白梅干しと赤梅干しの違い!結局どっちがいい?定義・味・製法を徹底比較

おにぎりの具や食卓の定番である梅干し。

お店には鮮やかな「赤梅干し」と、昔ながらの「白梅干し」が並んでいますが、この二つの違いを正確にご存知でしょうか。

最も決定的な違いは、製造工程で「赤じそ(赤紫蘇)」を使っているかどうかです。白梅干しは梅と塩だけで作られるのに対し、赤梅干しは白梅干しを赤じそで漬け込むことで、あの独特の色と香りが生まれます。

この記事を読めば、製法だけでなく、味、栄養、歴史、そして料理での使い分けまで、二つの梅干しの違いがスッキリとわかりますよ。

どちらの梅干しがあなたの好みか、考えながら読み進めてみてくださいね。

結論|白梅干しと赤梅干しの最も重要な違い

【要点】

「白梅干し(白干し梅)」は、梅を塩のみで漬け込み、土用干しして仕上げたものです。非常に塩味が強く酸っぱい、梅本来の味が特徴です。一方、「赤梅干し(赤じそ漬け)」は、その白梅干しを赤じその葉と一緒に漬け込んだものを指します。赤じその色素によって鮮やかな赤色に染まり、特有の爽やかな香りが加わります。

この二つの梅干しの違いは、シンプルに「赤じそ」を使っているか否かです。まずは、基本的な違いを表で比較してみましょう。

項目 白梅干し(白干し梅) 赤梅干し(赤じそ漬け)
原材料 梅、塩 梅、塩、赤じそ
黄色〜茶褐色(梅本来の色) 鮮やかな赤色・紫色
香り 梅本来のフルーティーな酸味と塩の香り 梅の香りに加え、赤じその爽やかな香り
ストレートな塩味と酸味(非常にしょっぱい) 塩味と酸味に加え、赤じその風味が加わる
主な用途 料理の隠し味、焼酎割り、塩分補給 おにぎり、お茶漬け、ご飯のお供、彩り
別名 白干し(しらぼし) 赤じそ漬け、しそ梅

スーパーなどでよく見かける「調味梅干し」(はちみつ梅やかつお梅など)は、これらの伝統的な梅干し(白梅干しや赤梅干し)を一度塩抜きし、調味液に漬け込んだものです。今回のテーマである「白梅干し」「赤梅干し」は、そうした調味梅干しとは区別される、昔ながらの製法で作られたものを指すのが一般的ですね。

白梅干しと赤梅干しの定義・製法の違い

【要点】

「白梅干し」は、梅を塩漬けし、天日干し(土用干し)しただけの最もシンプルな梅干しです。一方、「赤梅干し」は、白梅干しを漬け込む過程で、塩もみした「赤じそ」の葉を加え、梅に色と香りを移して作られます。

白梅干し(白干し梅)とは?塩だけで漬ける伝統の味

白梅干しは、しばしば「白干し(しらぼし)」とも呼ばれます。

これは最も伝統的でシンプルな梅干しの製造法です。完熟した梅を大量の塩(一般的に梅の重量の18%〜20%程度)で漬け込みます。塩の浸透圧によって梅から水分(白梅酢)が出てきたら、梅雨明けを待って三日三晩、天日干しにします(これを「土用干し」と呼びます)。

太陽の力で乾燥・殺菌され、保存性が高まります。原材料は「梅と塩」だけ。調味料や添加物を一切加えないため、梅本来の強烈な酸味と塩味をダイレクトに味わうことができます。

赤梅干し(赤じそ漬け)とは?赤じそで色と香りを加えた梅干し

赤梅干しは、別名「赤じそ漬け」や「しそ梅」とも呼ばれます。(ただし「しそ梅」は調味梅干しを指す場合もあるため注意が必要です)

基本的な作り方は白梅干しと同じですが、決定的な違いが1つあります。それは、「赤じそ」の葉を使うことです。

製造工程の決定的な違いは「赤じそ」の投入

白梅干しは、梅を塩漬けし、土用干しすれば完成です。

赤梅干しを作る場合は、この白梅干しを漬けている梅酢(白梅酢)に、塩で揉んだ赤じその葉を投入します。

赤じその葉を塩もみすると、アクが抜けて紫色のアントシアニン色素が出てきます。この色素が、梅酢のクエン酸と反応することで、鮮やかな赤色に発色します。この赤くなった梅酢に梅と赤じそを一緒に漬け込み、土用干しすることで、梅の実に色と香りが移り、美しい赤梅干しが完成するのです。

