「DM」と「チラシ」、どちらで集客すべきか迷った経験はありませんか?
実はこの2つの言葉、届ける相手が「特定」されているか、「不特定多数」かで明確に使い分けるのが正解。
この記事を読めば、それぞれの媒体が持つ強みと弱み、そしてプロのマーケターが実践している具体的な使い分け方がスッキリと分かります。
それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「DM」と「チラシ」の最も重要な違い
基本的には既存顧客や特定の個人に送るなら「DM」、不特定多数の地域住民などに広く配るなら「チラシ」と覚えるのが簡単です。目的やコスト感が全く異なる媒体であることを理解しましょう。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、企画会議や販促計画の立案で言葉に迷うことはなくなるはずです。
| 項目 | DM(ダイレクトメール) | チラシ |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 個人宛てに直接送られる案内 | 広く大衆に向けて配られる広告紙 |
| 届ける相手 | 特定の個人(既存顧客、見込み客など) | 不特定多数(商圏内の住民、通行人など) |
| 主な目的 | リピート促進、関係構築、ファン化 | 新規顧客の獲得、認知拡大、即時集客 |
| 主な届け方 | 郵送、宅配便、Eメールなど | 新聞折込、ポスティング、街頭配布など |
| 1通あたりのコスト | 高め(印刷代+郵送費) | 低め(大量印刷で単価が下がる) |
表を見るとわかるように、ターゲットの絞り込み方に決定的な違いがあります。
「DM」は、すでに住所や名前といった個人情報を知っている相手に対して、「あなただけに向けた特別なお知らせです」と語りかけるようなアプローチ。
一方で「チラシ」は、地域や年齢層などをざっくりと設定し、「この近所に住んでいる皆さん、お得な情報がありますよ!」とメガホンで呼びかけるようなイメージですね。
もしあなたが「今週末のセールでとにかく人数を集めたい」ならチラシを、「一度来店してくれたお客様を常連客に育てたい」ならDMを選ぶのが定石と言えるでしょう。
なぜ違う?言葉の語源からイメージを掴む
「DM」は直接的な手紙という英語由来の言葉であり、「チラシ」は周囲にばら撒くという日本語の動詞「散らす」から派生した言葉です。
「なぜ、このような性質の違いが生まれたの?」と疑問に思うかもしれません。
そのヒントは、それぞれの言葉の成り立ちや語源に隠されています。
言葉のルーツを探ることで、核心的なイメージがより鮮明に浮かび上がってきますよ。
「DM(ダイレクトメール)」の語源
DMは、英語の「Direct Mail」の頭文字をとった略語です。
「Direct」は「直接」、「Mail」は「郵便物」や「手紙」ですね。
つまり、「企業からお客様へ、直接届けるお手紙」というニュアンスが込められています。
手紙ですから、当然ながら宛名があり、特定の個人に向かってメッセージをしたためるのが本来の姿。だからこそ、お客様との深いコミュニケーションを築くためのツールとして発展してきたのです。
「チラシ」の語源
一方、「チラシ」は純粋な日本語です。
動詞の「散らす」が名詞化した言葉で、江戸時代に誕生したと言われています。
当時、新しいお店の開店や商品のお知らせをする際に、道行く人に向かって「紙を周囲にばら撒く(散らす)ように配った」ことから、その紙自体を「散らし(チラシ)」と呼ぶようになりました。
この「ばら撒く」という語源の通り、特定の人を狙い撃ちするのではなく、風に乗せて情報を広く行き渡らせるのが、チラシの持つ本来の役割なのです。
具体的な例文で使い方をマスターする
特定の個人に向けたメッセージや発送作業には「DM」、不特定多数への配布や広範囲な宣伝には「チラシ」を使うと、文脈が自然にまとまります。
