近づく「come」と離れる「go」!視点の移動で決まる違いと使い分け

「come」と「go」の違いを一言で言うなら、話し手や聞き手がいる場所(話題の中心)に「近づく」か、「離れる」かという点に尽きます。

どちらも移動を表す動詞ですが、日本語の「行く/来る」の感覚だけで使い分けると、相手の所へ向かう時に「I’m going(私は去って行きます)」と言ってしまい、誤解を生む原因になります。

この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ「視点」と「方向」のイメージの違いから、ネイティブが自然に使い分けている感覚までスッキリと理解でき、スムーズなコミュニケーションが取れるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「come」と「go」の最も重要な違い

【要点】

基本的には話題の中心(相手や自分の場所)に近づくなら「come」、そこから離れるなら「go」と覚えるのが簡単です。「come」は求心力、「go」は遠心力のイメージです。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目comego
中心的な意味(話題の中心へ)来る、行く(話題の中心から)行く、去る
視点(カメラの位置)目的地(相手の場所など)にある出発地(今の場所)にある
方向のイメージ近づく(接近・到着)離れる(出発・進行)
日本語とのズレ相手の場所へ「行く」時も使う日本語の「行く」とほぼ同じ

一番大切なポイントは、「相手のところへ行く」と言う場合、英語では相手の視点に立って「(あなたの元へ私が)来る=come」と表現するということです。

例えば、呼ばれて「今行くよ!」と言う時は「I’m coming!」となり、「I’m going!」とは言いません。

なぜ違う?単語の成り立ち(コアイメージ)から掴む

【要点】

「come」は視点の中心に向かって「出現する・やってくる」イメージ。「go」は視点の中心から外に向かって「進行する・消えていく」イメージを持つと、相手の場所へ「行く」のに「come」を使う理由が分かります。

なぜこの二つの言葉に視点の違いが生まれるのか、コアイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「come」のイメージ:中心への接近

「come」の根本的なイメージは、「ある視点に向かって移動してくる」ことです。

話し手(私)のところに何かがやってくる場合はもちろんですが、話し手が相手(あなた)の場所に視点を移した場合、その視点に向かって自分自身が移動することも「come」で表します。

つまり、「私とあなたがいる空間(話題の中心)」に近づく動きはすべて「come」なのです。

「go」のイメージ:中心からの離脱

一方、「go」の根本的なイメージは、「ある視点から離れてどこかへ向かう」ことです。

話し手と聞き手がいる「今、ここ」から離れて、別の場所へ移動する動きを表します。

視界から遠ざかっていく、自分の手元から離れていく、という「分離」や「消失」のニュアンスを含んでいます。

「Go away!(あっちへ行け!)」と言うように、自分たちとの距離が開く場合は迷わず「go」ですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

相手の元へ向かう時は「come」、第三の場所へ向かう時は「go」を使います。電話やチャット、パーティーの誘いなどで使い分けが頻出します。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常会話で頻出するパターンを見ていきましょう。

相手の場所へ向かう場合(come)

ここが日本人にとって最大の難関であり、ポイントです。

【OK例文:come】

  • (電話で) I’m coming over to your house now.(今から君の家に行くよ。)
  • (食事に呼ばれて) I’m coming!(今行くー!)
  • May I come with you?(一緒に行ってもいい? ※あなたのそばに近づいていいか)

相手がいる場所がゴールなので、相手の視点に立って「(そっちに)来る」と表現します。

第三の場所へ向かう場合(go)

話し手も聞き手もいない、別の場所へ向かう場合です。

【OK例文:go】

  • I’m going to the library.(図書館に行くよ。)
  • Let’s go to the movies.(映画に行こうよ。)
  • He went back to Japan.(彼は日本へ帰った。)

今の場所から離れるので「go」を使います。

これはNG!間違えやすい使い方

文法的には正しくても、状況にそぐわない使い方を見てみましょう。

  • 【NG】 (上司に呼ばれて) Yes, I’m going.
  • 【OK】 (上司に呼ばれて) Yes, I’m coming.

