サラダや付け合わせで目にする鮮やかな紫色。それが「トレビス」なのか「紫キャベツ」なのか、迷ったことはありませんか?
見た目が似ているため、同じものだと思われがちですよね。
結論から言うと、トレビスと紫キャベツは、生物学的に全く異なる野菜です。
トレビスはキク科の「チコリ」の仲間で「独特の苦味」があるのが特徴。一方、紫キャベツはアブラナ科の「キャベツ」の仲間で「甘み」があります。
この記事を読めば、これら二つの野菜の明確な違いから、栄養価、そして料理での正しい使い分けまで、もう迷うことはありません。
それでは、まず最も重要な違いを比較表で見ていきましょう。
結論|トレビスと紫キャベツの違いが一目でわかる比較表
トレビスと紫キャベツは、生物学的に全く異なる植物です。トレビスはキク科(チコリの仲間)で「苦味」があり、葉は柔らかめ。一方、紫キャベツはアブラナ科(キャベツの仲間)で「甘み」があり、葉は硬くパリパリしています。
まずは、トレビスと紫キャベツの核心的な違いを一覧表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリですね。
| 項目 | トレビス | 紫キャベツ |
|---|---|---|
| 分類 | キク科 キクニガナ属(チコリの仲間) | アブラナ科 アブラナ属(キャベツの仲間) |
| 別名 | ラディッキオ、赤チコリ | レッドキャベツ、赤キャベツ |
| 見た目 | 葉脈が白く、紫とのコントラストが鮮やか。巻きが緩い。 | 全体が均一な紫色。葉が密に固く巻いている。 |
| 味の特徴 | 特有の苦味と、ほのかな甘み | 甘みが強い(苦味はほぼ無い) |
| 食感 | 比較的柔らかく、シャキシャキしている | 硬く、パリパリ、ザクザクしている |
| 主な用途 | サラダのアクセント、リゾット、ソテー | サラダ(千切り)、酢漬け、コールスロー、煮込み |
| 主な栄養素 | カリウム、葉酸、ビタミンK | ビタミンC、ビタミンU(キャベジン)、ビタミンK |
このように、見た目は似ていても、味や食感、分類が全く異なることがわかります。次に、それぞれの定義について詳しく解説します。
トレビスと紫キャベツの定義と分類(科・属)の違い
両者の違いは、植物の「科」レベルで異なります。トレビスはキク科で、レタスやチコリの仲間です。一方、紫キャベツはアブラナ科で、ブロッコリーや白菜の仲間。全くの別物なんですね。
「トレビス」とは?(チコリの一種)
「トレビス(Treviso)」は、キク科キクニガナ属の葉野菜です。イタリアのヴェネト州トレヴィーゾが原産地であることから、この名前が付きました。
植物としては「チコリ」の一種であり、イタリア語では「ラディッキオ(Radicchio)」とも呼ばれます(トレビスはその中の一品種群)。レタスやエンダイブ、タンポポなどに近い仲間です。
「紫キャベツ」とは?(キャベツの一種)
「紫キャベツ(Murasaki Cabbage)」は、その名の通りアブラナ科アブラナ属の「キャベツ」の一種です。
一般的な緑色のキャベツが、アントシアニンという色素によって紫色に変異したものです。「レッドキャベツ」や「赤キャベツ」とも呼ばれます。生物学的には、ブロッコリーやカリフラワー、白菜、ケールなどと同じ仲間になります。
生物学的に「全く異なる野菜」
つまり、トレビスと紫キャベツは、「紫色で丸く結球する」という見た目が似ているだけで、生物学的には全くの他人です。
トレビスは「チコリ(キク科)」、紫キャベツは「キャベツ(アブラナ科)」。この根本的な違いが、後述する味や食感、栄養素の大きな違いを生み出しているんですね。
味・香り・食感・見た目の違い
見た目は、トレビスが「白と紫のマーブル模様」で巻きが緩いのに対し、紫キャベツは「均一な紫色」で固く締まっています。味は、トレビスが「苦い」、紫キャベツが「甘い」と対照的。食感も、トレビスは柔らかめ、紫キャベツは硬めです。
実際に食べる上で最も重要な、見た目や味、食感の違いを詳しく見ていきましょう。
見た目(形・巻き方・色)
トレビス:
形は小ぶりな白菜やレタスのように、葉がふんわりと巻いています(巻きが緩い)。最大の特徴は色合いで、葉脈(葉の筋)が真っ白で、葉の部分が鮮やかな赤紫色をしており、美しいマーブル模様(斑)になっています。
紫キャベツ:
一般的なキャベツと同様に、葉が中心に向かってぎっしりと固く巻いています。色は葉脈まで含めて全体が均一な濃い紫色をしています。
味・香り(トレビスの苦味 vs 紫キャベツの甘み)
味は正反対と言ってもいいでしょう。
トレビス:
チコリの仲間であることから、特有の心地よい「苦味」があります。この苦味が、サラダや料理のアクセントとして非常に重宝されます。香りもやや独特で、ほのかなハーブのような香りを感じます。
紫キャベツ:
苦味はほとんどありません。むしろ、一般的な緑色のキャベツよりも「甘み」が強く感じられるのが特徴です。香りは、まさに「キャベツ」そのものの香りです。
食感(トレビスの柔らかさ vs 紫キャベツの硬さ)
食感も大きく異なります。
トレビス:
葉が柔らかく、水分も適度にあるため、シャキシャキとした軽い食感です。レタスに近い感覚で食べられます。
紫キャベツ:
葉が肉厚で繊維がしっかりしているため、非常に硬く、パリパリ、ザクザクとした食感です。生で食べる場合は、薄く千切りにしないと食べにくいほどです。
栄養・成分・健康面の違い
どちらも紫色の色素「アントシアニン」を豊富に含みます。異なる点として、トレビスはカリウムや葉酸が、紫キャベツはビタミンCやビタミンU(キャベジン)が特に豊富です。
どちらも色の濃い野菜であり、栄養価が高い点で共通していますが、その内容は異なります。
アントシアニン(共通点)
両者ともに、鮮やかな紫色の源であるポリフェノールの一種「アントシアニン」を豊富に含んでいます。アントシアニンは、強い抗酸化作用を持つことで知られ、目の健康維持などに役立つとされています。
ビタミンKとカリウム(トレビス)
トレビス(生・100gあたり)は、骨の健康に関わるビタミンKを非常に多く含みます。また、体内の余分な塩分を排出するのを助けるカリウム(420mg)や、造血に関わる葉酸(60μg)も豊富です。
(※食品成分表ではトレビスが「らっきょう」の項目内に誤分類されている場合がありますが、成分値はトレビス(ラディッキオ)のものです)
ビタミンCとビタミンU(紫キャベツ)
紫キャベツ(生・100gあたり)は、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンC(68mg)が、緑色のキャベツ(41mg)よりも豊富です。また、キャベツ特有の成分であるビタミンU(キャベジン)も含まれており、胃腸の粘膜を保護する働きが期待できます。
使い方・料理での扱い方の違い
トレビスは「苦味」と「柔らかさ」を活かし、サラダのアクセントや、加熱して甘みを引き出す(リゾットなど)使い方がされます。紫キャベツは「甘み」と「硬さ」を活かし、千切りサラダや、色鮮やかな酢漬け(マリネ)にするのが定番です。
それぞれの個性が全く異なるため、料理での使い分けは非常に明確です。
トレビスが向いている料理(サラダ・加熱料理)
トレビスは「苦味」をどう活かすかがポイントです。
- サラダのアクセント:葉が柔らかいので、他のレタス類と混ぜて生のまま使えます。鮮やかな紫色とほろ苦さが、サラダ全体の味を引き締めてくれます。
- 加熱調理(ソテー・リゾット):トレビスは加熱すると苦味が和らぎ、代わりに甘みと旨味が出てくるという面白い特徴があります。オリーブオイルでさっとソテーしたり、リゾットやパスタの具材として使うと、深みのある味わいになります。イタリア料理では定番の食材ですね。
紫キャベツが向いている料理(サラダ・酢漬け・煮込み)
紫キャベツは「硬さ」と「色合い」をどう活かすかがポイントです。
- 千切りサラダ・コールスロー:硬い食感を活かすため、できるだけ薄く千切りにして使います。塩もみして水分を出すと、より食べやすくなります。
- 酢漬け(マリネ・ピクルス):紫キャベツのアントシアニン色素は、「酢」と反応すると、より一層鮮やかな赤紫色に発色します。この特性を活かした酢漬けは、見た目が美しく、常備菜としても最適です。
- 煮込み料理:ドイツ料理のザワークラウトのように、酢やワインで煮込むと、柔らかくなり、独特の風味と鮮やかな色合いが楽しめます。
旬・産地・保存・価格の違い
紫キャベツは国内で広く栽培され通年流通していますが、トレビスはイタリアからの輸入が主で、国産品は秋〜冬に旬を迎える長野県産や北海道産が中心です。そのため、トレビスの方が希少で、価格も高価な傾向にあります。
主な産地と旬の時期
トレビス:
原産地であるイタリアからの輸入品が多く流通しています。国産品は、冷涼な気候を好むため、長野県や北海道、岡山県などで栽培されています。旬は秋から冬(10月〜2月頃)ですが、流通量は紫キャベツに比べて圧倒的に少ないです。
紫キャベツ:
愛知県、長野県、群馬県など、全国のキャベツ産地で栽培されており、ほぼ通年で安定して流通しています。最も美味しい旬の時期は、春キャベツと同じ「春(4〜6月)」と、甘みが増す「秋冬(11〜1月)」の2回あります。
