「擬音語」と「擬態語」の違いとは?音か状態か一瞬で見分けるコツ

「ワンワン」と「キラキラ」。

どちらもよく使う表現ですが、これらが「擬音語」と「擬態語」という異なるグループに属することをご存知でしたか?

どちらも「オノマトペ」という大きな括りではあるものの、その役割は明確に違います。「音」を表すのか、それとも「状態」を表すのか。この違いが分かると、文章の表現力が格段にアップしますよね。

この記事を読めば、「擬音語」と「擬態語」の核心的な違いから、具体的な使い分け、さらには「擬声語」や「オノマトペ」との関係性までスッキリと理解でき、もう二度と迷うことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「擬音語」と「擬態語」の最も重要な違い

【要点】

「擬音語」は実際に鳴っている「音」を言葉で真似たものです(例:ワンワン、ザーザー)。一方、「擬態語」は「状態」や「様子」を感覚的に表現した言葉で、実際には音が鳴っていません(例:キラキラ、シーン)。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目擬音語(ぎおんご)擬態語(ぎたいご)
中心的な意味実際に出ている「音」を真似て表現する言葉「状態」や「様子」を感覚的に表現する言葉
音の有無音がする音はしない
具体例ワンワン(犬)、ニャー(猫)、ザーザー(雨)、ゴロゴロ(雷)キラキラ(光)、ツルツル(表面)、シーン(静寂)、ワクワク(感情)
分類擬声語(オノマトペ)の一種擬情語・擬容語を含む、擬態語(オノマトペ)の一種

一番のポイントは、実際に耳で聞こえる音かどうかですね。

雨が「ザーザー」降る音は聞こえますが、星が「キラキラ」輝く音は聞こえません。この基準で判断するのが一番簡単です。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

漢字を見れば一目瞭然です。「擬音語」は「音」を真似る言葉。「擬態語」は「態(=様子、ありさま)」を真似る言葉。漢字の意味そのままの違いなんですね。

なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「擬音語」の成り立ち:「音」を「擬(まねる)」言葉

「擬音語」は、「擬(ぎ)」+「音(おん)」+「語(ご)」で構成されています。

  • :まねる、なぞらえる
  • :おと、ねいろ

つまり、「実際に出ている音を真似た言葉」という意味になります。

動物の鳴き声(ワンワン、ニャー)や物音(ガチャン、ドンドン)など、耳で聞こえる音をそのまま言葉にしたものですね。

「擬態語」の成り立ち:「態(ようす)」を「擬(まねる)」言葉

一方、「擬態語」は、「擬(ぎ)」+「態(たい)」+「語(ご)」で構成されています。

  • :まねる、なぞらえる
  • :すがた、ありさま、様子

こちらは、「音ではなく、物事の状態や様子を真似て(感覚的に表現して)言葉にしたもの」という意味になります。

物が輝く様子(キラキラ)、表面が滑らかな様子(ツルツル)、あるいは感情(ワクワク、イライラ)など、音はしないけれど「そんな感じ」が伝わる言葉がこれに当たります。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

ビジネスプレゼンで「売上がドンドン伸びる」は「音」がするような勢いを表す「擬音語」的な使い方です。一方で「お客様もワクワクする新機能」は、感情という「状態」を表す「擬態語」ですね。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

プレゼン資料や会議でも、オノマトペは意外と使われています。音か状態かを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:擬音語(音がする)】

  • 新システム導入後、問い合わせ電話がジャンジャン鳴っています。
  • サーバーがガタガタと異音を立てているので、至急確認してください。
  • 競合他社が新サービスをドンドン発表していますね。

【OK例文:擬態語(音がしない状態・様子)】

  • 会議室がシーンと静まり返ってしまった。
  • このグラフのように、売上がジワジワと伸びているのが分かります。
  • 新プロジェクトの成功に、メンバー全員がワクワクしています。
  • 床が水浸しでビショビショだ。

