「チャート図」と「フロー図」、どちらを使えばいいか迷った経験はありませんか?
実はこの2つの言葉、「全体像を示すか」「手順や流れを示すか」という明確な役割の違いで使い分けるのが基本です。
この記事を読めば、それぞれの言葉の核心的なイメージから具体的な使い分けまでスッキリと理解でき、もう資料作成で迷うことはありません。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「チャート図」と「フロー図」の最も重要な違い
基本的には、データや情報の全体像を視覚化するなら「チャート図」、作業の手順やプロセスの流れを示すなら「フロー図」と覚えるのが簡単です。「フロー図」は「チャート図」の一種ですが、特に「流れ」に特化しているのが特徴ですね。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | チャート図(Chart) | フロー図(Flowchart) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | データや情報の関係性を視覚的にまとめた図の総称 | プロセスや作業の手順を矢印と記号で順序立てて示した図 |
| 目的 | 全体像の把握、比較、分析 | 手順の理解、分岐の確認、業務の標準化 |
| 具体例 | 組織図、ガントチャート、円グラフ、棒グラフなど | 業務フロー図、アルゴリズム図、システム設計図など |
| 対象 | 静的なデータや状態、構成要素 | 動的なプロセス、時間の経過、条件分岐 |
表を見るとわかるように、チャート図は非常に広い意味を持つ言葉です。
一方でフロー図は、その中でも「時間の流れ」や「作業の順序」に特化した図解を指すのですね。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「チャート」の語源は「海図」や「紙」であり、情報の全体を一覧できるものを指します。対して「フロー」は「流れる」という意味で、物事の進行やプロセスそのものを示す言葉です。
言葉の語源を知ることで、より深いレベルでニュアンスを理解できます。
それぞれの成り立ちを見ていきましょう。
チャート図の語源と意味
「チャート(chart)」は、ラテン語で「紙」を意味する「charta(カルタ)」が語源だと言われています。
かつては航海で使う「海図」を指す言葉として使われていました。
海図は、現在地や目的地、障害物などの全体像を一枚の紙で把握するためのものですよね。
そこから転じて、現在では複雑な情報やデータを整理し、全体をひと目で把握できるようにした図表全般を「チャート図」と呼ぶようになりました。
フロー図の語源と意味
「フロー(flow)」は、英語で「流れる」「流れ」を意味します。
水が上流から下流へ流れるように、物事がどう進んでいくかを示す言葉ですね。
これに図(chart)を組み合わせた「フローチャート(flowchart)」を日本語にしたのが「フロー図」です。
つまり、フロー図とは「流れを可視化した図」のこと。
始まりから終わりまでの道筋や、途中の分かれ道(条件分岐)を説明するのに特化しているのです。
具体的な例文で使い方をマスターする
「チャート図」はデータの比較や構成の提示に使われ、「フロー図」は業務手順やマニュアルの作成時に使われます。目的に合わせて使い分けることが重要です。
ここからは、実際のビジネスシーンを想定した例文を見ていきましょう。
具体的な状況をイメージしながら読んでみてください。
ビジネスシーンでの「チャート図」の使い方
まずは「チャート図」の例文です。
データや組織の全体像を伝えたい場面で活用されます。
- 「新プロジェクトの体制を明確にするため、メンバーの役割分担をチャート図にまとめました。」
- 「四半期の売上推移を比較できるよう、プレゼン資料にチャート図を挿入しておいてください。」
- 「このガントチャートは、スケジュールの全体像を把握するのに最適なチャート図だね。」
このように、静的な構造やデータの関係性を示す際に使われますね。
ビジネスシーンでの「フロー図」の使い方
次に「フロー図」の例文です。
手順やプロセスを説明したい場面でよく使われます。
- 「お客様からクレームが入った際の対応手順を、分岐を含めたフロー図でマニュアル化しましょう。」
- 「システム開発の前に、データ処理のアルゴリズムをフロー図に書き起こしてチームで共有します。」
- 「新しい経費精算のプロセスがわかりにくいので、申請から承認までのフロー図を作ってもらえますか?」
「まずこれをして、次にどうする」という動的な動きがある場合はフロー図の出番です。
よくあるNGな使い方に注意
混同しやすい言葉だからこそ、誤った使い方も散見されます。
- NG:「売上の割合を円グラフのフロー図で表しました。」
- OK:「売上の割合を円グラフのチャート図で表しました。」
円グラフには「流れ」が存在しないため、フロー図と呼ぶのは不適切です。
すべてがチャート図という大きな枠組みの中に含まれますが、流れを持たないものをフロー図と呼ぶと、相手に違和感を与えてしまうかもしれません。
【応用編】似ている言葉「ダイアグラム」との違いは?
