ソルロンタンとコムタンの違いを解説!見分け方は「骨」と「肉」

韓国料理店で、優しい味わいのスープとご飯のセット(クッパ)を食べたい時。

メニューに並ぶ「ソルロンタン」と「コムタン」を見て、「どちらも白い牛のスープでしょう?」と、その違いに迷ったことはありませんか?

実はこの二つ、似ているようで「スープの色」と「主原料」が全く異なる料理なんです。

最大の違いは、ソルロンタンが「牛骨」を長時間煮込んで作る「白濁したスープ」であるのに対し、コムタンは「牛肉や内臓」をじっくり煮込んで作る「透明なスープ」である点です。

この記事を読めば、二つのスープの明確な違いから、それぞれのルーツ、美味しい食べ方までスッキリ理解できます。その日の気分や体調に合わせて、最適な一杯を選べるようになりますよ。

それではまず、二つの決定的な違いを比較表で見ていきましょう。

結論|ソルロンタンとコムタンの違いが一目でわかる比較表

【要点】

ソルロンタンとコムタンの最大の違いは「スープの色」と「主な材料」です。ソルロンタンは「牛骨」を強火で長時間煮込むため、骨の髄(コラーゲン)が溶け出し「白濁」します。一方、コムタンは「牛肉や内臓」を弱火でじっくり煮込むため、肉の旨味が溶け出し「透明」なスープに仕上がります。

どちらも韓国を代表する牛のスープ料理ですが、その個性は対照的です。

比較項目ソルロンタン (설렁탕)コムタン (곰탕)
主な材料牛骨(四肢骨、頭骨、膝骨など)、少量の肉牛肉(スネ、アキレス腱)、内臓(ホルモン)、テールなど
スープの色白濁(乳白色)透明(薄い琥珀色)
調理法強火で長時間(10時間以上)煮込む弱火でじっくり煮込む
味わいあっさり、優しいコク、骨の風味深い肉の旨味、脂の甘み
主な具材麺(ソミョン=素麺)、薄切り肉、ネギ煮込み肉(ゴロゴロ)、ネギ
食べ方塩、コショウ、ネギ、カクテキで自分で強く味付けする塩、コショウで味を調える(最初から味がついていることも)

ソルロンタンとコムタンの定義と起源の違い

【要点】

ソルロンタンは、朝鮮王朝時代に王が農民に振る舞った「神農壇(ソンノンダン)」のスープが起源とされる、牛骨ベースの料理です。一方、コムタンは「コム(곰)」=「じっくり煮込む」が語源とされ、牛肉や内臓を煮込んだ肉ベースの伝統的なスープ料理です。

二つのスープは、その成り立ちから異なります。

ソルロンタン (설렁탕) とは?

ソルロンタンは、牛の骨(主に脚の骨や頭骨、膝軟骨など)を長時間強火で煮込んで作る、白濁したスープが特徴の料理です。

その起源には諸説ありますが、有名なのは朝鮮王朝時代、王が豊作を祈る儀式(先農祭)を行った「神農壇(ソンノンダン)」で、儀式の後に農民たちに牛骨スープを振る舞ったことから、「ソンノンダンタン(神農壇のスープ)」が訛って「ソルロンタン」になったという説です。

骨を余すところなく使うため、庶民的な料理として発展してきました。

コムタン (곰탕) とは?

コムタンは、牛肉の様々な部位(スネ肉、アキレス腱など)や内臓(ホルモン、ミノ、ハチノスなど)、テールを主原料とし、これらをじっくりと弱火で煮込んで作るスープ料理です。

「コム(곰)」という言葉は、韓国語で「じっくり煮込む、煮出す」という意味の「コウン(고은)」に由来すると言われています。「タン(탕)」はスープを意味します。

ソルロンタンが骨中心なのに対し、コムタンは肉が主役。そのため、かつては肉が貴重だった時代には、より高級で滋養強壮のためのごちそうとして扱われる側面もありました。

決定的な違いは「使用する部位」と「調理法」

【要点】

ソルロンタンは「骨」が主役です。骨に含まれるコラーゲンや骨髄が溶け出し乳化するよう、強火で沸騰させながら長時間煮込みます。コムタンは「肉」が主役です。肉が硬くならないよう、またスープが濁らないよう、弱火で静かにじっくりと煮込みます。

スープの色が「白」と「透明」に分かれる理由は、この材料と調理法の違いにあります。

ソルロンタン:主に「牛骨」を長時間煮込む

ソルロンタンのあの美しい乳白色は、骨髄とコラーゲン(ゼラチン質)が乳化したものです。

牛の脚の骨(四肢骨)や頭骨などを叩き割り、強火で長時間(10時間~丸一日)グラグラと沸騰させ続けます。この強い火力と長時間の煮込みによって、骨の内部にある骨髄や関節のゼラチン質がスープに溶け出し、脂肪分と混ざり合って乳化し、白濁するのです。

