英語を学び始めたばかりの頃、「are」と「do」の使い分けで混乱してしまった経験はありませんか?
実はこの2つの言葉、後ろに続く言葉が「状態」を表すか「動作」を表すかで使い分けるのが基本ルールです。
この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ核心的な役割から具体的な使い分けのルールまでスッキリと理解でき、もう二度と迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「are」と「do」の最も重要な違い
基本的には状態や性質を説明するなら「are」、動作や行為を尋ねるなら「do」と覚えるのが簡単です。後ろに名詞や形容詞が来るのがbe動詞の「are」、動詞の原形が来るのが一般動詞の「do」です。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | are(be動詞) | do(助動詞・一般動詞) |
|---|---|---|
| 中心的な役割 | 主語と補語(名詞・形容詞)をイコールで結ぶ | 主語が行う動作や行為を補助する(または行う) |
| 後ろに来る言葉 | 名詞、形容詞、現在分詞(~ing)、過去分詞 | 動詞の原形(疑問文・否定文の場合) |
| イメージ | 状態、存在、性質(静的) | 動作、行為、習慣(動的) |
| 典型的な文型 | You are happy.(あなたは幸せです) | Do you play tennis?(テニスをしますか?) |
一番大切なポイントは、「動き」があるかどうかということですね。
「動き(動詞)」がある文の疑問形や否定形を作る時には「do」を使い、動きがなく「状態(形容詞や名詞)」を説明する時には「are」を使います。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「are」は古英語の「存在すること」を意味する言葉に由来し、“そこに在る”という静的なイメージです。一方、「do」は「置く、行う」を意味する言葉に由来し、“何かをする”という動的なエネルギーを持っています。
なぜこの二つの言葉に役割の違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「are」の成り立ち:「存在」を表す静かなイメージ
「are」を含むbe動詞は、古英語やそれ以前のインド・ヨーロッパ祖語において「存在する」「生える」「留まる」といった意味を持つ言葉にルーツがあります。
つまり、「are」とは主語が「どのような状態でそこに在るか」を示す言葉なのです。
「A = B」という状態で静止しているイメージを持つと分かりやすいでしょう。
「do」の成り立ち:「行為」を表す動的なイメージ
一方、「do」は、ゲルマン祖語やインド・ヨーロッパ祖語の「置く」「する」「作る」といった意味を持つ言葉が語源です。
このことから、「do」には、何か具体的なアクションを起こす、エネルギーを使って行動するというニュアンスが含まれるんですね。
疑問文で「Do you…?」と聞くのは、「あなたは(何らかの動作を)しますか?」と、相手の行為について尋ねているわけです。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスで「職業」や「状態」を聞くときは「are」、「業務内容」や「習慣」を聞くときは「do」を使います。日常会話でも「気分」なら「are」、「趣味」なら「do」と使い分けるのが基本です。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
相手の状態を聞くのか、行動を聞くのかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:are(状態・属性)】
- Are you busy right now?(今、忙しいですか?)
※「忙しい」という状態を聞いています。 - Are they our new clients?(彼らは新しいクライアントですか?)
※「クライアント」という属性(名詞)とイコールか聞いています。 - You are absolutely right.(君は完全に正しい。)
※「正しい」という状態を肯定しています。
【OK例文:do(動作・習慣)】
- Do you have a business card?(名刺をお持ちですか?)
※「持つ」という動作・状態を聞いています(haveは一般動詞)。 - Do you agree with this plan?(この計画に賛成しますか?)
※「賛成する(agree)」という動作を聞いています。 - How do you go to the office?(どうやって通勤していますか?)
※「行く(go)」という手段を聞いています。
日常会話での使い分け
日常会話でも、考え方は同じです。
【OK例文:are】
- Are you hungry?(お腹空いてる?)
※「空腹な」という形容詞の状態を聞いています。 - Are you from Japan?(日本出身ですか?)
※出身地という属性を聞いています。
【OK例文:do】
- Do you like sushi?(お寿司は好き?)
※「好む(like)」という心の動作を聞いています。 - Do you know him?(彼のこと知ってる?)
※「知っている(know)」という状態動詞を使っていますが、一般動詞なのでdoを使います。
これはNG!間違えやすい使い方
意味が通じそうで通じない、初心者がやりがちな間違いを見てみましょう。
- 【NG】 Are you like music?
- 【OK】 Do you like music?(音楽は好きですか?)
「like(好む)」は動詞です。「Are」を使うと、文法的に破綻してしまいます。
「あなたは音楽のようです(You are like music.)」という比喩表現の疑問形なら文法的にはあり得ますが、通常「好きか?」と聞くなら「Do」です。
- 【NG】 Do you happy?
- 【OK】 Are you happy?(幸せですか?)
「happy(幸せな)」は形容詞です。動作ではないので「Do」は使いません。「happy」という状態かどうかを聞くので「Are」が正解です。
【応用編】似ている言葉「is」「am」「does」との違いは?
