「go」と「go to」の違い!「〜へ行く」でtoが消える謎を解明

「go to」は「場所(名詞)」に向かう場合に使われ、「go」は「方向(副詞)」に向かう場合に使われるのが決定的な違いです。

なぜなら、「to」は名詞と動詞をつなぐ「接着剤」の役割を果たしますが、副詞(homeやabroadなど)には最初から「〜へ」という意味が含まれているため、接着剤が不要になるから。

この記事を読めば、「go home」でなぜ「to」が消えるのかという長年の謎が解け、ネイティブスピーカーのように自然な使い分けができるようになります。

それでは、まず二つの違いを整理した一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「go」と「go to」の最も重要な違い

【要点】

「go to」の後ろには「名詞(場所)」が来ます。「go」の後ろには「副詞(方向・場所)」が来ます。「to」は到達点を示す矢印(→)の役割ですが、副詞にはすでにその矢印が含まれているため「to」は不要になります。

まずは、結論からお伝えしますね。

この二つの表現の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目go to 〜go 〜
後ろに来る言葉名詞(場所・建物)副詞(方向・状態)
toの必要性必要(接着剤として)不要(言葉に含まれる)
代表的な単語school, work, bed, Tokyohome, abroad, there, upstairs
イメージ目的地という「点」に向かうその方向へ「移動」する

一番大切なポイントは、行き先が「名詞」ならtoが必要、「副詞」ならtoは不要という点ですね。

例えば、「学校(school)」は名詞なので「go to school」となります。

一方で、「海外へ(abroad)」は副詞なので、すでに「へ」という意味が入っており、「go abroad」となるわけです。

この「品詞の違い」を理解しておくと、迷うことが激減するでしょう。

なぜ違う?「品詞」と「toの役割」からイメージを掴む

【要点】

「to」は名詞を目的地として指し示す「矢印(→)」の役割を持ちます。一方、副詞(home, thereなど)は単語そのものが「矢印込みの目的地」を表しているため、わざわざ「to」を付けると矢印が重複してしまいます。

なぜ同じ「行く」なのに「to」がついたり消えたりするのか、その仕組みを紐解くと、理由がよくわかりますよ。

「to」の役割:名詞につなぐ接着剤

「go」は「行く(移動する)」という動作を表す動詞です。

しかし、ただ「移動する」と言われても、「どこへ?」となりますよね。

そこで目的地である「名詞(公園、学校、駅など)」をつなげるために、「〜へ(到達点)」を表す前置詞「to」が必要になります。

「go(移動する)」+「to(→)」+「park(公園)」で、「公園へ行く」となるのです。

副詞の正体:最初から「to」を含んでいる

一方で、英語には「副詞」という便利な言葉のグループがあります。

「home(家へ)」「abroad(海外へ)」「there(そこへ)」などがこれに当たります。

これらの単語は、辞書で引くと「〜へ」「〜に」という意味が最初から含まれています。

つまり、単語の中にすでに「to(矢印)」が内蔵されているのです。

だから、「go to home」と言ってしまうと、「家へ、へ、行く」と「へ」が二回繰り返されることになり、不自然になってしまうんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「go to」は特定の場所(school, the park, bed)に行くときに使います。「go」は方向や状態(home, abroad, shopping)を表すときに使います。特に「home」は名詞としても使えますが、「家に帰る」という動作では副詞として扱うのが基本です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

「go to」を使うパターン(名詞)

場所を表す名詞の前には必ず「to」を置きます。

  • I go to school by bus.
    (私はバスで学校へ行きます。)
  • Let’s go to the park.
    公園へ行こう。)
  • It’s time to go to bed.
    (もう寝る(ベッドへ行く)時間だよ。)
  • He went to Tokyo yesterday.
    (彼は昨日東京へ行きました。)

「go」をそのまま使うパターン(副詞)

「〜へ」という意味を含む副詞には「to」を付けません。

  • I want to go home early.
    (私は早く家に(へ)帰りたい。)
  • She wants to go abroad.
    (彼女は海外へ行きたがっている。)
  • Let’s go there.
    そこへ行こう。)
  • Please go upstairs.
    上の階へ行ってください。)
  • We often go downtown.
    (私たちはよく繁華街へ行きます。)

これはNG!間違えやすい使い方

ネイティブも耳にすると違和感を覚える、典型的なミスです。

  • 【NG】I go to home.
    (私は家へへ帰る??)
  • 【OK】I go home.
    (私は家に帰る。)

ただし、「誰かの家」と言う場合は「home」が名詞扱いになるため、「to」が必要になります。

  • 【OK】I went to his home.
    (私は彼の家へ行った。)

「his」がつくと「home」はただの「建物としての家(名詞)」になり、「〜へ」という矢印の意味が消えるため、改めて「to」が必要になるのです。

【応用編】「go + ~ing」や「go for」との違いは?