コムタン:主に「肉(内臓含む)」を煮込む

コムタンの目的は、肉を柔らかく仕上げ、その旨味をスープに移すことです。

もしコムタンをソルロンタンのように強火で煮込んでしまうと、肉は急激に収縮して硬くなり、スープもアクや脂で濁ってしまいます。そのため、アクを丁寧に取り除きながら、弱火でコトコトと静かに煮込みます。

これにより、肉の旨味成分(アミノ酸など)がゆっくりとスープに溶け出し、濁りのない透明で美しいスープが出来上がるのです。(※テールなど骨付き肉を使う場合もありますが、あくまで主役は肉です)。

スープの色・味・風味の違い

【要点】

ソルロンタンは「白濁」しており、見た目ほどこってりしておらず、非常にあっさりで優しいコクがあります。コムタンは「透明」で、ソルロンタンよりも肉の旨味(脂の甘み)が強く、濃厚に感じられることが多いです。

見た目と味が逆の印象を受けるかもしれないのが、この二つのスープの面白いところです。

ソルロンタン:白濁したスープとあっさりしたコク

ソルロンタンは白濁しているため、一見すると豚骨ラーメンのように濃厚でこってりしていそうに見えますよね。

しかし、実際に飲んでみると驚くほどあっさりしています。骨から出た優しいコクと、ほのかな甘みを感じる、非常にまろやかでクセのない味わいです。脂っこさはほとんどありません。

コムタン:透明感のあるスープと深い肉の旨味

コムタンは透明なスープなので、一見すると薄味であっさりしていそうです。

しかし、こちらは牛肉や内臓から出た肉の旨味成分が凝縮されています。ソルロンタンよりも脂の甘みや肉の香りが強く、より「ビーフスープ」としての輪郭がはっきりしています。透明ながらも、味わいは濃厚で深みがあるのです。

主な具材と食べ方(味付け)の違い

【要点】

どちらも提供時は味が薄く、自分で塩・コショウ・ネギを入れて味を完成させます。大きな違いは、ソルロンタンには「麺(ソミョン)」が最初から入っていることが多く、コムタンには「ゴロゴロとした煮込み肉」がメインで入ることです。

スープの楽しみ方にも、それぞれ定番のスタイルがあります。

ソルロンタン:麺(ソミョン)が入り、塩・コショウ・ネギで味付け

ソルロンタンは、提供された時点ではほとんど味が付いていません。テーブルの上に置かれている塩、コショウ、そして山盛りの刻みネギを自分で投入し、好みの味に「育てる」のが醍醐味です。

具材は、スープを取るのに使った薄切り牛肉が少しと、韓国の素麺である「ソミョン」が最初から入っているのが定番です。ご飯は別で提供され、スープに入れたり、別々に食べたりします。

味変の最強アイテムは「カクテキ(大根キムチ)」です。途中でカクテキの汁ごとスープに入れると、あっさりしたスープに酸味と辛味が加わり、一気に味が引き締まります。

コムタン:肉がメイン、ご飯を入れてクッパにすることが多い

コムタンも、基本的には塩やコショウで自分で味を調えますが、ソルロンタンほど真っ白な状態ではなく、ある程度の下味がついているお店もあります。

具材は、麺が入ることは稀で、その代わりスープで煮込まれた牛肉や内臓、テールなどがゴロゴロとたっぷり入っています。これがご飯のおかずにもなります。

定番の食べ方は、ご飯をスープにすべて入れて「クッパ(スープご飯)」にすること。肉の旨味が染み出たスープをご飯が吸い込み、最高の美味しさになります。

栄養・カロリー・健康面の違い

【要点】

どちらも比較的ヘルシーなスープですが、栄養の傾向が異なります。ソルロンタンは骨由来のコラーゲンやカルシウムの補給に優れています。コムタンは肉や内臓由来のタンパク質や鉄分、ビタミンB群の補給に優れています。

どちらも滋養強壮に良いとされる韓国のスープですが、得られる栄養素に違いがあります。

ソルロンタン
牛骨を長時間煮込むことで、骨髄や軟骨からコラーゲン(ゼラチン質)カルシウムがスープに溶け出しています。美容や関節の健康を気にする方には嬉しい成分ですね。脂質は丁寧に取り除かれていることが多く、見た目に反して低カロリーです。

コムタン
牛肉や内臓がたっぷり入っているため、良質なタンパク質をしっかり摂取できます。また、レバーやハツなどの内臓肉には鉄分やビタミンB群も豊富に含まれており、疲労回復や貧血予防に効果が期待できます。

どちらのスープも、自分で塩分を調整できるのはメリットですが、美味しくてついつい塩を入れすぎたり、スープを飲み干したりしがちなので、塩分の摂りすぎには注意しましょう。

