ししとうとピーマンの違いとは?辛味・栄養・使い方を徹底比較

「ししとう」と「ピーマン」、どちらも緑色で、食卓でお馴染みの野菜ですよね。

どちらも同じナス科トウガラシ属の仲間で、分類上は「トウガラシの甘味種(辛くない品種)」に属します。しかし、見た目や大きさはもちろん、料理での使われ方、そして「辛味」という最大の違いがあります。

特に「ししとう」は、10本に1本程度の確率で「当たり」と呼ばれる辛いものに遭遇するスリルがありますが、ピーマンにはその心配がありません。

この記事を読めば、ししとうとピーマンの植物学的な関係から、栄養価の違い、なぜししとうだけが辛くなるのか、そして料理での使い分けまで、すべての疑問がスッキリ解決しますよ。

それでは、まず結論から見ていきましょう。

結論|ししとうとピーマンの違いを一言でまとめる

【要点】

ししとうとピーマンは、どちらもナス科トウガラシ属の「甘味種」に分類される仲間です。最大の違いは「辛味の有無」と「形状」にあります。ピーマンは大型で肉厚、ベル型をしており、辛味は全くありません。一方、ししとうは細長く、先端が獅子の口のようにくびれており、基本的には辛くありませんが、生育時のストレスによって「カプサイシン」が増加し、まれに辛い「当たり」個体が発生します。

植物としては非常に近い親戚ですが、ピーマンは品種改良によって辛味が完全になくなった「大型種」、ししとうは辛味がほとんどない「小型種」と覚えておくと分かりやすいですね。

この2つの違いについて、比較表で詳しく見てみましょう。

項目ししとう(獅子唐辛子)ピーマン
植物分類ナス科 トウガラシ属(甘味種)
見た目細長い、先端がくびれている(獅子口)大型、肉厚、ベル型
辛味基本は辛くないが、まれに辛い「当たり」がある全くない
主な辛味成分カプサイシン(ストレスで増加)なし(カプサイシンをほぼ含まない)
味・風味独特の風味、わずかな苦味特有の青臭さと苦味
主な用途丸ごと加熱(素揚げ、焼き物、天ぷら)カットして使用(炒め物、肉詰め、生食)
主な栄養素βカロテン、ビタミンC、カリウムβカロテン、ビタミンC、ビタミンE

「当たり」の存在が、ししとうを特徴づける最大のポイントと言えそうです。では、なぜ同じ仲間なのに、このような違いが生まれるのでしょうか。

定義・分類・学術的な違い(植物学的な関係)

【要点】

ししとうもピーマンも、学術的には「ナス科トウガラシ属」の植物です。どちらも辛味成分(カプサイシン)をほとんど含まない「甘味種」に分類されますが、その中でも異なる品種群です。ピーマンは大型のベル型品種、ししとうは細長系の小型品種を指します。

スーパーでは全く別の野菜として並んでいますが、植物としてのルーツは同じ中南米原産のトウガラシです。

ししとう(獅子唐辛子)とは

ししとうは、ナス科トウガラシ属の甘味種の一品種です。「ししとう」という名前は「獅子唐辛子」を意味し、先端のくびれた部分が「獅子の口」に似ていることから名付けられました。

トウガラシの仲間ですが、辛味はほとんど感じない品種として定着しています。しかし、後述する理由により、時折カプサイシンを多く含む辛い実ができてしまいます。

ピーマンとは

ピーマンも、ししとうと同じくナス科トウガラシ属の甘味種です。フランス語でトウガラシ類全般を指す「ピマン(piment)」が名前の由来とされています。

品種改良によってカプサイシンをほとんど含まないように固定化された大型の品種群で、独特の苦味と香りが特徴です。ピーマンは、どのような環境で育っても辛くなることはありません。

ちなみに、赤ピーマンや黄ピーマン(カラーピーマン)は、緑色のピーマンが完熟したものです。完熟することで苦味が消え、甘みが増します。

見た目・味・香り・食感の違い

【要点】

ピーマンは肉厚でパリッとした食感と、独特の青臭さ・苦味があります。ししとうは皮が薄く柔らかで、風味はピーマンより穏やかですが、最大の特徴は「時々、非常に辛い個体に当たる」という点です。

見た目(形と大きさ)の見分け方

この2つを見間違えることは少ないでしょう。

ピーマンは、手のひらに収まる程度の大きさで、ふっくらとしたベル型をしています。皮は硬くツヤがあり、肉厚です。

ししとうは、指のように細長く、長さは5〜7cm程度です。皮はピーマンよりも薄く、表面はややシワが寄っています。そして、先端がくびれて凹凸があるのが特徴です。

味と香り(苦味と辛味)の決定的な違い

ピーマンの味は、特有の青臭さと苦味が主体です。この苦味は「クエルシトリン」というポリフェノールなどによるもので、油で調理することで和らぎます。辛味は一切ありません。

ししとうの味は、ピーマンほどの強い苦味や青臭さはなく、加熱すると独特の香ばしい風味が立ちます。そして最大の特徴が「辛味」です。

「ししとうの当たり」はなぜ辛いのか?

