しらす干しと釜揚げしらす、どちらもご飯のお供や料理のアクセントに欠かせない存在ですよね。
でも、スーパーの鮮魚コーナーで並んでいると、「どっちがどう違うんだっけ?」と迷ってしまうことはありませんか?
この二つの最も大きな違いは、「乾燥度」にあります。実は、製造工程の「乾かす時間」が違うだけで、呼び名と特徴が大きく変わるんです。
この記事を読めば、しらす干しと釜揚げしらすの明確な違いから、それぞれの製法、栄養価、そして料理での上手な使い分けまで、スッキリと理解できます。
もうあなたは、しらす選びで迷うことはありません。それでは、さっそく核心の違いから見ていきましょう。
結論|しらす干しと釜揚げしらすの違いを一言でまとめる
しらす干しと釜揚げしらすの最も重要な違いは「乾燥度(水分量)」です。「釜揚げしらす」はイワシ類の稚魚を塩ゆでしただけの水分が多い状態(水分量約80%)を指し、「しらす干し」は釜揚げしらすをさらに乾燥させた(半乾燥)状態(水分量約50%〜70%台)を指します。
この2つの違いを理解する鍵は、製造工程にあります。どちらも原料は同じイワシ類の稚魚(カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなど)です。
この乾燥度の違いが、食感、味の濃さ、保存期間、そして料理での使い方に大きな差を生み出しています。
まずは、それぞれの定義と製法について詳しく見ていきましょう。
| 項目 | 釜揚げしらす | しらす干し(太白) |
|---|---|---|
| 製法 | イワシ類の稚魚を塩水で茹でたもの | 釜揚げしらすを軽く干したもの(半乾燥) |
| 乾燥度(水分量目安) | 高い(約80%〜90%) | 中程度(約50%〜70%台) |
| 食感 | ふわふわ、ぷりぷり | やや硬め、しっかりした食感 |
| 味の特徴 | 素材本来の優しい甘みと塩味 | 旨味が凝縮、塩味がやや強い |
| 主な用途 | しらす丼、そのまま食べる、和え物 | 大根おろし、パスタ、チャーハン、和え物 |
| 保存期間 | 非常に短い(冷蔵で2〜3日) | 短い(冷蔵で約1週間) |
しらす干しと釜揚げしらすの定義・分類・製法の違い
「釜揚げしらす」は、イワシ類の稚魚(しらす)を塩水で茹で上げ、水気を切っただけの状態です。一方、「しらす干し」は、その釜揚げしらすをさらに天日や機械で乾燥(素干し)させたものを指します。
「しらす」と呼ばれる製品群は、基本的にすべてイワシ類の稚魚(主にカタクチイワシ)を加工したものです。農林水産省の分類などによると、その違いは乾燥度合いによって明確に分けられています。
釜揚げしらすとは?
釜揚げしらす(かまあげしらす)は、水揚げされたばかりの新鮮なしらすを、大きな釜で塩水を使って茹で上げたものです。
製造工程は「茹でる」まで。茹で上がった後、水気を切っただけの状態で出荷されます。
水分量が約80%〜90%と非常に多く、しらす本来のふわふわとした食感と優しい風味を最も楽しめるのが特徴ですね。
しらす干しとは?
