「シュガーパウダー」と「粉糖」の違い!お菓子作りで失敗しない使い分け

お菓子作りのレシピを見ていると「粉糖」と書いてあったり「シュガーパウダー」と書いてあったりして、別のものを用意すべきか迷ったことはありませんか?

実はこの2つ、基本的には「同じもの」を指す言葉ですが、製品によっては「コーンスターチが含まれているかどうか」「湿気に強い加工がされているか」に決定的な違いがあります。

この記事を読めば、作りたいお菓子に合わせて最適なタイプを選べるようになり、アイシングが固まらない、仕上げの雪化粧がすぐに消えてしまうといった失敗を防げるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの結論から見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「シュガーパウダー」と「粉糖」の最も重要な違い

【要点】

言葉の意味としては「シュガーパウダー(英語)」=「粉糖(日本語)」で同じものです。しかし、実用上は「純粉糖(砂糖100%)」「コーンスターチ入り」「泣かない粉糖(油脂コート)」の3種類を使い分けることが重要です。

まずは、結論からお伝えしますね。

名前の違いよりも重要な「中身(タイプ)」の違いを、以下の表にまとめました。レシピで指定されたときに、どれを選ぶべきかの基準にしてください。

タイプ原材料特徴おすすめ用途
純粉糖砂糖100%混じりけなし、固まりやすいマカロン、クッキー、アイシング
コーンスターチ入り砂糖 + 澱粉(約3%)サラサラして固まりにくい焼き菓子の練り込み、一般的な用途
泣かない粉糖砂糖 + 油脂など水分を弾く、溶けにくいケーキやタルトの仕上げ(デコレーション)

一番大切なポイントは、「アイシングやマカロンを作るなら純粉糖」、「仕上げに振るなら泣かない粉糖」を選ぶのが鉄則だということです。

単に「粉糖(シュガーパウダー)」として売られている商品は、裏面の原材料を見てタイプを確認する必要があります。

定義と呼び名の違い|英語か日本語か

【要点】

「シュガーパウダー(Sugar Powder)」は英語、「粉糖(ふんとう)」は日本語で、どちらもグラニュー糖を細かく粉砕した砂糖を指します。製菓材料店やレシピによって呼び方が異なりますが、物質としての定義は同じです。

スーパーや100円ショップでは「シュガーパウダー」、製菓材料専門店では「粉糖」と表記されることが多いですが、これらは言語の違いに過ぎません。

粉糖(ふんとう)

プロのパティシエや料理研究家のレシピでは「粉糖」と書かれることが一般的です。

グラニュー糖を微粉状に粉砕したもので、口溶けが良く、バターや卵と馴染みやすいのが特徴です。

シュガーパウダー(パウダーシュガー)

おしゃれなパッケージの商品や、輸入食品店、一部のレシピ動画などでは「シュガーパウダー」と呼ばれることがあります。

英語圏では「Powdered sugar」や「Confectioners’ sugar」、「Icing sugar」と呼ばれます。

名前が違っても、基本的には「粉状の砂糖」を探せばOKです。

成分による違い|「純粉糖」と「コーンスターチ入り」

【要点】

粉糖には、砂糖100%の「純粉糖」と、固まるのを防ぐためにデンプンを混ぜた「コーンスターチ入り(通常3%程度)」があります。コーンスターチが入っていると、加熱しないレシピでは粉っぽさが残ったり、繊細な生地作りで失敗の原因になったりすることがあります。

ここが、お菓子作りの成功と失敗を分ける最大の分岐点です。

純粉糖(じゅんふんとう)

原材料が「グラニュー糖」のみのものです。

純粋な砂糖なので、他の材料の邪魔をせず、クリアな甘さを出せます。

ただし、吸湿性が高く、非常に固まりやすい(ダマになりやすい)ため、使う直前に茶こしで振るう必要があります。

コーンスターチ入りの粉糖

原材料に「グラニュー糖、コーンスターチ(澱粉)」と書かれています。

コーンスターチの粒子が砂糖の粒同士のくっつきを防ぐため、サラサラした状態が長く続き、保存や計量が楽です。

スーパーで売られている小袋タイプの粉糖は、このタイプが多いです。

クッキーやケーキの生地に混ぜ込んで焼く場合は、コーンスターチが入っていても味や食感に大きな影響はありません。

機能性による違い|「泣かない粉糖(プードルデコール)」とは

【要点】

「泣かない粉糖(溶けない粉糖)」は、砂糖の粒子を油脂でコーティングした特殊な製品です。ケーキやタルトの上に振りかけた際、水分を吸って溶けてしまう(泣く)のを防ぎ、長時間白い雪のような状態を保ちます。

ケーキ屋さんのショーケースに並ぶガトーショコラが、いつまでも白く綺麗なのはなぜでしょうか。

それは、魔法の粉糖を使っているからです。

泣かない粉糖(プードルデコール)

「トッピング用」「飾り用」「溶けない」と書かれている粉糖です。

油脂(植物性油脂など)やデンプンで粒子をコーティングしており、水分や油分を弾く性質があります。

フルーツタルトや生チョコ、フレンチトーストなど、水分が多いお菓子に普通の粉糖をかけると一瞬で溶けて消えてしまいますが、これなら白さをキープできます。

ただし、油脂が含まれているため、口溶けは普通の粉糖より少し悪く、独特の食感があります。

生地に練り込む用途には向きません。

お菓子作りでの使い分け|アイシングやマカロンにはどっち?