味・香り・食感の違いを比較

【要点】

味は、白梅干しが梅の酸味と塩の辛さをストレートに感じるのに対し、赤梅干しは赤じその風味が加わることで、より複雑で爽やかな味わいになります。香りは、赤梅干しの方がしその清涼感が強く感じられます。

赤じそを加えるか加えないか、そのわずかな違いが、味や香りに大きな差を生み出します。

味の違い:ストレートな塩味と酸味 vs 複雑な風味

白梅干しの味は、非常にシンプルかつ強烈です。口に入れた瞬間、ガツンと来る塩辛さと、唾液腺を刺激する強烈な酸味が特徴です。ごまかしが一切きかない、梅と塩だけの潔い味と言えるでしょう。

赤梅干しは、白梅干しの持つ塩味と酸味をベースにしつつ、そこに赤じそ特有の爽やかな風味とほのかな苦味が加わります。これにより、味わいに奥行きと複雑さが生まれ、白梅干しよりもややマイルドに感じられることもあります(ただし、塩分濃度が低いわけではありません)。

香りの違い:梅本来の香り vs 赤じその爽やかな香り

香りも明確に異なります。

白梅干しは、梅そのものが持つ、フルーティーで甘酸っぱい香りが中心です。

赤梅干しは、その梅の香りに加え、赤じその清涼感のある独特な香りがはっきりと加わります。この香りが食欲をそそり、「ご飯のお供」としての地位を確立している大きな理由の一つですよね。

栄養・健康面の違い

【要点】

クエン酸や塩分、カリウムなど、梅干し本来の栄養素に大きな違いはありません。ただし、赤梅干しには、赤じその赤い色素成分である「シソニン」というポリフェノール(アントシアニンの一種)が含まれる点が異なります。

共通する梅干しの主な栄養素(クエン酸)

白梅干しも赤梅干しも、元は同じ梅から作られているため、基本的な栄養素は共通しています。

  • クエン酸:疲労回復や食欲増進に役立つとされる酸味成分。
  • 塩分(ナトリウム):熱中症対策などの塩分補給に。
  • カリウム:体内の塩分バランスを整えるミネラル。

どちらも伝統的な製法で作られたものは塩分濃度が非常に高いため、食べ過ぎには注意が必要ですよね。

赤梅干し特有の栄養素(シソニン)

赤梅干しにあって白梅干しにないもの。それが、赤じそ由来の栄養素です。

赤じその鮮やかな色素は「シソニン」と呼ばれる成分で、ポリフェノールの一種であるアントシアニン系色素です。このシソニンには、抗酸化作用などが期待されています。

栄養面でわずかながらプラスアルファが期待できるのが、赤梅干しと言えるかもしれません。

料理での使い分け・相性の違い

【要点】

使い分けのポイントは「色」と「香り」です。色や香りを付けたくない料理の隠し味(煮物、和え物)や焼酎のお湯割りには「白梅干し」が適しています。一方、おにぎりやお茶漬け、お弁当の彩りなど、赤色としその香りを活かしたい場合は「赤梅干し」が最適です。

どちらの梅干しを選ぶかは、最終的に好みですが、料理によって使い分けるとそれぞれの良さが引き立ちますよ。

白梅干しのおすすめの使い方(料理の隠し味・焼酎)

白梅干しは、その強烈な塩味と酸味、そして「色がつかない」特性を活かすのがおすすめです。

  • 料理の隠し味:煮魚(臭み消し)、和え物、ドレッシングなどに。梅の酸味と塩味だけを加えたい時に便利です。
  • 梅肉ソース:色を付けたくない白身魚のフライなどに添える梅肉ソースに。
  • 焼酎のお湯割り:しその香りが邪魔をせず、梅の酸味だけを楽しみたい場合に最適です。

赤梅干しのおすすめの使い方(ご飯のお供・彩り)

赤梅干しは、何と言ってもその「色」と「香り」を活かします。

  • おにぎり・お弁当:白いご飯とのコントラストが美しく、見た目のアクセントになります。日の丸弁当には欠かせませんよね。
  • お茶漬け・混ぜご飯:赤じその爽やかな香りが、お茶やご飯と相性抜群です。
  • 箸休め:食卓に一粒あるだけで、その鮮やかな赤色が食卓を華やかにします。

文化・歴史的背景の違い

【要点】

梅干しの歴史は古く、平安時代には既に存在していたとされます。当時は塩だけで漬ける「白梅干し(白干し)」が主流でした。赤じそを使って赤く染める製法が広まったのは、江戸時代以降とされています。

梅干しの原型は「白梅干し」

梅干しの歴史は非常に古く、平安時代の文献にはすでに「梅干し」の記述が見られます。当時は薬として貴重なものであり、その製法は塩だけで漬ける「白梅干し(白干し)」でした。

戦国時代には、保存食・傷の消毒薬として武士の必需品だったとされています。この時点でも、まだ主流は白梅干しだったと考えられます。

なぜ赤じそを入れるようになったのか?

