「consist」と「comprise」の違いとは?構成要素を示す正しい英語

英語で「~から成る」「~で構成される」と言いたいとき、「consist」と「comprise」、どちらを使えばいいか迷ったことはありませんか?

似ているようで、実は視点やニュアンスが異なるこれらの言葉。

全体を主語にするか、部分を主語にするかで使い方が変わるのがポイントですが、特に「comprise」の使い方は少し複雑ですよね。この記事を読めば、それぞれの言葉の核心的な意味から具体的な使い分け、そしてよくある間違いまでスッキリ理解でき、英文作成で迷うことはもうありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「consist」と「comprise」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、「consist of A」は「全体が部分Aから成る」、「comprise A」は「全体が部分Aを含む・構成要素とする」と覚えるのが簡単です。「comprise」は「構成する」という意味でも使われ、「comprised of」という形は避けられる傾向にあります。

まず、結論からお伝えしますね。

「consist」と「comprise」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 consist of A comprise A
中心的な意味 全体が部分A(構成要素)から成る 全体が部分A(構成要素)を含む、~で構成される
視点 全体 = 部分A + 部分B + … (部分に焦点) 全体 ⊃ 部分A, 部分B, … (全体に焦点)
使い方 常に「of」を伴う自動詞
(例:The team consists of five members.)
他動詞(目的語に構成要素をとる)
(例:The team comprises five members.)
受動態 不可 「be comprised of A」は使われるが、誤用または非推奨とされることが多い。代わりに「be composed of A」などが使われる。
別の意味 consist in A: (本質などが)Aにある A comprise B: 部分Aが全体Bを構成する
(例:Five members comprise the team.)

一番大切なポイントは、「consist」は常に「of」と一緒に使い、「comprise」は基本的に「of」をつけずに使うという形の違いですね。

そして、「comprise」は「構成する」という意味で、主語と目的語を入れ替えて使うこともできる点が少しややこしいかもしれません。

なぜ違う?言葉の核心的な意味からイメージを掴む

【要点】

「consist」の語源は「共に立つ」で、部分が集まって全体を形成するイメージです。「comprise」の語源は「掴む」で、全体が部分を内部に含んでいるイメージを持つと違いが分かりやすくなります。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、言葉の成り立ち(語源)を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「consist」の核心:「~から成る」という構成要素の列挙

「consist」は、ラテン語の「con-(共に)」と「sistere(立つ)」が語源です。

つまり、「consist」の元々のイメージは、複数の要素が「共に立つ」ことで全体が成り立っているという状態です。

このことから、「全体は(こういう)部分から成っている」と、構成要素を一つひとつ列挙していくようなニュアンスが生まれます。

常に「of」を伴って、「A consists of B, C, and D.(AはBとCとDから成る)」のように使われるのは、この「部分の集合体」というイメージから来ているんですね。

「comprise」の核心:「~を含む、~で構成される」という全体の包含

一方、「comprise」は、ラテン語の「comprehendere(掴む、含む)」が語源です。「comprehend(理解する)」とも関連がありますね。

この語源から、「comprise」には、全体がその構成要素を内部に「掴んで含んでいる」というイメージがあります。

「A comprises B, C, and D.(AはBとCとDを含む・AはBとCとDで構成される)」のように、全体(A)が主語となり、目的語として構成要素(B, C, D)を取るのが基本的な使い方です。

また、この「掴む」イメージから派生して、「部分が全体を構成する」という意味も持ちます。「B, C, and D comprise A.(BとCとDがAを構成する)」のように、主語と目的語を入れ替えて使うこともできるのです。これが少しややこしい点ですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「The committee consists of ten experts.(委員会は10名の専門家から成る)」のように部分を列挙するのが「consist of」。「The book comprises five chapters.(その本は5つの章を含む)」のように全体が部分を包含するのが「comprise」の基本です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

報告書や仕様書など、構成要素を明確に示したい場面でよく使われますね。

【OK例文:consist of】

  • The project team consists of members from three different departments. (プロジェクトチームは3つの異なる部署のメンバーから成る。)
  • Our service package consists of basic maintenance, technical support, and monthly reports. (我々のサービスパッケージは、基本メンテナンス、技術サポート、月次レポートから構成されています。)
  • The presentation will consist of three main parts: market analysis, strategy proposal, and financial forecast. (プレゼンテーションは主に3つの部分、市場分析、戦略提案、財務予測から成ります。)

【OK例文:comprise】

  • The new software suite comprises word processing, spreadsheet, and presentation applications. (新しいソフトウェアスイートは、ワープロ、表計算、プレゼンテーションのアプリケーションを含んでいる。)
  • The board of directors comprises twelve members elected by the shareholders. (取締役会は株主によって選出された12名のメンバーで構成される。)
  • These three elements comprise the core of our business strategy. (これら3つの要素が我々のビジネス戦略の中核を構成している。) ※「構成する」の意味

