「among」と「between」の違いとは?「2つ」と「3つ以上」の嘘と本当の使い分け

「between」は「個別に区別できるもの(AとBとC…)の間」を指し、「among」は「区別できない集合体(群衆やグループ)の中」を指すのが決定的な違いです。

なぜなら、学校では「2つならbetween、3つ以上ならamong」と習いがちですが、ネイティブスピーカーは数ではなく「対象がはっきり個として認識できるか、それとも一つの塊として認識しているか」で使い分けているからです。

この記事を読めば、「3国間の条約」でなぜbetweenを使うのかが腑に落ち、ビジネスメールや日常会話で迷わず正確なニュアンスを伝えられるようになります。

それでは、まず二つの違いを整理した一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「among」と「between」の最も重要な違い

【要点】

「between」は対象が2つでも3つ以上でも、「個々がはっきり区別できる」場合に使います。「among」は対象が3つ以上で、「全体として混ざり合っている(個の区別がない)」場合に使います。数の違いではなく「認識の違い」です。

まずは、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けの感覚はバッチリです。

項目betweenamong
中心的な意味個別のものの間集合体の中、~に囲まれて
対象の認識個々がはっきりしている(1対1の関係)全体としての一群(ごちゃ混ぜ)
数の目安2つ以上(3つ以上もOK)3つ以上
イメージ点と点を結ぶ線(A⇔B)枠の中にある点々(集合)

一番大切なポイントは、「3つ以上=among」という丸暗記は捨てるという点ですね。

例えば、「日本、中国、韓国の間で」と言いたいとき。

3つの国ですが、それぞれの国名が具体的で「個」として認識されているため、「between Japan, China and Korea」が正解です。

一方で、「アジア諸国の間で」とひとくくりにする場合は、個別の国名が意識されないため、「among Asian countries」となります。

この「解像度の違い」を理解しておくと、もう迷うことはありません。

なぜ違う?語源とコアイメージから「among」と「between」を掴む

【要点】

「between」は古英語の「by two(2つによって)」が語源で、個別の関係性を重視します。「among」は「in a crowd(群衆の中で)」や「mingle(混ざる)」に関連する語源を持ち、集合体の一部であることを重視します。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、その語源とコアイメージを紐解くと、理由がよくわかりますよ。

「between」のイメージ:個と個の架け橋

「between」の語源は、古英語の「be(by)」+「tweon(two)」です。

元々は「2つのものによって」という意味でしたが、そこから「個別に識別できるもの同士の関係」を表すようになりました。

イメージとしては、AさんとBさんの間に橋が架かっている状態です。

たとえCさんが加わっても、AさんとBさん、BさんとCさん、CさんとAさんという「1対1の関係」が意識される限り、betweenが使われます。

「Between you and me(ここだけの話)」というフレーズも、あなたと私という個別の関係性を強調しているからこそ生まれる表現です。

「among」のイメージ:群衆の中の没入感

一方、「among」の語源は、古英語の「on gemang(in a crowd/company)」です。

「gemang」は「mingle(混ぜる)」と同源で、「混ざり合った群衆の中」というイメージを持っています。

森の中に木がたくさんある状態を想像してください。

「一本一本の木の間」ではなく、「森という空間の中」にいる感覚。

これが「among」です。

個々の顔は見えず、全体として「人混み」「仲間たち」という集合体として認識しているときに使います。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

具体的な地名や人名が並ぶときは「between」、漠然とした複数名詞が続くときは「among」を使います。ビジネスでの「二国間」や「選択肢」はbetween、「社内の噂」や「若者の間での流行」はamongが適しています。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

「between」を使う場面(個別の関係・選択)

【OK例文】

  • The train runs between Tokyo and Osaka.
    (その電車は東京と大阪の間を走る。※2つの明確な地点)
  • I have to choose between pizza, pasta, and steak.
    (ピザ、パスタ、ステーキの中から選ばなきゃ。※3つでも選択肢が具体的)
  • The negotiations between the five countries went well.
    (その5カ国間の交渉はうまくいった。※各国が当事者として意識されている)

「among」を使う場面(集合・分布)

【OK例文】

  • He is popular among the students.
    (彼は生徒たちの間で人気だ。※「生徒たち」という集団)
  • The house is hidden among the trees.
    (その家は木々の間に隠れている。※森の中に埋もれているイメージ)
  • We discussed it among ourselves.
    (私たちは内輪でそのことを話し合った。※誰と誰、というよりグループ内で)

これはNG!間違えやすい使い方

ネイティブが「おや?」と思う、典型的なミスです。

  • 【NG】I can’t decide among the red dress and the blue dress.
    (赤いドレスと青いドレスの間で決められない。)
  • 【OK】I can’t decide between the red dress and the blue dress.

「AとB」のように具体的な選択肢が2つ(あるいはそれ以上でも具体的)な場合は、迷わず「between」です。

  • 【NG】The secret spread between the crowd.
    (その秘密は群衆の間に広まった。)
  • 【OK】The secret spread among the crowd.

