ワインと果実酒の違いとは?「ブドウ」か「それ以外」かを徹底比較

「ワイン」と「果実酒」、どちらも果物から造られるお酒ですが、この二つの違いを正確に説明できますか?

「ワインは果実酒の一種?」あるいは「梅酒やシードルも果実酒?」と、その境界線は意外と曖昧かもしれません。

この混乱の理由は、日本の「酒税法」における厳密な定義と、私たちが日常で使う「一般的な呼び名」が混在しているためです。

結論から言うと、酒税法上「ワイン」は「果実酒」という大きな分類に含まれる一種ですが、私たちが家庭で漬ける「梅酒(果実酒)」は、法律上「果実酒」ではなく「リキュール(混成酒)」に分類されるのです。

この記事を読めば、その法律上の明確な違いから、梅酒やシードルの正しい分類、味わいの違いまで、スッキリと理解できますよ。

結論|ワインと果実酒の違いを一言でまとめる

【要点】

「ワイン」と「果実酒」の違いは、「分類の大きさ」です。「果実酒」は、酒税法上、果実を原料に「発酵」させたお酒(醸造酒)の“大きな分類”を指します。一方、「ワイン」は、その果実酒の中でも主に「ブドウ」を原料として発酵させた“特定の種類”を指します。つまり、すべてのワインは果実酒ですが、すべての果実酒がワインではありません。

「果実酒」というカテゴリーの中に、「ワイン(ブドウ酒)」や「シードル(リンゴ酒)」などが含まれるイメージですね。

そして、最もややこしい「梅酒」は、酒税法上「果実酒」ではなく「リキュール」に分類されます。この点について、次に詳しく見ていきましょう。

決定的な違い:「果実酒」は“分類”、「ワイン」は“種類”

【要点】

酒税法では、お酒の造り方(製法)によって厳密に分類されています。「果実酒」は「醸造酒類」に、「ワイン」はその一部に含まれます。しかし、私たちがイメージする「梅酒」は「混成酒類(リキュール)」に分類され、全く別のカテゴリーとなります。

この二つの違いを理解する鍵は、日本の「酒税法」にあります。お酒は、製造方法によって以下の3つに大別されます。

  1. 醸造酒:原料(穀物や果実)を酵母でアルコール発酵させたお酒。(例:日本酒、ビール、ワイン)
  2. 蒸留酒:醸造酒をさらに蒸留し、アルコール度数を高めたお酒。(例:焼酎、ウイスキー、ウォッカ)
  3. 混成酒:醸造酒や蒸留酒に、果実や糖類、ハーブなどを加えて造ったお酒。(例:リキュール、梅酒)

この分類を踏まえて、それぞれの定義を見ていきましょう。

酒税法における「果実酒」の厳密な定義(醸造酒)

【要点】

酒税法上の「果実酒」とは、果実を原料として「発酵」させたものを指します。リンゴを発酵させれば「シードル」、ブドウを発酵させれば「ワイン」となり、これらはすべて法律上「果実酒」の仲間です。

国税庁の定義によれば、「果実酒」は醸造酒類に分類され、以下のように定められています。

【果実酒の定義】

  • 果実を原料として発酵させたもの
  • 果実及び水(または果実と果実以外のもの)を原料として発酵させたもの

(※アルコール度数20度未満のもの)

ポイントは、酵母の力で果実の糖分を「アルコール発酵」させることです。ブドウが原料ならワイン、リンゴが原料ならシードル(リンゴ酒)、梨が原料ならペリー(梨酒)と呼ばれますが、これらはすべて法律上「果実酒」に分類されます。

酒税法における「ワイン」の定義(果実酒の一種)

【要点】

「ワイン(Wine)」は、国際的に「ブドウを原料とする発酵酒」と定義されています。日本の酒税法上では、「ワイン」という独立した品目はなく、ブドウを原料としたものも「果実酒」として扱われます。

国際的な定義(OIV:国際ブドウ・ワイン機構)では、ワインは「ブドウ(Vitis vinifera種)の果実または果汁を発酵させて得られる飲料」とされています。

つまり、「ワイン」とは、数ある「果実酒」の中でも、「ブドウ」を原料にしたものを指す、というのが世界共通の認識です。

日本の酒税法では「ワイン」という独立した分類はありませんが、スーパーなどで「果実酒(ワイン)」と併記されているのは、このためです。

【最重要】「梅酒」は果実酒?リキュール?

【要点】

ここが最大の混乱ポイントです。私たちが「果実酒」と呼んで親しんでいる「梅酒」は、酒税法上「果実酒」ではありません。梅を焼酎やブランデーに漬け込んで造るため、「リキュール(混成酒)」に分類されます。

酒税法上は「リキュール(混成酒)」

梅酒の造り方を思い出してください。梅(果実)と氷砂糖を、ホワイトリカー(焼酎甲類)やブランデーなどの「お酒(蒸留酒)」に漬け込みますよね。

これは、梅の糖分を「発酵」させてアルコールを造るのではなく、すでにあるお酒に梅の風味と糖分を「加える(浸漬する)」製法です。

前述の分類で言うと、「蒸留酒(ベース)+果実(梅)+糖類(氷砂糖)」となるため、これは「混成酒類」の中の「リキュール」に該当します。

つまり、梅酒は、法律上はカシスリキュールやカルーアと同じ「リキュール」の仲間なのです。

なぜ一般的に「果実酒」と呼ばれるのか?

では、なぜ私たちは梅酒を「果実酒」と呼ぶのでしょうか?

