「as」と「when」、どちらも「~するとき」と訳せるけれど、ネイティブは明確な意図を持って使い分けていることをご存知ですか?
学校では同じような意味として習ったかもしれませんが、実は「同時進行のライブ感」か「単なる時点の事実」かという、決定的なニュアンスの違いが存在します。
この記事を読めば、二つの言葉が持つ本来のイメージを掴むことができ、ビジネスメールや英会話で、もう迷わず自信を持って使い分けられるようになりますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「as」と「when」の最も重要な違い
「as」は動作の同時進行や変化に焦点を当て、「〜しながら」「〜につれて」というニュアンスを持ちます。一方、「when」は特定の時点や順序に焦点を当て、「〜したとき」という事実を淡々と伝えます。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | as(アズ) | when(ウェン) |
|---|---|---|
| 中心的なイメージ | 同時・並行・イコール (〜しながら、〜と同じく) | 時点・切り替わり (〜したとき、その瞬間に) |
| 時間の感覚 | 流れ、推移、変化 (線的な動き) | 点、瞬間、期間 (カレンダーや時計的な時) |
| よくある訳 | 〜しながら 〜するにつれて 〜のように | 〜するとき 〜したとき いつ〜か |
| 使われる場面 | 2つのことが同時に進行している時 徐々に変化している時 | ある出来事が起きた時 出来事の順序(Aの後にB)を示す時 |
このように、「as」はAとBが同時に起こっているライブ感があるのに対し、「when」は単に時間を特定しているという点が最大の違いです。
なぜ違う?語源から「as」と「when」のイメージを掴む
「as」の語源は「also(全くそのように)」であり、二つの事柄をイコール(=)で結ぶイメージがあります。一方、「when」の語源は「いつ」を意味する言葉で、単純に時間を指し示す役割を持っています。
言葉の成り立ちを知ると、ニュアンスの違いが驚くほどクリアになります。
まず「as」ですが、この言葉の語源は「all + so」、つまり「also(~もまた、同様に)」と同じルーツを持っています。古英語では「alswa(全くそのように)」という形で使われていました。つまり、「as」の根底には「A=B(AとBは同じ)」という感覚があるのです。
この「イコール」の感覚が、時を表す場合にも適用されます。「私が部屋に入った」=「電話が鳴った」というように、二つの動作がピタリと重なっている、つまり「同時進行」しているニュアンスを生むわけですね。
一方で「when」は、古英語の「hwænne」に由来し、単純に「いつ」「どの時」を意味します。こちらは「A=B」のような重なり合いよりも、カレンダーや時計の針のように、「その時」を客観的に指差すイメージです。
具体的な例文で「as」と「when」の使い方をマスターする
「as」は変化や同時動作(〜するにつれて、〜しながら)の表現に適しており、「when」は出来事の順序や一点(〜したとき、子供の頃)を表すのに適しています。
では、実際のシーンを想像しながら、使い方の違いを見ていきましょう。
1. 「as」を使うべきシーン:同時進行と変化
「as」は、二つの出来事が「同時に」進行している場合や、状況が「徐々に変化」している場合に使います。
- As I walked down the street, I sang a song.
(道を歩きながら、私は歌を歌った。)
※「歩く」と「歌う」が同時に行われているライブ感があります。 - As it got darker, the wind became colder.
(暗くなるにつれて、風が冷たくなってきた。)
※「暗くなる」という変化とイコールで「寒くなる」という変化が起きています。これを「when」と言うと少し不自然です。
2. 「when」を使うべきシーン:順序と特定
「when」は、出来事の前後関係(順序)をはっきりさせたい時や、過去の特定の時点を話す時に使います。
- When I arrived at the station, I called him.
(駅に着いたとき、彼に電話した。)
※「着く」→「電話する」という順序があります。「着きながら電話した」わけではありません。 - When I was a child, I lived in Tokyo.
(子供の頃、東京に住んでいた。)
※「子供の頃」という特定の期間(時点)を指しています。
3. NG例:ニュアンスがおかしくなるケース
使い分けを間違えると、相手に奇妙な印象を与えてしまうことがあります。
- × As I arrived at the station, I called him.
(駅に着きつつあるその瞬間に電話した?)
※「as」を使うと、到着する動作の最中に電話をかけたことになり、かなり器用で忙しない印象を与えてしまいます。完了した動作の後に次の動作が来るなら「when」が正解です。
【応用編】似ている言葉「while」との違いは?
「while」は「期間」に焦点を当て、「〜している間ずっと」という継続的な時間の幅を強調します。また、「一方では」という対比の意味でもよく使われます。
「as」と「when」に加えて、もう一つ迷いやすいのが「while」ですよね。
「while」の最大の特徴は、「線(期間)」のイメージが強いことです。
- I fell asleep while I was studying.
