「did」と「does」の違いを一言で言うなら、「いつの話か(時制)」と「誰の話か(主語)」という点に尽きます。
どちらも「do(する)」の仲間ですが、使い間違えると「昨日した」と言いたいのに「普段している」と伝わってしまったり、文法的にちぐはぐな英語になってしまいます。
この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ「時間軸」と「人称」のルールの違いから、疑問文や否定文での正しい使い分けまでスッキリと理解でき、自信を持って英会話ができるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「did」と「does」の最も重要な違い
基本的には過去の話なら「did」、現在の話で主語が三人称単数なら「does」と覚えるのが簡単です。「did」は全ての人称で使えますが、「does」は特定の主語(He, She, Itなど)専用です。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | did | does |
|---|---|---|
| 時制(いつの話?) | 過去(〜した) | 現在(〜する/習慣) |
| 主語(誰の話?) | すべて(I, You, He, They…) | 三人称単数のみ(He, She, It, Tom…) |
| 主な役割 | 過去の疑問文・否定文を作る 過去の行為を表す | 現在の疑問文・否定文を作る 現在の行為を表す |
| 元の形 | do(の過去形) | do(の三人称単数現在形) |
一番大切なポイントは、「did」は過去なら誰にでも使える万能選手ですが、「does」は現在かつ主語が「彼・彼女・それ」の時だけ登場する限定選手ということです。
例えば、「彼は昨日勉強しましたか?」なら「Did he study yesterday?」、「彼は(普段)勉強しますか?」なら「Does he study?」となります。
なぜ違う?時制と主語のルールからイメージを掴む
「did」は過ぎ去った過去の一時点を指し示すイメージで、主語による変化はありません。「does」は現在の習慣や事実を表し、主語が「私・あなた以外の一人(一つ)」の時だけ「s」がつくというルールに基づいています。
なぜこの二つの言葉に使い分けが必要なのか、文法の背景を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「did」のイメージ:過去のアルバム
「did」は「do」の過去形です。
イメージとしては、「終わった出来事」「過去のアルバムの1ページ」です。
英語の過去形は、主語が誰であっても形が変わらないのが基本ルールです。
私がしても(I did)、彼がしても(He did)、彼らがしても(They did)、過去は過去。形は「did」一つでOKです。
「does」のイメージ:現在のスポットライト(三人称単数)
一方、「does」は「do」に「es」がついた形です。
これは「三単現のS」と呼ばれるルールです。
- 三人称(私とあなた以外)
- 単数(一人、一つ)
- 現在(今の話)
この3つの条件が揃った時だけ、動詞にスポットライトが当たって形が変わる(s/esがつく)イメージを持ってください。
主語が「He(彼)」「She(彼女)」「It(それ)」「My father(父)」などの時、「do」は「does」に変身します。
具体的な例文で使い方をマスターする
「昨日」「先週」などの言葉があれば「did」、「普段」「毎日」の話なら「does」(またはdo)を使います。疑問文と否定文での使い方が特に重要です。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
日常会話で頻出するパターンを見ていきましょう。
過去の話をする(did)
「昨日」「さっき」「去年」などの話は全て「did」の領域です。
【OK例文:did(疑問文・否定文)】
- Did you watch TV last night?(昨夜テレビ見ましたか?)
- Did he come to the party?(彼はパーティーに来ましたか?)
- I didn’t (did not) know that.(それは知りませんでした。)
- She didn’t go to school yesterday.(彼女は昨日学校に行きませんでした。)
主語が「You」でも「He」でも「I」でも「She」でも、過去なら全部「did」ですね。
現在の話をする(does / do)
「普段の習慣」「一般的な事実」の話で、主語に注目します。
【OK例文:does(主語が三人称単数)】
- Does he play soccer?(彼はサッカーをしますか?)
- Does it work?(それは動きますか/効果がありますか?)
- She doesn’t (does not) like carrots.(彼女は人参が好きではありません。)
- My brother doesn’t live here.(私の兄はここには住んでいません。)
※主語が「I」「You」「We」「They」の場合は「Do / Don’t」を使います。
- Do you like coffee?(コーヒーは好きですか?)
- We don’t have time.(私たちには時間がありません。)
これはNG!間違えやすい使い方
初心者がよくやってしまう間違いを見てみましょう。
- 【NG】 Does you like music?
- 【OK】 Do you like music?
「You(あなた)」は二人称なので「does」は使いません。
- 【NG】 Did he went to the park?
- 【OK】 Did he go to the park?
