「grow」と「grow up」の違いを5分で理解!使い分け完全ガイド

「grow」と「grow up」、どちらも「育つ」「成長する」と訳されますが、ネイティブは対象によって明確に使い分けていることをご存知ですか?

この2つの言葉は、「物理的な成長・増大」か「(人が)大人になる・成熟する」かという点で使い分けるのが基本。

この記事を読めば、植物の成長から子供の成長、さらにはビジネスの拡大まで、状況に合わせて適切な英語を選べるようになり、ネイティブに違和感を与えない表現が身につきますよ。

それでは、まず最も重要な違いから一覧表で見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「grow」と「grow up」の最も重要な違い

【要点】

「grow」は植物・動物・髪・経済などあらゆるものが「大きくなる・増える」ことを指します。「grow up」は主に「人間が成長して大人になる(精神的な成熟含む)」ことを指し、完了のニュアンスを含みます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。

項目grow(グロウ)grow up(グロウ アップ)
中心的な意味成長する、伸びる、増大する大人になる、成人する
主な対象植物、髪、爪、経済、企業、人人間(子供→大人)
ニュアンスサイズや量が増える(物理的)成熟する、自立する(精神的)
用例のイメージ木が育つ、髪が伸びる、売上が伸びる日本で育った、大人になったら

一番大切なポイントは、「grow」は物理的な大きさや量の変化にフォーカスし、「grow up」は人間としての完成(大人になること)にフォーカスするということです。

背が伸びるのは「grow」、精神的に大人になるのは「grow up」といったイメージですね。

なぜ違う?英語の語源と「up」のイメージを掴む

【要点】

「grow」は草木が緑に育つことを語源とし、自然な増大を表します。「up」は「上へ」だけでなく「完全に〜しきる(完了)」のニュアンスを持ちます。つまり「grow up」は「完全に育ちきる=大人になる」という意味になります。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源と「up」の持つイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「grow」のイメージ:自然に大きくなる

「grow」は古英語の「growan」に由来し、元々は「(草木が)緑になる、育つ」という意味でした。

そこから、植物だけでなく、動物、髪の毛、そして経済や数値などが「自然に大きくなる、増える」という広い意味で使われるようになりました。

単にサイズや数量の変化を表すため、必ずしも「完成」や「成熟」を意味するわけではありません。

「grow up」のイメージ:育ちきる(完了)

一方、「up」という副詞には、「上へ」という意味のほかに、「完全に〜する」「仕上がる」という「完了」のニュアンスがあります(例:eat up=食べ尽くす)。

つまり、「grow(育つ)」+「up(完全に)」で、「育ちきって大人になる」「成熟した状態になる」という意味になるのです。

そのため、基本的には「人間」に対して使われ、未熟な状態から成熟した状態への変化を強調します。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

髪が伸びたり会社の売上が伸びたりするのは「grow」。子供が大人になったり、「日本で育ちました」と生い立ちを話す時は「grow up」。対象が「モノ・数値」か「人の成熟」かで使い分けます。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常会話と、間違いやすいNG例を見ていきましょう。

日常会話での使い分け

対象が何なのか、そして「成熟」を意味するのかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:grow】

  • The tree grew tall.(木が高く育った。)
  • My hair grows fast.(私の髪は伸びるのが早い。)
  • The company is growing rapidly.(その会社は急速に成長している。)
  • Children grow quickly.(子供はすぐに大きくなる。※背が伸びる、体が大きくなるニュアンス)

【OK例文:grow up】

  • I grew up in Tokyo.(私は東京で育ちました。)
  • What do you want to be when you grow up?(大人になったら何になりたい?)
  • He needs to grow up.(彼はもっと大人になるべきだ/精神的に未熟だ。)

これはNG!間違いやすい使い方

意味は通じますが、ネイティブには違和感を与えてしまう使い方には注意が必要です。

  • 【NG】The flowers grew up in the garden.
  • 【OK】The flowers grew in the garden.

植物に対して「grow up(大人になる)」を使うと、まるで花が成人式を迎えたかのような擬人化された表現に聞こえてしまいます。植物にはシンプルに「grow」を使います。

  • 【NG】(ビジネスで)We want to grow up our sales.
  • 【OK】We want to grow our sales.

売上や数値は「大人」にはなりません。「増大させる」という意味の他動詞として「grow」を使います。

【応用編】似ている言葉「raise / bring up」との違いは?

