焼肉屋さんで、お肉と一緒に必ず出てくる「サンチュ」。
一方で、サラダやサンドイッチの定番「レタス」。
どちらも緑色の葉野菜ですが、この二つ、一体何が違うのでしょうか?
結論から言うと、「サンチュ」も「レタス」も、生物学的には同じキク科アキノノゲシ属の仲間です。日本語ではどちらも「チシャ(萵苣)」と呼ばれていました。
最大の違いは、「サンチュ」が葉を一枚ずつ掻き取って収穫する「葉レタス(リーフレタス)」の一種であるのに対し、一般的に「レタス」と呼ばれるものは丸く結球する「玉レタス(ヘッドレタス)」を指す点です。この品種の違いが、味、食感、栄養価、そして料理の用途に大きな差を生んでいます。
この記事を読めば、サンチュとレタスの明確な違いから、栄養価、そして焼肉以外でのサンチュの意外な使い方まで、スッキリと理解できますよ。
それでは、まず両者の違いを比較表で見ていきましょう。
結論|「サンチュ」と「レタス」の違いが一目でわかる比較表
サンチュとレタスは、どちらもキク科アキノノゲシ属の「チシャ」の仲間です。最大の違いは品種にあり、「サンチュ」は葉が結球しない「葉レタス」の一種で、葉が柔らかく、ほのかな苦味があります。一方、「レタス」は一般的に結球する「玉レタス」を指し、シャキシャキした食感とみずみずしい甘みが特徴です。
まずは、一般的に「レタス」として流通している「玉レタス」と、「サンチュ」の違いを一覧表にまとめました。
| 項目 | サンチュ(葉レタスの一種) | レタス(玉レタス) |
|---|---|---|
| 分類 | キク科 アキノノゲシ属 | キク科 アキノノゲシ属 |
| 和名 | チシャ、カキヂシャ(掻き萵苣) | タマヂシャ(玉萵苣) |
| 見た目 | 葉が結球しない。緑色が濃く、シワが多い。 | 葉が丸く結球する。淡い緑色で、シワが少ない。 |
| 味の特徴 | ほのかな苦味と香り | クセのない甘みと、みずみずしさ |
| 食感 | 柔らかく、しなやか | シャキシャキと歯切れが良い |
| 主な用途 | 焼肉、サムギョプサル(巻く) | サラダ、サンドイッチ、炒め物 |
| 栄養分類 | 緑黄色野菜 | 淡色野菜 |
| β-カロテン(100g) | 2000μg | 240μg |
※レタスの栄養価は「玉レタス(土耕栽培・生)」の数値を参照。(出典:日本食品標準成分表(八訂))
栄養分類が異なるほど、大きな違いがあるんですね。次に、この関係性について詳しく解説します。
「サンチュ」と「レタス」の定義と分類(科・属)の違い
「サンチュ」も「レタス」も、生物学的にはキク科アキノノゲシ属の同じ仲間(近縁種)です。「サンチュ」は韓国語由来の呼び名で、結球しない「葉レタス」の一種(和名:カキヂシャ)を指します。一方、私たちが単に「レタス」と呼ぶものは、丸く結球する「玉レタス」(和名:タマヂシャ)を指すのが一般的です。
「サンチュ」とは?(和名:チシャ)
「サンチュ」は、韓国語(상추)での呼び名がそのまま日本で定着したものです。日本語の和名は「チシャ(萵苣)」、または葉を一枚ずつ掻き取って収穫することから「カキヂシャ(掻き萵苣)」とも呼ばれます。
植物の分類上は、レタスと同じキク科アキノノゲシ属で、「リーフレタス(葉レタス)」の仲間に分類されます。
「レタス」とは?(和名:タマヂシャ)
一方、私たちが日本で単に「レタス」と呼ぶ場合、その多くは「玉レタス(ヘッドレタス)」を指します。スーパーで丸い形で売られている、お馴染みのレタスですね。
こちらの和名は「タマヂシャ(玉萵苣)」と言います。「玉になるチシャ」という意味です。
生物学的には「同じキク科」の仲間
つまり、サンチュもレタスも、元をたどれば同じ「チシャ(萵苣)」という野菜の仲間です。
栽培の歴史の中で、結球するように品種改良されたものが「玉レタス」、結球せずに葉を大きく広げるものが「葉レタス(サンチュ、サニーレタスなど)」、他にも茎を食べる「ステムレタス(茎チシャ)」や、葉が半ば結球する「コスレタス(ロメインレタス)」など、多様な品種に分化していきました。
サンチュは「レタスの一種」であり、特に「葉レタス」のグループに属すると理解しておけば間違いありません。
味・香り・食感・見た目の違い
サンチュは葉が濃い緑色でシワが多く、柔らかくしなやかな食感と、特有のほろ苦さが特徴です。玉レタスは淡い緑色で葉がパリッと固く結球しており、シャキシャキした食感とクセのない甘みが特徴です。
焼肉で使うサンチュと、サラダで使うレタス(玉レタス)では、見た目も食感も大きく異なりますよね。
見た目(葉の形状・巻き方)
サンチュ:
葉は丸く結球せず、一枚一枚が独立して広がっています。色は濃い緑色(品種によっては赤紫色が混じるものも)で、表面にシワ(ちりめん)が多いのが特徴です。
