「サラダセロリ」と「セロリ」、どちらもセリ科の野菜で見た目も似ていますが、その使い道に迷ったことはありませんか?
一言でいうと、サラダセロリは香りが強く葉や細い茎を生食するのに適しており、一般的なセロリは太い茎の食感を加熱料理や生食で楽しむ品種です。
栽培される品種群が異なり、栄養価にも違いがあります。
この記事を読めば、両者の明確な違いが分かり、料理や好みに合わせて自信を持って使い分けられるようになります。
それでは、まず両者の決定的な違いから詳しく見ていきましょう。
結論|サラダセロリとセロリの違いとは?早わかり比較表
最大の違いは「品種」と「食べる部位」です。サラダセロリは香りが強い葉と細い茎を薬味のように使い、一般的なセロリは品種改良された太い茎(葉柄)の食感を楽しみます。
サラダセロリと一般的なセロリ(単に「セロリ」と呼ばれるもの)の違いを、比較表にまとめました。
| 項目 | サラダセロリ(スープセロリ) | セロリ(一般的なセロリ) |
|---|---|---|
| 別名 | スープセロリ、芹菜(キンサイ)、葉セロリ | セルリー、オランダミツバ、コーネル種 |
| 品種群 | 東洋系品種(原種に近い) | 西洋系・中間種(品種改良されたもの) |
| 主な見た目 | 茎が細く緑色が濃い。葉が柔らかい。 | 茎(葉柄)が太く肉厚。淡色〜白色。 |
| 香り | 非常に強い(セロリ独特の香りが凝縮) | 比較的穏やか(サラダセロリより弱い) |
| 食感 | 葉は柔らかく、茎は細くシャキシャキ。 | 太い茎の強いシャキシャキ感が特徴。 |
| 主な食べ方 | 生食(薬味、サラダ、和え物) | 生食(スティック)、加熱(煮込み、炒め物) |
| 主な栄養(可食部) | β-カロテン、ビタミンK(葉が多いため) | カリウム、食物繊維(茎がメイン) |
このように、名前は似ていますが、品種の系統から香り、適した調理法まで、多くの点で異なることがわかりますよね。
次に、それぞれの定義や栽培法について詳しく見ていきましょう。
定義・分類・栽培法の違い
サラダセロリは、中国などで古くから薬味として使われてきた原種に近い「東洋系」品種です。一方、日本で一般的なセロリは、食用のために茎を太く改良した「西洋系(中間種)」品種を指します。
サラダセロリ(スープセロリ)とは
サラダセロリは、別名「スープセロリ」や中国名の「芹菜(キンサイ)」とも呼ばれる香味野菜です。
植物分類としては、一般的なセロリと同じセリ科オランダミツバ属ですが、品種が異なります。
古くから東洋で栽培されてきた原種に近い「東洋系」の品種群で、茎を太くするための品種改良はあまりされていません。
そのため、茎は細く、主に香り高い葉と細い茎を利用します。水耕栽培なども行われており、比較的短い期間で収穫できるのが特徴です。
一般的なセロリ(コーネル種など)とは
一方、私たちがスーパーでよく目にする「セロリ」は、17世紀以降にヨーロッパで食用に品種改良が進んだ「西洋系」の品種、またはそれをさらに改良した「中間種」です。
特に日本で流通しているものの多くは、アメリカで改良された「コーネル619号」に代表される中間種で、クセが少なく茎(葉柄)が太く育つように作られています。
こちらは主に肉厚な茎の食感を楽しむために栽培されており、サラダセロリに比べて栽培期間も長くなります。
見た目・味・香り・食感の違い
見た目が最も分かりやすい違いです。サラダセロリはミツバのように茎が細く、緑色の葉がこんもりと茂っています。香りはサラダセロリの方が圧倒的に強く、一般的なセロリは香りが穏やかで、太い茎のシャキシャキした食感が特徴です。
見た目とサイズ
両者を見分ける最も簡単な方法は、見た目とサイズです。
サラダセロリは、ミツバやパクチーのように、細い茎がたくさん束になっており、先に柔らかそうな緑色の葉がたくさん付いています。全体的に緑色が濃いのが特徴です。
セロリは、根元がしっかりと太く、そこから肉厚で淡い緑色や白色の茎(葉柄)が何本も伸びています。スーパーでは1株丸ごと、または茎だけを数本カットした状態で売られていることが多いですよね。
香り
香りは、サラダセロリの方が圧倒的に強いです。
セロリ独特のあの清涼感のある香りが凝縮されており、袋を開けただけでも強く香るほどです。
一般的なセロリも独特の香りを持っていますが、サラダセロリと比較すると穏やかです。特に太い茎の部分は水分が多く、香りは葉の部分に比べて弱めです。
味と食感
味と食感も、食べる部位によって大きく異なります。
サラダセロリは、葉が柔らかく、茎もシャキシャキしていますが細いため、ミツバのように繊細な食感です。味は香りの強さと同様に、セロリの風味を強く感じます。