現在のように赤じそを入れて赤く染める製法が一般に広まったのは、江戸時代に入ってからとされています。

なぜ赤じそが使われるようになったのか、その理由は諸説ありますが、

  • 防腐・殺菌効果の向上:赤じそ自体が持つ防腐・殺菌作用(ペリルアルデヒドなど)を加えるため。
  • 風味の向上:梅の酸味と塩味だけでは単調なため、しその香りを加えて風味を豊かにするため。
  • 見た目の美しさ:食欲をそそる鮮やかな赤色にするため。

といった理由が考えられます。特に江戸の庶民文化が花開く中で、見た目の美しさや風味の良さが求められるようになったのかもしれませんね。

体験談|自家製梅干し作りで知った「赤」の魔力

僕は数年前から、毎年梅干しを漬けています。初めて挑戦した年、土用干しが終わった時点の「白梅干し」を食べてみました。塩と梅の酸味がガツンと効いていて、「これぞ梅干し!」という力強い味に感動しました。

その白梅干しの半分を、試しに赤じそと一緒に漬け込んでみたんです。

塩もみした赤じその葉を梅酢に入れた瞬間、それまで琥珀色だった梅酢が、まるで魔法のように鮮やかなルビー色に変わりました。そして、数日経つと、黄色かった梅の実がだんだんと美しい赤色に染まっていくんです。

完成した赤梅干しを食べてみると、白梅干しのストレートな塩味とは違い、赤じその爽やかな香りが鼻に抜け、味がぐっと立体的になっていました。正直、「おにぎりには、絶対にこっちだ」と思いましたね。

白梅干しは「調味料」としての完成度、赤梅干しは「ご飯のお供」としての完成度が高い。どちらが良い悪いではなく、赤じそが加わるだけでこんなにも役割が変わるのかと、先人の知恵に改めて驚かされました。

白梅干しと赤梅干しに関するよくある質問

白梅干しと赤梅干しについて、よくある疑問にお答えしますね。

どちらが「伝統的」な梅干しですか?

製法としては、塩だけで作る「白梅干し(白干し)」の方が歴史が古いです。平安時代から存在した梅干しは白梅干しだったと考えられています。赤梅干しが広まったのは江戸時代以降とされていますよ。

スーパーで売っている「しそ梅」は赤梅干しと同じですか?

少し違います。スーパーで一般的に売られている「しそ梅」の多くは、「調味梅干し」です。これは、一度塩抜きした梅干しを、しそ風味の調味液(アミノ酸、甘味料、酸味料など)に漬けて味付けしたものです。伝統的な「赤梅干し」は、塩と梅と赤じそだけで作られ、塩抜きも調味液漬けも行わないものを指すことが多いですね。

赤梅干しの赤色は着色料ですか?

伝統的な製法で作られた赤梅干しの赤色は、100%「赤じそ」の色素(シソニン)です。ただし、安価な「調味梅干し」の中には、コスト削減や色を安定させるために、赤じそを使わず、野菜色素(赤キャベツなど)やコチニール色素などで着色している製品もあります。気になる方は、原材料名を確認してみると良いでしょう。

まとめ|白梅干しと赤梅干し、どちらを選ぶべきか?

白梅干しと赤梅干し、二つの違いは「赤じそ」の有無というシンプルなものでした。

どちらを選ぶかは、完全にあなたの好みと用途次第です。

  • 白梅干しがおすすめな人
    → 梅本来のストレートな塩味と酸味を楽しみたい人。
    → 料理の隠し味として、色や香りを付けずに梅の酸味と塩味だけを使いたい人。
  • 赤梅干しがおすすめな人
    → 赤じその爽やかな香りが好きな人。
    → おにぎりやお弁当など、ご飯のお供として色合いも楽しみたい人。

ぜひ両方を食べ比べて、それぞれの魅力を味わってみてください。

梅干しのように、日本には様々な伝統的な調理法や食文化があります。さらに詳しい違いについては、「調理法・食文化」カテゴリの記事一覧も参考にしてみてくださいね。