紹興酒と料理酒の違い!中華と和食、使い分けのコツを解説

中華料理を作る時に登場する「紹興酒」と、和食でおなじみの「料理酒」。

どちらも料理に「コク」と「旨味」を加え、肉や魚の臭みを消してくれる、キッチンに欠かせない調味料ですよね。どちらもお米(穀物)から造られる醸造酒ですが、この二つ、実は全くの別物です。

最大の違いは、日本で一般的に売られている「料理酒」が、酒税法の対象外にするために「塩分」を加えた「食品(調味料)」であるのに対し、「紹興酒」は塩分を含まない「お酒(酒類)」である点です。

さらに、料理酒は「米」と「米麹」から造られる日本酒ベース、紹興酒は「もち米」と「麦麹」から造られる中国の黄酒(ホワンチュウ)であり、原料も香りも全く異なります。

この記事を読めば、その根本的な違いから、料理での使い分け、代用の可否まで、スッキリと理解できますよ。

結論|紹興酒と料理酒の違いを一言でまとめる

【要点】

紹興酒と料理酒の最大の違いは「塩分の有無」「お酒のベース」です。料理酒(加塩タイプ)は、日本酒に約2~3%の塩分を加えて「飲用不可」にした「調味料(食品)」です。一方、紹興酒は、中国のもち米と麦麹から造られる「お酒(酒類)」であり、塩分は含まれていません。

まずは、この二つの違いを表で比較してみましょう。

項目料理酒(加塩タイプ)紹興酒
分類食品(調味料)酒類(黄酒)
主な原材料米、米麹、食塩もち米、麦麹、水
塩分約2~3% 含む0%(含まない)
ベースのお酒日本酒(清酒)黄酒(ホワンチュウ)
透明~淡い黄色濃い琥珀色(褐色)
味・香り日本酒の風味、強い塩味ナッツやカラメルのような独特の熟成香、強いコク
主な用途和食(煮物、照り焼きなど)中華料理(豚の角煮、麻婆豆腐など)
アルコール度数約13~14%約14~18%

決定的な違い:「塩分」の有無と「お酒の種類」

【要点】

私たちがスーパーで「料理酒」として買う商品の多くは、酒類販売免許がない店でも扱えるよう、あえて塩分を添加し「お酒」ではなく「食品(調味料)」として流通させています。一方、紹興酒は中国の「お酒」であり、飲むことも料理に使うこともできます。

料理酒とは?(塩分を含む日本酒ベースの調味料)

日本で「料理酒」として売られている商品の多くは、酒税法上の「酒類」ではありません。

酒類を販売するには「酒類販売業免許」が必要ですが、スーパーの調味料コーナーなどで誰でも買えるようにするため、製造過程で日本酒に約2~3%の食塩を加えています。

塩分を加えることで「飲用(飲むこと)に適さない」状態にし、酒税法上の「酒類」から外し、「食品(調味料)」として扱えるようにしているのです。これが、料理酒が安価に販売できる理由でもあります。

もちろん、塩分を加えていない「料理清酒(清酒)」も存在しますが、これは「酒類」扱いとなり、お酒売り場で販売されます。

紹興酒とは?(塩分を含まない中国の醸造酒)

紹興酒は、中国の浙江省紹興市周辺で造られる、伝統的な「お酒(酒類)」です。</p

中国のお酒の分類である「黄酒(ホワンチュウ)」の一種で、醸造酒に分類されます。もち米と麦麹を原料とし、カメ(甕)で長期間熟成させることで、あの独特の深い色と香りが生まれます。</p

当然ながら、製造工程で塩分は加えません。そのため、飲用としても楽しまれますし(ザラメや干し梅を入れて温めるのが伝統的)、料理酒としても使われます。

原材料と製造工程の違い(米麹 vs 麦麹)

【要点】

どちらも穀物を発酵させる醸造酒ですが、原料と「麹(こうじ)」が根本的に異なります。料理酒は「米」と「米麹(こめこうじ)」を使います。紹興酒は「もち米」と「麦麹(むぎこうじ)」を使います。この麹の違いが、香りの大きな差となっています。

