トッポギと餅の違い!実は「料理名」と「食材名」だった?

韓国料理店やスーパーの食材コーナーで「トッポギ」という言葉を目にしますよね。

あの細長いお餅を「トッポギ」だと思っている方も多いかもしれませんが、実は「餅」そのものを指す言葉と勘違いされているケースが非常に多いんです。

結論から言うと、「トッポギ」は料理の名前であり、「トッ」が韓国語で「餅」という食材を意味します。

この記事を読めば、「トッポギ」と「餅(トッ)」の明確な違い、そして日本で「トッポギ」と呼ばれるあの独特な韓国の餅と、私たちがよく知る日本の餅との違いまで、すべてがスッキリと理解できます。

まずは、その根本的な違いを一覧表で確認しましょう。

項目トッポギ(떡볶이)餅=トッ(떡)
言葉の意味料理名(餅炒め・餅の甘辛煮)食材名(餅)
分類韓国料理(メニュー)食品(穀物を蒸してついたもの)
主な使われ方「トッポギを食べる」「トッポギを作る」「トッ(餅)を入れる」「カレトッ(細長い餅)」
具体例コチュジャンで甘辛く炒めた料理トッポギに使われる餅、トック(お雑煮用の餅)など

つまり、「トッポギ」とは「トッ(餅)をポギ(炒める・煮込む)」という意味の料理名だったんですね。「スンドゥブ(純豆腐)」と「チゲ(鍋)」の関係に似ています。

では、なぜ日本ではこんなにも混同されやすいのでしょうか?その理由と、韓国の餅と日本の餅の具体的な違いについて、詳しく見ていきましょう。

トッポギと餅(トッ)の定義と関係性

【要点】

「トッ(떡)」は韓国語で「餅」という食材そのものを指します。「トッポギ(떡볶이)」は、「トッ(餅)」と「ポギ(볶이:炒める・煮込む)」を組み合わせた言葉で、「餅炒め(餅の甘辛煮)」という料理名を意味します。

トッポギ(떡볶이)とは【料理名】

「トッポギ(Tteok-bokki)」は、韓国の国民的ソウルフードとも言える料理の一つです。

最も一般的なのは、コチュジャン(唐辛子味噌)や砂糖をベースにした甘辛いタレで、韓国の餅(主にカレトッ)と野菜、おでん(オムク)などを煮込んだ料理です。屋台から専門店まで、韓国の至る所で食べられています。

最近では、クリームソースやチャジャン(黒味噌)ソースで味付けした多様なトッポギも登場していますね。

トッ(떡)とは【食材名:餅】

「トッ(Tteok)」は、韓国語で「餅」を意味する言葉です。穀物の粉を蒸したり、ついたりして作られます。

トッには非常に多くの種類がありますが、トッポギによく使われるのは「カレトッ(가래떡)」と呼ばれる、細長い円柱状の餅です。

また、韓国のお正月料理である「トックッ(餅スープ)」には、「カレトッ」を薄くスライスした「トックッ餅(떡국떡)」が使われます。これらすべてが「トッ」の一種です。

混乱の理由|なぜ日本で「トッポギ=餅」と呼ばれるのか

【要点】

日本で「トッポギ」が餅そのものを指す言葉として誤用されがちなのは、料理名である「トッポギ」という言葉が先に有名になり、その料理に使われる「カレトッ(細長い餅)」が「トッポギ用の餅」として流通したためです。

この混乱は、日本特有の現象とも言えます。なぜこのような誤解が広まったのでしょうか。

理由1:「トッポギ」という料理名が食材名より先に定着したから

日本では、「トッ(餅)」という食材名よりも先に、「トッポギ」という甘辛い料理名が韓国ブームと共に有名になりました。

その結果、「トッポギ」という料理のイメージがあまりにも強く、その料理に入っている象徴的な具材(あの細長い餅)自体を「トッポギ」と呼ぶようになったと考えられます。

理由2:トッポギに使われる餅「カレトッ」が象徴的だから

スーパーの韓国食材コーナーに行くと、「トッポギ用餅」や「業務用トッポギ」といった商品名で、あの細長い餅(カレトッ)が売られていますよね。

これは、消費者に用途を分かりやすく伝えるための商品名ですが、これが「トッポギ=餅の名前」という誤解をさらに広める一因にもなっています。

正しくは「トッポギ(料理)に使うためのトッ(餅)」ですが、これでは長すぎるため、通称として「トッポギ餅」と呼ばれるようになり、やがて「トッポギ」だけで餅そのものを指すようになったわけです。

