「-지만」と「-는데」の違いとは?自然な韓国語を話すための決定版

「-지만(チマン)」と「-는데(ヌンデ)」の最大の違いは、前後の文章が「対立」しているか、「背景説明」をしているかという点。

どちらも日本語では「~けど」「~が」と訳されるため混同しやすいですが、「-지만」は「AですがBです(反対)」とはっきり否定や対比をするのに対し、「-는데」は「Aなんですけど(Bはどうですか?)」と次の言葉を促したり状況を説明したりするクッションのような役割を持ちます。

この記事を読めば、それぞれの語尾が持つ本来のニュアンスや具体的な使い分け、さらにはネイティブが自然に使う「こなれた表現」までスッキリ理解でき、韓国語での会話やメッセージのやり取りに自信が持てるようになります。

それでは、まず最も重要な違いを比較表で見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「-지만」と「-는데」の最も重要な違い

【要点】

「-지만」は前の内容と反対のことを言う「逆接・対立」に使います。「-는데」は後の会話につなげるための「前置き・背景説明」に使います。日常会話では「-는데」の方が圧倒的に多く使われます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの接続語尾の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目-지만(チマン)-는데(ヌンデ)
※形容詞は-(으)ㄴ데
中心的な意味~ですが、~だけれども
(完全な逆接)
~なんですけど、~ですが
(背景説明・前置き)
前後の関係前と後ろの内容が対立・反対する。後ろの内容を言うための状況説明をする。
(対立する場合もあるが柔らかい)
ニュアンス「しかし」「But」
はっきり意見を言う、事実を対比する。
「ところで」「And / So / But」
相手の反応を待つ、余韻を残す。
使用頻度書き言葉やフォーマルな場で多い。日常会話で非常に頻繁に使われる。

一番大切なポイントは、単に「反対のこと」を言うなら「-지만」、相手に「話を聞いてほしい時」や「次の展開がある時」は「-는데」を使うということですね。

例えば、道を尋ねるときに「道に迷ったんですが…」と言うなら、状況を伝えて相手の助けを待つので「-는데」が自然です。「-지만」を使うと「道に迷ったが(それがどうした)!」のように、少しぶっきらぼうに聞こえてしまうこともあります。

なぜ違う?言葉の持つ核心イメージ(ニュアンス)から掴む

【要点】

「-지만」は「A」と「B」を切り離して対比させるイメージ。「-는데」は「A」という状況を敷いて、「B」へと滑らかにつなげるイメージです。

なぜこの二つの言葉に使い分けが必要なのか、それぞれの持つ「核心イメージ」を理解すると、感覚的に掴めるようになりますよ。

「-지만」のイメージ:バッサリ「対立」させる壁

「-지만」は、前の文章と後ろの文章をバッサリと切り離して対比させるイメージです。

日本語の「~しかし~」「~だが~」に相当します。「Aだ。しかしBだ。」というように、前の事実を認めつつも、後ろでそれを覆したり、反対の事実を述べたりする時に使います。

そこに「つながり」や「流れ」というよりは、「A vs B」という対立構造を作る役割があります。だからこそ、自分の意見をはっきり主張したい時や、事実を客観的に比較する時に適しています。

「-는데」のイメージ:次へと続く「滑走路」

一方、「-는데(形容詞の場合は-은데/ㄴ데)」は、後ろに続く言葉のために「状況」を説明する滑走路のようなイメージです。

日本語の「~なんですけど…」「~なんですが~」に相当します。単に対立しているだけでなく、「雨が降っているんだけど(傘持ってる?)」のように、前提条件を共有する役割が強いです。

「Aという状況です。さあ、これを受けてB(提案・質問・依頼)しますよ」という、会話の流れを作る接着剤のような働きをします。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「値段は高いけど美味しい」と事実を比べるなら「-지만」。「安くしてほしいんだけど…」と交渉するなら「-는데」を使います。日常会話では文末を「-는데…」で終わらせて余韻を残すテクニックも重要です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常会話でよくあるシーンと、ニュアンスを間違えやすいNG例を見ていきましょう。

