「コーポレーション」と「カンパニー」の違いは法人格!意味を解説

「コーポレーション」と「カンパニー」、どちらも「会社」を意味する言葉としてよく耳にしますよね。

でも、この二つの言葉、実はニュアンスや使われ方に違いがあることをご存知でしたか?「なんとなく使っているけど、正確な違いはわからない…」という方も多いのではないでしょうか。

実はこの二つの言葉、法人格の有無や会社の規模感によって使い分けられることが多いんです。この記事を読めば、「コーポレーション」と「カンパニー」それぞれの言葉が持つ核心的な意味から、法律・ビジネス上の定義、具体的な使い分けまでスッキリ理解できます。これで、あなたも自信を持ってこれらの言葉を使いこなせるようになりますよ。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「コーポレーション」と「カンパニー」の最も重要な違い

【要点】

「コーポレーション」は主に法人格を持つ比較的大きな企業を指し、「カンパニー」はより広範に、規模に関わらず会社や仲間を指す傾向があります。特にアメリカ英語では「コーポレーション」が法的な企業体を指すことが多いです。

まず、結論からお伝えしますね。

「コーポレーション」と「カンパニー」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目 コーポレーション (Corporation) カンパニー (Company)
中心的な意味 法人格を持つ社団、企業体 会社、仲間、集まり
法人格 あり(法的に独立した人格を持つ) 問わない(法人格がない場合も含む)
規模感 比較的大規模な企業を指すことが多い 大小問わない。中小企業も含む。
主な使われ方 法的な企業名(例: 〜 Corporation)、大企業 一般的な「会社」(例: a company)、仲間、同伴
ニュアンス 公式的、法的、大規模 一般的、広範、仲間意識

一番大切なポイントは、「コーポレーション」は法的な意味合いが強く、特にアメリカでは法人格を持つ規模の大きな会社を指すことが多いのに対し、「カンパニー」はもっと広く、法人格の有無や規模に関わらず「会社」や「仲間」といった意味で使われる、ということですね。

とはいえ、日常会話や文脈によっては、これらの違いがそれほど厳密に区別されないこともあります。特にイギリス英語では「Company」が法人格を持つ会社を指す場合も多いです。

なぜ違う?言葉の由来とニュアンスの差

【要点】

「コーポレーション」はラテン語の「corpus(体)」に由来し、法的に一つの「体(人格)」として認められた組織を意味します。一方、「カンパニー」はラテン語の「cum panis(共にパンを食べる)」に由来し、元々は仲間や集まりを指す言葉でした。この語源の違いが、現代のニュアンスの差に繋がっています。

なぜこの二つの言葉に意味やニュアンスの違いが生まれたのでしょうか?それぞれの言葉のルーツを探ってみましょう。

「corporation」の語源:法人格を持つ組織

「コーポレーション(corporation)」の語源は、ラテン語の「corpus(体)」に遡ります。これが「incorporare(団体にする、具体化する)」という動詞になり、そこから「corporation(団体、法人組織)」という言葉が生まれました。

つまり、「コーポレーション」の根底には、個々の人間の集まりが、法的に一つの「体」=独立した人格を持つという概念があります。これが「法人格」ですね。会社が個人とは別に契約を結んだり、財産を所有したりできるのは、この法人格があるからです。

この成り立ちから、「コーポレーション」は法的な組織体、特に(アメリカでは)株式会社のような形態を指すニュアンスが強くなりました。

「company」の語源:仲間や集まり

一方、「カンパニー(company)」の語源は、ラテン語の「cum panis(共にパンを食べる)」にあるとされています。「cum」が「共に」、「panis」が「パン」を意味します。

これが古フランス語を経て英語に入り、「仲間」「同伴者」「一座」「隊」といった、人々が集まっている状態や集団を指す言葉として使われるようになりました。

そこから転じて、「事業を行うための人の集まり」=「会社」という意味でも使われるようになったのです。そのため、「カンパニー」は「コーポレーション」ほど法的な意味合いは強くなく、より広範に、規模の大小を問わず「会社」全般や、場合によっては単なる「仲間」や「一緒にいること」を指すこともあります。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

会社名を正式に表記する場合や大企業を指す場合は「コーポレーション」(例: Microsoft Corporation)。一般的な会社の話や仲間を指す場合は「カンパニー」(例: He works for a small company. / keep company with 〜)。この使い分けを意識しましょう。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスシーンと日常会話、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

会社の正式名称や法的な文脈か、一般的な話かを意識すると分かりやすいでしょう。

【OK例文:コーポレーション】

  • ソニーグループコーポレーションは日本の多国籍コングロマリットです。(企業の正式名称の一部として)
  • その買収により、巨大なメディアコーポレーションが誕生した。(大規模な企業体を指して)
  • 彼は大手ITコーポレーションのCEOに就任した。
  • 定款には、当該コーポレーションの目的が明記されている。(法的な文書で)

