「beside」と「besides」の違い、それは「場所」か「追加」かという点に尽きます。
なぜなら、「beside」は物理的な位置を表すのに対し、「besides」は話題や要素を付け加える働きをするからです。
この記事を読めば、「s」の有無による決定的な意味の違いを理解し、英会話やメールで迷うことなく正しい表現を選べるようになります。
それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「beside」と「besides」の最も重要な違い
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | beside | besides |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | ~のそばに、~の横に | ~に加えて、その上、~以外に |
| イメージ | 場所・位置(横に並ぶ) | 追加・プラス(積み重なる) |
| 品詞 | 前置詞 | 前置詞、副詞 |
| 覚え方 | side(側面)にいる | s(複数)が付いて増える |
一番大切なポイントは、「s」が付いている「besides」は、情報やモノが「プラス」されると覚えることです。
「beside」は「be(存在)+ side(横)」で、文字通り「横にいる」ことを指します。
たった一文字の違いですが、文脈が大きく変わってしまうため注意が必要です。
なぜ違う?単語の成り立ち(語源)からイメージを掴む
なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、語源や成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「beside」のイメージ:横に存在すること
「beside」は、「by(そばに)」と「side(側)」が結合してできた言葉です。
文字通り、「~の側に」という意味を持ちます。
物理的に誰かや何かの「隣」に位置している状態をイメージしてください。
そこから派生して、「beside the point(的を外れて=要点の横にある)」といった慣用句も生まれています。
「besides」のイメージ:さらに付け加えること
一方、「besides」につく「s」は、古英語における副詞を作るための語尾に由来します。
現代英語の感覚で覚えるなら、名詞の複数形につく「s」と同じように、「何かが増える(プラスされる)」というイメージを持つと分かりやすいでしょう。
「これに加えて、あれも(plus)」という感覚です。
元にあるものに対して、さらに情報を積み上げたり、別の選択肢を提示したりする際に使われます。
具体的な例文で使い方をマスターする
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
日常会話やビジネスシーンでの使い分けを見ていきましょう。
「beside」の例文:位置関係を表す
物理的な位置を示す場合に使います。
【OK例文】
- Come and sit beside me.
(来て、私のそばに座りなさい。) - There is a small table beside the bed.
(ベッドの横に小さなテーブルがある。) - He looked small beside his father.
(父親の隣に並ぶと、彼は小さく見えた。)
「besides」の例文:追加・補足を表す
情報や要素を追加する場合に使います。
【OK例文】
- Besides English, she speaks Spanish and French.
(英語に加えて、彼女はスペイン語とフランス語も話す。) - Do you have any other questions besides this one?
(これ以外に何か質問はありますか?) - I don’t want to go. Besides, I have no money.
(行きたくないんだ。それに、お金もないし。)※副詞としての用法
これはNG!間違えやすい使い方
ネイティブも時折混同することがありますが、学習者としては明確に使い分けたいポイントです。
- 【NG】Sit besides me.
(私のついでに座って? 私に加えて座って?)
「besides」を使うと、「私という人間に加えて、あなたも座る(存在が増える)」のような奇妙なニュアンスになり、物理的な「隣」という意味が伝わりにくくなります。
- 【NG】Beside apple, I like orange.
(リンゴの横に、私はオレンジが好きです。)
「~に加えて」と言いたいのに「beside」を使うと、「リンゴの隣という場所で、オレンジが好きだ」という意味不明な文になってしまいます。
【応用編】似ている言葉「except」との違いは?
「besides」とよく比較されるのが「except」です。
どちらも「~以外」と訳されることがありますが、その中身は「プラス」か「マイナス」かで真逆になります。
「besides」=プラス(含有)
「Besides A, …」は、「Aに加えて(Aも含む)」という意味です。
- Everyone went there besides me.
(私に加えてみんなも行った。=私も行ったし、みんなも行った。)
※文脈によっては「私以外のみんな」とも取れますが、基本は「追加」のニュアンスです。
「except」=マイナス(除外)
「Except A, …」は、「Aを除いて(Aは含まない)」という意味です。
- Everyone went there except me.