韓国の餅(トッ)と日本の餅(もち)|材料・製法・食感の違い

【要点】

最大の違いは原料の米です。韓国の餅(トッ)は「うるち米(私たちが普段食べるご飯と同じ米)」を主原料とし、強い弾力と歯切れの良さが特徴です。日本の餅(もち)は「もち米」を主原料とし、強い粘りと伸びが特徴です。

「トッポギに使われる餅」と「日本のお餅」も、同じ「餅」という名前ですが、原料も食感も全く異なります。

韓国の餅(トッ)の特徴:うるち米・弾力

韓国のトッ(特にカレトッやトックッ餅)は、「うるち米(非もち米)」、つまり私たちが普段主食として食べているお米の粉(上新粉や米粉)を主原料として作られます。

  • 製法: うるち米の粉を蒸して、餅つき機のような機械で強くついて(押し出して)成形します。
  • 食感: 日本の餅のような強い粘りや伸びは少なく、シコシコ、モチモチとした強い弾力(コシ)と、歯切れの良さが特徴です。
  • 料理適性: 煮込んでも溶けにくく、味が染み込みやすいため、トッポギやトックッのようなスープ料理や煮込み料理に最適です。

日本の餅(もち)の特徴:もち米・粘り

一方、私たちが「お餅」として認識しているもの(切り餅、丸餅、のし餅など)は、「もち米」を主原料としています。

  • 製法: もち米を蒸してから、杵(きね)と臼(うす)で粘りが出るまで強くつきます。
  • 食感: 非常に強い粘りと、よく伸びる柔らかさが特徴です。
  • 料理適性: 焼くと香ばしく膨らみ、煮るとトロトロに溶けやすい性質があります。そのため、お雑煮やおしるこではトロリとした食感を楽しみますが、トッポギのように長時間煮込む料理には向きません。

トッポギ(料理)と日本の餅料理|調理法・味付けの違い

【要点】

トッポギ(料理)は、コチュジャンをベースにした「甘辛い味」で「煮込む(炒める)」のが特徴です。日本の餅料理は、「焼く」(磯辺焼きなど)、「煮る」(お雑煮、おしるこなど)、「そのまま食べる」(あんこ餅など)と多様で、味付けも醤油ベースのしょっぱいものから甘いものまで幅広いです。

トッポギ(料理)の調理法と味

トッポギ(料理)は、韓国料理の中でも「ポックム(炒め物)」や「チョリム(煮物)」に近いジャンルです。

味付けの基本は「コチュジャン(唐辛子味噌)」で、これに砂糖や水あめ、醤油、ニンニクなどを加えて甘辛いソースを作ります。そのソースで餅(トッ)や他の具材を煮込むようにして炒めるのが特徴です。

味は「甘辛い」がベースですが、唐辛子の量によって激辛にすることも、チーズを加えてマイルドにすることもできます。

日本の餅料理(磯辺焼き・お雑煮など)

日本の餅料理は非常に多彩です。

  • 焼く: 醤油と海苔で食べる「磯辺焼き」、砂糖醤油をつける「安倍川餅」(地域によります)など。
  • 煮る: しょっぱいだし汁で煮る「お雑煮」、甘い小豆で煮る「おしるこ(ぜんざい)」など。
  • 和える・包む: きな粉をまぶす「きなこ餅」、あんこを包む「大福」など。

うるち米が原料のトッ(韓国の餅)は、焼いても日本の餅のようにプクーッと膨らむことはありません。この点も大きな違いですね。

韓国の餅(トッ)と日本の餅の栄養・カロリーの違い

【要点】

主原料がどちらも「米」であるため、基本的な栄養素(炭水化物)やカロリーに大きな差はありません。日本の餅(もち米)の方がアミロペクチンを多く含むため、粘り気が強いという性質的な違いはありますが、栄養価としての優劣はつけにくいです。

韓国の餅(トッ)も日本の餅(もち)も、主成分は炭水化物(デンプン)です。

文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、うるち米(精白米)ともち米のカロリーや栄養素はほぼ同じです。そのため、同量の餅であれば、カロリーや栄養価に大きな差は出ません。