料理酒の原材料と製法

料理酒のベースは「日本酒(清酒)」です。

主原料は「米(うるち米)」「米麹」です。米麹は、蒸した米に麹菌(主に黄麹)を繁殖させたもので、米のデンプンを糖分に変える「糖化」の役割を果たします。

日本酒と同じ製法で造られた後、最終工程で塩や酢、調味料(アミノ酸)などが添加されます。

紹興酒の原材料と製法

紹興酒の主原料は「もち米」です。(一部、小麦やうるち米も使われます)

そして、糖化のために使われる麹が、「麦麹(むぎこうじ)」です。これは米麹とは異なり、小麦を原料として造られる麹(「酒薬」と呼ばれる麹も併用)です。

この「もち米」と「麦麹」の組み合わせ、そして伝統的なカメ(甕)での長期熟成が、紹興酒独特の濃厚な味わいと香りを生み出します。

味・香り・色の違いを比較

【要点】

紹興酒は、濃い琥珀色で、カラメルやナッツ、ドライフルーツに例えられる強い熟成香濃厚なコクが特徴です。料理酒(加塩タイプ)は、透明または淡い黄色で、香りは日本酒に近いですが、味わいは強い塩味が特徴です。

料理酒の味わい(スッキリ、ただし塩辛い)

見た目:透明、または日本酒らしい淡い黄色です。

香り:日本酒(清酒)と同様に、米由来の穏やかな香りがします。

味わい:日本酒の旨味(アミノ酸)や甘みも含まれますが、加塩タイプの場合、第一印象は「塩辛い」です。飲用には全く適していません。この塩分が、調理の際に下味として機能します。

紹興酒の味わい(濃厚な熟成香とコク)

見た目:長期熟成による、深く濃い琥珀色(褐色)をしています。

香り:非常に個性的で、カラメル、黒蜜、ナッツ、ドライフルーツなどに例えられる、複雑で芳醇な「熟成香」が強く香ります。

味わい非常に濃厚なコクと旨味があります。酸味と(原料由来の)ほのかな甘みが複雑に絡み合った、重厚な味わいです。

料理での使い分け・相性の良い食材(和食 vs 中華)

【要点】

この二つは香りが全く異なるため、代用はおすすめできません。料理酒は和食(煮魚、照り焼きなど)に使い、素材の味を活かします。紹興酒は中華料理(豚の角煮、麻婆豆腐など)に使い、その強い香りで本格的な中華の風味とコクを加えます。

料理酒が合う料理(和食全般)

料理酒(日本酒ベース)は、香りにクセがないため、素材の味を活かす和食全般に適しています。

  • 魚や肉の臭み消し(煮魚、鶏肉の下ごしらえ)
  • 素材を柔らかくする(肉じゃが、煮物)
  • 旨味とコクを加える(照り焼き、すき焼きの割り下、だし巻き卵)

注意点として、加塩タイプの料理酒を使う場合は、加える塩や醤油の量を減らす必要があります。

紹興酒が合う料理(中華料理全般)

紹興酒の強い熟成香は、中華料理の風味付けに欠かせません。この香りこそが「お店の中華の味」の決め手の一つです。

  • 肉の臭み消しと風味付け(豚の角煮、青椒肉絲、餃子の餡)
  • 深いコクと香りを加える(麻婆豆腐、炒飯、スープ)
  • タレやソースのベース(油淋鶏のタレなど)

和食に紹興酒を使うと、その香りが強すぎて料理のバランスが崩れてしまいます。逆に、中華料理に料理酒を使うと、塩辛くなるだけで、紹興酒特有のコクと香りが出ません。

アルコール度数・塩分・保存性の違い

【要点】

アルコール度数はどちらも約13%~18%と大差ありません。決定的な違いは塩分です。料理酒(加塩タイプ)は塩分約2~3%を含みますが、紹興酒は0%です。保存性は塩分を含む料理酒の方が高いですが、どちらも開栓後は冷蔵保存が推奨されます。