ししとうは基本的に甘味種ですが、栽培環境で強いストレスを受けると、辛味成分である「カプサイシン」を生成してしまうことがあります。

これが「当たり」の正体です。

  • 高温・乾燥が続く
  • 水分が不足する
  • 肥料(特に窒素)が不足する
  • 株が弱っている

上記のような厳しい環境で育つと、ししとうは「子孫を残さなければ」という防衛本能から、種を守るためにカプサイシンを作り出すと考えられています。農林水産省の関連情報でも、こうしたストレスが辛味の原因と説明されています。

ピーマンは辛味を作る遺伝子自体をほとんど持たないように改良されているため、どんなにストレスがかかっても辛くなることはありません。これが両者の決定的な違いですね。

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

どちらもビタミン類が豊富な緑黄色野菜です。ピーマンは特にβカロテン(ビタミンA)ビタミンCが豊富で、抗酸化作用が期待できます。ししとうもビタミンCやカリウムを含み、辛い「当たり」個体にはカプサイシンが含まれます。

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)」を基に、それぞれの栄養素を見てみましょう(可食部100gあたり)。

ししとうの主な栄養素

ししとう(生)100gあたりには、以下の栄養素が豊富です。

  • βカロテン(800μg):体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持を助けます。
  • ビタミンC(57mg):抗酸化作用を持ち、皮膚や血管の健康を保つのに役立ちます。
  • カリウム(260mg):体内の余分なナトリウムを排出するのを助けます。
  • カプサイシン:(辛い個体のみ)血行促進や発汗作用が知られています。

ピーマンの主な栄養素

ピーマン(緑、生)100gあたりには、以下の栄養素が豊富です。

  • βカロテン(400μg):緑黄色野菜の代表格です。(ちなみに赤ピーマンは1100μgとさらに多いです)
  • ビタミンC(76mg):ピーマンのビタミンCは加熱しても壊れにくい特徴があります。
  • ビタミンP(ルチンなど):ビタミンCの吸収を助ける働きがあると言われています。

どちらも栄養豊富な野菜ですが、ピーマンの方がビタミンCの含有量が多いことが分かりますね。

使い方・料理での扱い方の違い

【要点】

ピーマンは肉詰めや炒め物、サラダなど、カットして中身(種やワタ)を取り除いて使うのが基本です。一方、ししとうは種もワタも食べられるため、素揚げや天ぷら、焼き鳥などで丸ごと加熱して食べるのが主流です。

この調理法の違いが、両者の使い分けを最も明確にしています。

ししとうのおすすめ調理法(丸ごと加熱)

ししとうは、皮が薄く、種やワタもそのまま食べられます。ただし、加熱調理する際は、油はねによる破裂を防ぐため、必ず先端や側面に竹串や包丁で穴を開けてください。

  • 素揚げ・天ぷら:油でさっと揚げることで、香ばしさが増し、鮮やかな緑色に仕上がります。
  • 焼き物:網焼きやフライパンで焼き目をつけ、鰹節と醤油で食べる「焼きししとう」は定番です。焼き鳥の「ししとう串」も人気ですね。
  • 煮浸し:だし汁でさっと煮て、味を含ませます。

ピーマンのおすすめ調理法(炒め物・生食)

ピーマンは肉厚で種が硬いため、調理の際はヘタと種、ワタを取り除くのが一般的です。

  • 炒め物:青椒肉絲(チンジャオロース)や野菜炒めなど、油との相性が抜群です。パリッとした食感を残すのが美味しく仕上げるコツです。
  • 肉詰め:ピーマンの苦味とひき肉の旨味がよく合います。
  • 生食:細切りにしてサラダや和え物にすると、生の食感と苦味を楽しめます。

旬・産地・保存・価格の違い

【要点】

どちらも本来の旬は夏(6月〜9月頃)ですが、ハウス栽培により通年流通しています。主な産地は高知県、宮崎県、茨城県など、温暖な地域が中心です。保存はどちらも乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室で保存します。