「-지만(逆接・対比)」が自然なシーン

事実を客観的に並べたり、自分の意志をはっきり示したりする場面です。

【OK例文】

  • 한국어는 어렵지만 재미있어요.
    (韓国語は難しいけど、面白いです。)
    ※「難しい」と「面白い」を対比させている。
  • 비쌌지만 샀어요.
    (高かったけど、買いました。)
    ※「高い」というマイナス要素を乗り越えて買ったという逆接。
  • 죄송하지만 안 됩니다.
    (申し訳ありません、ダメです。)
    ※ビジネスなどで断る時の定型表現。

「-는데(前置き・背景)」が自然なシーン

相手に何かを頼んだり、誘ったり、状況を説明して反応を伺ったりする場面です。

【OK例文】

  • 지금 밥 먹는데 나중에 전화할게.
    (今ご飯食べてるんだけど、後で電話するね。)
    ※「ご飯を食べている」という状況を説明して、「電話を切る」という結論につなげている。
  • 저기요, 이거 떨어뜨리셨는데요.
    (あの、これ落としました(けど)。)
    ※「落としましたよ」と状況を伝えて、相手の反応(気づくこと)を待っている。
  • 날씨가 좋은데 산책 갈까?
    (天気がいいんだけど、散歩に行こうか?)
    ※「天気がいい」という背景をもとに、誘っている。

これはNG!間違えやすい使い方

文法的には間違いでなくても、ニュアンスが不自然になるケースです。

  • 【不自然】 (店員に向かって)이거 찾고 있지만
    (これを探しているんですが…)
  • 【自然】 (店員に向かって)이거 찾고 있는데(요)…

店員さんに声をかける時、「探しているが(しかし)!」と言ってしまうと、相手は「探しているけど、何?見つからないの?文句があるの?」と身構えてしまいます。「探しているんですけど(ありますか?)」と背景を伝える「-는데」が正解です。

【応用編】似ている言葉「-(으)나」との違いは?

【要点】

「-(으)나(ウナ)」は「-지만」と同じく逆接を表しますが、主に書き言葉や演説、ニュースなどの改まった場面で使われます。日常会話で使うと堅苦しい印象になります。

「-지만」や「-는데」と似た意味で、ニュースなどでよく聞く「-(으)나」についても触れておきましょう。

「-(으)나」は、非常にフォーマルな書き言葉的な「~が」「~けれど」です。

フレーズニュアンス使われる場面
-지만~だけれども(対立)会話・文章の両方(やや硬め)
-는데~なんだけど(背景)日常会話(圧倒的に多い)
-(으)나~だが、~いえども論文、ニュース、演説、ことわざ

例えば、「身体は小さいが、力は強い」と言う場合、日常会話なら「몸은 작지만 힘은 세요」ですが、小説や記事なら「몸은 작으나 힘은 세다」となります。

ことわざの「良薬は口に苦いが~(좋은 약은 입에 쓰나…)」などでも使われますね。日常会話で無理に使う必要はありませんが、知識として知っておくとニュースが聞き取りやすくなります。

「-지만」と「-는데」の違いを文法的に解説

【要点】

「-지만」は対等な節をつなぐ逆接の連結語尾です。「-는데」は接続機能だけでなく、終助詞的に文末で使うことで「余韻」「感嘆」「婉曲」を表す機能も持っています。

少し専門的な視点から、この二つの文法的性質を深掘りしてみましょう。

品詞による接続の違い

まず、接続の形に注意が必要です。

  • -지만:動詞・形容詞・指定詞の語幹にそのまま付く。過去形「-았/었-」の後ろにも付く。
  • -는데
    • 動詞(現在):語幹 + -는데
    • 形容詞(現在):語幹(パッチム有)+ -은데 / (パッチム無)+ -ㄴ데
    • 名詞・指定詞:-인데
    • 過去形:-았/었는데