レタス(玉レタス):
葉が何層にも重なり合い、固く丸い球体を形成しています(結球)。色はサンチュに比べて淡い緑色(黄緑色)をしています。
味と香り(サンチュの苦味 vs レタスの甘み)
サンチュ:
レタスに比べると、特有の青々しい香りと、ほのかな「苦味」があります。この苦味が、焼肉の脂っこさやコチュジャンの辛味と合わさることで、絶妙なバランスを生み出します。
レタス(玉レタス):
味や香りにクセがなく、みずみずしさとほのかな「甘み」が特徴です。苦味はほとんど感じません。そのため、どんなドレッシングとも相性が良いんですね。
食感(サンチュの柔らかさ vs レタスのシャキシャキ感)
サンチュ:
葉が柔らかく、しなやかです。この柔らかさがあるからこそ、お肉やご飯を簡単に「巻く」ことができます。
レタス(玉レタス):
最大の特徴は、その「シャキシャキ」とした歯切れの良い食感です。水分を多く含んでおり、サラダの食感のベースとなります。
栄養・成分・健康面の違い
栄養面では明確な差があります。色の濃いサンチュは「緑黄色野菜」に分類され、β-カロテンの含有量は玉レタスの約8倍以上です。ビタミンK、カリウム、ビタミンCなどもサンチュの方が豊富です。一方、玉レタスは「淡色野菜」に分類されます。
見た目の色の濃さの違いは、栄養価の違いに直結しています。
緑黄色野菜のサンチュ vs 淡色野菜のレタス
厚生労働省の基準では、可食部100gあたりのカロテン含有量が600μg(マイクログラム)以上の野菜を「緑黄色野菜」、それ未満を「淡色野菜」と分類しています。
- サンチュ(カキヂシャ):β-カロテン 2000μg → 緑黄色野菜
- レタス(玉レタス):β-カロテン 240μg → 淡色野菜
※出典:日本食品標準成分表(八訂)
このように、サンチュはレタスとは比較にならないほど多くのβ-カロテンを含んでおり、栄養的にはサンチュの方が優れていると言えます。
β-カロテンとビタミンK
サンチュ:
β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康を保つのに役立ちます。また、骨の健康に関わるビタミンKも豊富に含んでいます。
ビタミンCとカリウム
ビタミンCや、体内の余分な塩分を排出するカリウムについても、玉レタス(ビタミンC: 5mg, カリウム: 200mg)に比べ、サンチュ(ビタミンC: 13mg, カリウム: 410mg)の方が多く含んでいます。
使い方・料理での扱い方の違い
最大の違いは調理法です。サンチュは「巻く」ことに特化しており、焼肉やサムギョプサルに最適です。レタスは「シャキシャキ感」を活かし、サラダやサンドイッチ、または加熱してチャーハンやスープの具材に使われます。
それぞれの食感と味の特徴が、得意な料理を明確に分けています。
サンチュが向いている料理(焼肉・サムギョプサル)
サンチュの「柔らかく、しなやかで、ほろ苦い」という特徴は、コチュジャンやニンニク、脂の多い肉料理と合わせるためにあると言っても過言ではありません。
- 焼肉:タレをつけたカルビやロースを巻く。
- サムギョプサル:豚バラ肉と一緒にキムチやニンニクを巻く。
- サラダ:もちろん生食できるため、ちぎってサラダにも使えます。その際は、レタスにはない苦味がアクセントになります。
レタスが向いている料理(サラダ・サンドイッチ)
レタス(玉レタス)の「シャキシャキ感」と「みずみずしさ」は、生食で最も活かされます。
- サラダ:ちぎってサラダのベースにする。
- サンドイッチ・ハンバーガー:パンと具材の間で、食感のアクセントとして活躍します。
- 加熱調理:チャーハンやスープの具材として使うと、シャキシャキ感を残しつつ火が通ります。
旬・産地・保存・価格の違い
レタス(玉レタス)は長野県や茨城県などの冷涼な産地が中心で、旬は夏から秋、または春です。サンチュは焼肉需要に合わせて通年ハウス栽培されており、福岡県や静岡県、千葉県などが主な産地です。価格はサンチュの方がやや高価な傾向にあります。
主な産地と旬の時期
サンチュ:
焼肉店などでの需要が一年中あるため、ハウス栽培による通年供給が主流です。主な産地は福岡県、静岡県、千葉県、茨城県など、全国に広がっています。
レタス(玉レタス):
冷涼な気候を好むため、夏秋は長野県、春は茨城県、冬は兵庫県や静岡県など、産地リレーによって通年供給されています。最も美味しい旬は、高原ものの夏〜秋と、春先のものです。
正しい保存方法
どちらも乾燥が大敵です。
サンチュ:
湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。
レタス(玉レタス):
