ローマンカモミールとジャーマンカモミールの最大の違いは、「用途」と「味」にあり、ハーブティーとして楽しむならクセが少なく飲みやすいジャーマンカモミール、アロマやグランドカバーとして楽しむなら香りが強く丈夫なローマンカモミールを選ぶのが基本です。
なぜなら、両者は同じ「カモミール」という名を冠していても、植物学的には属が異なる別種であり、含まれる成分や香りの強さ、味の傾向(苦味の有無など)が大きく異なるからです。
この記事を読めば、あなた自身の目的に合わせてどちらのカモミールを選べばよいのかが明確になり、ティータイムやガーデニング、アロマテラピーで失敗することなく、カモミールの持つ魅力を最大限に活用できるようになります。
それでは、まずそれぞれの決定的な違いについて、詳しく見ていきましょう。
結論|ローマンカモミールとジャーマンカモミールの違いを一言でまとめる
ローマン種は多年草で香りが強くアロマや園芸向き、ジャーマン種は一年草でクセが少なくハーブティー向きです。「飲むならジャーマン、香るならローマン」と覚えるのが最も分かりやすい区別です。
まずは、ローマンカモミールとジャーマンカモミールの違いを一覧表で比較してみましょう。
この表を見れば、それぞれの特徴が一目瞭然ですよね。
| 項目 | ジャーマンカモミール | ローマンカモミール |
|---|---|---|
| 植物分類 | キク科シカギク属(一年草) | キク科カマエメルム属(多年草) |
| 主な用途 | ハーブティー、入浴剤 | アロマテラピー、園芸(グランドカバー) |
| 味(ティー) | 甘みがあり、苦味が少ない | 苦味がやや強く、好みが分かれる |
| 香り | 甘いリンゴのような香り(花のみ) | 甘酸っぱいリンゴのような香り(花・葉・茎全体) |
| 成分の特徴 | 抗炎症作用のあるカマズレンを含む | 鎮静作用のあるエステル類を多く含む |
最も重要なポイントは、ハーブティーとして一般的に飲まれているのは「ジャーマンカモミール」であるという点でしょう。
ローマンカモミールもお茶にできないわけではありませんが、苦味が強いため、リラックスして飲むには少し工夫が必要になることが多いですね。
定義・分類・植物としての特徴の違い
ジャーマンは「一年草」で上に伸びる性質があり、ローマンは「多年草」で横に広がる性質があるため、ガーデニングでの扱い方が異なります。植物学的にも「属」が異なる別種の植物です。
名前が似ているので混同されがちですが、植物学的には全く別のグループに属しているんですよ。
ジャーマンカモミールは「キク科シカギク属(マトリカリア属)」に分類される一年草です。
「一年草」というのは、種をまいてから1年以内に発芽し、花を咲かせ、種を残して枯れてしまう植物のことですね。
一方、ローマンカモミールは「キク科カマエメルム属(アンテミス属)」に分類される多年草です。
「多年草」ですから、一度植えれば冬を越して翌年もまた花を咲かせてくれる、ガーデニング好きには嬉しい植物と言えるでしょう。
成長の仕方にも大きな違いがあります。
ジャーマンカモミールは茎が直立して、高さ60cm〜90cmほどまでスッと上に伸びていきます。
これに対してローマンカモミールは、茎が地面を這うように横に広がっていく性質があり、背丈は30cm程度と低めです。
この「横に広がる」性質と「踏まれても丈夫」という特徴から、ローマンカモミールは「芝生代わりのグランドカバー」として利用されることも多いですね。
見た目の違いで決定的なのは、花を半分に切った時の断面です。
ジャーマンカモミールの花の中央にある黄色い部分(花托)は、盛り上がっていて中が「空洞」になっています。
ローマンカモミールの花托は、中が詰まっていて空洞ではありません。
もし手元にカモミールの花があったら、半分に割ってみるとすぐにどちらか判別できるでしょう。
味・香り・見た目の違い
ジャーマンは花だけにリンゴのような甘い香りがあり、お茶にすると飲みやすいのが特徴です。ローマンは葉や茎からも強い香りが漂いますが、お茶にすると苦味が強くなります。
カモミールの語源は、ギリシャ語で「大地のリンゴ」を意味する「カマイメーロン」だと言われています。
その名の通り、どちらもリンゴのような甘くフルーティーな香りを持っているのが特徴ですね。
しかし、香りの「場所」と「強さ」には明確な違いがあります。
ジャーマンカモミールの場合、香りがするのは主に「花」の部分だけです。
香りの質は甘く柔らかで、万人に好まれやすい穏やかさがあります。
一方、ローマンカモミールは、花だけでなく「葉」や「茎」など植物全体から強い香りを放ちます。
庭を歩いていてローマンカモミールを踏んでしまった時に、ふわりと甘い香りが立ち上るのはこのためですね。
味についてはどうでしょうか。
ここが、ハーブティー選びで最も失敗しやすいポイントかもしれません。
