鶏肉のタイ産とブラジル産の違いとは?流通形態・価格・味を徹底比較

スーパーの精肉コーナーや冷凍食品コーナーで、「タイ産」と「ブラジル産」の鶏肉を見て、どちらも安価だけれど、一体何が違うのだろう?と迷った経験はありませんか。

どちらも日本の食卓や外食産業を支える重要な輸入鶏肉ですが、実はその「流通形態」と「得意分野」が全く異なります。

最大の違いは、ブラジル産が「骨付きもも肉」など素材そのものの輸出に強いのに対し、タイ産は「唐揚げ用カット」や「焼き鳥の串」など加工済みの製品に強い点です。

この記事では、タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の根本的な違いから、なぜ価格や形態が異なるのか、味や栄養価、そして最適な調理法まで、専門的に徹底比較します。

これを読めば、あなたの料理に最適な安い鶏肉を、自信を持って選べるようになりますよ。

結論:タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の違いが一目でわかる比較表

【要点】

タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の最大の違いは「流通形態」「価格」です。ブラジル産は「骨付きもも肉」の流通が多く、世界トップクラスの生産量と低コストにより非常に安価です。一方、タイ産は「骨なし肉(正肉)」や「加工品(唐揚げ用カットなど)」が多く、ブラジル産よりはやや高価な傾向があります。

まずは、この二つの鶏肉の主な違いを、一覧表で比較してみましょう。

項目タイ産鶏肉ブラジル産鶏肉
主な流通形態骨なし肉(正肉)加工品(唐揚げ用、焼き鳥用など)骨付きもも肉、骨なしもも肉
主な鶏種ブロイラー(若鶏)ブロイラー(若鶏)
価格(100g目安)安価(ブラジル産よりやや高め)非常に安価
味わい・食感柔らかく、加工しても味が落ちにくい肉質がしっかりしており、骨付きはジューシー
主な用途唐揚げ、焼き鳥、チキンカツ、親子丼ローストチキン、フライドチキン、煮込み(水炊き)
生産背景高い加工技術、人件費が強み広大な土地、安い飼料(穀物)、大規模生産

タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の定義と「流通形態」の根本的な違い

【要点】

どちらも日本が輸入する鶏肉(主にブロイラー)ですが、タイ産は「加工品」としての輸入が中心です。対照的に、ブラジル産は「素材(骨付き肉)」としての輸入が中心という、得意分野の違いがあります。

日本に輸入される鶏肉は、この二カ国が圧倒的なシェアを占めていますが、得意分野が異なります。

「タイ産鶏肉」とは?(加工品・正肉が中心)

タイ産鶏肉は、日本向けに高度に「加工」されている点が最大の特徴です。

タイは人件費の安さと高い加工技術を活かし、鶏肉を「骨なしの正肉(せいにく)」にするだけでなく、「唐揚げ用にカット済み」「焼き鳥用に串打ち済み」など、日本の外食産業やコンビニエンスストア、冷凍食品メーカーのニーズに合わせた「付加価値」を付けた製品を多く輸出しています。

スーパーでも、すでにカットされた冷凍唐揚げ用もも肉などでよく見かけますね。

「ブラジル産鶏肉」とは?(骨付きもも肉が中心)

ブラジル産鶏肉は、世界一の鶏肉輸出国としてのスケールメリットを活かした、素材そのものの輸出が中心です。

特にスーパーの特売などでよく目にするのが、「骨付きもも肉」の冷凍品です。2kg入りの大きな袋で売られていることが多いですよね。これは、ブラジル国内ではむね肉が好まれ、もも肉が余剰になることと、骨を外す加工コストをかけずに大量に輸出できるためです。

もちろん、骨なしのもも肉も多く流通していますが、日本市場におけるブラジル産の象徴は「安価な骨付きもも肉」と言えるでしょう。

【徹底比較】味・食感・価格の違い

【要点】

どちらも「ブロイラー(若鶏)」であるため、肉質自体に地鶏のような劇的な差はありません。価格は、ブラジル産が最も安価です。タイ産は加工の手間がかかる分、ブラジル産よりはやや高くなります。