ここからは、実際のビジネスシーンを想像しながら、具体的な使い方を見ていきましょう。
例文を通して、言葉の「座りの良さ」を感じてみてください。
「DM」の例文(特定の顧客へのアプローチなど)
「先月商品をご購入いただいたお客様へ、アフターフォローのDMを発送しよう。」
「今回のキャンペーンは、VIP会員様限定のDMでひっそりと告知します。」
「休眠顧客を掘り起こすために、特別割引クーポンを同封したDMを企画した。」
このように、「誰に送るのか」が明確になっている状況では「DM」を使うのが適切です。
「チラシ」の例文(広範囲への告知や新規集客など)
「新規オープンの認知度を上げるため、店舗から半径3キロ圏内にチラシをポスティングする。」
「明日の朝刊に、大売出しのチラシを折り込む手配が完了しました。」
「駅前で手渡しするチラシは、パッと見てお得感が伝わるデザインにしよう。」
不特定多数の目に触れさせたい、とにかく「数を打ちたい」という文脈では、「チラシ」がピッタリとハマります。
これはNG!使い方を間違えた例文
では、少し違和感のあるNG例も見てみましょう。
✕「通行人に配る用のDMを1万枚印刷しておいて!」
〇「通行人に配る用のチラシを1万枚印刷しておいて!」
DMは「ダイレクト(直接の)メール(手紙)」ですから、宛名のないものを道端で配る行為に使うのは不自然ですよね。
✕「優良顧客のリスト宛てに、誕生月のお祝いチラシを郵送しました。」
〇「優良顧客のリスト宛てに、誕生月のお祝いDMを郵送しました。」
特定の顧客へ手紙のように郵送する場合は、「チラシ」よりも「DM」とした方が、相手を特別扱いしているプロモーションの意図が正確に伝わります。
【応用編】似ている言葉「フライヤー」との違いは?
「チラシ」と「フライヤー」は目的が似ていますが、一般的に「フライヤー」の方がサイズが小さく、デザイン性が高く、ラックなどに据え置きされることが多いという特徴があります。
ここで、もう一つ似ている言葉「フライヤー」についても触れておきましょう。
最近、美容室やカフェなどで「お店のフライヤーを作りました」という言葉をよく耳にしませんか?
実は「フライヤー(Flyer)」も、元々は飛行機から空を飛ぶように紙をばら撒いたことが語源とされており、意味としては「チラシ」とほぼ同じです。
しかし、現代の使われ方としては、「紙の厚さ」や「デザイン性」「配布方法」で区別されることが多くなっています。
チラシが薄い紙で大量に配られる(捨てられる前提)のに対し、フライヤーは少し厚手の丈夫な紙で作られ、オシャレなデザインで店頭のラックに「据え置き」されることが多いのです。
「スーパーの特売はチラシ」「インディーズバンドのライブ告知はフライヤー」とイメージすると、そのニュアンスの違いが分かりやすいでしょう。
「DM」と「チラシ」の違いをマーケティング視点で解説
マーケティングにおいて「DM」はLTV(顧客生涯価値)を高めるための関係構築ツールであり、「チラシ」は短期的なCPA(顧客獲得単価)を重視する新規獲得ツールとして位置づけられます。
少し専門的な、マーケターの視点からも見てみましょう。
企業の売上を伸ばすためには、「新規の顧客を集めること」と「既存の顧客にリピートしてもらうこと」の両輪が必要です。
この戦略において、「チラシ」は狩猟型のアプローチ、「DM」は農耕型のアプローチだと言えます。
チラシは、網を広く投げて新しい魚を捕まえるようなものです。反応率(レスポンス率)は0.01%〜0.3%程度と非常に低いですが、母数を大きくすることで「今まで知らなかった人」を店に呼び込む力があります。いかに安いコスト(CPA)で新規客を獲得するかが勝負の分かれ目ですね。
一方、DMはすでに自社の畑(顧客リスト)にいるお客様に、水や肥料を与えるような行為です。
購買履歴や趣味嗜好のデータを活用し、「前回Aを買ったあなたには、このBがおすすめですよ」とパーソナライズされた提案(One to Oneマーケティング)が可能です。