「crowd(群衆)」は個人の区別がつかない集合体なので、「among」が自然です。

【応用編】3つ以上でも「between」を使う重要な例外

【要点】

「3つ以上ならamong」というルールの最大の例外は、「個々の要素が明確に識別できる場合」です。特に、地名、人名、国名などが列挙される場合や、相互の関係(条約、協定、試合など)を表す場合は、数に関係なく「between」を使います。

ここが今回のハイライトです。

学校で習った「3つ以上はamong」を、アップデートしましょう。

以下のケースでは、対象が3つ以上でも「between」を使うのが一般的です。

1. 具体的な固有名詞が並ぶとき

「Switzerland lies between France, Germany, Austria and Italy.」
(スイスはフランス、ドイツ、オーストリア、イタリアの間にある。)

地図上で国境線がはっきりと引ける関係性だからです。

2. 相互の関係性(1対1の総和)を表すとき

「The agreement between the four companies.」
(4社間の協定。)

協定や条約は、A社とB社、A社とC社…のように、それぞれの当事者が個別に結びついているイメージがあるためです。

3. 明確な選択肢があるとき

「Choose between A, B, and C.」

選択肢として個々が独立している場合は、数に関係なくbetweenです。

「among」と「between」の違いを認知言語学的に解説

【要点】

認知言語学の視点では、「between」は対象物を「個(Individuals)」として捉え、それらの間の「空間や関係性」に焦点を当てます。「among」は対象物を「集合(Mass)」や「容器(Container)」として捉え、その内部に含まれている「状態」に焦点を当てます。

少し専門的な視点から、この違いを深掘りしてみましょう。

認知言語学では、言葉を「空間認識」として捉えます。

「between」の空間認識は、「分離された個体とその間」です。

頭の中に、はっきりとした輪郭を持つ「点」がいくつかあり、それらが線で結ばれているイメージ。

だから、たとえ100個あっても、それぞれが「点」として認識されていればbetweenなのです。

一方、「among」の空間認識は、「境界のある領域(容器)とその中身」です。

個々の輪郭は溶け合い、一つの大きな「モヤ」や「グループ」として認識されます。

そのモヤの中に「ポツンとある(あるいは全体に広がっている)」状態を指すのがamongです。

「分けられる(between)」か、「混ざっている(among)」か。

この感覚の違いが、使い分けの根底にあります。

「Among Japan, China and Korea」と書いて修正された僕の体験談

僕が大学のゼミで、東アジアの国際関係についてのレポートを書いていた時のことです。

「日本、中国、韓国の3国間には、長い歴史的交流がある」と書きたくて、自信満々にこう書きました。

「There is a long history of exchange among Japan, China, and Korea.」

「3つの国だからamongで間違いない!」と思っていたのです。

しかし、ネイティブの教授から返ってきたレポートには、赤字で「between」と修正が入っていました。

添削コメントにはこうありました。

「Specific names are listed. Treat them as distinct entities.(具体的な名前が列挙されている。それらを個別の存在として扱いなさい)」

衝撃でした。

「3つ以上はamong」という学校で習ったルールが、例外だったなんて。

教授の説明によると、国名を出して具体的に論じる場合、それぞれの国は「独立した個」として存在感を放っているため、「among」を使って「ごちゃ混ぜの集団」扱いするのは不適切だというのです。

「Among Asian countries(アジア諸国の間で)」ならOKだけれど、名前を挙げたら「Between」で敬意(個としての認識)を払う。

この失敗を通じて、僕は「数」ではなく「解像度」が大事なんだと痛感しました。

皆さんも、具体的な名前を並べるときは、迷わず「between」を使ってくださいね。

「among」と「between」に関するよくある質問

「amongst」と「among」の違いは?

意味は全く同じです。「amongst」は主にイギリス英語で使われる、少し古風で文学的な響きのある言葉です。現代の日常会話やビジネスでは、アメリカ・イギリス問わず「among」を使うのが一般的で無難です。

「between」を時間や期間に使うことはできますか?

はい、できます。「Between 9 am and 5 pm(午前9時から午後5時の間に)」のように、時間の範囲を指定する場合によく使われます。この場合も「開始点」と「終了点」という2つの明確な点があるため、betweenが適しています。

「share among」と「share between」の違いは?

「share between」は、例えば「夫婦で家事を分担する」や「3人の兄弟で遺産を分ける」のように、誰にどれだけ配分されるかが意識される場合に使われます。「share among」は、「クラス全員にお菓子を配る」のように、個々の配分よりも「全体に行き渡らせる」ことに焦点がある場合に使われます。

「among」と「between」の違いのまとめ

「among」と「between」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 最大のポイント:「個」として見るならbetween、「集団」として見るならamong。
  2. 数のルール:「2つ=between、3つ以上=among」は絶対ではない。
  3. 例外:3つ以上でも、固有名詞や具体的な選択肢なら「between」を使う。
  4. イメージ:betweenは「AとB(とC)の間」、amongは「~の中(群衆・森など)」。

「顔が見える関係」ならBetween、「十把一絡げ」ならAmong。

この感覚さえ掴んでおけば、3つ以上の選択肢に出会っても、もう迷うことはありません。

これからは自信を持って、的確な前置詞を選んでいきましょう。

言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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