このように、「consist of」は構成要素をリストアップする感覚、「comprise」は全体が何を含んでいるか、あるいは部分が全体をどう作っているかを示す感覚ですね。

日常会話での使い分け

日常会話でも、考え方は同じです。ただ、「comprise」は少し硬い表現なので、「consist of」や「be made up of」などが使われることが多いかもしれません。

【OK例文:consist of】

  • Breakfast usually consists of toast, eggs, and coffee for me. (僕にとって朝食はたいていトースト、卵、コーヒーから成る。)
  • The band consists of a guitarist, a bassist, a drummer, and a vocalist. (そのバンドはギタリスト、ベーシスト、ドラマー、ボーカリストで構成されている。)

【OK例文:comprise】

  • The United Kingdom comprises England, Scotland, Wales, and Northern Ireland. (連合王国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドを含む。)
  • Fifty states comprise the United States of America. (50の州がアメリカ合衆国を構成している。) ※「構成する」の意味

これはNG!間違えやすい使い方:「comprised of」は避けるべき?

最もよく見られる間違い、あるいは議論の的となるのが「be comprised of」という形です。

  • 【△ or NG】 The committee is comprised of ten experts.
  • 【OK】 The committee consists of ten experts.
  • 【OK】 The committee is composed of ten experts.
  • 【OK】 The committee comprises ten experts.
  • 【OK】 Ten experts comprise the committee.

「comprise」は本来他動詞で「~を含む、~で構成される」という意味なので、受動態の「be comprised of」は文法的に正しくない、あるいは冗長だと考える人が多いです。特にフォーマルな文章や試験などでは避けるのが無難でしょう。

しかし、実際にはネイティブスピーカーの間でも「be comprised of」は広く使われており、多くの辞書でもその用法が記載されています(ただし、「誤用」や「非推奨」といった注釈付きの場合が多いです)。言葉は変化するものなので、一概に間違いとは言えなくなってきている側面もありますが、より正確で伝統的な表現を使いたい場合は、「consist of」や「be composed of」を用いるのがおすすめですね。

【応用編】似ている言葉「include」「contain」「compose」との違いは?

【要点】

「include」は一部の要素を含む場合、「contain」は物理的に内部に含む場合、「compose」は受動態で「~から構成される」と「consist of」に近い意味で使われます。それぞれニュアンスが異なります。

「~を含む」「~から成る」という意味の言葉は他にもあります。使い分けを押さえておくと表現の幅が広がりますよ。

  • include A: 全体 B が部分 A を(一部の要素として)含む。(例:The price includes tax. 価格は税を含みます。)

    ※必ずしも全ての構成要素を網羅する必要はない。「などを含む」というニュアンス。

  • contain A: 全体 B が部分 A を(物理的に内部に)含む、含有する。(例:This box contains old letters. この箱は古い手紙を含んでいる。)
  • be composed of A: 全体 B が部分 A から構成される。(例:Water is composed of hydrogen and oxygen. 水は水素と酸素から構成される。)

    ※「consist of」とほぼ同じ意味で、よりフォーマルな響き。

「consist of」や「comprise」が全ての構成要素を網羅的に示すことが多いのに対し、「include」は一部の例を挙げる際に便利です。「contain」は容器や物質が中身を含む場合によく使われます。「be composed of」は「consist of」の言い換えとして使えますね。

「consist」と「comprise」の違いを学術的に解説

【要点】

言語学的には、「consist of」は構成要素のリストを示す自動詞句、「comprise」は全体が構成要素を包含することを示す他動詞、または構成要素が全体を形成することを示す他動詞とされます。「comprised of」は、意味上の重複や他動詞の誤用と見なされることが多いですが、言語変化の過程で容認されつつあるという見方もあります。

言語学的な観点から見ると、「consist」と「comprise」の違いは、動詞のタイプ(自動詞か他動詞か)と、文が示す意味的な焦点(部分か全体か)に起因します。

consist」は、前置詞「of」を伴って初めて「~から成る」という意味をなす自動詞句(phrasal verb)です。「The whole consists of its parts.」という構造は、全体(whole)が主語ですが、意味的な焦点は構成要素(parts)にあり、それらを列挙する性質を持ちます。

一方、「comprise」は、目的語を直接取る他動詞です。「The whole comprises its parts.」という基本的な形では、全体(whole)が主語であり、その全体が構成要素(parts)を内部に含んでいる、という包含関係に焦点があります。また、「Its parts comprise the whole.」のように、構成要素(parts)が主語となり、全体(whole)を目的語に取ることも可能で、この場合は「構成する」という意味合いが強くなります。