しらす干し(しらすぼし)は、釜揚げしらすをさらに乾燥させたものです。「太白(たいはく)」と呼ばれることもあります。
釜揚げしらすを天日や乾燥機で干し、水分量を減らします。この乾燥の度合いによって呼び名が変わることがありますが、一般的に「しらす干し」と呼ばれるものは、水分量が50%〜70%台の「半乾燥」状態のものを指すことが多いです。
釜揚げしらすよりも水分が抜けているため、食感が少ししっかりしており、旨味が凝縮されています。
製造工程(乾燥度)が最大の違い
つまり、スーパーなどで見かける「しらす」製品は、乾燥度の違いによって以下のように分類できるわけです。
- 釜揚げしらす:茹でただけ。水分量が最も多い(約80%〜90%)。
- しらす干し(太白):釜揚げを少し干したもの。水分量は中程度(約50%〜70%台)。
- ちりめんじゃこ(関西での呼び名):しらす干しをさらに強く干したもの。水分量が少ない(約30%〜40%)。
釜揚げしらす →(乾燥)→ しらす干し →(さらに乾燥)→ ちりめんじゃこ
このような製造工程の違いが、食感や味、保存期間といったあらゆる違いを生み出しているんですね。
しらす干しと釜揚げしらすの味・食感・見た目の違い
釜揚げしらすは水分が多いため「ふわふわ」「ぷりぷり」した食感と、素材本来の優しい甘みや磯の香りが特徴です。一方、しらす干しは水分が抜けた分、「しっかり」した食感で、旨味と塩味が凝縮されています。
乾燥度が違うということは、もちろん味や食感も大きく異なります。どちらを選ぶか悩んだ時は、この違いを基準にするのが一番わかりやすいでしょう。
味と塩分
釜揚げしらすは、茹でたての風味が生きており、しらす本来の繊細な甘みや、ほのかな磯の香りを感じやすいのが特徴です。塩分も比較的マイルドですね。
しらす干しは、乾燥によって水分が蒸発する過程で、旨味成分(イノシン酸など)が凝縮されます。そのため、釜揚げしらすよりも味が濃く、塩味もしっかり感じられます。
食感(水分量)
食感は最大の違いと言えます。
釜揚げしらすは、水分をたっぷり含んでいるため、驚くほど「ふわふわ」「ぷりぷり」しています。口当たりが非常に柔らかく、ご飯や豆腐とも優しく馴染みます。
しらす干しは、水分が抜けているため、一匹一匹の存在感があり、釜揚げしらすに比べると「しっかり」とした食感です。噛むほどに旨味が出てくる感覚ですね。
見た目と色合い
見た目も乾燥度によって変わります。
釜揚げしらすは、茹でたての瑞々しさがあり、全体的に白くふっくらしています。
しらす干しは、乾燥している分、釜揚げしらすよりも少し細く、締まった見た目をしています。色が少しあめ色がかっていることもありますね。
しらす干しと釜揚げしらすの栄養・成分・健康面の違い
しらすは丸ごと食べられるため、カルシウムやビタミンD、DHA・EPAが豊富です。栄養価の基本は同じですが、「しらす干し」は水分が抜けている分、同じ重量(例:100g)あたりで比較すると、釜揚げしらすよりもカルシウムやタンパク質などの栄養価が高く(凝縮されて)なります。
しらすは「完全栄養食」と呼ばれることもあるほど、栄養価の高い食材です。骨ごと丸ごと食べるため、特にカルシウムの補給源として非常に優秀ですね。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に、100gあたりの栄養価を比較してみましょう。
| 栄養素(100gあたり) | 釜揚げしらす (いわし類・しらす・釜揚げ) | しらす干し(半乾燥) (いわし類・しらす干し・半乾燥) |
|---|---|---|
| エネルギー | 84 kcal | 193 kcal |
| 水分 | 78.3 g | 51.7 g |
| たんぱく質 | 15.9 g | 38.7 g |
| 脂質 | 2.1 g | 3.6 g |
| カルシウム | 190 mg | 520 mg |
| ビタミンD | 2.4 µg | 61.0 µg |
| 食塩相当量 | 1.8 g | 6.6 g |
※出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
ご覧の通り、水分量が少ない「しらす干し」の方が、同じ100gで比較した場合、ほとんどの栄養素が凝縮されています。