「ダイアグラム」は、点と線を使って概念や関係性を抽象的に表した図のことです。チャート図の一種と捉えることもできますが、より構造や論理的なつながりの表現に重きを置いた言葉です。
チャート図やフロー図と似た言葉に「ダイアグラム(diagram)」があります。
これもビジネスやITの現場でよく耳にしますよね。
ダイアグラムは、具体的な数値データよりも「概念」や「要素同士の関係性」を幾何学的に表現したものを指します。
例えば、電車の路線図(路線ダイアグラム)やベン図などが代表的です。
広い意味ではチャート図の仲間ですが、「数量の変化」よりも「構造のつながり」に焦点を当てたい場合に好んで使われる傾向があります。
「チャート図」と「フロー図」の違いを専門的に解説
情報デザインの観点から見ると、チャート図は「定量的・構造的データの視覚化」であり、フロー図は「時系列・手続き的プロセスの視覚化」に分類されます。
ここで少し、情報デザインの専門的な視点を取り入れてみましょう。
総務省の統計データに関するガイドラインなどでも、情報を正確に伝えるための図表の使い分けが重視されています。
専門的には、チャート図は「情報をグラフィカルに表現した表現物の総称」と定義されます。
これには、数値を扱うグラフ(Graph)や、関係性を示す図解が含まれます。
一方、フロー図はプロセスモデリングのツールとして位置づけられます。
JIS(日本産業規格)でも「情報処理用流れ図記号」として、フロー図で使う記号の標準規格が定められているほどです。
つまり、フロー図は「誰が見ても同じように作業を再現できる」ことを目指した、極めて実務的・工学的なツールだと言えるでしょう。
「チャート図」と「フロー図」に関する体験談
僕が新人ディレクターだった頃、クライアントへの提案資料を作っていて、この2つの言葉で冷や汗をかいたことがあります。
大規模なWebサイトのリニューアル案件で、僕は「全体のサイト構造」を示す図を徹夜で作り上げました。
そして翌朝、先輩に「ユーザーの導線フロー図が完成しました!」と自信満々に提出したのです。
しかし、資料を見た先輩は首を傾げました。
「これ、ただのサイトマップ(構造を示すチャート図)じゃない?ユーザーがどこから来て、どういう順番でページを遷移して、どこで商品を買うのかっていう『流れ(フロー)』が全く見えないよ」
僕はハッとしました。
僕が作ったのは、単なるページの羅列(チャート図)であり、クライアントが求めていた「ユーザーの体験プロセス(フロー図)」ではなかったのです。
言葉の定義を曖昧にしたまま作業を進めた結果、目的とアウトプットが大きくズレてしまったんですね。
この失敗以来、僕は図解を作る前に「これは状態を示すチャート図か?それとも動きを示すフロー図か?」と自問自答するようになりました。
皆さんも、資料作成の指示を受けたときは、この違いを明確にしておくと手戻りを防げるはずです。
「チャート図」と「フロー図」に関するよくある質問
ここでは、読者の皆様からよく寄せられる疑問をQ&A形式で解消していきます。
フロー図はチャート図に含まれると考えていいですか?
はい、その認識で間違いありません。チャート図は図表全般を指す大きなカテゴリーであり、フロー図(フローチャート)はその中に含まれる一つの種類です。
フロー図を作る際、必ず決まった記号(ひし形など)を使う必要がありますか?
厳密なシステム設計などではJIS規格に沿った記号を使うべきですが、一般的なビジネスの業務フローであれば、長方形と矢印だけでも十分に伝わります。誰が見ても「流れ」が理解できることが最も重要です。
ロジックツリーはチャート図とフロー図、どちらですか?
ロジックツリーは問題の原因や要素を分解していく図解であり、一般的には「チャート図(またはツリー図)」に分類されます。時系列の手順を示しているわけではないからです。
「チャート図」と「フロー図」の違いのまとめ
最後に、ここまでの内容を振り返っておきましょう。
- チャート図:データや構成など、情報の全体像を視覚的にまとめた図の総称(グラフや組織図など)。
- フロー図:作業の手順やプロセスの「流れ」を、順序立てて示した図(チャート図の一種)。
資料作成や業務の効率化において、図解は非常に強力な武器になります。
「状態を見せたい」のか「動きを見せたい」のか。
目的を明確にして最適な図解を選べるようになれば、あなたのプレゼンや説明の説得力は格段にアップするはずです。
ビジネスの現場で飛び交う業界用語や専門用語の違いについては、こちらの業界用語の使い分けまとめでも詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
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