旬の時期と主な産地

ししとうもピーマンも代表的な夏野菜で、露地物の旬は6月〜9月頃です。しかし、現在は高知県や宮崎県、茨城県、岩手県などでのハウス栽培が盛んで、一年中安定して市場に出回っています。

正しい保存方法と価格の傾向

どちらも乾燥と低温に弱い野菜です。買ってきたらポリ袋に入れるか、キッチンペーパーで包んでから袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。カットしたピーマンや、使いきれないししとうは冷凍保存も可能です。

価格は、一般的にピーマンの方が安価です。ピーマンは1袋(4〜5個入り)で100円〜200円程度、ししとうは1パック(10〜15本入り)で100円〜150円程度が相場ですが、重量あたりで比較するとピーマンの方が割安になります。

起源・歴史・名称の由来

【要点】

どちらも中南米原産のトウガラシがヨーロッパ経由で伝わったものです。ピーマンはフランス語の「ピマン(トウガラシ)」が語源。ししとうは、先端の形が「獅子の口」に似ていることから「獅子唐辛子」と名付けられました。

ピーマンが日本に伝わったのは明治時代に入ってからとされています。本格的に普及したのは第二次世界大戦後で、独特の苦味が子供に敬遠されがちでしたが、栄養価の高さから学校給食などを通じて一般家庭に広まりました。

ししとうの伝来時期は明確ではありませんが、ピーマンよりも古くから日本に存在していたと考えられています。天ぷらや焼き物など、日本料理の脇役として重宝されてきました。

体験談|ししとうの「当たり」に遭遇した日のこと

僕にとって、ししとうは居酒屋の「焼き鳥の盛り合わせ」で出会う名脇役というイメージでした。ピーマンは家で青椒肉絲や肉詰めで食べる主役級の野菜。全く別物として認識していましたね。

ある日、居酒屋でししとう串を頼んだ時のことです。いつものように香ばしいししとうを頬張った瞬間、「ガツン!」と強烈な辛さが口の中に広がりました。「え、これ、ししとう?鷹の爪じゃないの?」と本気で混乱しました。

これが、うわさに聞く「当たり」か!と。ピーマンでは決して体験できない、このロシアンルーレットのようなスリルこそが、ししとうの隠れた魅力なのだと痛感しました。

それ以来、ししとうを食べる時は少しだけ身構えるようになりましたが、あの香ばしさの奥に隠れた「かもしれない辛味」を想像するのも、また一つの楽しみになっています。ピーマンに「当たり」がないのは、ある意味、安心して食べられる良さでもありますね。

ししとうとピーマンの違いに関するFAQ(よくある質問)

ししとうが辛い「当たり」はなぜ起こるのですか?

ししとうは、水不足や高温、肥料不足といった生育環境での強いストレスを感じると、辛味成分である「カプサイシン」を生成することがあるためです。これは種の保存のための防衛反応と考えられています。ピーマンは辛味を作る遺伝子をほぼ持たないため辛くなりません。

ピーマンとししとうは栄養が違いますか?

どちらもβカロテンやビタミンCが豊富な緑黄色野菜です。100gあたりで比較すると、ピーマンの方がビタミンCの含有量が多い傾向にあります。一方、ししとうはカリウムも比較的多く含んでいます。

ししとうの代わり(代用)にピーマンを使えますか?

料理によります。ピーマンを細切りにして、ししとうの煮浸しのように使うことは可能ですが、ピーマンの方が肉厚で苦味が強いため、食感や風味はかなり変わります。逆に、ししとうでピーマンの肉詰めを作るのは、サイズや皮の薄さから難しいでしょう。素揚げや天ぷらは、ししとうの方が適しています。

まとめ|ししとうとピーマン どちらを選ぶべきか?

ししとうとピーマンの違い、明確にご理解いただけたでしょうか。

どちらも同じトウガラシの仲間でありながら、個性と役割が全く異なる野菜でした。

  1. 辛味のない安定した味と食感を求めるならピーマン。炒め物、肉詰め、生食サラダに最適です。
  2. 香ばしさと、時折のスリル(辛味)を楽しみたいならししとう。素揚げ、天ぷら、焼き物など、丸ごと使う料理に向いています。
  3. 栄養面では、どちらもビタミン豊富ですが、特にビタミンCを多く摂りたいならピーマンが優勢です。

これからは、その日のメニューに合わせて、ピーマンの安心感と、ししとうの奥深さ(とスリル)を、ぜひ使い分けて楽しんでみてくださいね。

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