芯の部分に爪楊枝を3本ほど刺しておくと成長点が止まり、鮮度が長持ちします。その後、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。カットしたものは切り口から変色するため、ラップをして早めに使い切りましょう。
価格帯の傾向
一般的に、玉レタスが1玉単位で安価に売られることが多いのに対し、サンチュは10枚程度のパック売りが主流です。
重量あたりで比較すると、サンチュの方がレタス(玉レタス)よりもやや高価な傾向があります。
「チシャ」と呼ばれる野菜の歴史と文化的背景
レタスやサンチュの原種は、古くから薬草として利用されていました。日本には中国を経由して奈良時代に「チシャ(萵苣)」として伝わりました。当時はサンチュのような「葉レタス(カキヂシャ)」が主流で、江戸時代に結球する「玉レタス」が伝わりました。
レタス(サンチュを含む)の原種は、地中海沿岸から中東にかけて自生していました。古代エジプトやギリシャ・ローマ時代には、薬草や食用として栽培されていた古い歴史を持ちます。
日本には、奈良時代に中国を経由して「チシャ(萵苣)」として伝来しました。この「チシャ」は、サンチュのように葉を一枚ずつ掻き取って食べる「カキヂシャ(掻き萵苣)」でした。
私たちが現在「レタス」と呼んでいる結球タイプ(玉レタス)が日本に入ってきたのは、江戸時代末期から明治時代にかけてです。食の洋風化とともに急速に普及し、いつしか「レタス=玉レタス」というイメージが定着しました。
一方、古くからあったカキヂシャは、韓国料理のブームと共に「サンチュ」という名前で再注目され、焼肉の定番野菜として地位を確立したのです。
【体験談】焼肉屋のサンチュ、サラダで食べたらどうなる?
先日、友人と焼肉に行った時のことです。僕はお肉をサンチュで巻くのが大好きなのですが、ついつい肉ばかりに集中してしまい、最後の最後でサンチュが数枚、手付かずで余ってしまいました。
捨てるのはもったいないと思い、お店の方に断って持ち帰らせてもらうことにしました。
翌朝、そのサンチュをどうしようかと考え、「レタスの仲間ならサラダでもいけるはずだ」と思い、一口大にちぎって、トマトやキュウリと一緒にサラダにしてみました。
正直、玉レタスのような「シャキシャキ!」という食感はありません。葉が柔らかいので、「しなっ」とした優しい口当たりです。そして、噛み締めると、玉レタスにはない独特の「ほろ苦さ」が感じられました。
この苦味が、シーザードレッシングのようなクリーミーなドレッシングと非常によく合うんです。玉レタスのサラダが「食感」を楽しむものなら、サンチュのサラダは「風味」や「苦味」を楽しむ、ちょっと大人のサラダ、という印象でした。
焼肉の脇役としか思っていなかったサンチュが、実はサラダの主役にもなれること、そして玉レタスより栄養価が高いことを知り、それ以来、スーパーで見かけるとサラダ用に買うことも増えましたね。
サンチュとレタスの違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1. サンチュはレタスの一種ですか?
A. はい、レタス(チシャ)の仲間です。私たちが普段「レタス」と呼ぶ「玉レタス」とは品種が異なり、サンチュは葉が丸まらない「葉レタス(リーフレタス)」に分類されます。生物学的には非常に近い親戚です。
Q2. サンチュは生でサラダとして食べられますか?
A. もちろんです。焼肉のイメージが強いですが、元々は「チシャ」として生食されていました。葉が柔らかく、ほのかな苦味があるので、玉レタスとは違った味わいのサラダになりますよ。
Q3. サンチュとサニーレタスの違いは何ですか?
A. どちらも結球しない「葉レタス(リーフレタス)」の仲間です。最大の違いは見た目で、サンチュは緑色ですが、サニーレタスは葉先が濃い赤紫色をしているのが特徴です。サニーレタスの方が苦味が少なく、より柔らかい食感です。
まとめ|サンチュとレタス、目的別おすすめの選び方
サンチュとレタスの違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
どちらも「チシャ」という同じ野菜の仲間ですが、品種と育ち方の違いが、その個性を大きく分けていました。
- サンチュ(葉レタス):
「柔らかく、ほろ苦い」のが特徴。焼肉やサムギョプサルなど、「巻く」料理に最適。栄養価(特にβ-カロテン)を重視するならこちら。 - レタス(玉レタス):
「シャキシャキで、甘い」のが特徴。サラダやサンドイッチなど、「食感」を活かしたい時に万能です。
これからは、焼肉の時だけでなく、サラダのアクセントや栄養補給として「サンチュ」を選んでみるのも面白いですね。ぜひ、それぞれの個性を活かして、食卓を楽しんでみてください。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。