呼ばれた時に「I’m going.」と言うと、「はい、私は(ここから去ってどこかへ)行きます」という意味になり、「え、どこ行くの? こっちに来なさい」と混乱させてしまいます。

上司の元へ近づくので「coming」が正解です。

【応用編】「come up」と「go down」などの句動詞の違い

【要点】

「come」は出現・発生、「go」は消失・悪化のニュアンスを持つ句動詞が多いです。視覚的な接近・離脱のイメージが抽象的な意味にも応用されています。

「come」と「go」は句動詞(熟語)としても大量に使われます。

コアイメージを応用すると、意味が推測しやすくなりますよ。

comeを使った表現(出現・プラス)

  • come up:近づく、(問題などが)持ち上がる、生じる
    ※話題の中心に「現れる」イメージ。
  • come true:実現する
    ※夢が現実の世界に「やってくる」イメージ。
  • come back:戻ってくる
    ※元の場所に「近づく」イメージ。

goを使った表現(消失・マイナス)

  • go away:立ち去る、なくなる
    ※視界から「消える」イメージ。
  • go bad:腐る、悪くなる
    ※良い状態から離れて「行ってしまう」イメージ。
  • go down:下がる、沈む
    ※視界から消えていくイメージ。

「come」と「go」の違いを文法的な視点から解説

【要点】

言語学では「ダイクシス(直示)」という概念で説明されます。会話の中心点(Deictic Center)がどこにあるかによって動詞が決まります。「come」は中心点への移動、「go」は中心点からの移動です。

感覚だけでなく、文法・言語学的なルールを知っておくと、迷った時の判断基準になります。

専門的な視点から、決定的な違いを解説します。

1. 視点の中心(Deictic Center)

英語では、会話において「視点の中心」が設定されます。

  • 通常は「話し手の場所(Here)」が中心です。
  • ただし、英語特有のルールとして、「聞き手の場所(There)」も視点の中心になり得るのです。

日本語の「行く」は常に「話し手」が起点ですが、英語の「come」は「話し手」または「聞き手」の場所が終点(ターゲット)になります。

2. 心理的な距離感

「come」は心理的な親近感や同調を表すこともあります。

  • Come to my party!(パーティーにおいでよ!)

これは単に物理的な移動だけでなく、「私の領域に参加して」という心理的な招き入れを表しています。

僕が「I’m going」と言って友人を待たせてしまった体験談

僕も留学したての頃、この「come」と「go」の使い分けで大失敗をしたことがあります。

シェアハウスの友人がリビングでピザを注文してくれて、「ピザ届いたよ! 食べる?」と部屋にいる僕に声をかけてくれました。

僕は嬉しくて、「やったー! I’m going!(今行く!)」と叫びました。

しかし、僕はその時どうしても送りたかったメールがあり、それを送信してからリビングに行こうと思っていました。

数分後、リビングに行くと、友人はピザを食べ終えていました。

「あれ? 待っててくれなかったの?」と聞くと、彼はこう言いました。

「だって君、『I’m going(出かける)』って言ったじゃないか。だからてっきり、外出しちゃったのかと思ったよ」

僕は愕然としました。

「I’m going」と言ったことで、僕は「(リビングではなく)どこか外へ行ってしまう」と勘違いされていたのです。

「そこへ行く」と言うためには、「I’m coming!(そっちに近づくよ!)」と言わなければならなかったのです。

たった一語の違いで、熱々のピザを逃してしまった悲しい思い出です。

それ以来、相手の元へ向かう時は、必ず「coming」を使うように徹底しています。

「come」と「go」に関するよくある質問

「I’m coming」と「I’m going」はどう使い分けますか?

相手が待っている場所に向かうなら「I’m coming」、相手に関係なく別の場所へ出発するなら「I’m going」です。例えば、トイレに行く時は席を離れるので「I’m going to the restroom」ですが、トイレの中にいる人に呼ばれて行くなら「I’m coming」になります。

「Go home」と「Come home」の違いは?

「Go home」は職場や学校など、家以外の場所から「家に帰る(離れる)」時に使います。「Come home」は、家で待っている家族視点で「帰ってくる(近づく)」時や、自分が家にいる状態で「(彼が)帰ってきた」と言う時に使います。

「Spring has come」はなぜ「come」ですか?

「春が(私たちのところに)やってきた」というニュアンスだからです。季節や時間が「話題の中心(私たち)」に近づいてくるので「come」を使います。「Spring has gone」なら「春が(去って)行ってしまった」という意味になります。

「come」と「go」の違いのまとめ

「come」と「go」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本ルール:相手や自分の場所に近づくなら「come」、離れるなら「go」。
  2. 日本語との違い:「相手の場所へ行く」は英語では「come(来る)」になる。
  3. コアイメージ:「come」は中心への接近(出現)、「go」は中心からの離脱(消失)。

言葉の背景にある「視点」と「方向」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

英語学習についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

文部科学省の外国語教育に関する資料なども参考にしながら、これからは自信を持って、的確な表現を選んでいきましょう。

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