これは、酒税法が制定されるずっと昔から、家庭で果実(梅、カリン、ビワなど)をお酒に漬け込む文化があり、それらを総称して「果実酒」と呼んできた「一般的な呼び名(慣習)」が定着しているためです。

スーパーなどで売られている「果実酒用ホワイトリカー」という商品名も、この慣習に基づいていますね。

ワイン・シードル・梅酒の分類比較

ここで、代表的なお酒の「酒税法上の分類」と「一般的な呼び名」を整理してみましょう。

お酒の名前主な原料主な製法酒税法上の分類一般的な呼び名
ワインブドウ発酵(醸造)果実酒ワイン、ブドウ酒
シードルリンゴ発酵(醸造)果実酒シードル、リンゴ酒
梅酒梅、糖、焼酎など漬け込み(混成)リキュール梅酒、果実酒

味・香り・アルコール度数の違い

【要点】

ワインはブドウ品種と熟成による複雑な香り、シードルはリンゴの爽やかな酸味、梅酒(リキュール)は梅の甘酸っぱさとベースのお酒の香りが特徴です。

ワイン(ブドウ)の味わい

香り:ブドウの品種(カベルネ、シャルドネなど)や、樽での熟成(バニラやトースト香)、発酵由来の複雑な香りが特徴です。

味わい:辛口から甘口まで様々。果実味、酸味、渋み(タンニン)、アルコールが複雑に絡み合います。

度数:約10%~15%が主流です。

シードル(リンゴ)の味わい

香り:リンゴ由来のフレッシュで爽やかな香りが特徴です。

味わい:リンゴの持つ爽やかな酸味とほのかな甘みが特徴。発泡性(スパークリング)のものが多く、のどごしが軽快です。

度数:約2%~8%と、ワインに比べて低めです。

梅酒(梅のリキュール)の味わい

香り:梅(ウメ)の甘酸っぱいフルーティーな香りが主役です。ベースに使うお酒(焼酎、ブランデー、日本酒など)によっても香りが変わります。

味わい氷砂糖などを加えるため、非常に甘いのが特徴です。梅のエキスによる酸味と甘みのバランスが楽しめます。

度数:約8%~15%程度のものが多いです。

体験談|自家製の「果実酒」がリキュールだった日

僕の祖母は、毎年梅の季節になると、庭で採れた梅と氷砂糖、そして大きなペットボトルの「ホワイトリカー」で、大きな瓶いっぱいに梅酒を漬けていました。

祖母はそれを「うちの果実酒」と呼び、僕は「梅酒=果実酒」と信じて育ちました。

大人になり、お酒に興味を持ってバーで働き始めた頃、酒税法の講習を受ける機会がありました。そこで講師が「梅酒はリキュール(混成酒)です。果実酒(醸造酒)ではありません」と断言したのです。

「え、嘘だろ?あんなに『果実』を使っているのに?」

僕は信じられず、講習の後に講師に食い下がりました。「でも、家庭では『果実酒』と呼びますし、ホワイトリカーにも『果実酒用』と書いてあります!」と。

講師は笑いながら教えてくれました。「それは“一般的な呼び名”だね。法律上は、『発酵』させてアルコールを造るのが果実酒で、『お酒に漬け込む』のはリキュールなんだよ。家庭で発酵させると“密造酒”になっちゃうからね」と。

あの時の衝撃は忘れられません。祖母の「果実酒」は、法律上は「自家製リキュール」だったのです。日本の法律と文化(呼び名)が必ずしも一致しない、その面白さと複雑さを学んだ瞬間でした。

ワインと果実酒に関するよくある質問

結局、「梅酒」は果実酒ではないのですか?

はい、日本の酒税法上は「リキュール(混成酒)」に分類されます。果実を発酵させて造る「果実酒(醸造酒)」とは製造方法が根本的に異なります。ただし、一般的には「果実を使ったお酒」として「果実酒」と呼ばれることも多いです。

家庭でワイン(果実酒)を造ると犯罪(密造)になるのはなぜですか?

アルコール発酵を伴うためです。日本の酒税法では、アルコール度数1%以上の飲料を製造する場合、酒類製造免許が必要です。酵母を使ってブドウやリンゴを発酵させる行為は、免許のない家庭で行うと「密造」にあたり、厳しく罰せられます。

では、家庭で梅酒(リキュール)を造るのは合法なのですか?

はい、一定の条件下で合法です。アルコール度数20度以上の、すでに課税されたお酒(焼酎やブランデーなど)に、糖類や梅などを漬け込む場合(混成)は、消費者が自分で飲む場合に限り、例外的に許可されています。(※ブドウやヤマブドウを漬け込むことは禁止されています)

まとめ|違いを理解して使い分けよう

ワインと果実酒の違い、そして梅酒の立ち位置まで、スッキリ整理できたでしょうか。

「果実酒」は、果実を発酵させて造るお酒の「大きな分類(カテゴリー)」です。

「ワイン」は、その果実酒の中でブドウを原料とする「特定の種類」です。

そして、「梅酒」は、お酒に梅を漬け込んで造る「リキュール(混成酒)」です。

お酒を選ぶ時は、ラベルの裏にある「品目」を見てみると、それが「果実酒」なのか「リキュール」なのかがハッキリと分かりますよ。

どちらも果実の恵みを生かした素晴らしい飲み物・ドリンクです。ぜひアルコール類の違いを理解して、気分に合わせて楽しんでみてください。