「compare to」と「compare with」の違い!たとえるか比べるか

「compare A to B」はAをBに「たとえる(なぞらえる)」ときに使い、「compare A with B」はAとBを「比較する(見比べる)」ときに使う表現です。

どちらも日本語訳では「比べる」となりがちですが、英語では「全く違うものを並べて共通点を語る(比喩)」のか、「似たものを並べて違いや詳細を検討する(対照)」のかで使い分けられます。

この記事を読めば、ロマンチックな比喩表現からビジネスでのデータ分析まで、文脈に合わせて適切な前置詞を選べるようになり、意図したニュアンスを正確に伝えられるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「compare to」と「compare with」の最も重要な違い

【要点】

基本的にはたとえ話(比喩)なら「to」、詳細な比較検討なら「with」と覚えるのが簡単です。ただし、現代英語では「比較する」の意味で「to」が使われることも多くなっています。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの表現の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目compare A to Bcompare A with B
中心的な意味AをBにたとえる(なぞらえる)AとBを比較する(見比べる)
目的類似点や共通点を強調する相違点や詳細を検討する
対象の関係異種のもの(例:人生と旅)同種のもの(例:今年の売上と去年)
ニュアンス比喩、文学的、直感分析、論理的、対照

一番大切なポイントは、「たとえる(比喩)」の意味で使えるのは「compare to」だけということですね。

逆に、詳細な違いを分析するような「比較検討」の場面では、伝統的には「with」が好まれますが、現代では「to」も広く使われています。

なぜ違う?前置詞のイメージからニュアンスを掴む

【要点】

「to」は“到達・一致”のイメージで、AをBのところへ持っていき「同じものとみなす」感覚です。一方、「with」は“同伴・並列”のイメージで、AとBを「隣に並べてじっくり見比べる」感覚を持ちます。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、前置詞の持つコアイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「to」のイメージ:AをBに合わせて「一致」させる

前置詞「to」の基本イメージは、「矢印(→)」と「到達点」です。

「compare A to B」と言うとき、Aという対象をBという対象に向けて投げかけ、ピタリと重ね合わせるような感覚があります。

そこから、「AはBのようなものだ」とみなす、つまり「比喩(Metaphor)」の意味が生まれます。

本来は違うもの(人生と旅など)を、あえて「同じ」とみなして到達させるイメージですね。

「with」のイメージ:AとBを並べて「対照」する

一方、前置詞「with」の基本イメージは、「一緒」や「付帯」です。

「compare A with B」と言うとき、AとBをテーブルの上に「一緒に(with)」並べて置くイメージを想像してください。

並べて置く目的は、両者のサイズ、形、質などがどう違うか、あるいはどこが似ているかを「詳細に検査する」ためです。

そこから、似たもの同士(同業他社製品、過去のデータなど)を冷静に見比べる「比較検討」の意味が強くなります。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

詩的な表現や例え話には「to」を使い、ビジネスでのデータ分析や商品のスペック比較には「with」を使います。ただし、「比較する」の意味では「to」を使っても間違いではありません。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

文脈による使い分けを見ていきましょう。

「compare to」(たとえる・比喩)の例文

全く違うジャンルのものを引き合いに出して、共通するイメージを伝える場合です。

【OK例文】

  • Poets often compare death to sleep.
    (詩人はしばしば死を眠りにたとえる。)
  • He compared life to a long journey.
    (彼は人生を長い旅になぞらえた。)
  • Her smile can be compared to a blooming flower.
    (彼女の微笑みは、咲き誇る花にたとえられる。)

ここで「with」を使うと、「死と眠りの違いを分析する」「人生と旅の移動距離を比較する」のような、理屈っぽいニュアンスになってしまい、詩的な情緒が失われます。

「compare with」(比較する・検討)の例文

同じジャンルのものを並べて、優劣や違いを調べる場合です。

【OK例文】

  • Please compare this copy with the original.
    (このコピーを原本と比較(照合)してください。)
  • We compared our sales figures with last month’s.
    (我々は売上数字を先月分と比較検討した。)
  • Compared with Tokyo, London is cooler in summer.
    (東京と比べると、ロンドンは夏涼しい。)

これらのケースでは、現代英語(特にアメリカ英語)では「to」を使ってもOKとされていますが、厳密な「対照・検査」のニュアンスを出したい場合は「with」が好まれます。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じない、あるいは意図と異なる伝わり方をしてしまう例です。

  • 【NG】He compared his wife with the sun.
    (彼は妻を太陽と比較検討した。)
  • 【OK】He compared his wife to the sun.
    (彼は妻を太陽にたとえた。)

妻を太陽に「たとえる(彼女は太陽のようだ)」と言いたいのに、withを使うと「妻と太陽を並べて、大きさや温度の違いを分析した」というシュールな意味になりかねません。

【応用編】文頭の「Compared to/with」はどう使い分ける?

