「around」と「near」の違いとは?周辺一帯か距離的な近さか

「around」と「near」、どちらも「近く」と訳されることが多いですが、その空間的な捉え方には決定的な違いがあります。

実は、ある地点を取り囲むような「周辺一帯」を指すのがaround、ある地点からの「距離の近さ」を指すのがnearという、エリアか距離かという違いがあるのです。

この記事を読めば、待ち合わせ場所の指定や道案内、数値を伝える際にも、より正確なニュアンスで相手に意図を伝えられるようになります。

それでは、まず最も重要な違いを一覧表で見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「around」と「near」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、対象を取り囲むような漠然とした範囲なら「around」、対象に接近している距離感なら「near」を使います。「around」は「~のあたり(全方位)」、「near」は「~の近く(直線的)」と覚えると区別しやすくなります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。

項目aroundnear
中心的な意味~の周りに、~のあちこちに~の近くに、~に接近して
イメージ円、囲む、全方位点と点、距離が短い
日本語訳の目安~のあたり、およそ~~の近く、~に近い
数値での意味約、前後(プラスマイナス)もうすぐ、~に近い(届かない)
動きの有無動き回るニュアンスを含むことが多い静的な位置関係が多い

一番大切なポイントは、「around」は“どこか特定できないがその周辺”という漠然としたエリア感を持つのに対し、「near」は“対象物との距離が短い”という物理的な近さに焦点があることです。

なぜ違う?言葉の成り立ち(コアイメージ)からニュアンスを掴む

【要点】

「around」は「a(〜に)」+「round(丸い)」で、円を描くように取り囲むイメージ。「near」は古英語の「nēah(近い)」の比較級から派生し、対象にぐっと近づく「接近」のイメージを持っています。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、言葉の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「around」のイメージ:円を描く「周り」

「around」には「round(丸い)」という言葉が含まれていますね。

コアイメージは「中心を取り囲む円」です。

そこから「~の周りに」「~のあちこちに」という意味が生まれました。

特定の場所を指すのではなく、その対象物を中心とした「ぼんやりとした範囲」や「全方位的な動き」を表すときに使われます。

「near」のイメージ:対象への「接近」

一方、「near」のコアイメージは「対象に近づいている」ことです。

これは物理的な距離だけでなく、時間的な距離(もうすぐ)や、数値的な距離(惜しい)にも応用されます。

「around」のような「囲む」イメージはなく、単に「ここからそこまでの距離が短い」という事実を伝えます。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「around the station」は駅周辺のエリア一帯を指し、「near the station」は駅から距離的に近い場所を指します。数値を表す際、「around 100」は100前後、「near 100」は100に近い(まだ100には達していない)ニュアンスになります。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

場所、時間・数値、動きのシーン別で使い分けを見ていきましょう。

場所での使い分け

待ち合わせや場所の説明でよく使います。

【OK例文:around(周辺エリア)】

  • Let’s meet around the station.
    (駅のあたり(周辺のどこか)で会おう。)
  • There are many cafes around here.
    (この辺り(一帯)にはカフェがたくさんある。)
  • The children were running around the tree.
    (子供たちは木の周りを(ぐるぐると)走っていた。)

【OK例文:near(距離的な近さ)】

  • My house is near the station.
    (私の家は駅の近くです。)
  • Is there a convenience store near here?
    (この近くにコンビニはありますか?)
  • Don’t go near the dog.
    (その犬のそばに寄るな。)

時間・数値での使い分け

数字に使われるときも、ニュアンスが異なります。

  • I’ll be there around 5 pm.
    (午後5時ごろ(5時の前後)に着くよ。)
  • It’s getting near 5 pm.
    (もうすぐ(5時に近づいて)5時になるね。)

「around 100」は98かもしれませんし102かもしれません。「near 100」は98や99など、100に限りなく近い(まだ100ではない)状態を指すことが多いです。

動きのニュアンス

  • We walked around the park.
    (私たちは公園を歩き回った(散策した)。)
  • We walked near the park.
    (私たちは公園の近くを(公園には入らず)歩いた。)

【応用編】似ている言葉「close to」「nearby」との違いは?

