「シャインマスカット」と「マスカット」、どちらも高級ブドウとして大人気ですよね。
でも、いざ贈答品に選ぼうとすると「何が違うんだっけ?」と迷ってしまうことはありませんか。
「シャインマスカット」と「マスカット」の最も大きな違いは、その「分類」と「食べやすさ」です。「マスカット」は、特有の香り(マスカット香)を持つブドウの品種群の総称であり、一般的には「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を指すことが多いです。一方、「シャインマスカット」は、そのマスカットの仲間として日本で開発された「一つの品種名」です。
最大の特徴として、シャインマスカットは「皮ごと食べられて、種なし」であるのに対し、伝統的なマスカット(アレキサンドリア)は「皮をむいて食べ、種あり(または種なし処理)」が基本です。
この記事を読めば、この二つのブドウの正確な関係性から、味、価格、旬の違いまで、もう二度と迷うことはありません。
それでは、まずこの複雑な「マスカット」ファミリーの関係から詳しく見ていきましょう。
結論|シャインマスカットとマスカットの違いを一言でまとめる
「マスカット」は、特有の芳香(マスカット香)を持つブドウの品種グループ(総称)です。その代表格が「マスカット・オブ・アレキサンドリア」です。一方、「シャインマスカット」は、そのマスカット香を受け継ぎつつ、「皮ごと食べられる」「種なし」「高糖度」を実現するために日本で開発された、一つの新しい品種名です。
つまり、「シャインマスカットはマスカットの一種」ですが、私たちが伝統的にイメージする「マスカット(=マスカット・オブ・アレキサンドリア)」とは、食べやすさや食感が大きく異なるブドウなんですね。
定義・分類|「マスカット」は総称、「シャインマスカット」は品種名
一般的に「マスカット」と言うと、古代エジプト時代から栽培される「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を指すことが多いです。これは「ブドウの女王」とも呼ばれます。対して「シャインマスカット」は、2006年に日本で品種登録された、比較的新しい品種です。
「マスカット」はブドウの品種群の総称
「マスカット(Muscat)」とは、もともと「ムスク(麝香:じゃこう)」のような強い香りがするブドウの品種グループを指す言葉です。
世界中には「マスカット・ハンブルグ」や「マスカット・ベリーA」など、マスカットの名がつく品種がたくさんあります。
「シャインマスカット」は日本生まれの新品種
「シャインマスカット」は、日本の農研機構(NARO)が開発し、2006年(平成18年)に品種登録された新品種です。
開発の目的は、伝統的なマスカットの弱点であった「皮が硬くて渋い」「種がある」「栽培が難しい」といった点を克服することでした。
その結果、マスカット香を持ちながら、皮ごと食べられ、種がなく、高糖度で栽培もしやすい、という画期的な品種が誕生したのです。
代表的なマスカット「マスカット・オブ・アレキサンドリア」
では、私たちが「マスカット」と聞いてイメージするブドウは何でしょうか。
それは多くの場合、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」という品種を指します。クレオパトラも愛したとされるほど歴史が古く、その芳醇な香りと上品な甘みから「ブドウの女王」と呼ばれています。
日本国内では特に岡山県での栽培が有名で、最高級の贈答品として扱われています。
この記事では、以降「マスカット」=「マスカット・オブ・アレキサンドリア」として、「シャインマスカット」との違いを比較していきますね。
家系図で見る「シャインマスカット」と「マスカット」の関係
シャインマスカットは、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」の孫にあたる品種です。シャインマスカットの親である「安芸津21号」が、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を親に持つため、あの高貴なマスカット香をしっかりと受け継いでいるのです。
シャインマスカットの複雑な交配は以下のようになっています。
- 父親:「安芸津21号(あきつ21ごう)」
- (「スチューベン」×「マスカット・オブ・アレキサンドリア」)
- 母親:「白南(はくなん)」
- (「カッタ・クルガン」×「甲斐路」)
このように、シャインマスカットは「ブドウの女王」の血を引きつつ、皮ごと食べられる特性(安芸津21号)や大粒の特性(白南)などを組み合わせて生まれた、まさにエリート品種なんですね。
