「among」と「amongst」の違いを徹底解説!古風なのはどっち?

「〜の間で」と言いたいとき、あなたは amongamongst のどちらを使いますか?

辞書で調べるとどちらも「〜の中で」「〜に囲まれて」と同じ意味が出てきますが、実はネイティブスピーカーが抱く印象や使われる地域には明確な違いがあります。

この記事を読めば、二つの言葉が持つ「響き」の違いや、アメリカ英語とイギリス英語での扱われ方がスッキリ理解でき、もう迷うことはなくなりますよ。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「among」と「amongst」の最も重要な違い

【要点】

意味や文法機能は完全に同じですが、現代では「among」が圧倒的に主流です。「amongst」は主にイギリス英語で見られ、アメリカ英語では「古風」「気取っている」と感じられる傾向があります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの単語の決定的な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目amongamongst
中心的な意味~の間で、~の中で(3つ以上)~の間で、~の中で(3つ以上)
使用頻度圧倒的に多い(主流)少ない(限定的)
主な使用地域アメリカ・イギリス・世界共通主にイギリス・オーストラリア
ニュアンス中立的・一般的・現代的フォーマル・古風・文学的
アメリカでの印象普通気取っている・古臭い

表を見てわかる通り、基本的には「among」を使えば間違いありません。

「amongst」は間違いではありませんが、使う場面や相手を選ぶ言葉だと言えますね。なぜこのようなバリエーションが生まれたのでしょうか?次は、その理由を歴史的な背景から紐解いていきましょう。

なぜ違う?「st」が付いた語源と成り立ちからイメージを掴む

【要点】

「among」の方が歴史が古く、古英語に由来します。「amongst」は中英語期に「among」に副詞的な語尾「-s」と発音上の「-t」が付け足されて生まれた派生語です。

「amongst」の方がなんとなく格式高くて古そうに見えますが、実は言葉の歴史としては among の方が先輩なんです。

「among」がオリジナル、「amongst」は派生形

語源を遡ると、以下のような流れになります。

  • Among: 古英語(Old English / 西暦1000年頃)の onmang(群衆の中で、混ぜ合わせる)に由来します。
  • Amongst: 中英語(Middle English / 西暦1200年頃)に登場しました。among に副詞を作る語尾「-s」(genitive suffix)が付き、さらに発音の都合で余分な「-t」(excrescent -t)が付け足されて生まれました。

つまり、「amongst」は歴史の中で音が付け足されてできた「amongの変種」に過ぎないのです。「st」が付くことで響きが重厚になり、結果として現代では「古風」「詩的」なニュアンスを持つようになりました。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常会話やビジネスメールでは「among」を選びましょう。「amongst」はイギリスの小説や格調高いスピーチ、あえて古風な雰囲気を演出したい場合に限定して使われます。

理屈がわかったところで、実際のシーン別の使い分けを見ていきましょう。

「among」を使うシーン:日常からビジネスまで全般

1. 物理的な位置関係を表す時
「~の中にいる」という状況説明です。アメリカでもイギリスでもこれが標準です。

A small house stands among the trees.
(木々の間に小さな家が建っている。)

2. グループ内での共有や分配を表す時
3人以上の間でのやり取りに使います。

They shared the profit among themselves.
(彼らは利益を自分たちの間で分け合った。)

3. 抽象的な「~の間で」
人気や評判などを表す場合です。

This game is popular among teenagers.
(このゲームは10代の若者の間で人気がある。)

「amongst」を使うシーン:限定的な文脈

1. イギリス英語のフォーマルな文章
イギリスの新聞や学術書では、今でも普通に使われることがあります。

The disease spread quickly amongst the population.
(その病気は住民の間に急速に広まった。)

2. 文学的・詩的な表現
小説や演劇などで、雰囲気を出したい時に使われます。

He walked alone amongst the ruins of the ancient city.
(彼は古代都市の廃墟の中を一人歩いた。)

【応用編】似ている言葉「amid / amidst」「while / whilst」との違いは?

【要点】

「among / amongst」と同様に、「-st」が付くペア(amid/amidst, while/whilst)は、いずれも「st」付きの方が古風・フォーマルで、主にイギリス英語で好まれる傾向があります。

英語には「among / amongst」と同じような関係を持つ単語のペアがいくつか存在します。これらもセットで覚えておくと、英語のニュアンスへの理解が深まりますよ。

amid vs. amidst(~の最中に、~の真ん中に)
「amid」が一般的で、「amidst」はより文学的・古風です。意味は同じですが、アメリカ英語では「amid」が好まれます。

  • Amid the chaos…(混乱の最中に…)

while vs. whilst(~する間に、一方で)
「while」が世界的に主流です。「whilst」はイギリス英語特有の表現で、アメリカではほとんど使われません(使うと非常に気取った印象を与えます)。