特にカルシウムや、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの差は歴然ですね。効率よく栄養を摂りたい場合は、しらす干しが適していると言えます。
ただし、一点注意が必要です。しらす干しは栄養価が凝縮されていると同時に、「食塩相当量(塩分)」も釜揚げしらすの3倍以上含まれています。
健康面で塩分を気にされている方は、釜揚げしらすを選ぶか、しらす干しを使う量を調整するのが良いでしょう。
しらす干しと釜揚げしらすの使い方・料理での扱い方の違い
「釜揚げしらす」はその柔らかさを活かし、しらす丼やそのまま食べるのが最適です。「しらす干し」は旨味と塩味が強いため、大根おろしと和えたり、パスタやチャーハン、ピザの具材として加熱調理に使ったりと、万能な名脇役になります。
食感と味がこれだけ違うので、当然、得意な料理も変わってきます。それぞれの個性を活かす使い分けが大切ですね。
釜揚げしらすのおすすめの食べ方
釜揚げしらすの最大の魅力は、なんといっても「ふわふわ感」です。
この食感をダイレクトに楽しむ食べ方が一番でしょう。
- 王道の「しらす丼」:温かいご飯の上にたっぷりと乗せ、醤油やポン酢、卵黄をかけて。釜揚げしらすの柔らかさがご飯と一体になります。
- そのまま、おつまみとして:生姜醤油やわさび醤油で。素材の味をシンプルに楽しめます。
- 冷奴やサラダのトッピング:豆腐の柔らかさや野菜のシャキシャキ感と、釜揚げしらすのふわふわ感が絶妙にマッチします。
釜揚げしらすは加熱するとせっかくの食感が損なわれやすいため、なるべく加熱せず、そのまま食べるのがおすすめです。
しらす干しのおすすめの食べ方
しらす干しは、旨味と塩味が強く、食感もしっかりしているため、料理の名脇役として非常に万能です。
- 大根おろしと和えて:定番ですが、しらす干しの塩味と旨味が大根おろしの辛味と水分で中和され、最高のバランスになります。
- パスタの具材として:ペペロンチーノや和風パスタに。加熱することで香ばしさが増し、オリーブオイルとの相性も抜群です。
- チャーハンやピザの具材:適度な塩気と旨味が、全体の味を引き締めてくれます。
- 和え物や酢の物:きゅうりやワカメと和える際も、しらす干しなら水分が出にくく、味がぼやけません。
しらす干しと釜揚げしらすの旬・産地・保存・価格の違い
しらすの旬は一般的に春(3月〜5月)と秋(9月〜11月)の年2回です。保存に関しては、水分が多い「釜揚げしらす」は冷蔵で2〜3日と非常に短く、「しらす干し」は冷蔵で約1週間が目安です。価格は「釜揚げしらす」の方が水分を多く含む分、同じ重量あたりの単価が安くなる傾向があります。
旬と主な産地
しらす漁は全国で行われていますが、主な産地としては静岡県、兵庫県、神奈川県(湘南)、愛知県などが有名ですね。
多くの地域では資源保護のために禁漁期間が設けられており(例:静岡県駿河湾は1月〜3月中旬頃)、漁が解禁される春(3月〜5月)と、秋(9月〜11月)が主な旬とされています。特に春のしらすは「春しらす」と呼ばれ、脂が少なくさっぱりとした味わいが特徴です。
保存方法と賞味期限
保存期間は、水分量に大きく左右されます。
- 釜揚げしらす:水分が約80%以上と非常に多いため、傷みやすいです。冷蔵保存で2〜3日が消費期限の目安。まさに「生もの」と同じ感覚ですね。すぐに食べきれない場合は、小分けにして冷凍保存(約2〜3週間)が可能です。
- しらす干し:水分が減っているため、釜揚げしらすよりは日持ちします。それでも冷蔵保存で約1週間が目安です。こちらも冷凍保存が可能です。
価格の傾向
価格は、同じ100gパックで比べた場合、「釜揚げしらす」の方が安い傾向にあります。
これは、釜揚げしらすの方が水分を多く含んでおり、重量あたりの「しらすの匹数」が少ないためです。逆に、しらす干しは乾燥させて重量が軽くなっている(=同じ重さにするためにより多くのしらすが必要)ため、釜揚げしらすよりも高価になるのが一般的です。
ただし、釜揚げしらすは鮮度が命であり、産地から近い場所でないと流通が難しいため、地域によっては「しらす干し」の方が手に入りやすい場合もあります。
「ちりめんじゃこ」との違いは?