【要点】

文頭で「~と比べると」と言う場合の分詞構文「Compared to ~」と「Compared with ~」は、現代英語ではほぼ同じ意味で使われます。どちらも正解ですが、口語やカジュアルな場面では「Compared to」が優勢です。

日常会話やニュースでよく聞く「Compared to/with ~(~と比べると)」というフレーズ。

これに関しては、厳密な使い分けを気にする必要はあまりありません。

  • Compared to last year, prices have gone up.
    (昨年に比べて、物価が上がった。)
  • Compared with last year, prices have gone up.
    (昨年に比べて、物価が上がった。)

どちらも「比較」の意味で使われており、ネイティブスピーカーも区別なく使っています。

傾向としては、「Compared to」の方が頻度が高く一般的です。

ただし、非常にフォーマルな論文や、厳密な対比を強調したい学術的な文脈では、「Compared with」を選ぶ書き手もいます。

迷ったら、響きの良い方や言い慣れている方を選んでも大きな問題はありません。

「compare to」と「compare with」の違いを現代語法の視点で解説

【要点】

伝統的な文法では「to=比喩」「with=比較」と厳格に区別されてきましたが、現代英語(特にアメリカ英語)では「比較」の意味でも「to」が広く使われるようになり、区別が曖昧になっています。ただし、「比喩」の意味で「with」を使うことは依然として稀です。

言葉は生き物であり、時代とともに変化します。

かつては厳格だった「to」と「with」の境界線も、現代ではかなり緩やかになっています。

オックスフォード英語辞典や主要な語法書によると、以下の傾向が見られます。

  • 「比較する(類似・相違の検討)」の意味:
    「compare with」が伝統的だが、「compare to」も完全に許容され、むしろ一般的になりつつある。
  • 「たとえる(比喩)」の意味:
    依然として「compare to」のみが使われる。「compare with」は不自然とされる。

つまり、「compare to」の守備範囲が広がり、「compare with」の領域(比較検討)までカバーするようになった、ということです。

そのため、現代の実践的な英語としては、「とりあえず迷ったら to を使っておけば間違いはない(ただし比喩の時は to 一択)」という戦略も有効です。

より深く学びたい方は、国立国語研究所などのコーパスデータや、英英辞典の語法解説(Usage Note)を参照すると、実際の使用頻度や傾向が見えてきます。

僕が「compare with」を使って詩的な雰囲気を壊した体験談

僕も留学中、この「compare to/with」の違いで失敗したことがあるんです。

文学の授業で、シェイクスピアの有名なソネット(詩)についてディスカッションしていたときのことです。

「Shall I compare thee to a summer’s day?(君を夏の日にたとえようか?)」という有名な一節があります。

僕は知的な分析をしようと張り切って発言しました。

「Shakespeare compares his lover with a summer’s day here…」

すると、教授がニヤリと笑って言いました。

「With? Are you analyzing the temperature difference between the lover and the sun?(Withかい? 君は恋人と太陽の温度差を分析しているのかい?)」

教室中が笑いに包まれました。

僕は「with」を使うことで、恋人と夏の日を「データとして比較対照する」ような、無機質で理屈っぽいニュアンスを出してしまっていたのです。

詩的な「たとえ(比喩)」の美しさを表現するには、やはり「to」を使わなければなりませんでした。

「compare to」は、異なる二つのものを重ね合わせて、新しいイメージを生み出す魔法の言葉。

一方、「compare with」は、二つのものを並べて冷静に観察する科学者の言葉。

この経験から、僕は文脈にある「情緒(to)」と「論理(with)」を意識して前置詞を選ぶようになりました。

たった一文字の違いで、ロマンスが実験レポートに変わってしまう。英語の面白さと怖さを知った出来事でした。

「compare to」と「compare with」に関するよくある質問

テストで「比較する」の意味で穴埋めが出たらどっち?

学校のテストなどで、文脈が明らかに「データや事実の比較」である場合(例:今年の売上と去年の売上など)、選択肢に「with」があれば「with」を選ぶのが無難かつ伝統的な正解です。ただし、選択肢に「with」がなく「to」がある場合は「to」を選びます。

「Nothing compares to you」はどういう意味?

これはプリンスの名曲のタイトル(シネイド・オコナーのカバーで有名)ですが、「君に匹敵するものは何もない(君は最高だ)」という意味です。ここでは「~に匹敵する、肩を並べる」という意味で自動詞的に使われており、この用法では「to」とも「with」とも結びつきますが、「compares to」が慣用的に定着しています。

「In comparison with」と「In comparison to」の違いは?

これも「compare with/to」と同様、現代ではほぼ同じ意味(~と比較して)で使われますが、「In comparison with」の方が伝統的でフォーマルな響きがあり、「In comparison to」も広く使われています。

「compare to」と「compare with」の違いのまとめ

「compare to」と「compare with」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  • 比喩なら「to」一択:AをBにたとえるときは必ず「compare to」。
  • 比較なら「with」が基本:詳細な比較検討には「compare with」が適している。
  • 現代の傾向:「比較する」の意味でも「compare to」が広く使われている。
  • イメージの違い:toは「重ね合わせる(情緒)」、withは「並べて調べる(論理)」。

言葉の背景にある前置詞のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、的確な前置詞を選んでいきましょう。

さらに英語のニュアンスを深く知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

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