「all」と「all of」の違いを解説!名詞と代名詞で変わる文法ルール

「それら全て」と言いたいとき、「All of them」と言うべきか、「All them」でいいのか、迷ったことはありませんか?

あるいは、「All students」と「All of the students」はどう違うのでしょうか?

実はこの2つの表現、後ろに続く言葉が「名詞」か「代名詞」かによって、文法的なルールが明確に異なります。

この記事を読めば、ネイティブが自然に行っている使い分けのルールを理解でき、ビジネスメールや日常英会話で、文法的に正しい英語を自信を持って使えるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「all」と「all of」の最も重要な違い

【要点】

後ろが「代名詞(them/it/us等)」なら「all of」が必須です。後ろが「名詞(the book/my friends等)」なら「of」は省略可能ですが、省略する方が一般的です。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の使い分けルールを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本はバッチリです。

後ろに来る言葉使い方のルール正しい例間違った例
代名詞
(it, them, us, you)
of が必須All of them
All of it
× All them
× All it
特定の名詞
(the/my/this + 名詞)
of は省略可能
(省略が一般的)
All (of) the books
All (of) my friends
一般の名詞
(students, water等)
of は使わない
(通常はallのみ)
All students
All water
△ All of students
(特定の集団を指す場合は可)
固有名詞
(Japan, Tokyo等)
of を使うことが多いAll of Japan△ All Japan

一番のポイントは、「it」や「them」などの代名詞が来たら、必ず「of」を入れるということです。これだけは絶対的なルールとして覚えておきましょう。

なぜ違う?後ろに来る言葉で決まる「of」の役割

【要点】

「all」は形容詞的にも代名詞的にも使えます。名詞の前では「形容詞」として直接くっつけますが、代名詞(themなど)の前では「代名詞」として機能させるため、つなぎ役の「of」が必要になります。

なぜこのようなルールの違いが生まれるのでしょうか?それは「all」の品詞的な振る舞いが変わるからです。

代名詞の前では「of」がクッションになる

「them(彼ら)」や「us(私たち)」などの人称代名詞は、それ自体で完結した強い名詞の塊です。

ここに「All」を直接ぶつけて「All them」とするのは、英語のリズムや文法構造として不安定になります。そこで、「それらのうちの(of)→全て(All)」という関係性をはっきりさせるために、前置詞の「of」が接着剤として必要になるのです。

名詞の前では「all」が形容詞のように働く

一方、「the books」や「my friends」のような名詞句の前では、「all」は限定詞(形容詞のようなもの)として働きます。

「All the books(全ての本)」のように、直接名詞を修飾できるため、「of」はあってもなくても意味が通じます。現代英語では、簡潔さを好むため「of」を省略する形(All the…)が圧倒的に多く使われます。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「All of us(私たち全員)」は決まり文句。「All the members(全メンバー)」はofなしが自然。「All students(全学生)」のように総称する場合はofを入れません。

パターンごとの例文を見て、感覚を掴んでいきましょう。

1. 代名詞の場合(of 必須)

ここは間違えやすいポイントNo.1です。

  • All of us agreed with the plan.
    (私たち全員がその計画に賛成しました。)
    × All us agreed…
  • I ate all of it.
    (それを全部食べちゃった。)
    × I ate all it.
  • I love all of you.
    (あなたたちの全員が大好きだよ。)

2. 特定の名詞の場合(of 省略可)

「the」「my」「this」などがついている場合です。

  • All (of) the employees attended the meeting.
    (全従業員が会議に出席しました。)
    ※「All the employees」と言う方が一般的でスムーズです。
  • I’ve lost all (of) my money.
    (お金を全部失ってしまった。)

3. 一般的な名詞の場合(of なし)

世の中全般のことを指す場合です。

  • All living things need water.
    (すべての生き物は水を必要とする。)
    ※「この世の生き物すべて」という総称です。「All of living things」とは言いません。
  • All children love games.
    (子供はみんなゲームが好きだ。)

4. 地名などの固有名詞(of あり)

地名などの前では「全体」を強調するために「of」を入れるのが普通です。

  • He traveled all of Europe.
    (彼はヨーロッパ全土を旅行した。)
  • All of Tokyo was excited.
    (東京中が興奮した。)

【応用編】似ている言葉「whole」との違いは?