ジャーマンカモミールのティーは、甘みがあり、クセや苦味がほとんどなく、子どもからお年寄りまで非常に飲みやすい味わいです。
ミルクとの相性も抜群で、就寝前の「カモミールミルクティー」といえば、一般的にはこのジャーマン種を使います。
対してローマンカモミールのティーは、はっきりとした「苦味」を感じることが多いでしょう。
薬効を期待してあえて飲む方もいますが、リラックス目的で美味しいお茶を飲みたいという場合には、少し飲みにくさを感じるかもしれません。
成分・効能・健康面での違い
ジャーマンには抗炎症作用のある「カマズレン」が含まれ、肌荒れや胃腸のケアに向いています。ローマンは鎮静作用のあるエステル類が多く、リラックスや安眠目的のアロマに適しています。
アロマテラピーやメディカルハーブの世界では、この2つは成分の違いによって明確に使い分けられています。
ジャーマンカモミールの精油(エッセンシャルオイル)は、深く濃い「インクブルー」色をしているのが特徴的です。
この青い色は「カマズレン(アズレン)」という成分によるもので、強力な抗炎症作用や抗アレルギー作用が期待されています。
そのため、肌荒れやかゆみ、胃腸の不調などをケアしたい時には、ジャーマンカモミールが選ばれることが多いですね。
一方、ローマンカモミールの精油は、無色から淡い黄色をしており、カマズレンはほとんど含まれていません。
その代わり、鎮静作用に優れた「エステル類(アンゲリカ酸エステルなど)」を非常に多く含んでいます。
この成分構成から、ローマンカモミールは精神的なストレスや不安を和らげたり、安眠を促したりする目的で使われることが一般的でしょう。
「身体のケアならジャーマン、心のケアならローマン」という大まかなイメージを持っておくと分かりやすいかもしれません。
ただし、どちらもキク科の植物ですので、キク科アレルギーを持っている方は使用に注意が必要ですよ。
使い方・用途での使い分け(ティー・アロマ・園芸)
美味しく飲むならジャーマン、香りを楽しむならローマンが基本です。ローマンは踏圧に強いため「香る芝生」として庭に植えるのにも適しています。
これまでの特徴を踏まえて、具体的なシーン別の使い分けを整理してみましょう。
ハーブティーとして楽しむ場合
迷わずジャーマンカモミールを選びましょう。
シングル(単体)で淹れても美味しいですし、ペパーミントやレモングラスとブレンドしても相性が良いですね。
ローマンカモミールをお茶にする場合は、苦味が出やすいため、抽出時間を短くしたり、他のハーブとブレンドして味を調えたりする工夫が必要になるでしょう。
アロマテラピー(精油)として使う場合
目的によって使い分けます。
肌の炎症を抑えたり、スキンケアに使いたい場合は、抗炎症作用の強いジャーマンカモミールの精油が適しています。
ゆったりとリラックスしたい、眠れない夜に香りを焚きたいという場合は、香りが甘く鎮静作用の高いローマンカモミールの精油がおすすめです。
ローマンカモミールの香りは非常に強いため、使用量はごく少量で十分ですよ。
ガーデニング・園芸で楽しむ場合
花を収穫してお茶にしたいなら、花付きの良いジャーマンカモミールを育てます。
こぼれ種でよく増えるので、翌年もまた楽しめることが多いですね。
「香りのある庭」を作りたいなら、ローマンカモミールが活躍します。
踏まれても枯れない強さがあるので、小道やベンチの近くに植えてグランドカバー(地被植物)にすると、歩くたびにリンゴの香りが漂う素敵な空間になります。
実は、イギリスの古い庭園では、このローマンカモミールを使った「カモミールのベンチ」や「カモミールの芝生」が伝統的に作られてきたんですよ。
栽培・育てやすさ・旬・価格の違い
ジャーマンは春に咲いて夏に枯れますが、こぼれ種で増えやすいのが特徴です。ローマンは夏越しがやや難しいものの、多年草として定着します。精油の価格はどちらも高価ですが、ローマンの方が若干高めな傾向があります。
自分で育ててみたいと思った時、どちらが育てやすいのか気になりますよね。
ジャーマンカモミールは「一年草」なので、サイクルが早いです。
秋か春に種をまくと、初夏(5月〜6月頃)に白い花を一斉に咲かせ、夏前には枯れてしまいます。
「えっ、すぐ枯れちゃうの?」と思うかもしれませんが、ものすごい勢いでこぼれ種を落とすので、環境が合えば翌年からは勝手に生えてくるほど生命力が強いんです。
初心者でも比較的簡単に花を収穫できるでしょう。
ローマンカモミールは「多年草」で、6月〜7月頃に花を咲かせます。
日本の高温多湿な夏は少し苦手で、蒸れて枯れてしまうことがあるのが難点ですね。
風通しを良くして夏越しさせれば、株が大きくなり、挿し芽や株分けで増やすことも可能です。
流通している苗や種の価格には大きな差はありませんが、「精油(エッセンシャルオイル)」の価格には違いがあります。
