目指すことも可能です。卵は非常に奥深い食材・素材ですね。