【要点】

「whole」は「一つのまとまり全体」を指し、単数形の名詞によく使われます。「all」は「構成要素の総数・総量」に焦点があります。「the whole book(本を一冊まるごと)」と「all the books(そこにある本全部)」の違いです。

「全部」という意味で似ている「whole」との使い分けも重要です。

  • All (of) the cake:ケーキの全部(量として全て)
  • The whole cake:ケーキ丸ごと一個(形が崩れていない全体)

「I ate the whole cake.」と言えば「ホールケーキを丸ごと一個食べた」というニュアンスが強くなります。「all」は複数形の名詞(all the students)にも使えますが、「whole」は基本的に単数形の名詞(the whole class)に使って「クラス全体」を表します。

「all」と「all of」の違いを学術的に解説

【要点】

文法的には、「all」は前位限定詞(Predeterminer)として機能し、「all of」の「all」は代名詞として機能します。部分構造(Partitive Construction)において、定性(Definiteness)を持つ名詞句の前では「of」の脱落が可能になるという通時的な変化があります。

少し専門的な視点から、この現象を解説します。

1. 前位限定詞としてのAll

英語には「限定詞(Determiner)」という、名詞の範囲を決める言葉(the, my, thisなど)があります。「all」はこの限定詞のさらに前に置くことができる特殊な言葉で、「前位限定詞(Predeterminer)」と呼ばれます。

構造: All [前位限定詞] + the [限定詞] + students [名詞]

この機能があるため、「of」を介さずに直接「All the students」と言うことができます。

2. 部分構造(Partitive)と代名詞

一方、「All of ~」は「~のうちの全て」という部分構造を表します。

構造: All [代名詞] + of [前置詞] + them [代名詞・目的格]

人称代名詞(them, us)は、限定詞を伴わないため、前位限定詞の形を取れません。そのため、必ず「of」を用いた部分構造にする必要があるのです。

僕が「all」と「all of」を混同してネイティブに苦笑いされた失敗談

これは僕がアメリカに留学して間もない頃の、恥ずかしい失敗談です。

寮のルームメイトたちがリビングで映画を見ていました。僕も混ぜてもらおうと思い、ポテトチップスの袋を持って彼らにこう言いました。

「Hey guys, do you want this? You can eat all them!」

「それら全部食べていいよ!」と言ったつもりでした。しかし、ルームメイトの一人がポテトをつまみながら、ニヤニヤしてこう言ったのです。

「Thanks! But it’s “all of them”, dude. “All them” sounds like slang.」
(ありがと!でも”all of them”だよ。”All them”だとスラングっぽく聞こえるぜ。)

僕は顔が熱くなりました。

「All the books」や「All the people」という表現を耳にしていたので、「of」はいつでも省略できると思い込んでいたのです。しかし、相手が「them(代名詞)」の場合は、「of」が必須だというルールを完全に無視していました。

「名詞なら省略OK、代名詞なら必須」。

この単純なルールを知らなかっただけで、僕の英語は「田舎の荒っぽい言葉遣い」のように聞こえてしまっていたのです。それ以来、僕は「All of us」「All of it」と、代名詞のときは意識して「of」を強調するようになりました。

たった2文字の「of」ですが、あるとないとでは大違い。皆さんも、代名詞を使うときは気をつけてくださいね。

「all」と「all of」に関するよくある質問

ここでは、よく検索される疑問にQ&A形式で答えていきます。

Q. 「All day」と「All of the day」は違いますか?

A. どちらも「一日中」という意味ですが、「All day」が圧倒的に一般的です。「All of the day」と言うと、「その日のうちの全ての時間」と強調しているように聞こえますが、少し回りくどい表現になります。「All night」「All morning」なども同様に「of」なしで使います。

Q. 「Not all…」の使い方は?

A. 部分否定(すべてが~というわけではない)を表します。この場合もルールは同じです。
・Not all students like math.(全ての生徒が数学を好きなわけではない。)
・Not all of them came.(彼ら全員が来たわけではない。)

Q. 「All of sudden」は正しいですか?

A. いいえ、正しくは「All of a sudden」(突然に)です。これは熟語なので、この形のまま覚える必要があります。「All sudden」とは言いません。

「all」と「all of」の違いのまとめ

最後にもう一度、重要なポイントを整理しておきましょう。

  • 代名詞には「of」をつける
    (○ All of them / × All them)
  • 特定の名詞は「of」を省ける
    (○ All the books / ○ All of the books)
  • 一般総称は「of」をつけない
    (○ All people / × All of people)

「代名詞にはクッション(of)が必要」と覚えておけば、もう迷うことはありません。

英語には、このように細かいルールで使い分ける言葉がたくさんあります。他の英語由来語の使い分けについても、ぜひ以下の記事をチェックして、英語の解像度を高めてみてくださいね。

英語由来語の違いまとめ記事へ

正しい文法を身につければ、あなたの英語はもっと知的で、相手に信頼されるものになりますよ。

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