セロリの醍醐味は、やはり太い茎の「シャキシャキ!」という歯切れの良い食感です。水分を豊富に含んでおり、みずみずしさがあります。味は生のままだと特有の風味がありますが、加熱すると香りが和らぎ、甘みが出てくるのが特徴です。
栄養成分と健康面の違い
どちらも低カロリーで食物繊維やカリウムを含みますが、栄養価の高い「葉」をメインで食べるサラダセロリは、緑黄色野菜に分類されます。そのため、β-カロテン(ビタミンA)やビタミンKが、茎をメインで食べる一般的なセロリよりも豊富です。
サラダセロリとセロリは、どちらも低カロリーで、水分や食物繊維、カリウムを含む点は共通しています。
しかし、主に食べる部位が違うため、含まれる栄養素の量に大きな差が出ます。
一般的なセロリは主に淡色の茎(淡色野菜)を食べますが、サラダセロリは緑色の葉(緑黄色野菜)を多く食べます。
文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、セロリの葉は茎に比べて、体内でビタミンAに変わる「β-カロテン」や、骨の健康に関わる「ビタミンK」、そして「ビタミンC」や「葉酸」などを格段に多く含んでいます。
そのため、葉ごと食べるサラダセロリは、茎が中心の一般的なセロリよりも、これらのビタミン類を効率的に摂取できると言えるでしょう。
あの独特の香りのもとである「アピイン」や「セネリン」といった精油成分は、どちらにも含まれており、食欲増進や精神を安定させる効果が期待できると言われています。
料理での使い方・食べ方の違い
この違いが最も重要です。サラダセロリは香りを活かす「薬味」として生で使うのが最適です。一方、セロリは食感を活かす「野菜」として、生(スティック)でも加熱(煮込み・炒め物)でも幅広く使えます。
それぞれの特性を活かすには、調理法を使い分けることが最大のポイントです。
サラダセロリの最適な食べ方
サラダセロリは、その強い香りを活かすのが基本です。
加熱しすぎるとせっかくの香りが飛んでしまうため、生食が最も適しています。
- 薬味として:細かく刻んで、冷奴、納豆、和え物、チャーハン、パスタなどに散らす。ミツバやパクチーのような使い方です。
- サラダに:葉をちぎったり、茎を短く切ったりして、サラダのアクセントにします。
- スープの香りづけ:スープやシチューに入れる場合は、火を止める直前に加えると香りが引き立ちます。
セロリの最適な食べ方
一般的なセロリは、茎の食感と、加熱したときの甘みを楽しめます。
- 生食で:スティックサラダ(マヨネーズや味噌をつけて)、浅漬け、ピクルス、コールスロー、細切りにしてサラダに。
- 加熱して:炒め物(豚肉やイカと合わせる)、煮込み料理(スープ、シチュー、カレー、ミネストローネなど)。加熱すると香りが穏やかになり、甘みと旨味が出ます。
- 葉の部分:茎よりも香りが強い葉は、捨てずに利用できます。刻んでスープの香りづけにしたり、佃煮やふりかけ、ジェノベーゼソースのように使うのもおすすめです。
旬・価格・保存方法の違い
一般的なセロリは長野県(夏秋)と静岡県(冬春)のリレー出荷で通年安定していますが、本来の旬は冬から春です。サラダセロリも施設栽培で通年見られますが、露地物は春と秋が旬です。どちらも乾燥が大敵なので、湿らせたペーパーで包み、立てて冷蔵保存するのが基本です。
旬と主な産地
セロリは、夏から秋にかけては長野県などの冷涼な地域、冬から春にかけては静岡県などの温暖な地域で主に生産されています。この産地リレーによって一年中安定して流通していますが、本来の旬は冬から春(12月〜4月頃)とされています。
サラダセロリは、水耕栽培などの施設栽培も多く、通年で見かけることができます。露地栽培の場合、春(3〜5月)と秋(9〜11月)が旬になります。
価格と入手性
一般的なセロリは、ほとんどのスーパーで通年販売されており、1株(大)または1〜2本入りの袋で売られています。
サラダセロリは、セロリほど一般的ではありませんが、多くのスーパーの香味野菜コーナー(ミツバやパクチーの近く)で見かけることができます。通常、1パック(袋)単位で販売されています。
同じ重量で比較すると、サラダセロリの方がやや高価な傾向にあります。
正しい保存方法
どちらも乾燥が最大の敵です。香りと食感を保つために、適切に保存しましょう。
セロリは、まず葉と茎を切り分けます(葉が茎の水分と栄養を奪うため)。それぞれを湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で「立てて」保存するのが最も長持ちします。
サラダセロリも同様に、湿らせたキッチンペーパーで根元を包み、ポリ袋に入れて野菜室で立てて保存します。葉が柔らかく傷みやすいため、早めに使い切るのがおすすめです。