これにより、一人のお客様が一生涯に落としてくれる利益、いわゆるLTV(ライフタイムバリュー)を最大化することがDMの真の目的なのです。
総務省の統計局などの調査を見ても、企業がどのように広告宣伝費を配分しているかは、その時代の経済状況を色濃く反映しています。
効率だけを求めて「チラシ」ばかり撒いていても、常連客を育成する「DM」の視点が抜け落ちていれば、穴の空いたバケツで水を汲むような状態になってしまうでしょう。
予算の無駄遣い!「チラシ」感覚で「DM」を送り大失敗した体験談
僕自身、駆け出しのマーケターだった頃、この2つの役割を履き違えてクライアントの予算をドブに捨ててしまった痛い経験があります。
ある高級エステサロンのプロモーションを任された時のことです。僕は「高級感を出すなら、安っぽいチラシではなく、しっかりした封筒に入ったDMだ!」と息巻いていました。
そして、なんとその立派なDMを、顧客リストではなく「店舗周辺の高級住宅街のポスト」に手当たり次第に投函する計画を立てたのです。
宛名のない「ご近隣の皆様へ」と書かれた豪華な封筒。
結果は、目も当てられないほどの大惨敗でした。膨大な印刷費とポスティング費用をかけたにもかかわらず、問い合わせはたったの数件。
なぜか?
それは、僕が「DMの形をした、ただのコストが高いチラシ」を作ってしまったからです。
見ず知らずの店から届く宛名のない封筒は、受け取る側からすれば「不気味なゴミ」でしかありませんでした。DMの命である「あなただけへ」というパーソナルな要素が完全に抜け落ちていたのです。
この大失敗から、僕は広告媒体を選ぶ際、「見た目の高級感」ではなく「誰に、どんな関係性で情報を届けるのか」を最優先で考えるようになりました。
媒体の特性を理解せずに使うことは、プロの仕事ではない。
この時の悔しさと冷や汗は、今でも僕の仕事の大きな教訓として胸に刻まれています。
「DM」と「チラシ」に関するよくある質問
Q. Eメールで送る案内は、DMとチラシのどちらにあたりますか?
A. 特定のメールアドレス宛てに直接送るため「DM(ダイレクトメール)」にあたります。最近ではEメールだけでなく、LINEやSNSのダイレクトメッセージを活用したデジタルなDMも主流になっています。
Q. 新聞に折り込まれている広告は、すべてチラシと呼んでいいのですか?
A. はい、基本的にはすべて「チラシ(折込チラシ)」と呼んで差し支えありません。不特定多数の読者に向けて一斉に配布される性質を持っているためです。
Q. DMの中にチラシを同封しても良いのでしょうか?
A. 全く問題ありません。むしろよく使われる手法です。挨拶状や個別のメッセージ(DMの要素)と一緒に、商品の詳細を載せたチラシを同封することで、案内と詳細説明の役割をうまく分担させることができます。
「DM」と「チラシ」の違いのまとめ
ここまで、「DM」と「チラシ」の違いについて詳しく解説してきました。
最後に、もう一度内容を整理しておきましょう。
- DM(ダイレクトメール):既存顧客など特定の個人宛てに直接送る手紙。深い関係構築やリピート促進に向いている。
- チラシ:不特定多数に向けて広くばら撒く広告紙。新規顧客の獲得や認知拡大、即効性のある集客に向いている。
言葉の意味自体は明確に分かれていますが、ビジネスの現場では目的によって使い分ける「両利きの戦略」が求められます。
新規を集める時はチラシ、集まった人を常連にする時はDM。
このステップを意識するだけで、あなたのプロモーション効果は劇的に変わるはずです。
マーケティングの言葉を正しく理解することは、そのまま「顧客とのコミュニケーションの質」を高めることに直結します。
ぜひ、他のマーケティング用語の違いもチェックして、集客の解像度をさらに高めていってください。
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