「ちりめんじゃこ」は、しらす干しをさらに強く乾燥させたものです。水分量は約30%〜40%程度で、カリカリとした食感が特徴。主に関西地方での呼び名であり、関東では「かちり」と呼ばれることもあります。
しらす干しと釜揚げしらすの違いを調べていると、必ず「ちりめんじゃこ」という言葉が出てきますよね。
「ちりめんじゃこ」は、ズバリ「しらす干し」よりもさらに乾燥させたものを指します。「上干(かみぼし)」や「かちり」とも呼ばれます。
水分量は約30%〜40%程度まで落とされ、食感は「カリカリ」「カチカチ」に近いですね。保存性も最も高く、常温で流通することもあります。
面白いのは、この呼び名には地域差があることです。
- 関東地方:乾燥度合いで「釜揚げしらす」「しらす干し」「ちりめんじゃこ(かちり)」と呼び分けるのが一般的。
- 関西地方:乾燥度合いに関わらず、しらすを加工したもの全般を「ちりめんじゃこ(または「おじゃこ」)」と呼ぶ傾向があります。その上で、乾燥度が高いものを「かちり」と区別することがあります。
もし関西のスーパーで「ちりめんじゃこ」という名前で売られていても、それが関東でいう「しらす干し」レベルの柔らかさである可能性も十分にある、ということですね。
体験談|しらす干しと釜揚げしらすを食べ比べてみた
僕もこの違いを記事にするにあたって、改めてスーパーで「釜揚げしらす」と「しらす干し」を同時に買って食べ比べてみました。
やはり、釜揚げしらすの「ふわっ」とした食感は格別ですね。しらす丼にして食べましたが、ご飯と一体になるような柔らかさと、優しい塩味が最高でした。
ただ、一つ発見がありました。それは「料理の汎用性」です。
釜揚げしらすは美味しいのですが、水分が多いので、例えばパスタに入れようとすると少し水っぽくなってしまい、味付けが難しく感じました。
その点、「しらす干し」は万能選手だと再認識しましたね。
大根おろしはもちろん、ほうれん草のおひたしに混ぜたり、卵焼きに入れたり、ペペロンチーノに使ったり。しらす干し自体の味が濃いので、他の食材に負けず、良い「だし」と「塩気」を加えてくれるんです。
釜揚げしらすは「主役」としてそのままの味を楽しみ、しらす干しは「名脇役」として料理の味を引き立てる。そんな使い分けが最適だと感じました。
FAQ(よくある質問)
Q1. しらす干しと釜揚げしらす、赤ちゃん(離乳食)にはどちらが良いですか?
A. 「釜揚げしらす」がおすすめです。食感が柔らかく、塩分も「しらす干し」より少ないためです。ただし、釜揚げしらすでも赤ちゃんにとっては塩分が多いので、必ず熱湯をかけて塩抜きしてから、細かく刻んだりすりつぶしたりして使ってくださいね。
Q2. 「生しらす」はこれらとどう違うのですか?
A. 「生しらす」は、水揚げされたイワシの稚魚を一切加熱(茹で)加工していない状態のものです。鮮度が命で、産地でないと味わえない貴重品ですね。「釜揚げしらす」や「しらす干し」は、すべてこの生しらすを一度茹でてから作られます。
Q3. しらす干しが硬すぎると感じた時の対処法はありますか?
A. それは「しらす干し」ではなく、さらに乾燥させた「ちりめんじゃこ(かちり)」かもしれませんね。もし「しらす干し」が硬い場合は、軽くお酒を振ってから電子レンジで少し温めたり、お湯でさっと湯通ししたりすると、ふっくらと柔らかくなりますよ。
まとめ|しらす干しと釜揚げしらす どちらを選ぶべきか?
しらす干しと釜揚げしらすの違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最も大きな違いは「乾燥度」であり、それによって食感、味、保存性、使い方が変わってきます。
どちらを選ぶべきか、目的別にまとめますね。
- しらす本来のふわふわ食感を楽しみたい時
→ 迷わず「釜揚げしらす」を選びましょう。しらす丼や、そのまま食べるのが最高です。
- 料理のアクセントや旨味として使いたい時
→ 「しらす干し」が万能です。パスタ、チャーハン、和え物など、加熱調理にも向いています。
- 塩分を控えている時
→ 「釜揚げしらす」の方が塩分は控えめです。
- 効率よくカルシウムを摂りたい時
→ 「しらす干し」の方が、同じ重量あたりの栄養価は凝縮されています。
これからは、その日の気分や料理に合わせて、自信を持って「釜揚げしらす」と「しらす干し」を使い分けてみてくださいね。
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