【要点】

「grow / grow up」は主語が自ら育つ(自動詞)のに対し、「raise / bring up」は親などが「育てる」という他動詞です。アメリカでは「raise」、イギリスでは「bring up」が好まれる傾向があります。

「育つ」ではなく「育てる」と言いたい場合についても整理しておくと、表現の幅が広がりますよ。

「grow up」は「(私が)育つ」という自動詞ですが、「(子供を)育てる」と言いたい時は「raise」または「bring up」を使います。

  • I grew up in Osaka.(私は大阪で育ちました。)
  • My parents raised me in Osaka.(両親は私を大阪で育てました。)

ちなみに、農作物を「栽培する・育てる」という場合は他動詞の「grow」を使います(例:I grow tomatoes.)。

人を育てる時は「raise/bring up」、植物を育てる時は「grow」と覚えておきましょう。

「grow」と「grow up」の違いを文法・ニュアンス的に解説

【要点】

「grow」は自動詞(育つ)と他動詞(育てる・増やす)の両方で使われますが、「grow up」は主に自動詞として使われます。ニュアンスとしては、growは「継続的な変化・増大」、grow upは「到達・完了」の側面に焦点が当たります。

少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

文法的に注目すべきは、他動詞としての用法の有無です。

「grow」は「I grow vegetables.(野菜を育てる)」や「Grow the business.(事業を成長させる)」のように、目的語をとる他動詞としても頻繁に使われます。

一方、「grow up」は基本的に「I grew up.」のように主語自身の変化を表す自動詞として使われ、「I grow up him.」のように他動詞として使うことは一般的ではありません。

また、大人に対して “You need to grow up.” と言うと、「いい歳して子供っぽいぞ(精神的に自立しろ)」という批判的なニュアンスになるため、使う相手や場面には注意が必要です。

より詳しい英語のニュアンス学習には、ブリティッシュ・カウンシルのような公的機関の学習リソースも参考になりますよ。

僕が植物に「grow up」を使って笑われた体験談

僕も英語学習を始めたばかりの頃、この「grow」と「grow up」の違いで恥ずかしい思いをしたことがあります。

ホームステイ先でガーデニングの手伝いをしていた時のことです。

ホストマザーが大切にしていたヒマワリが、数週間で見違えるほど高く伸びていました。

僕は感動して、自信満々にこう言いました。

「Wow! Your sunflowers grew up so fast!」

すると、ホストマザーは優しく笑ってこう言ったのです。

「They grew fast, yes. But they didn’t ‘grow up’. They don’t go to school or get a job!(早く育ったわね。でも『大人になった』わけじゃないわ。学校にも行かないし仕事もしないもの!)」

ハッとしました。

僕は「大きく育った」と言いたかったのですが、「grow up」を使ったことで、ヒマワリがまるで人間のように「成人した」「大人びた」というニュアンスになってしまっていたのです。

植物はただ物理的に「grow(大きくなる)」だけなんですね。

この経験から、「grow up」には人格的な成熟や社会的な成長(大人になること)の意味が強く含まれているのだと痛感しました。

それ以来、植物やモノにはシンプルに「grow」、自分の生い立ちを話す時は「grow up」と明確に使い分けるようにしています。

「grow」と「grow up」に関するよくある質問

「髪が伸びた」はどっちを使えばいいですか?

「My hair has grown.」のように「grow」を使います。髪の毛は物理的に長くなるだけで、精神的に成熟して大人になるわけではないからです。「grow up」を使うと、髪の毛が成人式を迎えるようなおかしなニュアンスになります。

「大人になったね」と子供を褒める時は?

「You’ve grown!(背が伸びたね/大きくなったね)」と言うのが一般的です。「You’ve grown up.」と言うと、「もうすっかり大人だね(成人したね)」という完了のニュアンスが強くなります。まだ成長過程の子供にはシンプルに「grow」を使うことが多いです。

ビジネスで「会社を成長させる」と言う時は?

「Grow the company」や「Grow the business」のように「grow」を使います。「会社を大人にする(grow up)」とは言いません。数値や規模を拡大させる場合は、他動詞の「grow」が適切です。

「grow」と「grow up」の違いのまとめ

「grow」と「grow up」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. grow:物理的に「大きくなる」「増える」。植物、髪、数値、ビジネスなどに使う。
  2. grow up:人間が「大人になる」「成熟する」。精神的な成長や成人のプロセスを指す。
  3. 使い分け:単なる成長・増大なら「grow」、人としての成熟・生い立ちなら「grow up」。

庭の植物がすくすく育つのも、子供が立派な大人になるのも、どちらも素晴らしい「成長」です。

それぞれの言葉が持つ「物理的な変化」と「精神的な成熟」のニュアンスを使い分けて、あなたの見た変化や経験を正しく伝えてみてください。

さらに日常で使われるカタカナ語の違いについて知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひ参考にしてみてくださいね。

スポンサーリンク