【OK例文:カンパニー】

  • 彼は小さなソフトウェアカンパニーを経営している。
  • 私たちのカンパニー(会社)は、顧客満足度を最優先に考えています。
  • 彼は保険カンパニーに勤務している。
  • 良いカンパニー(仲間)に恵まれて幸せだ。(ビジネスシーンでも「仲間」の意味で使われることがある)
  • A社とB社はグループカンパニー(関連会社)だ。

このように、正式名称や法的な文脈、大規模な企業体を指す際には「コーポレーション」が使われやすく、より一般的な「会社」や「仲間」を指す際には「カンパニー」が使われることが多いですね。

日常会話での使い分け

日常会話では、「カンパニー」の方が圧倒的に使われる頻度が高いでしょう。

【OK例文:コーポレーション】

  • あの建物は〇〇コーポレーションの本社ビルだよ。(特定の企業名を指して)

【OK例文:カンパニー】

  • 彼はどこのカンパニー(会社)で働いているの?
  • 旅行中は良いカンパニー(仲間、同行者)がいたので楽しかった。
  • Keep me company. (私と一緒にいてください。)
  • We have company tonight. (今夜はお客さんがある。)

日常会話で「会社」を意味する場合は、ほとんど「カンパニー」が使われます。「コーポレーション」は、特定の企業名として認識されている場合に使われる程度でしょう。「仲間」や「同伴」といった意味で「カンパニー」が使われることも覚えておくと便利ですね。

これはNG!間違えやすい使い方

厳密には不自然に聞こえるかもしれない使い方を見てみましょう。

  • 【NG?】彼は近所の小さなパン屋さんのコーポレーションで働いている。
  • 【OK】彼は近所の小さなパン屋さんのカンパニーで働いている。

「コーポレーション」は大規模な企業を想起させることが多いため、小規模な個人経営のお店などに使うと、少し大げさに聞こえるかもしれません。「カンパニー」の方が自然です。

  • 【NG?】Tonight, we’ll have a fun corporation!
  • 【OK】Tonight, we’ll have a fun company! (今夜は楽しい仲間が集まるよ!)

「仲間」や「集まり」を意味する場合は「カンパニー」を使います。「コーポレーション」にこの意味はありません。

法律・ビジネス上の定義から見る違い

【要点】

法的な観点、特にアメリカの会社法では、「コーポレーション」は法人格を有する株式会社などを指す明確な法的区分です。一方、「カンパニー」はより広義で、パートナーシップや個人事業主など法人格を持たない事業形態も含むことがあります。日本の会社法では「株式会社」「合同会社」などの区分があり、単純に「コーポレーション」「カンパニー」と対応するわけではありません。

「コーポレーション」と「カンパニー」の違いは、法律やビジネスの文脈で考えるとより明確になります。ただし、国によって法制度が異なるため、注意が必要です。

アメリカの会社法における違い

アメリカでは、企業形態として「Corporation(コーポレーション)」が明確に定義されています。これは通常、株主から独立した法人格を持つ株式会社(Inc. や Corp. と表記されることが多い)を指します。株主は有限責任であり、会社が負債を負っても個人の資産までは責任を負いません。

一方、「Company(カンパニー)」はより広い概念です。法人格を持つ LLC(Limited Liability Company:有限責任会社)も「Company」と呼ばれることがありますし、パートナーシップ(組合)や個人事業主(Sole Proprietorship)といった法人格を持たない事業形態も広く「Company」と呼ばれることがあります。

つまり、アメリカ法においては、「コーポレーション」は特定の法的形態(主に株式会社)を指すのに対し、「カンパニー」は事業体の総称として使われる傾向がある、と言えますね。

イギリス英語やその他の地域

イギリス英語では、「Company」が法人格を持つ会社(特に Ltd. と表記される有限責任会社)を指すことが一般的です。「Corporation」も使われますが、アメリカほど一般的ではないかもしれません。

日本の会社法との関連

日本の会社法では、「株式会社」「合同会社(LLC)」「合名会社」「合資会社」といった会社形態が定められています。英語名を付ける際に、「株式会社」を “Co., Ltd.” や “Inc.”、”Corporation” としたり、「合同会社」を “LLC” としたりしますが、日本の法的な会社区分と英語の「Corporation」「Company」が一対一で完全に対応するわけではありません