味・香り・食感・見た目の違いを徹底比較
食感が最も異なります。シャインマスカットは「パリッ」「サクッ」とした皮の食感が特徴。アレキサンドリアは皮をむいて食べるため、「プリッ」とした果肉そのものの食感を楽しめます。味は、シャインマスカットの方が糖度が高く濃厚な甘さ、アレキサンドリアは上品な甘みと爽やかな酸味のバランスが特徴です。
比較一覧表:シャインマスカット VS マスカット・オブ・アレキサンドリア
| 項目 | シャインマスカット | マスカット・オブ・アレキサンドリア |
|---|---|---|
| 品種名 | シャインマスカット | マスカット・オブ・アレキサンドリア |
| 主な食べ方 | 皮ごと、種なし | 皮をむく、種あり(種なし処理も有) |
| 食感 | パリッ、サクッ(皮の食感) | プリッ、柔らかい(果肉の食感) |
| 味 | 濃厚な甘み(糖度18~20度) | 上品な甘みと爽やかな酸味(糖度16~18度) |
| 香り | マスカット香(やや穏やか) | 芳醇なマスカット香(非常に強い) |
| 見た目 | 黄緑色、丸く大粒 | エメラルドグリーン、やや楕円 |
| 主な旬 | 8月~10月 | 5月~11月(加温栽培含む) |
| 主な産地 | 長野県、山梨県、岡山県など全国 | 岡山県(ほぼ独占) |
食感と見た目の違い:「パリッ」と「プリッ」
シャインマスカット:皮が薄く渋みがないため、皮ごと食べた時の「パリッ!」という歯切れの良い食感が最大の特徴です。果肉は硬めで、サクサクとした食感も感じられます。
アレキサンドリア:皮をむいて食べるため、舌に触れるのは果肉そのものです。「プリッ」としており、シャインマスカットより柔らかくジューシーな食感です。
見た目は、シャインマスカットが丸い大粒の黄緑色なのに対し、アレキサンドリアは少し縦長の楕円形で、透き通るような美しいエメラルドグリーン色をしています。
味と香りの違い:濃厚な甘さの「シャインマスカット」、上品な「アレキサンドリア」
シャインマスカット:糖度が非常に高く(18~20度にもなる)、酸味は少なめです。濃厚な甘さとマスカット香が口に広がります。
アレキサンドリア:糖度は16~18度ほどで、シャインマスカットよりは控えめですが、爽やかな酸味とのバランスが絶妙です。そして何より、「ブドウの女王」の名にふさわしい、芳醇で高貴なマスカット香は、アレキサンドリアならではの魅力と言えるでしょう。
最大の違い|皮ごと食べられるか、種なしか
シャインマスカットは、品種の特性として皮が薄く渋みがないため、皮ごと食べることを前提にしています。アレキサンドリアは皮が厚く、渋み(タンニン)を含むため、皮をむいて食べるのが一般的です。また、シャインマスカットはほぼ100%「種なし」で出荷されます。
皮ごと食べられる「シャインマスカット」
シャインマスカットが爆発的に普及した最大の理由が、この「皮ごと食べられる手軽さ」ですよね。
開発段階で、皮が薄く、皮に渋み(タンニン)が含まれないように改良されたため、皮ごと食べても美味しく、パリッとした食感がアクセントになっています。
皮をむいて食べる「マスカット・オブ・アレキサンドリア」
一方、伝統的なアレキサンドリアは、皮が比較的厚く、渋みも感じられます。
皮ごと食べられないわけではありませんが、あの高貴な果肉の食感と甘みを最大限に楽しむためには、皮をむいて食べるのが一般的です。
種なし(ジベレリン処理)の違い
シャインマスカット:市場に出回っているものは、ほぼ100%「ジベレリン」という植物ホルモンを使った処理が施されており、「種なし」になっています。
アレキサンドリア:本来は種があるブドウです。しかし、贈答用の高級品などは、シャインマスカットと同様にジベレリン処理を施し、「種なし」として販売されているものも多くあります。
栄養・成分の違い
基本的な栄養成分(ブドウ糖やビタミン類)に大きな違いはありません。しかし、シャインマスカットは皮ごと食べるため、皮に多く含まれるポリフェノール(レスベラトロールなど)を効率よく摂取できるというメリットがあります。
どちらもブドウ糖や果糖といったエネルギー源を豊富に含みます。
大きな違いは、やはり皮の摂取です。
ブドウの皮には、抗酸化作用があることで知られる「レスベラトロール」や「アントシアニン」といったポリフェノールが豊富に含まれています。
皮をむいてしまうアレキサンドリアに対し、皮ごと食べるシャインマスカットは、これらの栄養素を無駄なく摂取できるのが強みと言えますね。
旬・産地・価格の違い