「are」の仲間が「is」「am」、「do」の仲間が「does」です。使い分けの基準は主語が誰かだけです。「I」なら「am」、「You/複数」なら「are/do」、「三人称単数(He/She/It)」なら「is/does」を使います。
「are」と「do」の違いがわかったところで、それぞれの変化形についても押さえておくと、英語の理解がさらに深まりますよ。
be動詞の使い分け(am / are / is)
すべて「=(イコール)」の役割ですが、主語によって形が変わります。
- am:主語が「I(私)」の時だけ使います。
(例:I am a student.) - are:主語が「You(あなた)」または「複数(We, Theyなど)」の時に使います。
(例:They are teachers.) - is:主語が「I」と「You」以外の単数(He, She, It, Tomなど)の時に使います。
(例:She is kind.)
一般動詞の助動詞の使い分け(do / does)
こちらも主語によって使い分けます。
- do:主語が「I」「You」または「複数」の時に使います。
(例:Do you play soccer?) - does:主語が「三人称単数(He, She, Itなど)」の時に使います。
(例:Does he play soccer?)
基本的なルールは「are」と「do」の関係と同じで、主語に合わせて形を変えるだけですね。
「are」と「do」の違いを学術的に解説
言語学的には、「are」などのbe動詞は「コピュラ(繋辞)」と呼ばれ、主語と述語を結びつける機能を持ちます。一方、「do」は一般動詞の疑問文や否定文を形成する際に挿入される「Do-support(Do挿入)」という統語的なメカニズムを担っています。
少し専門的な話になりますが、言語学の視点から見ると、この二つの違いは「文を作るメカニズム」の違いとして説明されます。
「are(be動詞)」は、専門的には「コピュラ(Copula)」と呼ばれます。
これはラテン語で「連結」を意味する言葉で、主語(Subject)と、その性質や状態を表す補語(Complement)を「つなぐ」役割そのものを指します。意味的な「動作」は持たず、文法的な「接着剤」のような機能です。
一方、疑問文や否定文で使われる「do」は、「Do-support(Do挿入)」と呼ばれる現象です。
英語の一般動詞(play, eatなど)は、自分自身で疑問や否定の形を作れないという特徴があります(be動詞は自分で作れます)。そのため、文法的に疑問や否定の形を整えるために、意味を持たない機能語としての「do」を助っ人として挿入するのです。
このように、機能的な役割が根本的に異なっていることを理解すると、なぜ「Are you play?」が間違いで、「Do you play?」が正しいのかが、構造的に見えてくるでしょう。詳しくは国立国語研究所の研究資料などでも、言語の構造に関する興味深い知見が得られます。
僕が「Are you…?」と言って赤面した留学当初の体験談
僕も英語学習を始めたばかりの頃、この「are」と「do」で恥ずかしい思いをしたことがあるんです。
大学生の夏休み、初めての語学留学でオーストラリアへ行きました。ホストファミリーの家に着いた初日の夜、夕食後にホストマザーがキッチンで何か作業をしていました。僕はコミュニケーションを取ろうと、必死に頭の中で英文を組み立てました。
「料理をする」は「cook」だから…と考え、自信満々にこう話しかけたのです。
「Excuse me, Are you cook?」
すると、ホストマザーは一瞬きょとんとした顔をして、それから優しく笑って言いました。
「No, I am not a cook. I am just making tomorrow’s lunch. But yes, I do cook every day.」
その時はなぜ笑われたのか分かりませんでしたが、後で部屋に戻って辞書を引き、顔がカッと熱くなりました。
「Are you cook?」だと、「cook」を名詞(料理人)として扱ってしまい、「あなたは(職業としての)料理人ですか?」と聞いてしまっていたのです。あるいは文法的に破綻した英語として聞こえたでしょう。
僕は「(今)料理をしているのですか?」と聞きたかったので、「Are you cooking?」と言うべきでした。もしくは、普段の習慣として「料理をしますか?」と聞くなら「Do you cook?」が正解でした。
この経験から、「Are」は「イコール(職業や状態)」を表し、「Do」は「する(動作)」を聞くものだということを、身をもって痛感しました。
それ以来、話す前に「これは動きの話かな?状態の話かな?」と一瞬考えるクセがついたように思います。
「are」と「do」に関するよくある質問
「Are you play tennis?」はなぜ間違いなのですか?
1つの文に動詞は1つしか使えないという原則があるからです。「are(be動詞)」と「play(一般動詞)」が並ぶことはありません。「play」という動作について聞きたい場合は、be動詞を使わず、助動詞の「Do」を使って「Do you play tennis?」とするのが正解です。
「Do you busy?」と言ってはいけない理由は?
「busy(忙しい)」は動詞ではなく形容詞だからです。「Do」は動詞を助ける言葉なので、動詞がない文では使えません。状態を表す形容詞を使う場合は、be動詞の「Are」を使って「Are you busy?」とします。
「What do you do?」の意味は?
これは「職業は何ですか?」という意味の定型表現です。直訳すると「あなたは(普段)何をしていますか?」となりますが、習慣的に行っていること、つまり仕事を尋ねるフレーズとして定着しています。
「are」と「do」の違いのまとめ
「are」と「do」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 後ろに来る言葉で見分ける:名詞・形容詞なら「are」、動詞なら「do」。
- イメージの違い:「are」は「状態・イコール」、「do」は「動作・行為」。
- 主語による変化:基本は「I am」「You are」「He is」。「I/You do」「He does」。
言葉の背景にある「静」と「動」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。
これからは自信を持って、的確な動詞を選んでいきましょう。英語の言葉選びについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。
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