例えば、日本の「株式会社」も英語では “ABC Company, Inc.” や “ABC Corporation” のように表記されることがあります。

このように、法律やビジネスの文脈では、「コーポレーション」と「カンパニー」が指す具体的な企業形態が異なる場合があることを理解しておくと、海外の企業情報を見る際などに役立つでしょう。

僕が転職活動で混同した「コーポレーション」と「カンパニー」

今でこそ言葉の違いを解説する立場ですが、僕も過去にこれらの言葉を混同して、恥ずかしい思いをしたことがあります。

あれは初めての転職活動、外資系企業への憧れもあって、いくつかの海外企業の求人情報を見ていたときのことです。

企業のウェブサイトを見ると、「〇〇 Corporation」と書かれている会社もあれば、「△△ Company」と書かれている会社もありました。当時の僕は、「どっちも『会社』って意味でしょ?」くらいにしか考えていませんでした。

面接の練習で、キャリアアドバイザーの方に模擬面接をしてもらった時のこと。「なぜ弊社を志望されたのですか?」という質問に対し、僕は熱意を込めてこう答えました。

「はい、御社のようなグローバルなカンパニーで、これまでの経験を活かして…」

その企業名は、実は「〇〇 Corporation」だったんです。模擬面接の後、アドバイザーの方から優しく指摘されました。

「熱意は伝わりましたよ。ただ一つ、細かいことですが、うちの会社名は『コーポレーション』ですよね。特にアメリカ系の企業では、『コーポレーション』は法人格を持つしっかりした組織というニュアンスがあります。もちろん『カンパニー』でも通じますが、正式名称が『コーポレーション』なら、面接ではそちらを使った方が、企業研究をしっかりしている印象を与えられますよ」

がーん…! 全く意識していませんでした。

ただの単語の違い、と軽く考えていましたが、相手企業の文化や背景に対する敬意、そして自分の準備の度合いを示す指標にもなり得るのだと、その時初めて気づきました。特に外資系企業を受ける上では、こうした言葉のニュアンスの違いを理解しておくことが、相手に与える印象を左右する可能性があるんですね。

それ以来、企業の英語表記を見る際には、「Corporation」なのか「Company」なのか、あるいは「Inc.」や「Ltd.」なのかを意識して見るようになりました。小さなことかもしれませんが、相手への配慮や理解を示す第一歩だと、今でも考えています。

「コーポレーション」と「カンパニー」に関するよくある質問

結局、日本語で「会社」と言いたいときはどちらを使えばいいですか?

日本語の日常会話や一般的なビジネスシーンで「会社」を指す場合は、「カンパニー」を使う方が無難で、より広く意味が通じやすいでしょう。「〇〇株式会社」のような正式名称の一部として使う場合や、特に大規模な法人組織であることを強調したい場合に「コーポレーション」を使うのが適切です。

英文で会社名を表記するときは?

これはその会社の正式な英語表記に従うのが絶対です。勝手に「Company」を「Corporation」に変えたり、その逆をしてはいけません。名刺や公式ウェブサイトで確認しましょう。一般的に、アメリカの株式会社は “Inc.” や “Corp.”、イギリスの有限責任会社は “Ltd.” が付くことが多いです。

「Inc.」や「Ltd.」との違いは何ですか?

“Inc.” は Incorporated の略で、主にアメリカやカナダで法人格を持つ株式会社を示します。「Corporation」とほぼ同義で使われることが多いです。”Ltd.” は Limited の略で、主にイギリスや英連邦諸国で有限責任会社を示します。株主の責任がその出資額に限定されることを意味します。「Company」の一形態と言えます。

「コーポレーション」と「カンパニー」の違いのまとめ

「コーポレーション」と「カンパニー」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 語源の違い:「コーポレーション」は「体(法人格)」、「カンパニー」は「共にパンを食べる仲間」がルーツ。
  2. 中心的な意味の違い:「コーポレーション」は法人格を持つ企業体(特に米国の株式会社)、「カンパニー」は広く会社や仲間を指す。
  3. 規模感のニュアンス:「コーポレーション」は比較的大きな企業、「カンパニー」は大小問わない。
  4. 使い分け:法的な文脈や大企業は「コーポレーション」、一般的な会社や仲間は「カンパニー」が使われやすい。ただし、国や文脈による違いもある。
  5. 正式名称が重要:企業名を英語で表記・言及する際は、必ず正式な表記(Corporation, Company, Inc., Ltd. など)を確認する。

語源をたどると、言葉の持つニュアンスが深く理解できますね。「法人格」という法的な概念を持つ「コーポレーション」と、「仲間」という人の集まりから発展した「カンパニー」。この違いを意識すれば、ビジネス文書や英会話での表現がより正確になるはずです。

これからは自信を持って、これらの言葉を使い分けていきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。