「ドンドン発表する」は、太鼓を叩く音のように「勢いよく」という比喩的な使い方ですが、元は「音」から来ていますね。「ジワジワ」や「ワクワク」には音がありません。

日常会話での使い分け

日常会話は、まさに擬音語と擬態語の宝庫です。

【OK例文:擬音語(音がする)】

  • お腹がグーグー鳴って恥ずかしかった。
  • 雨がザーザー降ってきたから、傘を持っていこう。
  • 子供がギャーギャー泣いていて、なかなか寝付かない。

【OK例文:擬態語(音がしない状態・様子)】

  • お風呂上がりの肌がツルツルになった。
  • 彼はいつもニコニコしていて感じが良い。
  • 急な話で、頭がクラクラする。

これはNG!間違えやすい使い方

「擬音語」と「擬態語」は、どちらもオノマトペの仲間なので、厳密に間違っていても意味が通じてしまうことが多いです。ただ、その「分類」を聞かれたときには注意が必要ですね。

  • 【NG分類】「シーン」としているのは、音がしないから擬音語だ。
  • 【OK分類】「シーン」は、音がしない「状態」を表すので擬態語です。

これが一番間違えやすいポイントかもしれません。「シーン」は「音が無い」という状態・様子を表す言葉なので、擬態語に分類されます。「音がする」言葉が擬音語だと覚えておきましょう。

【応用編】似ている言葉「擬声語(オノマトペ)」との違いは?

【要点】

「オノマトペ」が「擬音語」と「擬態語」の両方を含む総称です。「擬声語」は「擬音語」とほぼ同じ意味ですが、特に「人や動物の声」に限定して使う場合と、「擬音語」全体を指す場合があります。

「擬音語」や「擬態語」と話していると、「オノマトペ」や「擬声語(ぎせいご)」という言葉も出てきて混乱しますよね。この関係も整理しておきましょう。

オノマトペ(Onomatopée)
これが一番大きな括りです。フランス語が語源で、「擬音語」と「擬態語」の両方を合わせた総称として使われます。「ワンワン」も「キラキラ」も、どちらも「オノマトペ」です。

擬声語(ぎせいご)
これは「擬音語」と非常に近い言葉です。
狭い意味では、「擬音語」の中でも特に「人や動物の声(声帯から出る音)」を真似たもの(例:ワンワン、ニャー、ギャーギャー、ワハハ)を指します。
広い意味では、「擬音語」と全く同じ意味(物音なども含む)で使われることも多いです。「擬音語」と「擬声語」を厳密に区別しない辞書や文献も多くありますね。

関係性をまとめると、以下のようになります。

  • オノマトペ(総称)
    • 擬音語(音がするもの)
      • 擬声語(特に人や動物の声)
      • 擬音語(物音など。例:ザーザー、ガチャン)
    • 擬態語(音がしない状態・様子)
      • 擬容語(様子や動き。例:キラキラ、スタスタ)
      • 擬情語(感情や感覚。例:ワクワク、ズキズキ)

(※学者によって分類が異なる場合があります)

まずは「オノマトペ」が全体で、「擬音語(音あり)」と「擬態語(音なし)」に分かれる、と覚えておけば実用上は問題ないでしょう。

「擬音語」と「擬態語」の違いを日本語学の視点から解説

【要点】

日本語は、他言語に比べてオノマトペ(擬音語・擬態語)が非常に豊富な言語とされています。特に「擬態語」の発達は日本語の大きな特徴であり、繊細なニュアンスや感覚を表現するために重要な役割を担っています。

「擬音語」と「擬態語」、この2つのオノマトペは、特に日本語において非常に重要な役割を果たしています。

日本語は、他の言語と比較しても、オノマトペの数が圧倒的に多いとされています。一説には、英語の数倍以上あるとも言われています。

特に注目すべきは「擬態語」の豊富さです。

「擬音語」(音がするもの)は、どの言語にも比較的多く存在します。例えば、英語でも犬の鳴き声は “bow-wow”(バウワウ)、猫は “meow”(ミャウ)のように表現されますよね。

しかし、「擬態語」(音がしない状態・様子)は、日本語ほど発達している言語は珍しいとされています。

  • 「心がワクワクする」(期待)
  • 「頭がズキズキ痛む」(痛み)
  • 「肌がスベスベだ」(触感)
  • 「星がキラキラ輝く」(視覚)

