「advice」は助言や忠告という意味の「名詞」で、「advise」は助言する・忠告するという意味の「動詞」です。
たった一文字「c」と「s」の違いですが、文の中での役割(主語になるか、述語になるか)も、発音(スかズか)も明確に異なります。
この記事を読めば、スペルの迷いがなくなり、会話でもメールでも自信を持って正しい方を使い分けられるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「advice」と「advise」の最も重要な違い
基本的には名詞(〜のこと)なら「advice」、動詞(〜する)なら「advise」と覚えるのが簡単です。発音も、adviceは澄んだ「ス」、adviseは濁った「ズ」という違いがあります。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | advice (アドバイス) | advise (アドバイズ) |
|---|---|---|
| 品詞 | 名詞(助言、忠告) | 動詞(助言する、忠告する) |
| 発音(語尾) | /s/(ス)※iceと同じ | /z/(ズ)※sizeと同じ |
| 文法的な特徴 | 不可算名詞(数えられない) | 他動詞・自動詞 |
| よくあるフレーズ | give advice(助言を与える) | advise him to…(彼に〜するよう助言する) |
一番大切なポイントは、「advice」は「数えられない名詞(不可算名詞)」なので、「an advice」や「advices」とは言わないということですね。
一方、「advise」は動作を表すので、「He advised me.(彼は私に助言した)」のように主語の後に続きます。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
語源は古フランス語の「avis(意見)」に由来します。「ad(〜へ)」と「vis(見ること)」が組み合わさり、「〜という見解」を表しました。英語では名詞を「-ce(ス)」、動詞を「-se(ズ)」で区別するパターンが多く、advice/adviseもその一つです。
なぜこの二つの言葉にスペルと発音の違いが生まれるのか、語源と言語のルールを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
名詞と動詞のスペル変化の法則
英語には、名詞と動詞で語尾の「c」と「s」を使い分ける単語のグループがあります。
このルールを知っておくと、丸暗記しなくてもイメージで掴めるようになります。
- Device(装置・名詞) / Devise(考案する・動詞)
- Practice(練習・名詞) / Practise(練習する・動詞 ※イギリス英語)
- Prophecy(予言・名詞) / Prophesy(予言する・動詞)
このように、名詞は「c(ス)」、動詞は「s(ズ)」というパターンが多いのです。
「Advice」もこのルールに当てはまります。
「Ice(氷・アイス)」と同じ発音なら名詞、「Size(サイズ)」と同じ発音なら動詞、と覚えるのも一つの手ですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
「アドバイスをあげる/もらう」という“モノ”の扱なら「advice」、「〜するように勧める/忠告する」という“動作”なら「advise」を使います。adviceは不可算名詞なので「some advice」や「a piece of advice」という数え方をします。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
文法的な役割を意識して、使い分けを見ていきましょう。
Advice(名詞)の使い分け
文の中で「主語」や「目的語」として使われます。
【OK例文】
- Can I give you some advice?
(いくつか助言をしてもいいですか?) - I followed his advice.
(私は彼の忠告に従った。) - Let me give you a piece of advice.
(ひとつアドバイスさせてくれ。)
ここで「an advice」や「two advices」と言わないように注意しましょう。
Advise(動詞)の使い分け
文の中で「動作」として使われます。
【OK例文】
- I advise you to stop smoking.
(禁煙することを強く勧めます(忠告します)。) - Please advise us on what to do next.
(次に何をすべきか助言してください。) - He is advising the client.
(彼はクライアントに助言しているところだ。)
「advise A to do(Aに〜するよう助言する)」という形は頻出です。
これはNG!間違えやすい使い方
意味は通じても、文法的に間違いとされる使い方を見てみましょう。
- 【NG】Thank you for your advise.
(アドバイスをありがとう。) - 【OK】Thank you for your advice.
(アドバイスをありがとう。)
「your」の後ろには名詞が来る必要があるので、「advice」が正解です。メールの結びなどで非常によくあるミスです。
- 【NG】Please advice me.
(私に助言してください。) - 【OK】Please advise me.
(私に助言してください。)
「Please」の後ろには動詞が来る必要があるので、「advise」が正解です。
【応用編】似ている言葉「suggestion」「tip」との違いは?
「suggestion」は「提案」で、相手に採用の余地を与える控えめなニュアンス。「tip」は「秘訣・コツ」で、実用的なちょっとした情報のことを指します。「advice」は専門家や経験者が行う「助言・忠告」で、より重みや権威がある言葉です。
「advice」以外にも、アドバイスに似た言葉はいくつかあります。
これも押さえておくと、状況に応じた適切な表現ができますよ。
Suggestion(提案)
「こうしてみたらどう?」という、相手に選択権がある控えめな提案です。
Adviceよりも強制力が弱く、カジュアルな場面でも使いやすい言葉です。
- I have a suggestion for the party.