議論を呼ぶ「be comprised of」については、いくつかの解釈があります。

  1. 「comprise」が「含む」という意味を持つため、「be comprised of(~に含まれる)」は意味的に不自然であるという見方。
  2. 他動詞「comprise」を自動詞のように誤用し、「of」を付け加えた形であるという見方。
  3. 「compose(構成する)」の受動態「be composed of」との混同から生まれたという見方。
  4. 言語は変化するものであり、広く使われている実態を鑑みて、現代英語では容認される用法であるという見方。

保守的な文法観では依然として「be comprised of」は避けられるべきとされますが、言語記述主義の立場からは、その使用頻度の高さから無視できない表現とも言えます。参考文献としては、各種英語辞典(Merriam-Webster, Oxford Learner’s Dictionariesなど)の語法注釈や、コーパス言語学の研究などが挙げられますね。

結局のところ、フォーマルな場面や、文法的な正確性を期する場合は、「consist of」や「be composed of」、あるいは能動態の「comprise」を使うのが最も安全な選択と言えるでしょう。

「consist」と「comprise」でプレゼン資料が台無しになった体験談

僕も新人時代、「consist」と「comprise」の使い分けで冷や汗をかいた経験があります。

初めて海外のクライアント向けに、新製品の構成要素を説明する英語のプレゼン資料を作成したときのことです。「この製品は、モジュールA、B、Cから構成されています」と書きたかったんですね。

そのとき、なぜか「comprise」という単語が頭に浮かび、「確か受動態で使うんだったかな?」という曖昧な記憶で、自信満々にこう書いてしまったんです。

“This product is comprised of Module A, B, and C.”

自分としては、「構成される」だから受動態で「be comprised of」だろう、と思い込んでいました。資料はそのままチェックを通ってしまい、プレゼン本番。僕の説明部分になり、このスライドが表示された瞬間、クライアントの一人(イギリス出身の厳格そうな方でした)が、わずかに眉をひそめたのが見えたんです。

そのときは理由がわからず、「何かまずいこと言ったかな…?」と不安になりながらもプレゼンを続けましたが、どうもその一点が気になって集中できませんでした。

後でこっそりネイティブの上司に確認したところ、「あぁ、’is comprised of’ ね。間違いとは言わないけど、ちょっと気になる人は気になる表現なんだよ。特にイギリス英語ではね。『consists of』か、能動態で『comprises』、あるいは『is composed of』の方が良かったね」と苦笑いされました。

たった一言の、しかも文法的には広く使われている(けれど推奨はされない)表現を使っただけで、相手に「おや?」と思わせてしまったかもしれない…。それがすごく悔しくて、恥ずかしかったですね。

この経験から、特にフォーマルな場面では、言葉の正確性や伝統的な用法を意識することが、相手への敬意にもつながるのだと学びました。それ以来、似たような意味の言葉でも、辞書で語法をしっかり確認するクセがつきましたね。

「consist」と「comprise」に関するよくある質問

Q1: 「consist」と「comprise」はどちらがフォーマルですか?

どちらもフォーマルな文脈で使われますが、「comprise」の方がやや硬い響きを持つことがあります。日常会話では「consist of」の方が一般的かもしれませんね。ただ、大きな差はありません。

Q2: 「be comprised of」は本当に使ってはいけないのですか?

絶対に使ってはいけない、というわけではありません。多くのネイティブスピーカーも使いますし、辞書にも掲載されています。しかし、伝統的な文法を重んじる人からは誤用と見なされることが多く、特にビジネス文書や学術論文など、正確さが求められる場面では避けた方が無難でしょう。「consist of」や「be composed of」を使うのが安全です。

Q3: 「comprise」の「構成する」という意味の使い方がよく分かりません。

「The team comprises five members.(チームは5人のメンバーを含む)」が基本的な使い方ですが、「Five members comprise the team.(5人のメンバーがチームを構成する)」のように、主語と目的語を入れ替えて使うことができます。この場合、「部分が全体を作る」という視点になります。少し紛らわしいので、慣れないうちは「The team consists of five members.」のように「consist of」を使う方が分かりやすいかもしれませんね。

「consist」と「comprise」の違いのまとめ

「consist」と「comprise」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は形と視点:「consist of A」(全体はAから成る)は部分に焦点。「comprise A」(全体はAを含む)は全体に焦点。
  2. 「comprised of」は注意:受動態「be comprised of A」は広く使われるものの、誤用・非推奨とされることが多い。フォーマルな場面では避けるのが無難。
  3. 「構成する」意味の「comprise」:「A comprise B」(AがBを構成する)という使い方も可能。
  4. 類語との使い分け:「include」は一部、「contain」は物理的内部、「be composed of」は「consist of」のフォーマル版。

言葉の成り立ちや核心的なイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになりますね。特に「comprised of」の扱いには注意が必要ですが、基本的な「consist of A」と「comprise A」の形をマスターすれば、自信を持って英文を作成できるはずです。

これから自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。