サラダセロリとセロリの歴史的背景
セロリの原種はヨーロッパやアジアに自生しており、古くは薬草として利用されていました。サラダセロリ(スープセロリ)はその原種に近い東洋系の品種です。一方、現在主流の太いセロリは、17世紀以降にヨーロッパで苦味を減らし茎を太くするように品種改良された西洋系・中間種の品種です。
セロリの歴史は古く、原種はヨーロッパからアジアの広い地域の湿地帯に自生していました。古代ギリシャやローマでは、薬草や整腸剤、香料として使われていたようです。
この原種に近い系統が中国に伝わり、独自の発展を遂げたのが「芹菜(キンサイ)」、つまりサラダセロリ(スープセロリ)だと考えられています。こちらは薬味や香味野菜としての役割が強いまま利用されてきました。
一方、ヨーロッパでは17世紀頃から食用のための品種改良が始まりました。特にイタリアやフランスで、苦味を減らし、茎(葉柄)を太く、柔らかくする改良が進められました。これが現在の一般的なセロリ(西洋系品種)の原型です。
日本にセロリが伝わったのは古く、加藤清正が朝鮮から持ち帰ったという説がありますが、これは東洋系のサラダセロリに近いものだったようです。現在主流の太い西洋系セロリが本格的に普及したのは、食生活が洋風化した第二次世界大戦後のことになります。
体験談|サラダセロリを初めて食べた日の衝撃
僕が初めて「サラダセロリ」という名前で売られている野菜をスーパーで見かけた時、正直「セロリの間引き菜か、若いセロリかな?」くらいにしか思っていませんでした。
パッケージには「スープセロリ」とも書かれていたので、いつものセロリと同じ感覚で、ポトフを作る際に煮込み用として使ってみることにしたんです。
いつものセロリは、じっくり煮込むとトロトロになって甘みが出て、スープに深い旨味を加えてくれますよね。同じことを期待して、煮込みの初期段階でサラダセロリを投入しました。
しかし、完成したスープを一口飲んで驚きました。いつもの優しい甘みや旨味ではなく、セロリの「香り」がガツンと前面に出ていたんです。美味しいのですが、想像していたポトフとは全く別物の、非常にワイルドで個性的なスープに仕上がっていました。
「これは失敗したかも…」と思い、残ったサラダセロリをどうしようか悩んだ末、翌日、試しにミツバのように刻んで、冷奴と納豆の薬味にしてみました。
これが、まさに衝撃的な美味しさでした。
強い香りが醤油や発酵食品と見事に調和し、料理全体の格を一段階引き上げてくれたのです。この時初めて、「ああ、これは“野菜”として煮込むのではなく、“香味野菜”として生で使うものだったんだ」と、その違いを痛感しました。
それ以来、太いセロリは「食感と旨味」、サラダセロリは「香りのアクセント」と、明確に使い分けています。見た目が似ているからと同じ仲間だと思い込むと、料理のバランスを崩しかねない、という教訓になった体験です。
サラダセロリとセロリの違いに関するFAQ(よくある質問)
サラダセロリとセロリ、香りが強いのはどちらですか?
サラダセロリ(スープセロリ)の方が、一般的なセロリに比べて香りが非常に強いです。そのため、薬味や料理の香りづけに適していますよ。
サラダセロリは加熱しても食べられますか?
はい、食べられます。しかし、香りがとても強いので、スープや炒め物に入れると風味が支配的になることがあります。もし加熱する場合は、量を少なめにするか、火を止める直前に加えて香りだけを移すのがおすすめです。基本的には生食が向いていますね。
一般的なセロリの葉は食べられますか?
もちろん食べられますし、栄養も豊富です。茎よりも香りが強いですが、サラダセロリほどではありません。捨ててしまうのはもったいないので、刻んでスープや炒め物の香りづけにしたり、佃煮、ふりかけ、ジェノベーゼソースのように加工したりすると美味しくいただけますよ。
まとめ|サラダセロリとセロリ、目的で使い分けよう
サラダセロリとセロリの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
両者は同じセリ科の仲間ですが、品種の系統が異なり、得意分野が全く違います。
サラダセロリ(スープセロリ)は、強い香りが特徴の「香味野菜」です。生で薬味として使ったり、サラダのアクセントにしたりするのが最適です。
一般的なセロリは、太い茎のシャキシャキした食感が特徴の「野菜」です。スティックサラダなどの生食はもちろん、スープや炒め物などで加熱すると甘みが増し、料理に旨味を与えてくれます。
それぞれの個性を理解して使い分けることで、料理の幅がぐっと広がるはずです。ぜひ、両方の違いを楽しんでみてくださいね。
当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。