アルコール度数
紹興酒は約14%~18%、料理酒(清酒タイプ、加塩タイプともに)は約13%~14%が主流で、大きな差はありません。どちらも加熱(煮切り)することでアルコールを飛ばすことができます。

塩分
これが最大の注意点です。紹興酒は塩分ゼロです。料理酒(加塩タイプ)は塩分約2~3%を含みます。大さじ1(15ml)の料理酒には約0.3g~0.5gの塩分が含まれる計算になるため、味付けの際には必ず調整が必要です。

保存性
紹興酒は「酒類」のため、開栓後は酸化を防ぐためにも冷蔵庫での保存が推奨されます。料理酒(加塩タイプ)は塩分が含まれているため、常温保存が可能な製品も多いですが、風味の劣化を防ぐためには、やはり開栓後は冷蔵保存するのがおすすめです。

体験談|麻婆豆腐で紹興酒と料理酒を使い比べてみた

僕はずっと、家で中華料理を作る時、紹興酒の代わりに安価な「料理酒」で代用していました。「同じお酒だし、アルコールで臭みが取れればいいや」と。

しかし、僕の作る麻婆豆腐は、どうもお店のような「本格的な香り」がしませんでした。

ある日、本格的なレシピに挑戦しようと、初めて「紹興酒」を買って使ってみたんです。豆板醤や甜麺醤と一緒に、紹興酒を鍋肌からジュワっと入れた瞬間、その違いに衝撃を受けました。

「この匂いだ!お店の匂いがする!」

料理酒(日本酒)を使った時には全くしなかった、あのカラメルのような、香ばしくて複雑な熟成香が、キッチンいっぱいに広がりました。完成した麻婆豆腐は、いつもの「家庭的な味」とは一線を画す、深いコクと香りを持つ「中華料理の味」になっていたのです。

この体験から、和食には料理酒、中華には紹興酒、という使い分けは、単なる気分の問題ではなく、料理のアイデンティティを決める重要なプロセスなのだと痛感しました。

紹興酒と料理酒に関するよくある質問

料理酒(加塩)の代わりに日本酒(清酒)を使ってもいいですか?

はい、もちろん使えます。というか、本格的に料理にこだわる方は、塩分や糖分が添加されていない「清酒(飲用の日本酒)」を使うことの方が多いです。その方が料理に純粋な米の旨味とアルコールの効果(臭み消し、味の浸透)を加えられ、塩加減も自分で完璧に調整できるからです。

紹興酒は飲めますか?

はい、紹興酒は「お酒(酒類)」ですので、もちろん飲めます。中国では、ザラメ砂糖や干し梅を入れて温め(燗)、ゆっくりと味わうのが伝統的な飲み方です。独特の香りが強いため、飲み慣れていないと驚くかもしれませんが、非常に奥深い味わいです。

紹興酒が家にない場合、何で代用できますか?

料理酒(日本酒)での代用は、風味が全く異なるためおすすめしません。もし代用するなら、同じ中国の「老酒(ラオチュウ)」や、香りが近い「シェリー酒(辛口)」、あるいは「赤ワイン」の方が、風味の方向性としては近い仕上がりになります。ただし、それぞれ甘みや酸味が異なるため、味の調整は必要です。

まとめ|紹興酒と料理酒、目的別おすすめの使い方

紹興酒と料理酒の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

「料理酒」は、米と米麹から造る日本酒ベースで、多くは塩分が添加された「和食用の調味料」。

「紹興酒」は、もち米と麦麹から造る中国酒で、塩分ゼロの「中華料理用の風味豊かなお酒」。

この二つは、全く代用が効かない、それぞれの料理ジャンルに特化したお酒です。

  • 煮魚、照り焼き、肉じゃが、だし巻き卵など、和食全般料理酒
  • 豚の角煮、麻婆豆腐、青椒肉絲、炒飯など、中華料理全般紹興酒

このように使い分けるだけで、いつもの料理が格段に本格的になりますよ。

どちらも料理の飲み物・ドリンク(調味料)として非常に優秀です。ぜひ調味料の違いを理解して、毎日の料理に活かしてみてください。