(勉強している間に、寝てしまった。)
※勉強という「長い期間」の途中で、というニュアンスです。
比較すると以下のようになります。
- as:同時進行(〜しながら)。変化に寄り添う。
- when:時点(〜した時)。点、または単なる時。
- while:期間(〜している間)。時間の幅を強調。
「while」は「Aしている間、Bはずっと〜していた」のように、長い動作同士を並べる時にも好んで使われます。
「as」と「when」の違いを文法的な視点から解説
文法的には、「as」は従属接続詞として主節と従属節の密接な関連性(同時性や比例)を示します。対して「when」は、より汎用的な時を表す接続詞であり、文脈に依存せず客観的な時を記述します。
少し専門的な視点から解説すると、「as」と「when」はどちらも「時を表す副詞節」を作りますが、その機能には差があります。
「as」は、主節(メインの文)と従属節(asの文)の内容が、切っても切り離せないほど密接に関わっていることを示唆します。これは前述の「also(イコール)」という語源の通り、二つの事象が並列かつ同等に扱われているためです。そのため、「〜なので(理由)」や「〜のように(様態)」といった意味にも派生しやすいのです。
一方、「when」は最も一般的で汎用性が高い接続詞です。文脈的な「重なり」を強調する意図はなく、単に「タイムライン上のどの位置か」をマーキングする機能が主となります。「when」は約3倍も頻繁に使われるというデータもあり、日常会話では迷ったら「when」を使っておけば文法的な間違いにはなりにくい、とも言えます。
ただし、ビジネス文書などで「プロジェクトの進行に伴って(比例して)リスクが増大した」と書きたい場合に「When」を使うと、単なる「時」の記述になり、「進行したからこそ(比例して)」というニュアンスが弱まってしまう点には注意が必要です。
僕が「as」と「when」のニュアンスを取り違えた体験談
僕も昔、この「as」と「when」の使い分けで、ちょっとした誤解を生んでしまったことがあります。
海外のクライアントとプロジェクトを進めていた時のことです。プロジェクトが佳境に入り、状況が刻一刻と変化している最中でした。僕は進捗報告メールの最後に、カッコつけてこう書きました。
「Please let me know as you finish checking the documents.」(書類の確認が終わるにつれて、知らせてください。)
僕の意図としては「確認が終わったら(すぐに)連絡してね」というつもりでした。つまり、単純な完了のタイミングとしての「when」を使いたかったのです。しかし、「as」を使ってしまったことで、「書類を一枚チェックするごとに、その都度リアルタイムで連絡してくれ」というような、非常に忙しなく、相手を監視しているようなニュアンスになってしまったのです。
クライアントからは冗談交じりに「一枚ごとにメールしてたら、今日中に仕事が終わらないよ(笑)」と返信が来ました。
この時、「as」には同時進行のライブ感があるからこそ、完了した時点を指すには不向きなんだと痛感しました。それ以来、何かが完了した後のアクションをお願いする時は、迷わず「when」を使うようにしています。
「as」と「when」に関するよくある質問
最後に、「as」と「when」についてよく聞かれる疑問に、Q&A形式でお答えします。
Q. 迷ったらどっちを使えばいいですか?
- A. 迷ったら「when」を使うのが無難ですね。日常会話では「when」が圧倒的に多く使われますし、意味も広く通じます。「as」は同時性を特に強調したい時に取っておきましょう。
Q. 「as」を「〜したとき」と訳してはいけないのですか?
- A. 訳しても間違いではありませんが、心の中では「〜すると同時に」という感覚を持っておくのがベストです。日本語訳に頼りすぎると、完了した動作(〜した後に)の場面で誤用してしまう原因になります。
Q. 過去形と進行形、どっちと相性がいいの?
- A. 「as」や「while」は動作の継続を表すので進行形と相性が良いです。一方、「when」は一瞬の出来事を表す過去形(単純形)とも、進行形とも組み合わせられます。
「as」と「when」の違いのまとめ
いかがでしたか?「as」と「when」は似ているようで、時間の捉え方に大きな違いがありました。
- as:同時進行、変化、イコール。「〜しながら」「〜につれて」。ライブ感がある。
- when:時点、順序。「〜したとき」。単に時を示す事実。
- while:期間。「〜している間」。時間の幅を強調する。
このイメージさえ持っておけば、状況の変化を伝えたいときは「as」、手順やタイミングを伝えたいときは「when」と、自然に使い分けられるはずです。
英語には、こうした似ているけれどニュアンスが異なる言葉がたくさんあります。他の英語由来語の違いについても、ぜひ以下の記事でチェックしてみてくださいね。
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