どちらも抽出できる量が少ないため高価な精油の部類に入りますが、一般的にローマンカモミールの方がさらに高値で取引される傾向があります。
起源・歴史・文化的背景の違い
カモミールは古代から「薬草」として利用されてきました。特にジャーマン種はヨーロッパで万能薬として親しまれ、ローマン種はイギリスで「植物の医者」として園芸文化に根付いています。
カモミールの利用の歴史は非常に古く、古代エジプト時代から薬草として重宝されてきました。
クレオパトラもカモミールの香油を愛用していたという説があるほどです。
ヨーロッパ、特にドイツ語圏では、ジャーマンカモミールは「マザーハーブ(母の薬草)」と呼ばれ、家庭の常備薬のように親しまれてきました。
風邪のひきはじめや腹痛の時、子供が夜泣きする時などに、優しく作用するハーブティーとして飲み継がれてきたんですね。
ピーターラビットの童話で、お腹を壊したピーターにお母さんが飲ませたのも、このカモミールティーだと言われています。
一方、ローマンカモミールはイギリスでの関わりが深いです。
「植物のお医者さん(コンパニオンプランツ)」としての側面が強く、弱った植物の近くに植えると、その植物を元気にする力があると言い伝えられてきました。
踏まれるほどによく育つその性質から、「逆境にある時の活力」という花言葉も生まれています。
どちらも人々の生活に寄り添い、心身を癒やす存在として大切にされてきた歴史があるんですね。
体験談|実際に育てて飲み比べてみた感想
僕自身、以前ハーブガーデン作りに凝っていた時期がありまして、両方のカモミールを庭で育てた経験があります。
最初は「違いなんて誤差の範囲だろう」と高をくくっていたのですが、実際に育ててみるとその違いに驚かされました。
まずジャーマンカモミールですが、これは本当に「お茶のため」のハーブだと実感しました。
満開の時期、朝露が乾いた頃に花を摘み取り、フレッシュな状態でティーポットに入れてお湯を注ぐ。
たったそれだけで、乾燥ハーブとは比べ物にならないくらいフレッシュなリンゴの香りが広がるんです。
味も驚くほど甘みがあり、砂糖なしでも美味しく飲めて感動しました。
一方のローマンカモミールは、「香りの強さ」が段違いでした。
庭の手入れをしている時、少し手で触れただけでも、甘酸っぱい濃厚な香りが手に移るんです。
「これはすごい!」と思ってハーブティーにしてみたのですが……正直に言いますと、一口飲んで「苦い!」と顔をしかめてしまいました。
香りは素晴らしいのですが、味には独特のエグみのような苦さがあり、ジャーマン種のような優しさはありませんでした。
「良薬口に苦し」とは言いますが、リラックスタイムには不向きだと痛感した出来事でした。
この失敗から学んだのは、やはり先人たちが用途を使い分けてきたのには、それなりの理由があるということです。
今では、飲むならジャーマン、ポプリや香りを楽しむならローマンと、明確に使い分けて楽しんでいます。
よくある質問(FAQ)
Q. 妊娠中ですが、カモミールティーを飲んでも大丈夫ですか?
A. 一般的にカモミールには子宮収縮作用があるとされているため、妊娠中の多量摂取は控えたほうが無難ですね。特に妊娠初期は避けるべきだと言われています。安定期以降にリラックス目的で薄めのものを1杯程度楽しむなら問題ないとする意見もありますが、念のため主治医に相談してから飲むのが安心でしょう。
Q. カモミールティーにカフェインは含まれていますか?
A. いいえ、カモミールはハーブですので、カフェインは含まれていません。ノンカフェインなので、就寝前やお子様でも安心して飲むことができますよ。
Q. アレルギーの心配はありますか?
A. はい、カモミールは「キク科」の植物です。ブタクサやヨモギなど、キク科の植物にアレルギーがある方は、アレルギー反応が出る可能性があるので注意が必要です。初めて飲む時はごく少量から試すか、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ|どちらを選ぶべきか?
最後に、これまでの比較を踏まえて、あなたがどちらのカモミールを選ぶべきかをまとめましょう。
もしあなたが、「美味しいハーブティーを飲んでリラックスしたい」と考えているなら、迷わずジャーマンカモミールを選んでください。
クセのない優しい味わいは、毎日のティータイムを豊かなものにしてくれるでしょう。
一方で、「アロマテラピーで香りを楽しみたい」「お風呂に入れてリラックスしたい」「庭に香りのある小道を作りたい」という目的であれば、ローマンカモミールが最適です。
その力強い香りは、疲れ切った心と体を深く癒やしてくれるはずです。
名前は似ていても、その個性は全く異なる2つのカモミール。
ぜひあなたのライフスタイルや目的に合わせて、最適な方を選んでみてくださいね。
また、食材や素材の選び方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。