【要点】

「close to」は「near」よりもさらに距離が近い「至近距離」を表します。「nearby」は形容詞や副詞として使われ、「すぐそこの」「近隣の」という意味で、具体的な場所を言わずに「近くに」と言いたいときに便利です。

「around」や「near」と似た言葉に「close to」や「nearby」があります。

これもセットで覚えておくと、距離感の表現が豊かになりますよ。

「close to」:すぐそば、至近距離

「near」よりもさらに近い、接触しそうなくらい近いニュアンスがあります。

また、心理的な距離(親しい)を表すときにもよく使われます。

  • He sat close to me.
    (彼は私のすぐそばに座った。)
  • We are very close friends.
    (私たちはとても親しい友達だ。)

「nearby」:すぐそこの、近くに(副詞・形容詞)

「near」と似ていますが、「nearby」は「near here」のように場所を特定せずに単独で使えるのが特徴です。

  • Does he live nearby?
    (彼はすぐ近くに住んでるの?)
  • We ate at a nearby restaurant.
    (私たちは近所のレストランで食事をした。)

「around」と「near」の違いを文法的に解説

【要点】

「around」と「near」はどちらも前置詞として使えますが、「near」は形容詞や副詞としても使われます。「near」は比較級(nearer)や最上級(nearest)に変化できますが、「around」には比較変化がありません。

ここでは少し専門的な視点から、文法的な使い方の違いを解説します。

品詞の違いと変化

【around】

  • 前置詞:around the corner(角を曲がったところに)
  • 副詞:turn around(振り向く)、look around(見回す)
  • ※比較級・最上級はありません。

【near】

  • 前置詞:near the station(駅の近くに)
  • 形容詞:the near future(近い将来)
  • 副詞:come near(近づく)
  • 動詞:The ship neared the port.(船は港に近づいた)
  • ※比較変化します:near – nearer – nearest

「Where is the nearest station?(一番近い駅はどこですか?)」のように、最上級で使う場合は必ず「near(nearest)」を使います。「aroundest」とは言いません。

「around」と「near」に関する失敗体験談

僕も海外で道を聞かれたとき、この二つのニュアンスの違いで相手を混乱させてしまったことがあります。

街中で外国人観光客に「Is there a post office near here?(この近くに郵便局はありますか?)」と聞かれました。

僕は、この辺り一帯を探せばどこかにあるだろうと思い、親切心でこう答えました。

「Yes, it’s around here.」

相手は「Oh, great! Where exactly?(おぉ、よかった!正確にはどこ?)」と聞いてきましたが、僕は正確な場所を知らず、ただ「このエリアのどこかにあるはず」という意味で言っただけでした。

「around here」と言うと、「この辺り(すぐそこ)にある」というニュアンスで伝わってしまい、相手は「僕が場所を知っている」と思ってしまったんですね。

場所がはっきりわからないなら、「I think there is one around this area, but I’m not sure exactly where.(この辺りにあると思うけど、正確な場所はわからない)」と補足するか、単に「somewhere(どこかに)」を使うべきでした。

逆に、特定の場所を知っていて「すぐ近くだよ」と言いたいなら、「It’s near here.」や「It’s nearby.」と言う方が、距離的な近さを明確に伝えられたはずです。

この経験から、「漠然としたエリア(around)」なのか「距離的な近さ(near)」なのかを意識して使い分けることの重要性を痛感しました。

「around」と「near」に関するよくある質問

「around here」と「near here」の違いは?

「around here」は「この辺り一帯」というエリアを指し、「この辺のどこか」という漠然としたニュアンスを含みます。「near here」は「ここから近い場所」という距離感を指し、特定の場所が近くにあることを示唆する場合が多いです。漠然と「この辺に住んでる」と言うなら「I live around here.」、具体的な場所との距離を言うなら「I live near here.」が自然です。

「round」と「around」の違いは?

基本的には同じ意味で使われますが、「round」はイギリス英語で好まれ、「around」はアメリカ英語で好まれる傾向があります。ただし、「round」は形容詞(丸い)としても使われるのに対し、「around」は主に前置詞や副詞として使われます。「turn round/around」などはどちらも使えます。

時間は「about」と「around」どちらを使うべき?

どちらも「およそ、約」という意味で使えますが、「around」の方が「その時間の前後(プラスマイナス)」という円のイメージからくる「幅」のニュアンスが少し強いです。「about」は単に「約」という数値的な概算を指すことが多く、ビジネスなど少しフォーマルな場では「approximately」が使われます。日常会話では「around 5 pm」も「about 5 pm」もほぼ同じように使われます。

「around」と「near」の違いのまとめ

「around」と「near」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本はイメージの違い:「around」は円・周辺エリア、「near」は接近・距離。
  2. 使い分けのコツ:漠然とした「あたり」ならaround、物理的な「近く」ならnear。
  3. 数値表現:およそ(前後)ならaround、もうすぐ(接近)ならnear。

待ち合わせ場所を「around the station」にするか「near the station」にするかで、相手が探す範囲が変わってくるかもしれません。

これからは自信を持って、状況に合わせた「近く」を使い分けていきましょう。

さらに日常英会話で役立つ言葉の使い分けを知りたい方は、日常会話の外来語の違いまとめの記事もぜひ参考にしてください。

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