【要点】

アイシングクッキーやマカロンなど、乾燥させて固めるお菓子には「純粉糖」が必須です。コーンスターチが入っていると強度が落ちたり、ひび割れの原因になります。焼き菓子への練り込みには「コーンスターチ入り」でも問題ありません。

用途に合わせて使い分けることが、プロの仕上がりに近づくコツです。

純粉糖を使うべきシーン

  • アイシングクッキー:強度が強く、きめ細やかな表面に仕上がります。コーンスターチ入りだと脆くなりやすいです。
  • マカロン:生地の乾燥と膨らみが重要なので、不純物のない純粉糖が推奨されます。
  • 生クリームの甘味付け:コーンスターチが入っていると、少しざらついたり味が濁ったりすることがあります。

コーンスターチ入りでもOKなシーン

  • クッキー・スノーボール:生地に練り込む場合、コーンスターチが入っていてもサクサク感に影響は少ないです。
  • パウンドケーキ・スポンジ:焼成するお菓子なら、澱粉も一緒に焼けるので問題ありません。

泣かない粉糖を使うべきシーン

  • 仕上げのデコレーション:ガトーショコラ、ティラミス、シュークリーム、フルーツタルトなど。

価格・入手性・保存方法の違い|固まりやすさに注意

【要点】

「コーンスターチ入り」はスーパーや100均で手に入りやすく安価ですが、「純粉糖」は製菓材料店でないと手に入りにくい場合があります。保存に関しては、「純粉糖」は湿気でカチカチに固まりやすいため、密閉容器に乾燥剤を入れて保存する必要があります。

使い勝手の面でも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

入手性と価格

  • コーンスターチ入り:最も一般的で安価。スーパーの製菓コーナーにある小袋(70g〜100g)はだいたいこれです。
  • 純粉糖:大きめのスーパーや製菓材料店(富澤商店、cottaなど)で購入可能。価格は少しだけ高いか、同程度です。
  • 泣かない粉糖:少量で割高な傾向があります。製菓材料店で入手できます。

保存方法の注意

純粉糖は、開封するとすぐに湿気を吸って石のように固まります。

一度固まるとほぐすのが大変なので、密閉容器(タッパーや瓶)に移し替え、シリカゲル(乾燥剤)を一緒に入れておくのが鉄則です。

コーンスターチ入りは比較的サラサラが長持ちしますが、やはり湿気は大敵です。

僕が「コーンスターチ入り」でアイシングを作って失敗した体験談

お菓子作り初心者の頃、アイシングクッキーに挑戦しようと思い立ちました。

レシピ本には「粉糖」と書いてあったので、近所のスーパーで売っていた「シュガーパウダー(コーンスターチ入り)」を買ってきました。裏面の原材料なんて見ていませんでした。

卵白と混ぜてアイシングクリームを作り、クッキーに塗って乾燥させたのですが、いつまで経ってもカチッと固まらないんです。

表面は乾いているのに、指で押すとボソッと崩れてしまうような脆さ。

「なんでだろう?」と思って調べて初めて、「アイシングには純粉糖を使わないと強度が弱くなる」という事実を知りました。

コーンスターチ(澱粉)は水分を含むと粘りが出たり、結晶構造を邪魔したりするようで、砂糖がガッチリ固まるのを阻害していたんですね。

それ以来、アイシングやマカロンを作る時は必ず製菓材料店で「純粉糖」を買い、普段のクッキー作りにはスーパーの安い粉糖を使う、という使い分けをするようになりました。

「たかが3%のコーンスターチ」と侮ってはいけません。お菓子作りは化学なのだと痛感しました。

「シュガーパウダー」と「粉糖」に関するよくある質問

Q. グラニュー糖をミキサーにかけて粉糖を自作できますか?

A. はい、可能です。ご家庭のミルサーやフードプロセッサーでグラニュー糖を撹拌すれば、即席の「純粉糖」が作れます。ただし、市販品ほど微細な粒子にするのは難しく、少しザラつきが残ることがあります。緊急時の代用としては十分使えます。

Q. 上白糖で代用してもいいですか?

A. クッキー生地などに練り込む場合は代用可能ですが、食感や仕上がりが変わります。上白糖は水分を含んでしっとりしているため、サクサク感を出したいレシピには不向きです。仕上げの化粧用としても、ベタついてしまうため代用できません。

Q. 泣かない粉糖を生地に混ぜてもいいですか?

A. おすすめしません。泣かない粉糖には油脂がコーティングされているため、生地に混ぜると油分が分離したり、意図しない食感になったりする可能性があります。あくまで「仕上げの飾り用」として使いましょう。

「シュガーパウダー」と「粉糖」の違いまとめ

ここまで「シュガーパウダー」と「粉糖」の違いについて解説してきました。

最後に、選び方のポイントをまとめておきます。

  • 名前の違い:基本的に同じもの。「シュガーパウダー」は英語、「粉糖」は日本語。
  • 「純粉糖」を選ぶべき時:アイシング、マカロン、生クリーム、素材の味を邪魔したくない時。
  • 「コーンスターチ入り」を選ぶべき時:焼き菓子の生地、コストを抑えたい時、保存性を重視する時。
  • 「泣かない粉糖」を選ぶべき時:ケーキやタルトの仕上げのデコレーション。

スーパーで「シュガーパウダー」という商品を手に取ったら、まずは裏返して原材料を見てみましょう。

「グラニュー糖」だけなら純粉糖、「コーンスターチ」と書いてあれば混合タイプです。

用途に合った粉糖を選んで、ワンランク上のお菓子作りを楽しんでくださいね。

もし、他の甘味料や調味料の使い分けについても気になったら、調味料の違いまとめ記事もぜひチェックしてみてください。