(パーティーについて提案があるんだけど。)
Tip(コツ・秘訣)
「裏技」や「ちょっとした役立つ情報」というニュアンスです。
料理のコツや、ゲームの攻略法などは「tips」と呼ばれます。
- Here are some useful tips for gardening.
(ガーデニングの役立つコツをいくつか紹介します。)
Recommendation(お勧め)
「これが良いですよ」と特定のものを推薦する場合に使います。
レストランや本、映画などを勧めるときにピッタリです。
- Can you give me a recommendation for a good wine?
(美味しいワインのお勧めを教えてくれませんか?)
「advice」と「advise」の違いを文法的な視点で解説
「Advice」は不可算名詞(Uncountable Noun)である点が最大の特徴です。水や情報と同じく「数えられないもの」として扱われます。一方、「Advise」は他動詞として目的語(人)を取ることが多く、SVO to do(人に〜するよう助言する)の構文で頻繁に使われます。
専門的な視点から見ると、「advice」が不可算名詞であることは、日本人学習者にとって最大のトラップです。
日本語では「アドバイスを3つもらった」のように数えられる感覚があるため、「three advices」と言いたくなりますが、英語ではこれは間違いです。
英語の「advice」は、具体的な「1個の助言」というよりは、「助言という概念・情報のかたまり」というイメージで捉えられています。
数えたい場合は、以下の単位を使います。
- a piece of advice(ひとつのアドバイス)
- some advice(いくつかの(量としての)アドバイス)
- a word of advice(ひと言アドバイス)
一方、動詞の「advise」は、フォーマルな響きを持ちます。
友達同士なら「suggest」や「tell」を使う場面でも、医師や弁護士、上司などの立場からは「advise」が使われます。
僕が「an advice」と言って苦笑いされた英会話での体験談
僕も英語学習を始めたばかりの頃、この「advice」の数え方で失敗したことがあるんです。
オンライン英会話のレッスンで、先生に学習方法について相談していたときのことです。
先生がとても親切に教えてくれたので、感謝の気持ちを伝えようと張り切って言いました。
「Thank you for an advice!」
すると先生は優しく微笑んで、チャットボックスにこうタイプしてくれました。
『Thank you for the advice. (or your advice)』
そして、「Advice is uncountable, like water.(アドバイスは水みたいに数えられないんだよ)」と教えてくれました。
「えっ、アドバイスって水みたいなの!?」と当時は衝撃を受けました。
日本語の感覚だと「アドバイス=個別の言葉」ですが、英語の感覚だと「アドバイス=知恵の流れ」のようなものなのかもしれません。
それ以来、僕は「advice」を使うときは、数えられない名詞であることを強く意識し、「some advice」や「your advice」と言うようにしています。
文法一つの違いで、言葉の持つ世界観の違いに触れたような気がした体験でした。
「advice」と「advise」に関するよくある質問
「Adviser」と「Advisor」はどっちが正しい?
どちらも正解で、意味も「助言者(アドバイザー)」で同じです。「Adviser」は伝統的な綴りで一般的ですが、アメリカ英語や特定の職種(Financial Advisorなど)では「Advisor」が好まれる傾向があります。組織内の表記統一ルールに従うのが無難です。
「Please advise.」というメールの結びは失礼?
ビジネスメールで「ご教示ください」「ご指示ください」という意味で「Please advise.」と結ぶことがありますが、文脈によっては少しぶっきらぼう、あるいは上から目線に響くことがあります。「Could you please advise on this matter?」や「I would appreciate your advice.」のように丁寧に書くのが安全です。
「Advise」の発音は「アドバイス」じゃダメ?
ダメです。動詞の「advise」は必ず濁って「アドバイズ(/z/)」と発音します。これを「アドバイス(/s/)」と発音すると、名詞の「advice」と聞き間違えられ、文法的に意味が通じなくなる恐れがあります。意識して「ズ」と発音しましょう。
「advice」と「advise」の違いのまとめ
「advice」と「advise」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 品詞の違い:adviceは「名詞(助言)」、adviseは「動詞(助言する)」。
- 発音の違い:adviceは「ス(/s/)」、adviseは「ズ(/z/)」。
- 文法の違い:adviceは数えられない(不可算)、adviseは動作を表す。
- 覚え方:Ice(氷)はス、Size(サイズ)はズ。
言葉の背景にある品詞の役割と発音のルールを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。
これからは自信を持って、的確な英語を選んでいきましょう。
さらに英語のニュアンスを深く知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。
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