韓国における文化的な位置づけ

【要点】

韓国において、ソルロンタンは手軽なファストフードとしての側面が強く、24時間営業の専門店も多いです。一方、コムタンは肉が主役であることから、少し贅沢な滋養強壮食や、しっかりした食事(ランチやディナー)として食べられることが多いです。

韓国ドラマなどでも、二つのスープが登場するシーンは少し異なりますよね。

ソルロンタンは、専門店が多く、24時間営業している店も珍しくありません。そのため、忙しい時の手軽な食事、朝ごはん、あるいは飲んだ後のシメとして、非常に日常的に食べられています。日本でいう牛丼チェーンのような、早くて安くて栄養があるファストフード的な位置づけも持っています。

コムタンは、ソルロンタンに比べると、少し価格帯が上の料理として扱われることが多いです。ゴロゴロとした肉がしっかり入っているため、軽食というよりは「ちゃんとした食事」であり、ランチやディナーの主役になります。また、「夏バテ防止」や「風邪気味の時」など、滋養強壮・疲労回復の目的で食べられることも多い、ごちそうスープです。

体験談|ソウルの寒い朝に染み渡った「コムタン」の透明な旨味

僕が初めて韓国・ソウルを訪れたのは、凍えるような冬の早朝でした。

東大門市場で夜通し買い物をした後、冷え切った体を温めようと、ガイドブックに載っていた老舗の食堂に飛び込みました。メニューには「ソルロンタン」と「コムタン」。

当時の僕は、どちらも「白い牛のスープ」だと思い込んでおり、値段が少し高かった「コムタン」を注文しました。「高い方が美味しいだろう」という単純な理由です。

運ばれてきたのは、想像していた白濁スープとは全く違う、透き通った琥珀色のスープ。湯気とともに、強烈な肉の香りが立ち上ります。中には、トロトロに煮込まれたスネ肉やアキレス腱がたっぷり入っていました。

「あれ?これがコムタン?ソルロンタンと全然違う…」

恐る恐るスープを一口飲むと、その透明な見た目からは信じられないほど、深く、濃く、そして甘い肉の旨味が口いっぱいに広がりました。ソルロンタンの優しいコクとは全く違う、ガツンとくる「肉の味」です。

塩とコショウで味を調え、ご飯を浸してかきこむと、冷え切った体の芯から一気に温まっていくのが分かりました。あの時、「透明なスープの方が、味が濃いこともあるんだ」という食の衝撃と共に、コムタンとソルロンタンの違いを明確に学んだのです。

ソルロンタンとコムタンに関するよくある質問(FAQ)

テールスープとの違いは何ですか?

テールスープは、その名の通り「牛の尻尾(テール)」だけを煮込んで作ります。コムタンはスネ肉や内臓など様々な部位を使いますが、テールスープはテール専門です。テールは骨付き肉なので、コムタンの一種(あるいは高級版)と考えることができます。

結局、どっちが健康・美容に良いですか?

目的によりますね。美肌や関節のためにコラーゲンを摂りたいなら「ソルロンタン」疲労回復や筋肉のためにタンパク質を摂りたいなら「コムタン」がおすすめです。どちらも塩分の量には気をつけてくださいね。

キムチチゲとはどう違うのですか?

全く違います。キムチチゲは「キムチ」と「豚肉」をメインに煮込んだ、辛くて酸っぱい「赤色」のスープです。ソルロンタンやコムタンは、牛骨や牛肉がベースの「白」か「透明」のスープで、辛味は後から自分でキムチ(カクテキ)を入れて調整します。

どっちが値段が高い傾向にありますか?

一般的には、肉や内臓がゴロゴロ入っている「コムタン」の方が、「ソルロンタン」よりも価格設定が高いお店が多いです。ソルロンタンは骨がメインで比較的安価なため、より庶民的な価格で提供されます。

まとめ|ソルロンタンとコムタン、どちらを選ぶべき?

ソルロンタンとコムタンの違い、これで完璧に整理できましたね。

どちらも韓国の誇る素晴らしいスープ料理ですが、その日の気分や体調に合わせて選ぶのがベストです。

  • ソルロンタンがおすすめな人
    二日酔いの朝や、飲んだ後のシメに。胃に優しく、あっさりとしたコクとコラーゲンを補給したい時。自分で塩やカクテキを入れて、好みの味に「育てたい」時。
  • コムタンがおすすめな人
    風邪気味でスタミナをつけたい時や、しっかりとしたランチ・ディナーを食べたい時。牛肉や内臓の深い旨味とタンパク質を堪能したい時。

これで、あなたも自信を持って「今日はソルロンタン」「いや、コムタンだ」と選べるはずです。ぜひ、奥深い韓国スープの世界を楽しんでください。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な「料理・メニューの違い」について詳しく解説しています。ぜひ他の記事もチェックしてみてください。

日々の健康的な食生活については、厚生労働省の栄養・食生活に関する情報なども参考にされると良いでしょう。