ただし、料理として食べる場合は注意が必要です。

トッポギ(料理)は、コチュジャンや砂糖、水あめを多く使うため、糖質が高くなりがちです。また、チーズや肉を加えると脂質とカロリーも一気に上がります。

日本の餅料理も、砂糖をたっぷり使う「おしるこ」や「きなこ餅」は同様に糖質が高くなります。最もヘルシーな食べ方は、焼いて海苔を巻く「磯辺焼き」や、野菜たっぷりの「お雑煮」かもしれませんね。

体験談|「トッポギ」は料理名だと知った日

僕がまだ韓国料理に詳しくなかった頃、友人と新大久保の韓国食材店に行った時の話です。

屋台で食べたあの甘辛い料理が大好きで、「家でも作りたい!トッポギを買って帰ろう!」と意気込んでいました。

店に入り、冷蔵コーナーを見ると、袋に入った細長い餅や薄切りの餅が並んでいます。でも、どこにも「トッポギ」という商品名の餅が見当たりません。あるのは「トック」や「カレトッ」とハングルで書かれた商品ばかり。

混乱している僕を見て、韓国人の店員さんが「何探してるの?」と声をかけてくれました。

「トッポギを探してるんです。あの細長いお餅の…」

すると店員さんは笑いながら、細長い餅(カレトッ)の袋を指差してこう言いました。

「ああ、これね。これは『トッ(餅)』だよ。『トッポギ』は料理の名前。これをコチュジャンで炒めたのがトッポギ」

その時、まさに目からウロコが落ちました。「スンドゥブ」が豆腐の名前で「スンドゥブチゲ」が料理名なのと同じ構造だったんです。

日本では「トッポギ」という名前で餅が売られていることもあるので、完全に「トッポギ=餅の名前」だと思い込んでいました。それ以来、韓国料理店でメニューを見るのが一層楽しくなりましたね。

トッポギと餅に関するよくある質問

トッポギと餅(トッ)の違いに関して、よくある質問にお答えします。

質問1:トッポギ(料理)は、日本の餅でも作れますか?

回答: はい、作ることは可能です。ただし、食感が全く別物になります

日本の餅(もち米)は加熱すると非常に柔らかくなり、トロトロに溶けやすいです。そのため、トッポギソースで煮込むと、形が崩れてソースと一体化してしまう可能性が高いです。それはそれでおいしいですが、韓国のトッポギ特有の「シコシコ」「モチモチ」とした食感は出ません。

質問2:「トッ」と「トック」の違いは何ですか?

回答: 「トッ(떡)」は「餅」全般を指す言葉です。

「トック(떡국)」は、韓国のお正月に食べる「餅のスープ(お雑煮)」という料理名です。そして、そのトック(料理)に入れるために、細長いカレトッを斜めに薄切りにした餅のことを、日本では通称「トック餅」と呼んでいます。

質問3:トッポギ(カレトッ)は焼いて食べられますか?

回答: はい、食べられます。

韓国では、カレトッをフライパンや網で焼き、はちみつや水あめ、ごま油と醤油などをつけておやつのように食べることもあります。日本の餅のように大きく膨らむことはありませんが、表面がカリッと、中がモチっとして美味しいですよ。

まとめ|トッポギと餅の違いを理解して韓国料理を楽しもう

これで、トッポギと餅の違いは完璧ですね。

  1. トッ(떡): 韓国語で「餅」という食材名
  2. トッポギ(떡볶이): 「トッ」を「ポギ(炒め煮する)」という料理名
  3. 日本での混乱: 料理名が有名になりすぎて、料理に使う餅(カレトッ)自体も「トッポギ」と呼ばれるようになった。
  4. 日本と韓国の餅の違い: 日本は「もち米」が原料で粘りが強い。韓国は「うるち米」が原料で弾力が強く煮崩れしにくい。

「トッポギ」が料理名だと分かれば、「チーズトッポギ」や「ラポッキ(ラーメン+トッポギ)」といった多様なメニューも理解しやすくなります。

ぜひ、この違いを覚えて、韓国料理や食材選びをもっと楽しんでくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な料理・メニューの違いに関する記事を掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。