(私を除いてみんな行った。=私は行かなかった。)
「besides(プラス)」と「except(マイナス)」の違いは、事実関係を誤解させる原因になるので注意が必要です。
「beside」と「besides」の違いを文法的に解説
ここでは少し専門的に、品詞と用法の観点から解説します。
英語学習において、品詞の理解は正確な文を作るための土台です。
「beside」は前置詞のみ
「beside」は基本的に前置詞としてのみ機能します。
したがって、必ず後ろに名詞(または代名詞・動名詞)を伴い、「beside + 名詞」の形で使われます。
文頭や文末で単独で副詞として使うことはありません。
「besides」は前置詞と副詞
「besides」は前置詞としても使えますが、接続副詞としても頻繁に使われます。
副詞として使う場合は、文頭で「Besides, …(その上、さらに)」と文全体を修飾したり、文末につけて「… besides.」としたりすることができます。
この「副詞としての用法があるかないか」も、両者の大きな違いの一つです。
文法的な詳細は、文化庁の日本語教育関連資料などで言語構造の比較を学ぶ際にも役立つ視点です。
ネイティブとの会話で「Besides me」と言って混乱させた話
僕がアメリカで働いていた頃、オフィスの席替えがありました。
同僚のジョンに「僕の席はどこ?」と聞かれ、僕は自分の隣の席を指さしてこう言いました。
「Your seat is besides me.」
僕は「私の隣だよ」と言ったつもりでした。しかし、ジョンは一瞬キョトンとして、「Okay, so who else is me?(オーケー、じゃあ僕以外に誰が『僕』なの?)」と冗談めかして笑いました。
当時の僕は意味が分からずポカンとしていましたが、後で気づいて顔から火が出そうになりました。
「besides me」と言ってしまったことで、「私という人間に加えて(さらに)」あるいは「私以外に」というニュアンスになり、「席の場所」ではなく「存在の追加」を語ってしまっていたのです。
正しくは「beside me(私の横)」と言うべきでした。
たった一つの「s」があるかないかで、物理的な場所の話をしているのか、論理的な追加の話をしているのかがガラリと変わってしまう。
この失敗を通じて、僕は「s」は「プラス(追加)」の「s」だと強く心に刻むようになりました。
それ以来、場所を指すときは意識して「s」を付けないように気をつけています。
「beside」と「besides」に関するよくある質問
「beside the point」はどういう意味ですか?
「的を外れている」「要点からズレている」という意味のイディオムです。「point(要点)」の「beside(横)」にある、つまり真ん中(核心)を突いていないというイメージです。議論の中で「それは話が別だ」「それは関係ない」と指摘する際によく使われます。
「Besides」を文頭で使うと失礼になりますか?
失礼ではありませんが、カジュアルな響きがあります。「Besides, …」は「それにね、」「ていうか、」のように会話の勢いで理由を追加するニュアンスです。フォーマルなビジネス文書や論文では、「Moreover,」「Furthermore,」「In addition,」などを使う方が好まれる場合があります。
「beside」に「~に比べて」という意味はありますか?
はい、あります。「Beside her, I feel clumsy.(彼女と並ぶと、自分が不器用に思える)」のように、物理的に並ぶことから転じて「~と比較すると」という意味で使われることがあります。この場合も「横に並べて比べる」という原義のイメージが残っています。
「beside」と「besides」の違いのまとめ
「beside」と「besides」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- beside(sなし):「~のそばに」。場所・位置を表す前置詞。
- besides(sあり):「~に加えて」「その上」。追加を表す前置詞・副詞。
- 覚え方:「s」が付く=複数形のように「プラス(追加)」されるイメージ。
- exceptとの違い:「besides」はプラス(含む)、「except」はマイナス(除く)。
「s」ひとつで、物理的な位置の話なのか、情報の追加の話なのかが完全に変わってしまいます。
このイメージさえ掴んでおけば、もう会話やライティングで迷うことはありません。
これからは自信を持って、的確な単語を選んでいきましょう。
さらに詳しい英語の使い分けについては、英語由来語の違いまとめの記事もぜひ参考にしてください。
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