  • While I was sleeping…(私が眠っている間に…)

「-st」が付くバージョンは、総じて「イギリス的・古風・フォーマル」と覚えておけば間違いありません。

「among」と「amongst」の違いを学術的に解説

【要点】

コーパスデータによると、アメリカ英語では「among」の使用頻度が「amongst」の30倍以上と圧倒的です。一方、母音で始まる単語の前では発音の滑らかさ(euphony)のために「amongst」が選ばれる傾向がかつてありましたが、現代では必須のルールではありません。

ここでは少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

圧倒的な使用頻度の差

オックスフォード英語コーパス(Oxford English Corpus)のデータによれば、アメリカの書き言葉において「amongst」は約1万回出現するのに対し、「among」は30万回以上出現します。つまり、30倍以上の開きがあるということです。イギリス英語でも「among」の方が頻度が高いことは変わりませんが、その差はアメリカほど極端ではありません。

母音の前での使用(Euphony)

古い文法書やスタイルガイドの中には、「母音で始まる単語の前では amongst を使うべきだ」とする説があります(例:amongst us, amongst others)。これは「a book」と「an apple」のように、発音の滑らかさ(euphony)を考慮したものでした。
しかし、現代英語ではこのルールは廃れており、母音の前であっても「among us」や「among others」と言うのが一般的で、全く問題ありません。

アメリカ留学中に「amongst」を使って笑われた僕の体験談

これは僕がアメリカの大学に交換留学していた時の話です。少しでも英語ができるように見られたくて、日本で習った(あるいは古い小説で読んだ)難しい単語を積極的に使おうとしていました。

ある日の社会学の授業で、グループディスカッションがありました。僕は張り切って発言しました。
“We should discuss this amongst ourselves first.”
(まずは我々の間でこれを議論すべきだ。)

すると、隣に座っていた現地の学生がクスッと笑ってこう言ったんです。
“Wow, ‘amongst’? Are you Shakespeare or something?”
(わぁ、『amongst』だって? 君はシェイクスピアか何かかい?)

その場は和やかな笑いに包まれましたが、僕は顔から火が出るほど恥ずかしかったのを覚えています。彼らにとって、日常会話で「amongst」を使うのは、現代人が突然「拙者は~でござる」と話し出すような違和感があったのでしょう。

後で寮のルームメイトに聞くと、「イギリス映画のキャラクターみたいでカッコいいけど、普段使いするとちょっと気取って聞こえる(pretentious)かもね」と教えてくれました。

それ以来、僕は郷に入っては郷に従えで、迷わず「among」を使うようにしています。言葉は「正しさ」だけでなく、「その場の空気に合っているか」も大切なんだと痛感した出来事でした。

「among」と「amongst」に関するよくある質問

ここでは、Google 検索などでよく見られる疑問に、会話形式でお答えします。

Q. テストや論文で「amongst」を使うと減点されますか?

文法的に間違いではないので減点されることは稀ですが、アメリカの学校やビジネスの場では避けた方が無難です。先生や上司によっては「言葉選びが不自然」「古臭い」と赤字を入れられる可能性があります。迷ったら「among」にしておくのが安全策ですね。

Q. 「among」と「between」の違いは何ですか?

これはよくある混同ですね! 基本的なルールとして、between は「2つのもの(または個別に識別できるもの)の間」、among / amongst は「3つ以上のもの(集団・群衆)の間」に使います。「Between you and me(ここだけの話)」とは言いますが、「Among you and me」とは言いません。

Q. イギリス人は日常会話で「amongst」を使いますか?

はい、アメリカ人よりは頻繁に使います。しかし、イギリス人にとっても「among」の方が一般的です。「amongst」を使っても「気取っている」と思われることは少ないですが、それでも少しフォーマルな響きがあることは変わりません。

「among」と「amongst」の違いのまとめ

いかがでしたでしょうか。

最後に、ここまでの内容を整理して振り返ってみましょう。

  • 基本は among: アメリカでもイギリスでも、日常会話からビジネスまで「among」が主流です。
  • amongst は限定的: 主にイギリス英語や、文学的・フォーマルな文脈で使われます。アメリカでは「気取っている」と思われるリスクがあります。
  • 意味は同じ: 文法的な機能や意味に違いはありません。「st」が付く分、響きが重厚になるだけです。

言葉の響きを楽しみたい時や、イギリスの小説を読む時は「amongst」の味わいを感じつつ、自分が発信する時はシンプルに「among」を使う。これが現代のスマートな英語の使い分けと言えそうです。

英語由来の言葉の使い分けについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

英語由来語の違い:https://chigai-labo.com/words-guide/gairaigo/english/

言葉が持つ「地域の香り」や「歴史の重み」を感じながら、英語表現を楽しんでいきましょう!

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