【要点】

「go shopping」などの「go + ~ing」は、楽しみや活動をしに行く場合に使われます。「go for」は「go for a walk」のように目的(名詞)を伴って「〜しに行く」を表します。どちらも「場所」ではなく「行為・目的」に焦点が当たっています。

「go」には「to」以外にも様々な言葉が続きます。

これらも「場所に行く」というよりは、「何かをしに行く」というニュアンスで使い分けられています。

go + ~ing(〜しに行く)

レジャーやスポーツ、活動をしに行くときに使われる定番の形です。

この場合の「ing」は動名詞ではなく現在分詞に近い働きをしますが、決まり文句として覚えてしまいましょう。

  • go shopping(買い物に行く)
  • go fishing(釣りに行く)
  • go swimming(泳ぎに行く)
  • go skiing(スキーに行く)

go for + 名詞(〜しに行く)

「for」は「目的」を表す前置詞です。散歩やドライブなど、軽い活動によく使われます。

  • go for a walk(散歩に行く)
  • go for a drink(飲みに行く)
  • go for a drive(ドライブに行く)

「go」と「go to」の違いを文法的に解説

【要点】

文法的には「go」は自動詞であり、目的語(名詞)を直接取ることができません。そのため、名詞を続けるには前置詞「to」の助けが必要です。一方、副詞は動詞を直接修飾できるため、「to」なしで直後に置くことができます。

少し専門的な視点から、この違いを深掘りしてみましょう。

英語の動詞「go」は、「自動詞」に分類されます。

自動詞とは、「自分だけで完結する動き」を表し、後ろに直接「名詞(目的語)」を置くことができない動詞です。

例えば、「I visit Tokyo.(他動詞)」はOKですが、「I go Tokyo.(自動詞)」はNGです。

自動詞が名詞と結びつくには、クッション役となる「前置詞」が必要です。

それが「to」なんですね。

一方で、「副詞」という品詞は、名詞以外のもの(動詞、形容詞、他の副詞)を修飾する役割を持っています。

つまり、副詞は前置詞の助けを借りずに、直接動詞にくっつくことができるのです。

「run fast(速く走る)」の「fast」が副詞であるように、「go home(家へ行く)」の「home」も副詞として動詞「go」を修飾しています。

「品詞のルール」が、この使い分けの正体だったのです。

「I go to home」と言って笑われた僕の体験談

僕がアメリカに留学して間もない頃、ホストファミリーとの会話で恥ずかしい思いをしたことがあります。

夕食の後、少し疲れていた僕は、部屋に戻って休みたいと伝えようとしました。

「I’m tired. I’m going to home.」

そう言った瞬間、ホストマザーが優しく微笑みながらこう言いました。

「You are already home! But you can go to your room.(もう家にいるじゃない!でも部屋に行っていいわよ)」

僕は「家に帰る(自室に戻る)」つもりで言ったのですが、文法的なミス(to home)と、すでに家の中にいるのに「家に帰る」と言った矛盾で、二重におかしなことになっていたのです。

さらに後日、学校でも友達に「I have to go to home.」と言ってしまい、「E.T. phone home?(E.T.が家に電話するの?)」と冗談交じりに突っ込まれました。

映画『E.T.』の有名なセリフ「E.T. go home」を引き合いに出されたのです。

この時、ネイティブにとって「go home」は一つの塊として染み付いていて、「to」が入ると異物感があるのだと痛感しました。

「家(home)」は、単なる場所(House)ではなく、「帰るべき場所」「心安らぐ場所」という方向性や状態を含んだ言葉(副詞)なんですよね。

それ以来、「Homeには矢印が含まれている」というイメージが僕の中に定着しました。

皆さんも、この「Homeの特別感」を意識すると、自然と「to」が抜けるようになりますよ。

「go」と「go to」に関するよくある質問

「go to school」に「the」がつかないのはなぜ?

「school」や「church」「hospital」などが、建物そのものではなく「本来の目的(勉強、礼拝、治療)」のために行く場合、無冠詞(theなし)で使われます。「go to the school」と言うと、勉強しに行くのではなく、親が学校へ用事で行くような「建物へ行く」ニュアンスになります。

「go on a trip」はなぜ「to」ではないのですか?

「trip(旅行)」は目的地そのものではなく、「活動」や「期間」を指す言葉だからです。「on」は「〜の最中で」という進行や状態を表すため、「旅行という活動に乗っかって行く」というイメージで「go on」が使われます。

「Welcome home」も同じ理屈ですか?

その通りです。「Welcome back to home」とは言いませんよね。「home」が「家へ(帰ってきた状態)」という副詞として機能しているため、「おかえり(家へようこそ)」は「Welcome home」だけで成立します。

「go」と「go to」の違いのまとめ

「go」と「go to」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本ルール:行き先が「名詞」なら「go to」、「副詞」なら「go」。
  2. toの役割:名詞とつなぐ接着剤。副詞には不要。
  3. 代表的な副詞:home, abroad, there, here, upstairs, downtown。これらには「to」をつけない。
  4. イメージ:「to」は矢印。副詞は矢印内蔵型。

「場所の名前」ならtoをつける、「方向や状態」ならそのまま。

この感覚さえ掴んでおけば、会話の途中で「あれ、toはいるんだっけ?」と迷うこともなくなります。

これからは自信を持って、スムーズに目的地を伝えていきましょう。

言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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