このように、音のしない感情、感覚、触感、視覚的な様子までを、非常に細かく表現できるのが日本語のオノマトペ、特に「擬態語」のすごいところなんです。

文化庁も、国語施策の中で日本語の多様性や豊かさに言及しており、こうしたオノマトペの存在は、日本人がいかに繊細な感覚やニュアンスを大切にしてきたかを示す文化的な側面も持っていると言えるでしょう。

僕が「シーン…」と書いて大失敗した新人時代の体験談

僕も新人ライター時代、この「擬音語」と「擬態語」の違いを意識せず、恥ずかしい思いをしたことがあるんです。

ある製品の紹介記事で、その製品がいかに「静か」であるかをアピールする原稿を書いていました。僕は、その静けさを表現しようと、自信満々にこう書いたんです。

「この製品の静音性は驚くべきレベルです。起動中も『シーン』という擬音語がふさわしいほど、オフィスは静寂に包まれます」

我ながら上手く書けた!と思い提出したところ、先輩デスクからすぐに内線電話が。

「おい、『シーン』って音がするのか?音がしない状態を表す言葉だろう。これは『擬態語』だぞ。『擬音語がふさわしい』って書いたら、『シーンっていう音がするのか?』って読者が混乱するだろう!」

僕は頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました。「シーン」は「音がしない状態」そのものを指す言葉。それなのに「擬音語」と書いてしまった…。音がしないのに「音」と書くという、致命的な矛盾を犯していたんですね。

言葉の分類を正しく理解していないと、かえって読者を混乱させてしまう。この経験から、言葉の定義や背景を曖昧なまま使わないことの大切さを痛感しました。それ以来、オノマトペを使うときは「これは音か?状態か?」と一瞬考えるクセがつきましたね。

「擬音語」と「擬態語」に関するよくある質問

「擬音語」と「擬態語」を簡単に見分ける方法はありますか?

はい、一番簡単なのは「実際にその音が耳で聞こえるか?」で判断する方法です。

例えば、「メーメー」と鳴く羊の声は聞こえるので「擬音語」です。「ヌルヌル」した感触は、音ではなく「状態(触感)」なので「擬態語」となります。「シーン」のように音がしない状態を表す言葉も「擬態語」ですよ。

英語にも「擬音語」や「擬態語」はありますか?

はい、英語にもオノマトペ(Onomatopoeia)は存在します。

特に「擬音語」は多く、”buzz”(ハチのブーン)、”splash”(バシャッ)、”bang”(バーン)などがあります。ただ、日本語に比べると「擬態語」(状態や感情を表す言葉)は少ない傾向にありますね。例えば「ワクワク」や「しっとり」のような感覚的なオノマトペは、英語では一言で表現するのが難しいことが多いです。

赤ちゃん言葉は「擬音語」「擬態語」のどちらですか?

赤ちゃん言葉(幼児語)には、「擬音語」も「擬態語」も両方含まれていますね。

例えば、「ワンワン(犬)」や「ブーブー(車)」は、音から来ているので「擬音語」です。一方で、「ネンネ(寝る様子)」や「マンマ(ご飯、食べる様子)」などは、状態や行動を表す「擬態語」的な側面が強いと言えるでしょう。赤ちゃんにとって分かりやすく、発音しやすいオノマトペが多用されるのが特徴ですね。

「擬音語」と「擬態語」の違いのまとめ

「擬音語」と「擬態語」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 音の有無で見分ける:実際に音がするなら「擬音語」、音がしない状態・様子なら「擬態語」。
  2. 漢字の意味が鍵:「擬音語」は「音」を真似る、「擬態語」は「態(様子)」を真似る言葉。
  3. 「シーン」は擬態語:「音が無い」という「状態」を表すため。
  4. オノマトペが総称:「擬音語」も「擬態語」も、まとめて「オノマトペ」と呼ぶ。

日本語の豊かさを象徴するオノマトペ。この違いを意識するだけで、あなたの表現力はさらに研ぎ澄まされるはずです。

これからも自信を持って、的確な言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、スラング・俗語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。