旬は、アレキサンドリアが加温ハウス栽培により5月頃から始まり11月頃までと長いのに対し、シャインマスカットは露地栽培中心で8月~10月頃に集中します。産地はアレキサンドリアが岡山県に集中しているのに対し、シャインマスカットは長野県、山梨県、岡山県など全国で栽培されています。
旬の時期と主な産地
- シャインマスカット:旬は8月下旬から10月頃です。主な産地は長野県、山梨県がトップを争い、次いで岡山県、山形県と続きます。
- マスカット・オブ・アレキサンドリア:旬は長く、加温ハウス栽培のものが5月頃から出回り始め、11月頃まで続きます。主な産地は岡山県が全国シェアの9割以上を占めています。
価格の違い:どちらも高級だが
どちらも高級ブドウであることに変わりはありません。
「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は、栽培に非常に手間がかかり、生産地も限られるため、特に贈答用の最高級品としての地位を確立しています。
「シャインマスカット」も登場時は非常に高価でしたが、栽培が全国に広まったことで生産量が増え、アレキサンドリアに比べると、比較的手に取りやすい価格帯のものも増えてきました。とはいえ、贈答用クラスのものは依然として高価ですね。
体験談|「手軽さ」と「伝統」のいいとこ取り
僕にとって「マスカット」といえば、子供の頃に病気のお見舞いでいただいた、桐箱入りの「アレキサンドリア」のイメージでした。
あのエメラルドグリーンの粒を、母が一粒ずつ丁寧に皮をむいてくれて、口に入れた時のあの高貴な香りと上品な甘みは、まさに「女王様」の味でしたね。
だから、初めて「シャインマスカット」が登場した時、「皮ごと食べるブドウ?しかも種がない?」と半信半疑でした。
しかし、一口食べてみて驚きました。皮のパリッとした食感の直後に、アレキサンドリア譲りのマスカット香と濃厚な甘みが弾けたんです。
皮をむく手間も、種を出す手間もない。この「手軽さ」は革命的だと思いました。
今では、「自宅で気軽に贅沢したい時はシャインマスカット」、「特別な時間に、あの高貴な香りや上品な酸味をじっくり楽しみたい時はアレキサンドリア」と、気分で使い分けています。
シャインマスカットは、伝統(アレキサンドリアの香り)と革新(皮ごと・種なし)を両立させた、日本の技術の結晶だと感じています。
シャインマスカットとマスカットに関するFAQ(よくある質問)
シャインマスカットとマスカットに関して、特によくいただく質問をまとめました。
Q1. 「シャインマスカット」と「マスカット」は、結局どっちが美味しいですか?
A. これは好みによりますね。濃厚な甘さと、皮ごと食べられるパリッとした食感が好きなら「シャインマスカット」がおすすめです。上品な甘みと爽やかな酸味のバランス、そして芳醇な香りを楽しみたいなら「マスカット・オブ・アレキサンドリア」が最高でしょう。
Q2. シャインマスカットの皮が渋いことがあるのはなぜですか?
A. シャインマスカットは基本的に皮に渋みはありません。もし渋みを感じる場合、それはまだ完熟していない(糖度が上がりきる前に収穫された)可能性があります。完熟すると渋みは消え、強い甘みを感じるようになります。
Q3. マスカット・オブ・アレキサンドリアも皮ごと食べられますか?
A. 食べることはできますが、おすすめはしません。シャインマスカットと違って皮が厚く、タンニンという成分による渋みを強く感じるため、果肉本来の上品な味を損ねてしまいます。ぜひ皮をむいて、プリプリの果肉を楽しんでください。
まとめ|シャインマスカットとマスカット、どちらを選ぶべきか?
「シャインマスカット」と「マスカット」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
どちらもマスカット香を楽しめる高級ブドウですが、その個性は大きく異なります。
手軽に、皮ごと、種なしで、濃厚な甘さを楽しみたいなら、新世代の「シャインマスカット」が最適です。
皮をむく手間をかけてでも、伝統的な「ブドウの女王」の高貴な香りと、上品な甘みと酸味のバランスをじっくり味わいたいなら、「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を選ぶと良いでしょう。
どちらも日本の農業技術が詰まった素晴らしい果物です。シーンや好みに合わせて、ぜひ食べ比べてみてくださいね。
食べ物の違いについてもっと知りたい方は、僕たちの「野菜・果物の違い」カテゴリまとめもぜひご覧ください。
また、ブドウの品種登録情報などは、農林水産省の品種登録ホームページで確認するのも、新しい発見があって面白いですよ。