私たちが最も気にするのは、味と価格ですよね。

味と食感の違い(ブロイラー)

大前提として、タイ産もブラジル産も、私たちが「国産(若鶏)」として食べている鶏肉と同じ「ブロイラー」という品種が基本です。

そのため、名古屋コーチンなどの「地鶏」と比較するような、肉質や味の根本的な違いはありません。どちらも柔らかく、クセのない淡白な味わいが特徴です。

ただし、流通形態の違いから、以下のような傾向があります。

  • タイ産:骨なし肉や加工品が多いため、解凍後すぐに調理でき、柔らかく仕上がります。
  • ブラジル産:骨付き肉の場合、骨の周りの肉は旨味が強く、加熱してもジューシーさを保ちやすいです。

価格とコストパフォーマンスの違い

価格は、ブラジル産が最も安価です。

ブラジル産は、広大な土地と安価な飼料(トウモロコシなど)による圧倒的な低コスト生産が強みであり、価格競争力では他を寄せ付けません。

タイ産は、骨抜きやカット、串打ちといった「加工」という手間(人件費)がかかっている分、ブラジル産の素材そのままの肉よりは価格がやや高くなる傾向があります。

とはいえ、どちらも国産の鶏肉に比べれば非常に安価であり、高いコストパフォーマンスを誇ります。

なぜ流通形態と価格が違うのか?(飼育・加工コスト)

【要点】

価格の違いは、両国の生産コスト構造の違いにあります。ブラジルは「飼料(エサ)代」が圧倒的に安いのが強みです。タイはブラジルより飼料代は高いですが、「加工(骨抜きなど)の人件費」が安いため、加工品に特化しています。

ブラジル産が安い理由(飼料・規模)

鶏肉の生産コストの半分以上は「飼料代」と言われています。ブラジルは鶏の飼料となるトウモロコシや大豆の世界的な大生産国であり、飼料を安価に国内調達できます。

さらに、広大な土地で大規模な飼育・処理を行うことで、圧倒的な低コストを実現し、世界一の輸出国となっています。

タイ産が加工に強い理由(加工技術・人件費)

タイは、かつてはブラジルのような非加熱の鶏肉も多く輸出していました。しかし、過去の鳥インフルエンザ問題の影響などで、日本向けには非加熱肉の輸出が一時停止された歴史があります。

その過程で、タイは「加熱加工品」の製造に活路を見出しました。日本のメーカーの指導のもとで加工技術が飛躍的に向上し、現在では「安価な労働力」と「高い技術力」を武器に、唐揚げや焼き鳥などの加工済み製品の輸出に特化しています。

栄養・成分の違い(ブロイラー)

【要点】

タイ産もブラジル産も、鶏種は同じ「ブロイラー」であるため、栄養成分に大きな差はありません。どちらも高タンパク・低脂質な食材です。

産地による栄養価の違いは、ほぼないと考えて良いでしょう。文部科学省「食品成分データベース」(日本食品標準成分表2020年版(八訂))によると、「若どり もも肉(皮なし・生)」100gあたりの栄養価は以下の通りです。

  • エネルギー:113 kcal
  • たんぱく質:19.0 g
  • 脂質:5.0 g

タイ産でもブラジル産でも、皮を取り除けば非常に高タンパク・低脂質なヘルシー食材であることに変わりはありません。

料理での使い分け・おすすめの調理法

【要点】

唐揚げや焼き鳥、親子丼など「骨なし」で手軽に作りたい場合は、加工済みのタイ産が最適です。一方、ローストチキンや水炊き、サムゲタンなど「骨付き」でだしと旨味を楽しみたい場合は、安価なブラジル産が最適です。