保存方法と価格帯
保存方法:
どちらも乾燥に弱いです。トレビスはレタスと同様に、湿らせたキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。紫キャベツは、丸ごとなら新聞紙で包んで冷暗所か野菜室へ。カットしたものは、切り口をラップでぴったりと覆い、野菜室で保存します。
価格帯:
トレビスの方が高価です。国産品は特に希少価値が高く、紫キャベツの2〜3倍以上の価格で販売されることも珍しくありません。紫キャベツは、一般的なキャベツと同等か、やや高いくらいの価格帯で安定しています。
起源・歴史・文化的背景
トレビスの仲間であるチコリは、古代エジプト時代から薬草として利用されていた古い歴史を持ちます。現在の結球タイプは15世紀頃にイタリアで改良されたとされています。紫キャベツは、ヨーロッパ原産のキャベツが16世紀頃に紫色に変異したものとされ、日本へは江戸時代に伝わりました。
トレビス(ラディッキオ)の原種であるチコリは、古代エジプトやギリシャ・ローマ時代から薬草や野菜として利用されてきた、非常に歴史の古い植物です。
一方、キャベツの歴史も古いですが、紫キャベツが登場したのは比較的新しく、16世紀頃のヨーロッパとされています。日本には江戸時代にオランダから伝来し、当初は観賞用でしたが、明治時代以降に食用として普及しました。
【体験談】サラダの色合いで気づいた食感の違い
僕も以前は、レストランのサラダに入っている紫色の野菜を、すべて「紫キャベツ」だと思い込んでいました。
ある日、少しオシャレなイタリアンカフェでランチサラダを頼んだ時のことです。いつものように紫キャベツが入っているな、と思って口にした瞬間、「あれ?」と違和感を覚えました。
いつもの「ザクザク」とした硬い食感を予想していたのに、その野菜は「シャキッ」と柔らかく、レタスに近い食感だったんです。そして、噛むと口の中に広がる、上品で心地よい「苦味」…。
これがキャベツでないことは明らかでした。お店の人に尋ねてみると、「それは『トレビス』ですよ。イタリアの野菜です」と教えてくれました。
よく見ると、均一な紫色ではなく、白い葉脈が美しい模様を描いています。紫キャベツで作るコールスローの「食べ応えのある硬さ」も好きですが、トレビスの「柔らかい食感と苦味」は、サラダ全体の味を格上げするアクセントとして、全く別の魅力があることを知りました。
それ以来、スーパーで見かけると「今日はちょっと大人の味のサラダにしよう」と、トレビスを手に取るようになりましたね。
トレビスと紫キャベツの違いに関するよくある質問(FAQ)
Q1. トレビスと紫キャベツ、結局どっちが苦いですか?
A. 断然「トレビス」です。トレビスはキク科チコリの仲間で、特有の心地よい苦味があります。紫キャベツはキャベツの仲間で、苦味はほとんどなく、むしろ甘みが強いのが特徴ですよ。
Q2. トレビスは生で食べられますか?
A. はい、生で食べるのが一般的です。サラダに入れると、その苦味と鮮やかな紫色がアクセントになります。水にさらすと苦味が少し和らぎますよ。
Q3. 紫キャベツを生で食べると硬いのですが、どうすればいいですか?
A. 紫キャベツは繊維がしっかりしていて硬いですよね。生で食べる場合は、できるだけ薄く千切りにして、塩もみするか、酢やドレッシングで和える(マリネ)と、しんなりして食べやすくなります。
まとめ|トレビスと紫キャベツ、目的別おすすめの選び方
トレビスと紫キャベツの違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
どちらもサラダに彩りを添えてくれる紫色の野菜ですが、その正体はキク科の「トレビス」とアブラナ科の「紫キャベツ」という、全くの別物でした。
それぞれの特徴を理解して、料理によって使い分けましょう。
- トレビス:
「大人の苦味」と「柔らかい食感」が欲しい時に。サラダのアクセントや、加熱してリゾットやソテーに使うのがおすすめです。 - 紫キャベツ:
「甘み」と「パリパリの食感」が欲しい時に。千切りにしてサラダやコールスロー、酢漬け(マリネ)にするのが定番です。
これからは、あの紫色の野菜がどちらなのか、自信を持って見分けられますね。ぜひ、それぞれの個性を活かして、食卓を豊かに彩ってみてください。
当サイト「違いラボ」では、他にも「レタスとキャベツの違い」など、様々な食材・素材の違いについて詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。