ここが最大の落とし穴です。「did」を使った時点で「過去」という意味は伝わっているので、後ろの動詞は必ず「原形(元の形)」に戻します。
「Did … went」のように過去形を重ねてはいけません。
【応用編】強調の「do/does/did」の使い方
肯定文であえて「do/does/did」を動詞の前に置くことで、「本当に〜する(した)んだ!」と意味を強調することができます。
通常、肯定文では「I play tennis.」のように「do」などは使いませんが、あえて使うことで「強調」を表せます。
強調の例文
- I do love you.(本当に君を愛しているんだ。)
- He does look tired.(彼は本当に疲れているように見えるね。)
- I did finish my homework!(宿題は本当に終わらせたんだってば!)
相手に疑われた時や、事実を強く主張したい時に便利な表現です。
ここでも時制と主語のルール(過去ならdid、三人称単数現在ならdoes)は同じです。
「did」と「does」の違いを文法的な視点から解説
「did」は過去時制の助動詞および一般動詞の過去形。「does」は現在時制・三人称単数の助動詞および一般動詞の現在形です。助動詞として使う場合、後の動詞は原形になります。
感覚だけでなく、文法的な構造を知っておくと、迷った時の判断基準になります。
専門的な視点から、決定的な違いを解説します。
1. 助動詞としての働き
疑問文や否定文を作る時、「do/does/did」は助動詞として働きます。
助動詞には「can」や「will」などがありますが、ルールは同じで「後ろの動詞を原形にする」という鉄則があります。
- He plays tennis.(肯定文:動詞にsがつく)
- Does he play tennis?(疑問文:doesがsの役割を引き受けるので、playは原形に戻る)
この「役割を引き受ける」感覚が大切です。
2. 一般動詞としての働き
「do」自体が「〜をする」という意味の一般動詞としても使われます。
- He does his homework.(彼は宿題をします。)
- He did his homework.(彼は宿題をしました。)
この場合、「does/did」は文の中心となる動詞(V)です。
否定文にすると、「He doesn’t do his homework.」のように、助動詞のdoesと本動詞のdoが両方登場することになります。
僕が「Did you…?」と聞かれて「Yes, I do」と答えてしまった体験談
僕も英語を習い始めた頃、この時制の不一致でちぐはぐな会話をしてしまったことがあります。
英会話スクールの先生に週末の出来事を聞かれた時のことです。
先生:「Did you enjoy your weekend?(週末は楽しかったですか?)」
僕:「Yes, I do!(はい、します!)」
先生は一瞬キョトンとして、「Oh, you did? Good.(あぁ、楽しかったのね? よかった)」と優しく訂正してくれました。
僕は「Do you…?」と聞かれた時の癖で、条件反射で「Yes, I do」と答えてしまったのです。
しかし、「Did」で聞かれたら(過去の話なら)、答えも「Yes, I did.」と過去で返さなければなりません。
「Yes, I do」だと、「はい、(普段)楽しんでいます(習慣)」という意味になり、週末の特定の出来事への答えとしては不自然になってしまうのです。
この経験から、質問の最初の単語(DidなのかDo/Doesなのか)をよく聞いて、それに合わせて答えることの重要性を痛感しました。
それ以来、オウム返しのように時制を合わせることを意識しています。
「did」と「does」に関するよくある質問
「Does he has…?」は間違いですか?
はい、間違いです。「Does」を使った時点で「三単現のs」の要素は「Does」に含まれています。後ろの動詞は原形の「have」に戻す必要があります。正しくは「Does he have…?」です。
「What did you do?」の意味は?
「あなたは何をしましたか?」という意味です。最初の「did」は疑問文を作る助動詞、後ろの「do」は「する」という意味の一般動詞です。過去の行いを尋ねる定番フレーズです。
「I did it!」はどういう意味ですか?
「やったぞ!」「できた!」という意味です。何かを達成した時や、成功した時によく使われるフレーズです。ここでの「did」は「成し遂げる」「やる」という一般動詞の過去形です。
「did」と「does」の違いのまとめ
「did」と「does」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 時制の違い:過去の話なら「did」、現在の話なら「does」(またはdo)。
- 主語の条件:「does」は現在かつ主語が三人称単数(彼、彼女、それ等)の時だけ。
- 文法ルール:疑問文・否定文で使うと、後ろの動詞は必ず「原形」に戻る。
言葉の背景にある「時制」と「人称」のルールを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。
英語学習についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。
文部科学省の外国語教育に関する資料なども参考にしながら、これからは自信を持って、的確な表現を選んでいきましょう。
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