それぞれの流通形態に合わせた使い分けが賢い選択です。

タイ産鶏肉のおすすめ調理法

「骨なし(正肉)」や「カット済み」の利便性を活かす料理に向いています。

  • 唐揚げ、チキンカツ:すでにカットされている冷凍品も多く、解凍して衣をつけるだけなので非常に手軽です。
  • 焼き鳥:すでに串に刺さっている製品も多く流通しています。
  • 親子丼、チキンライス:骨を外す手間がなく、すぐに調理に使えます。

ブラジル産鶏肉のおすすめ調理法

安価な「骨付き肉」のメリットを活かす料理に最適です。

  • ローストチキン、フライドチキン:クリスマスなどで見かける、骨付きもも肉を使った豪快な料理に最適です。
  • 煮込み料理(水炊き、サムゲタン風):骨から非常に良い「だし」が出ます。じっくり煮込むことで、骨周りの肉がホロホロと柔らかくなります。
  • 唐揚げ(骨付き):骨付きのままぶつ切りにして揚げると、骨の旨味が加わったジューシーな唐揚げになります。

体験談:唐揚げにはタイ産、ローストチキンにはブラジル産

僕も、以前は「安い鶏肉」として、タイ産もブラジル産も同じように扱っていました。

ある日、特売だったブラジル産の骨付きもも肉(2kg入り)で唐揚げを作ろうとしたのですが、まず骨を外す作業(骨抜き)が非常に面倒で…。なんとか骨を外し終える頃には、調理の気力が半減していました。

逆に、タイ産の「唐揚げ用カット済み冷凍もも肉」を使った時は、その手軽さに驚きました。解凍して下味をつけるだけ。忙しい平日の夕食には、タイ産の加工品が圧倒的に便利だと痛感しました。

しかし、クリスマスのローストチキンを作る時、あのブラジル産の骨付きもも肉が大活躍したんです。骨がついているおかげで、オーブンで焼いても身が縮みにくく、驚くほどジューシーに仕上がりました。骨から出る旨味が、肉全体に行き渡っている感じがしましたね。

この経験から、僕は「手軽に唐揚げや親子丼ならタイ産」、「骨の旨味を活かしたいローストチキンや煮込みならブラジル産」と、明確に使い分けるようになりました。

タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の違いに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 結局、タイ産とブラジル産の鶏肉はどっちが安いですか?

A1. 「ブラジル産」の方が安価な傾向があります。特に「骨付きもも肉」は、加工コストがかかっていない分、タイ産の「骨なし(加工済み)肉」よりも安く販売されていることが多いです。

Q2. タイ産やブラジル産の鶏肉は安全ですか?

A2. はい、安全です。日本に輸入される鶏肉は、日本の食品衛生法に基づく厳格な検疫・検査基準(残留農薬や抗生物質の検査など)をクリアしたものだけが流通を許可されています。どちらの国も、日本向けの衛生基準に合わせた管理体制で生産しています。

Q3. 国産の鶏肉との一番の違いは何ですか?

A3. 「鮮度(流通形態)」「価格」です。国産鶏肉は「冷蔵(チルド)」で流通するのが基本で、非常に新鮮です。一方、タイ産・ブラジル産は「冷凍」で長期間かけて輸送されるため、鮮度では国産に劣ります。その代わり、価格は国産の半額以下になることも珍しくありません。また、国産には「地鶏」や「銘柄鶏」といった高品質な鶏肉もありますが、輸入鶏肉は基本的に「ブロイラー」です。

まとめ|タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉、賢い使い分け術

タイ産鶏肉とブラジル産鶏肉の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。最後にポイントをまとめます。

  • タイ産鶏肉「加工品」に強い。骨なし、カット済み、串打ち済みなど。唐揚げや焼き鳥、親子丼を手軽に作りたい時におすすめ。
  • ブラジル産鶏肉「素材(骨付き肉)」に強い。非常に安価ローストチキンや煮込み料理など、骨の旨味を活かしたい時におすすめ。

どちらも同じ「ブロイラー」ですが、生産国のお国柄(得意分野)が流通形態にそのまま表れています。

作りたい料理に合わせて、タイ産の手軽さと、ブラジル産のコストパフォーマンスを賢く使い分けてみてくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひご覧ください。