「-는데」の方が、品詞やパッチムの有無によって形が細かく変わるため、学習者泣かせな部分があります。

文末表現としての「-는데」

「-지만」は基本的に文をつなぐ役割ですが、「-는데」は文末で「-는데요」という形で頻繁に使われます。

「비가 오는데…(雨が降っているんだけど…)」のように文を終わらせることで、断定を避け、相手の反応を待ったり、柔らかく断ったりする「ポライトネス(丁寧さ)」の機能を果たします。

また、「わあ、すごいね!(우와, 잘하는데!)」のように、感嘆を表す場合にも使われるのが「-는데」の大きな特徴です。

「-지만」と「-는데」の使い分けで会話が弾まなかった体験談

僕も韓国語を習い始めた頃、この使い分けができずに会話がギクシャクした経験があります。

韓国人の友人を食事に誘おうとして、こうメッセージを送りました。

「시간이 있지만, 밥 먹으러 갈래?(時間はあるけど、ご飯食べに行く?)」

友人は「え? 時間はあるけど…行きたくないの?」と少し困惑した返信をくれました。

僕は「時間があるから行こう」という前提(背景)として言ったつもりだったのですが、「-지만」を使ったことで、「時間は(一応)ある。しかし(本当は忙しいけど、仕方ないから)行く?」のような、後ろ向きなニュアンスや、無理に対立させる響きが出てしまっていたんです。

この場合は、「시간이 있는데, 밥 먹으러 갈래?(時間があるんだけど、ご飯食べに行く?)」と言うべきでした。

「-는데」を使えば、「時間があるよ(という状況だよ)。だから一緒にどう?」とスムーズに次の提案へつなげることができたのです。

この失敗から、「逆接」のつもりがないなら、基本的には「-는데」を使った方が会話は円滑に進むということを痛感しました。

「教科書で習った『~が』を全部『-지만』に変換してはいけない」。これは、僕の韓国語学習における大きな転換点となった教訓です。

「-지만」と「-는데」に関するよくある質問

自己紹介で「日本人ですが」と言うときはどっち?

「저는 일본 사람인데요(私は日本人なんですが)」のように「-인데(-는데の指定詞形)」を使うのが最も自然です。「日本人である」という背景情報を伝えて、その後の会話(韓国語勉強中です、仲良くしてください等)につなげるニュアンスになります。「일본 사람이지만」と言うと、「日本人だけれども(韓国人のような見た目をしている)」のような対比の文脈を期待させてしまいます。

「美味しいけど辛い」はどっち?

「맛있지만 매워요」が自然です。「美味しい(プラス)」と「辛い(マイナス)」という対立する要素を並べているためです。もちろん、「맛있는데 매워요(美味しいんだけど、辛いなあ)」と言うこともできますが、客観的な評価・対比としては「-지만」がしっくりきます。

目上の人に「-는데」を使っても失礼じゃない?

失礼ではありません。「-는데」自体に敬語のレベルはなく、最後に「-요(ヨ)」をつけるか、文末を敬語にするかで丁寧さが決まります。むしろ、用件を伝える前に「-는데요(~なんですが…)」とクッションを置くことで、いきなり本題に入るよりも柔らかく丁寧な印象を与えることができます。

「-지만」と「-는데」の違いのまとめ

「-지만」と「-는데」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本イメージ:「-지만」は対立(But)、「-는데」は背景説明(Background)。
  2. 会話の役割:「-지만」は事実を比較・否定する。「-는데」は次の言葉へのクッションになる。
  3. 日常会話:迷ったら「-는데」を使う方が、会話の流れがスムーズになることが多い。
  4. 注意点:単純な逆接(~だけど)でも、相手の反応を待つなら「-는데」がベスト。

教科書ではどちらも「~が」「~けど」と訳されていますが、その裏にある「話者の意図」は全く異なります。

「ハッキリ言いたい時はチマン、状況を伝えたい時はヌンデ」。この感覚を意識するだけで、あなたの韓国語はグッとネイティブに近づきますよ。

これからは自信を持って、場面に合った接続語尾を選んでいきましょう。さらに詳しい外来語や言葉のニュアンスの違いについては、日常会話の外来語の違いをまとめたページもぜひ参考にしてくださいね。

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